悪役皇女は二度目の人生死にたくない〜義弟と婚約者にはもう放っておいて欲しい〜

abang

文字の大きさ
上 下
1 / 69

悪女・シエラ皇女は黒幕

しおりを挟む








「シエラ皇女、貴女を以上の罪状で死刑にする。」








まるで、オペラ劇場のような三階まである裁判場の回覧席。



360度を人に囲まれ恨み、憐れみ、殺気、様々な負の感情と、視線を浴びながら小刻みに震える脚にグッと力を入れた。



「ジェレミー!!私じゃないわ……。」




「お姉様…僕もこんな事信じたく無かったが…どうしてだ?!」



「違っ……」




身に覚えの無い数えきれない程の罪、中には殺人罪までもか含まれていた。



"容姿しか取り柄のない馬鹿な皇女"らしくジェレミアを皇帝にする為になんだって出来る事は協力したが、それらの罪は全く身に覚えの無いものであった。




ジェレミアがシエラの元に歩み寄って悲しそうに強く抱きしめる。


「ジェレ……



「姉様、。皇帝になる為には必要だったんだ、だから…僕の為に死んで?」




「!!!!」



「大変残念だが…皇女は容姿を使って言葉巧みに罪を逃れようとするだろう。喉を潰して牢にいれておけ…。」



涙を流しながらそう言ったジェレミアに貴族や国民達は同情した。



前皇帝亡き後、実母である皇太后を亡くし血の繋がりが半分とはいえ、仲睦まじかった唯一の家族である姉は罪人として死刑になるのだ…。


それでなくてもジェレミアはその金髪碧眼、その美しくも甘い容姿に加えて表の顔は好青年で国民や多くの貴族からも支持を得ていた。



同じく偶然、金髪碧眼の本当に生きているのかと人形と見紛う程に整った顔に、真っ白な肌と絶妙なバランスの肢体。



だがシエラの実母はジェレミアの実母とは違う。


前皇帝の前妻である。その上、不貞によって出来た子であり金髪碧眼であった為に皇族の醜聞となるその事実を伏せ、



子に罪は無いと今まで皇女として生かされてきた。




あからさまに毛嫌いする皇后と違って国王は優しかったが、あくまでそれはであった。





だがそれは実子であるジェレミア自体も同じで可愛がられていた訳ではなく、あくまで王太子に接する国王であった。




孤独という意味ではシエラとジェレミアは一番似た立ち位置に居たのではないかと思っていたし、シエラは何と言われようとジェレミアを弟として愛していたから、辛いことも引き受けて来た。



ジェレミアののおかげで初恋であり婚約者のリヒト・マッケンゼンとも良い関係とは言えなかったがこの春には婚姻を結ぶ予定であった。


ジェレミアはあまりいい顔をしなかったが、嫌われてるいようと初恋の人。この婚姻だけは是が非でも通すつもりだった。


(人生で唯一、自分で望んだ事だったのに…)



冷たい地下の最下層、厳重な牢で喉を潰され視界を奪われたままに囚われるシエラを尋ねたのはその後、たった二人であった。



どちらも見知った匂いに感じたが、シエラはもう意識も薄くはっきりと認識出来なかった。


一人は優しく頬を撫で、何か言った気がしたが

一人はそっと目の前に膝をついて泣いているような声だけが聞こえた気がするだけであった。



(思い出せない…だれ?…)










「皇女殿下….、皇女殿下っ!!??」




「ーーッ!!!!!!」




「よかった!お目覚めになられて…階段で脚を滑らせてからもう2日も寝ていらしたのですよ…!」



「へ…っ?今は…何年かしら。」




「438年でございます、」



「季節は…」




「春でございます。本日は4月の13日です。」



「夢…」



「??」

(まだ、意識が定まっておられないのかしら?)





「いえ、何でもないわ。」

(妙にリアルだった。あれは夢ではなくに体験した事よ。何故だか分からないけれど、私は戻って来た。幸いまだかなり時間はある…。)




「ジェレミア殿下が目覚めたらお呼びするようにと…、」



「…っ!ええ、…準備をお願い。」




「ですがまだ目覚められたばかりです!まず医者に…!」




「大丈夫よ。すぐに準備して頂戴…。」




「…かしこまりました。」




ー絶対に同じ結末だけは避けなきゃ。
しおりを挟む
感想 46

あなたにおすすめの小説

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

婚約破棄してくださって結構です

二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。 ※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています

実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います

榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。 なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね? 【ご報告】 書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m 発売日等は現在調整中です。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。

克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした

アルト
ファンタジー
今から七年前。 婚約者である王太子の都合により、ありもしない罪を着せられ、国外追放に処された一人の令嬢がいた。偽りの悪業の経歴を押し付けられ、人里に彼女の居場所はどこにもなかった。 そして彼女は、『魔の森』と呼ばれる魔窟へと足を踏み入れる。 そして現在。 『魔の森』に住まうとある女性を訪ねてとある集団が彼女の勧誘にと向かっていた。 彼らの正体は女神からの神託を受け、結成された魔王討伐パーティー。神託により指名された最後の一人の勧誘にと足を運んでいたのだが——。

乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。 ……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

愛されない王妃は、お飾りでいたい

夕立悠理
恋愛
──私が君を愛することは、ない。  クロアには前世の記憶がある。前世の記憶によると、ここはロマンス小説の世界でクロアは悪役令嬢だった。けれど、クロアが敗戦国の王に嫁がされたことにより、物語は終わった。  そして迎えた初夜。夫はクロアを愛せず、抱くつもりもないといった。 「イエーイ、これで自由の身だわ!!!」  クロアが喜びながらスローライフを送っていると、なんだか、夫の態度が急変し──!? 「初夜にいった言葉を忘れたんですか!?」

処理中です...