王太子様、丁寧にお断りします!

abang

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程々になさいねと笑う君

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「……って事だったのよ」

「っふ、ほどほどになさいねフレイヤ」

「本音は?」

「めっちゃ面白い」

「ほら」


先日のリリエン王女との一件を偶然会ったルディウスから耳に入ったティリアが面白そ……心配そうに訪ねて来たのが少し前。


話を聞きながら、顔こそ心配を装っているものの肩を震わせる彼女が明らかな形式上の説教の言葉を述べるとすかさず真顔で「本音は?」と聞いたフレイヤに即座に降参したティリア。



「でも、本当にほんの悪戯心だったのにあんなに飛躍するとは思わなかったの」

「ふふっ、なんでいつも何かを巻き起こすのよ」

「冤罪」

「それは無理あるわ。有罪」

「過失」

「うーん……可決!」



「甘いな」


「ルディ様」

「殿下」


相変わらず突然現れたルディウスに視線を向けた二人は、思ったよりも真顔のルディウスに思わずくすくすと笑う。


「フレイヤに何も無くて良かったよ……ハラハラさせられる」

「まぁ王女殿下は過激派ですものね」

「「過激派?」」


ティリアによると、ルディウスに好意を寄せている事は令嬢達の間ではもう噂になるほどでその所為で過去にルディウスに近づいた人達が彼女からの虐めに耐えきれず彼を諦めたという話は有名らしい。


ルディウス本人も、ゴシップに興味がないフレイヤも全く知らなかったとまるで何かの臭いを嗅いだときのディエゴのような顔でティリアをぼうっと見るだけだった。


「感情の分かりにくい顔しないで」

「「あっ」」

「とにかく、フレイヤが難癖つけられなくて良かったわ」

「寧ろ嫌味を倍以上の恥にして返していたが」

「ふふ」


「「笑えない」」



ティリアの話に少し考えてから「あ」と声を漏らしたフレイヤに視線を向けると難しい顔で「判断しかねるわね」と呟く。


「何?フレイヤ」

「いえ……ルディ様に話す程の事じゃないの」

「じゃあ私に話してみて?」

「うーん」


「「フレイヤ」」


「そう言えば王女さまから来たお詫びの贈り物とやらに添えられていた手紙に小さなナイフが入って居たの」


「「え"」」


「贈り物は部屋着だったのだけれど……ナイフもてっきり贈り物かと思って……」


「怪我は!?」

「勿論ありませんが」

「そのナイフはどうした!?」


(フレイヤそれは寝首をかくぞという宣戦布告よ……)




フレイヤはふと陰のある笑みを浮かべてから気まずそうに二人から視線を逸らす。


「その晩に偶々入り込んだ刺客にトドメを刺すのに使いました」


「折角の贈り物なのに申し訳ありませんが」と続けた。



「もう刺客来てるんだね!?」

「うん俺もそれは驚いた!」



「ウチの警備の所為でもうボロボロだったから、可哀想に思って」



「えっ?可哀想に思ってトドメ?」

「カワイソウダカラトドメ?」


「ふふ、そうよトドメをさしたの」



「えーっとフレイヤ……」

「因みに調べたらとても有能なギルドから来た殺し屋だったわ」

「ちょっとま……っ」

「だから部屋まで辿り着けたのね」



「フレイヤ……その、証拠のナイフは?」

「え?証拠?何故?刺客の人にあげたわ」


「あのねフレイヤ、それはあげたって言わないの」

「刺したまんまって言うんだよフレイヤ」




「なに、二人して青い顔ね。ふふっ」



(親友が凄い怖い)

(寧ろその愛らしさが怖い)



「王女様には感謝しなくっちゃ!あ、でもナイフは嫌がらせだったのかしら?」

「そこ?」


「フレイヤにはもう言わない方がいいのか?」

「そうですね殿下……」




「まぁでもお陰様で刺客を楽にしてあげられたって王女様に感謝の手紙を書くことにするわ……命の恩人だし」


「違うね、狙われてんだわ」



「えっ誰に!?」

「「……」」


その後何者からか届いた手紙に恐怖してリリエン王女が寝込んだという噂を聞いて、もうすでにリリエン王女の事を忘れているフレイヤとフレイヤの身を案ずるティリア。


「ーらしいの、貴女は何も問題ない?」
 


「えっ?命の恩人?誰だった?」

「ぶっ!!」

「ティリア、大丈夫?」

「そっちがな」

「で、何の話だっけ?」

「リリエン王女殿下のことよ」

「リリエンオウジョデンカ?」



「いや、初めて聞いた言葉みたいな顔すんのやめて?」






















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