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たとえ君が何色でも

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ほんのりと上気した頬、微かに震える肩と、少しだけ荒い息は熱っぽい。


俺を見上げる瞳もいつもより色っぽくて落ち着かない。



「フリア、調子が悪いのか?」

「大丈夫……心配しないでソルっ」


物欲しそうな、けれど視線が合うとすぐ逸らしてしまうフリアの仕草がもどかしくて思わずフリアの手を握った。



「ーっ、ソル、だいじょうぶだから」

「でもフリア……もしかして」

(兄達に何かされてる?)


「おっと、殿下。妹に気安く触れないでくれる?」

「ファルズフ、フリアは体調が悪いようだが」


フリアを背後から抱きしめるようにふわりと包むファルズフにフリアの不調を訴えてみるも片眉を上げてくすりと笑うだけ。


「フリア、辛い?」

「んーん、兄様……平気」

(だってこれも何かのお仕置きなのよね)

「ん、良い子だね」



フリアの耳元で、でも五感の優れている俺には分かる確かにファルズフは「頑張ったら、いっぱいご褒美あげるから」と囁いた。



ぶるりと身を震わせて、思考を何処かにやった様子のフリアの表情に思わずぞわりと身体に何かが走る。

引き寄せたい、こんな理不尽な辱めに屈さなくとも俺がフリアの望むこと全部してあげるのに。そう考えてしまう。



「ふは!ソル殿下、顔……隠せてねーけどいいの?」


ベリアルにそう囁かれてハッとする。

どんな顔をしていたのだろうか?

フリアの真っ赤になった顔をみて途端に背筋が凍る。


「あーあ、嫌われちゃったんじゃねーの?」

「フリア、何か誤解が……っ」

「そう?すげえ、ぶち犯してぇって顔してっけど」

「!」


「ベリアル兄様、やめて。ソルはそんな人じゃないわ」

「あー……そうだな。ソル殿下はだもんなぁ」


フリアにとって無害なこと、それが俺がフリアの側に居られる理由。フリアに受け入れられている理由だ。


(もし、信頼を失えば……)


「当たり前だ、フリア、体調が悪いなら休んでなよ。公爵達と茶をして帰るよ」


「ん、でも……ソルは私の友達だから」


「そうだね、フリア。大切なをちゃんとおもてなし出来てえらいな」



ファルズフがフリアの顎から頬を撫で上げる。


密かに震えて小さく声を漏らすフリアを他の人には見せたく無くて、護衛を下がらせ、公爵家の使用人も下げさせた。


四人だけの空間で、他愛のない会話と時たま嬌声のようなフリアの漏れ出る声だけが交わされて、パンツの盛り上がりを隠すように脚を組んだ。




段々と虚になるフリアにファルズフがイチゴを差し出すと、まるでそう躾けられたかのように自然に口を開けた。

「?」

「フリア、落ちるよ」

「……くれるんじゃ」

「あげるよ、早く食べな」



ほんの少し、唇から離したイチゴを追うように首を伸ばして小さく舌を伸ばす。


その瞬間に少し強引にイチゴを唇に押し付けて、苦しそうにもそれを受け取ろうとするフリアに「まだ噛まない」と指示した。



「ファルズフ、少し悪ふざけが」

「なに、兄妹の戯れだよ」

「ふっ、う……んっ、ふはっ」



何とかイチゴを咥えたフリアが懇願するようにファルズフを見つめると、彼は「やっぱりベリアルにあげる事にするよ」と笑った。




こくりと戸惑いながらも頷いたフリアがベリアルの方を向いてそのまま口づけるように顔を近づけると、ベリアルがフリアの唇に舌を差し込むような勢いでそれを奪い取った。



大きく身体を揺らしたフリアがびくびくと身体を揺らす姿に不覚にも身体は熱くて、それと同時に燃えるような嫉妬心に駆られる。





「兄様……っ、もうだめ……っ!」


「いいのか?」

「ほんと、ソルに嫌われちゃうよ?」




ああ、そういう意味か


理解した時にはもう遅い。



これから傷つくと知りながらも、己の欲に唆されてフリアから目を逸せない。その場から動けない。


フリアはきっと俺に嫌われるかもしれないことよりも

兄達に与えられるを求めるだろう。

チクリと胸が痛んで、それでもフリアを見つめたままだ。




「いい、から……っご褒美、欲しぃ」





「じゃあ、悪いけど……そこで見ててくれる?」

「妹がみたいで、悪いなぁ」





フリア、ごめん。


何度も何度もフリアに謝罪しながら、もう昂るものを隠す余裕も無かった。幸いなのは初めの少しだけ以外の記憶をフリアが飛ばしてしまっていたことだろう。






「ソル……?」

「め、目が冷めた?フリア……その、ごめん」

「変なところ見せてごめん、酷かったでしょう私」

「そんな事ない、その……綺麗だったよ」

「いつも記憶が飛んじゃって……酷い所みられて無くて良かった」

(兄様達も流石に、ソルの前で最後までしないよね……?)



「その、平気か?」

「うん……」



それでも俺は知ってる。

今もまだ着いてる君の体の魔道具を、君の隅々まで、どうやって兄達に抱かれるのか、どうやっても俺じゃダメなのも。


それでも


「俺はたとえ、どんなフリアでも、何色に染まったフリアでも大切にするよ!」


「……?……うん、ありがとう」


「だから、心配しないで。俺にはそのままで居て」


「ん、ありがとうソル」




少し驚いたような君と目が合って、少しだけ怯えたような君が愛おしくて思わず安心させるように頭を撫でて微笑む。


「俺は君が大事だよ」



そう伝えながら頭を撫でると、君が一度泣きそうな表情で跳ねた事は気付かないふりをするよ。




(俺だって、君の兄達に負けないほど重いのを持ってる)




「殿下、申し訳ないね」

「は、楽しんだかぁ?」


「……まさか、邪魔したな」


勝てやしないかもしれなくても、側にいたいから。

まだ、この気持ちは隠しておくよ。


無害な虫除け、今はそれでいい。
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