転生者だと気付いたら悪役双子の妹だったから堕ちる

abang

文字の大きさ
上 下
17 / 21

たとえ君が何色でも

しおりを挟む


ほんのりと上気した頬、微かに震える肩と、少しだけ荒い息は熱っぽい。


俺を見上げる瞳もいつもより色っぽくて落ち着かない。



「フリア、調子が悪いのか?」

「大丈夫……心配しないでソルっ」


物欲しそうな、けれど視線が合うとすぐ逸らしてしまうフリアの仕草がもどかしくて思わずフリアの手を握った。



「ーっ、ソル、だいじょうぶだから」

「でもフリア……もしかして」

(兄達に何かされてる?)


「おっと、殿下。妹に気安く触れないでくれる?」

「ファルズフ、フリアは体調が悪いようだが」


フリアを背後から抱きしめるようにふわりと包むファルズフにフリアの不調を訴えてみるも片眉を上げてくすりと笑うだけ。


「フリア、辛い?」

「んーん、兄様……平気」

(だってこれも何かのお仕置きなのよね)

「ん、良い子だね」



フリアの耳元で、でも五感の優れている俺には分かる確かにファルズフは「頑張ったら、いっぱいご褒美あげるから」と囁いた。



ぶるりと身を震わせて、思考を何処かにやった様子のフリアの表情に思わずぞわりと身体に何かが走る。

引き寄せたい、こんな理不尽な辱めに屈さなくとも俺がフリアの望むこと全部してあげるのに。そう考えてしまう。



「ふは!ソル殿下、顔……隠せてねーけどいいの?」


ベリアルにそう囁かれてハッとする。

どんな顔をしていたのだろうか?

フリアの真っ赤になった顔をみて途端に背筋が凍る。


「あーあ、嫌われちゃったんじゃねーの?」

「フリア、何か誤解が……っ」

「そう?すげえ、ぶち犯してぇって顔してっけど」

「!」


「ベリアル兄様、やめて。ソルはそんな人じゃないわ」

「あー……そうだな。ソル殿下はだもんなぁ」


フリアにとって無害なこと、それが俺がフリアの側に居られる理由。フリアに受け入れられている理由だ。


(もし、信頼を失えば……)


「当たり前だ、フリア、体調が悪いなら休んでなよ。公爵達と茶をして帰るよ」


「ん、でも……ソルは私の友達だから」


「そうだね、フリア。大切なをちゃんとおもてなし出来てえらいな」



ファルズフがフリアの顎から頬を撫で上げる。


密かに震えて小さく声を漏らすフリアを他の人には見せたく無くて、護衛を下がらせ、公爵家の使用人も下げさせた。


四人だけの空間で、他愛のない会話と時たま嬌声のようなフリアの漏れ出る声だけが交わされて、パンツの盛り上がりを隠すように脚を組んだ。




段々と虚になるフリアにファルズフがイチゴを差し出すと、まるでそう躾けられたかのように自然に口を開けた。

「?」

「フリア、落ちるよ」

「……くれるんじゃ」

「あげるよ、早く食べな」



ほんの少し、唇から離したイチゴを追うように首を伸ばして小さく舌を伸ばす。


その瞬間に少し強引にイチゴを唇に押し付けて、苦しそうにもそれを受け取ろうとするフリアに「まだ噛まない」と指示した。



「ファルズフ、少し悪ふざけが」

「なに、兄妹の戯れだよ」

「ふっ、う……んっ、ふはっ」



何とかイチゴを咥えたフリアが懇願するようにファルズフを見つめると、彼は「やっぱりベリアルにあげる事にするよ」と笑った。




こくりと戸惑いながらも頷いたフリアがベリアルの方を向いてそのまま口づけるように顔を近づけると、ベリアルがフリアの唇に舌を差し込むような勢いでそれを奪い取った。



大きく身体を揺らしたフリアがびくびくと身体を揺らす姿に不覚にも身体は熱くて、それと同時に燃えるような嫉妬心に駆られる。





「兄様……っ、もうだめ……っ!」


「いいのか?」

「ほんと、ソルに嫌われちゃうよ?」




ああ、そういう意味か


理解した時にはもう遅い。



これから傷つくと知りながらも、己の欲に唆されてフリアから目を逸せない。その場から動けない。


フリアはきっと俺に嫌われるかもしれないことよりも

兄達に与えられるを求めるだろう。

チクリと胸が痛んで、それでもフリアを見つめたままだ。




「いい、から……っご褒美、欲しぃ」





「じゃあ、悪いけど……そこで見ててくれる?」

「妹がみたいで、悪いなぁ」





フリア、ごめん。


何度も何度もフリアに謝罪しながら、もう昂るものを隠す余裕も無かった。幸いなのは初めの少しだけ以外の記憶をフリアが飛ばしてしまっていたことだろう。






「ソル……?」

「め、目が冷めた?フリア……その、ごめん」

「変なところ見せてごめん、酷かったでしょう私」

「そんな事ない、その……綺麗だったよ」

「いつも記憶が飛んじゃって……酷い所みられて無くて良かった」

(兄様達も流石に、ソルの前で最後までしないよね……?)



