暴君に相応しい三番目の妃

abang

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もう一人の妻と、妹

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調査こそしていたが、万が一の為に監察する。

しかし、どう見ても仲が良いようには見えないし、これは……


使と判断した。



私、アエリこそが皇后に最も近い女性の筈なのに後から来た見た目と魔力だけのヴァニティの女なんぞに一足早く皇妃の座を奪われた。



けれど流石、皇帝が選ぶだけあってドルチェは馬鹿な訳では無い。

あの容姿に、皇帝という権力、強さ、個人の財産だけでも有り余るほどの金。


いくら暴君だと言えど、誰が彼との結婚を嫌がるのだろうか?
女達が嫌なのは皇宮に入って万が一命を落とす事で、皇帝ヒンメルが怖い訳ではない。


むしろその類稀に見える優しさが自分のみに向く夢を見るだろう。それは、私も同じだった。
他の女達と違うのは私には彼の隣にいるべき能力と権力が私にはあり、それを後押しする国民からの人気があった。


その筈なのに、権力も無く、後ろ立てる家族からも見捨てられた「皇帝の情婦」として嫁いで来た無力な第三妃にまんまと見下されている。


けれども、そのドルチェに対抗し得る駒を見つけた。



「お呼びですか?アエリ妃殿下」

「ええ……ただ貴女とは気が合いそうだと思って」

「私も、そうなれれば光栄だと思っていました」


((貴女は使えると思ってたわ))


「貴女の姉の奔放な振る舞いには迷惑してるの……」




「姉は少々我儘な面がありまして……アエリ妃を側妃として支えるには我が強すぎるかもしれませんね」

(お姉様とは違う意味で扱い易そうな人ね)



 「へぇ……貴女が嫁いで来ていたら仲良く出来ていたのに」

(まぁ、皇后になれたら殺すけれど。陛下は私のもの)


互いの思惑になど気付かぬアエリと、大体のアエリの思考を読み取ってほくそ笑むシェリア。


邪魔になれば消せばいい。

アエリは敢えて深く考えることはせずにシェリアを利用する事にした。ドルチェよりは社交的で従順そうな少女に見えたからだ。



それに、

(感じるのがこの程度の魔力なら、私とそう大差ないわ。ドルチェと違ってで劣る心配はない)



傀儡の側妃にはうってつけの人物だった。



「貴女、実家では姉を従わせていたらしいわね」

「ええ、お姉様は優しいので私の頼みは大抵叶いました」

「今もそうだといいけど」

「お任せ下さい」



愛らしく、まるで子犬が可愛がって欲しいと擦り寄るようにアエリを見上げたシェリアに悪い気はしない。従順な者は嫌いじゃない。



「ドルチェを排除できたら、貴女が側妃よ」

「……楽しみですわ」


(側妃?その時は私が皇后でアナタが消えるのよアエリ妃)



「じゃあ、先ずはドレスを準備したから是非後の夜会ではそれを着て来て頂戴」

「ドレス?」

「きっと良くある手だけど、社交会に慣れてない貴女の姉には初めての経験なんじゃない?」



侍女らしき者が布を捲って披露した見事なドレスは、その言い方だときっと色または形がドルチェの物と同じなのだろう。


晴れ舞台で恥をかかせるにはうってつけでもある。



「国でしていたように、先手を打って陥れなさいな」

「まさか、この程度で終わりではありませんよね?」

「も、勿論よ。必要なものは言って頂戴。貴女の手腕を確かめたいの」



(ふ、アエリ妃、とんだ期待外れだけど金主としては必要ね)


シェリアはふんぞり返って座るアエリの足元にしなだれかかるように座って太ももに頭を預けると服従するような、誘惑するような思わず女のアエリでもドキリとする表情で、何処かドルチェに似た整った顔立ちをふんだんに使って甘えた。


「任せて下さい、アエリ様」

「ーっ、その顔で変な事しないで」

「私……アエリ様のようなお美しい顔が良かったです」

「そ、そうかしら」



(恩恵を受けたヴァニティに敵うはずないでしょ馬鹿女)









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