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染まって、堕ちる
しおりを挟む兄達の愛情表現と躾は日に日に過激度を増し、徐々に段階を踏むせいか私はそれに気付けないでいた。
あの日から当たり前のように毎日装着されている魔道具は動いていようが、いまいが、四六時中私を悩ませる。
表情を取り繕うのには慣れたが、少し触れられるだけで肩を揺らせてしまう今の私は淫らでみっともない。
こんな私を受け入れてくれるのはきっと兄様達だけだろう。
あの日、どこまで、どうなった私をソルが見たのかを確認する勇気も無いし学園の中庭で一緒にお茶を啜るソルは驚くほどいつも通りだ。
私に触れないように、私を守るように振る舞うソルが私の今の状態を把握しているという事だけは分かる。
けれどそれがまた羞恥心を生んだ。
(ーーっ、また動き出した)
魔道具が動き始めると緩い振動に苛まれて、もどかしい。
時間をかけて甘い絶頂を強制されて、時々下のリングがキュッと絞まると何処であっても身を弓形にして達してしまう。
「フリア、午後はサボろうか」
「ソル……、うん」
ソルはこういう時には決まって王族だけが使える特別室で、背中を向けて読書に集中するフリや、寝たふりをしてくれる。
もう学校に通うのをやめて、兄様達と居ればこんな想いはしなくて済むのだが、前に一度蘇った記憶の一部が社交性だったり学園に通う事の重要性を訴えかけてくる。
それに、ふと感じた疑問。
蘇った記憶の中でのこの世界の話に存在しない私。
もしかしたら、存在しなかったのではなく閉じ籠もっていたのなら?
何も知らずに、家で兄様たちの愛だけに満たされて暮らしていたのだとしたら……
二人がリエラに夢中になったその後は?
リエラが公爵家に監禁された時は?
もしかして、居なかったんじゃくて……
忘れられた存在だったのかもしれない。
そう考えると、仮定だと分かっていても悲しくなって、絶えず与えられる身体の快感と、負の感情とで頭の中がぐちゃぐちゃになって涙がこぼれてきた。
(だめ、泣いちゃだめ)
ディザスターたるもの強者でなくてはならない。
「誰もいないよ、俺はすぐに忘れてしまうしな」
まるで思考の世界から引き摺り出すようなソルの声に涙が止まらなくなって、思わず振り返って複雑な表情のソルが両手を広げている胸に飛び込んで思い切り泣いた。
「うっ……、ありがとう」
「ん、大丈夫だよ。俺はフリアの親友だからね」
タイミング悪く振動が強くなって、締め付けるリング。
ガクガクと震えが止まらなくなって何かが込み上げてくる。
驚いたのか硬直するソルの服にしがみついて耐えるしか出来なくて、声を殺すのに精一杯だ。
「ーーっふ、んっ」
「あ……フリア、大丈……っ」
「ーーーーんんんっ!!」
ソルの硬いものがお腹に当たって服越しにも熱い。
止まらぬ過ぎた快感にもう家に帰る方がマシかと魔法を発動させようとした時、「ごめん、けど忘れるから」と言った後にしっかりと私を抱きしめてソルが提案した。
「知られるのは嫌かもしれないが、リエラならそれを外せる」
「ぁ……っ、私達の魔力は、聖力に弱いのを知っていた、のね」
「その、それをどうにかしてやりたくて調べたんだ……」
「でも、外したらぁっ……!!」
「俺は何も知らない、リエラが偶然見つけたことにしよう」
(もう、聞こえてないか?仕方ないな)
「ーーっ、ふ、ーーっ、ーーっも、いきたくな……っ」
「待ってて、女性同士だし、これしか無いんだ」
もう転移魔法を使うこともままらない私は、ソルの言葉に頷くしかない。
何だっていいから兄様達が欲しくて、
何故かリエラが来るまでは兄様達をソルが呼んでくるのだと思っていた。
「ー!?」
「フリア様!?」
「リ……エラ?」
「こんなの……って、ひどい(最っ高ォ)」
(あれ……?リエラ?)
彼女の背後にいるソルには見えなかっただろう。
けれど、確かにリエラが言葉とは裏腹に笑った気がした。
「ソル殿下は、部屋から出ていて下さい」
「あ、あぁ」
「ソ……っ、」
「大丈夫ですよ、フリア」
バタンと扉の閉まる音が怖く聞こえた。
「私が助けてあげます」
(あれ、リエラってこんな雰囲気だったっけーーー)
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