「その、平気か?」

「うん……」



それでも俺は知ってる。

今もまだ着いてる君の体の魔道具を、君の隅々まで、どうやって兄達に抱かれるのか、どうやっても俺じゃダメなのも。


それでも


「俺はたとえ、どんなフリアでも、何色に染まったフリアでも大切にするよ!」


「……?……うん、ありがとう」


「だから、心配しないで。俺にはそのままで居て」


「ん、ありがとうソル」




少し驚いたような君と目が合って、少しだけ怯えたような君が愛おしくて思わず安心させるように頭を撫でて微笑む。


「俺は君が大事だよ」



そう伝えながら頭を撫でると、君が一度泣きそうな表情で跳ねた事は気付かないふりをするよ。




(俺だって、君の兄達に負けないほど重いのを持ってる)




「殿下、申し訳ないね」

「は、楽しんだかぁ?」


「……まさか、邪魔したな」


勝てやしないかもしれなくても、側にいたいから。

まだ、この気持ちは隠しておくよ。


無害な虫除け、今はそれでいい。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)

夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。 ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。  って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!  せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。  新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。  なんだかお兄様の様子がおかしい……? ※小説になろうさまでも掲載しています ※以前連載していたやつの長編版です

盲目のラスボス令嬢に転生しましたが幼馴染のヤンデレに溺愛されてるので幸せです

斎藤樹
恋愛
事故で盲目となってしまったローナだったが、その時の衝撃によって自分の前世を思い出した。 思い出してみてわかったのは、自分が転生してしまったここが乙女ゲームの世界だということ。 さらに転生した人物は、"ラスボス令嬢"と呼ばれた性悪な登場人物、ローナ・リーヴェ。 彼女に待ち受けるのは、嫉妬に狂った末に起こる"断罪劇"。 そんなの絶対に嫌! というかそもそも私は、ローナが性悪になる原因の王太子との婚約破棄なんかどうだっていい! 私が好きなのは、幼馴染の彼なのだから。 ということで、どうやら既にローナの事を悪く思ってない幼馴染と甘酸っぱい青春を始めようと思ったのだけどーー あ、あれ?なんでまだ王子様との婚約が破棄されてないの? ゲームじゃ兄との関係って最悪じゃなかったっけ? この年下男子が出てくるのだいぶ先じゃなかった? なんかやけにこの人、私に構ってくるような……というか。 なんか……幼馴染、ヤンデる…………? 「カクヨム」様にて同名義で投稿しております。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら

夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。  それは極度の面食いということ。  そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。 「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ! だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」  朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい? 「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」  あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?  それをわたしにつける??  じょ、冗談ですよね──!?!?

じゃない方の私が何故かヤンデレ騎士団長に囚われたのですが

カレイ
恋愛
 天使な妹。それに纏わりつく金魚のフンがこの私。  両親も妹にしか関心がなく兄からも無視される毎日だけれど、私は別に自分を慕ってくれる妹がいればそれで良かった。  でもある時、私に嫉妬する兄や婚約者に嵌められて、婚約破棄された上、実家を追い出されてしまう。しかしそのことを聞きつけた騎士団長が何故か私の前に現れた。 「ずっと好きでした、もう我慢しません!あぁ、貴方の匂いだけで私は……」  そうして、何故か最強騎士団長に囚われました。

義弟の為に悪役令嬢になったけど何故か義弟がヒロインに会う前にヤンデレ化している件。

あの
恋愛
交通事故で死んだら、大好きな乙女ゲームの世界に転生してしまった。けど、、ヒロインじゃなくて攻略対象の義姉の悪役令嬢!? ゲームで推しキャラだったヤンデレ義弟に嫌われるのは胸が痛いけど幸せになってもらうために悪役になろう!と思ったのだけれど ヒロインに会う前にヤンデレ化してしまったのです。 ※初めて書くので設定などごちゃごちゃかもしれませんが暖かく見守ってください。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。 そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。 相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。 トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。 あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。 ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。 そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが… 追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。 今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

処理中です...