此れ以上、甘やかさないで!

abang

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結局不安なんですけど、

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結局、ある意味冷静になれた二人はきちんと家に帰ったものの、

まさか天音がつけたとは思わないキスマークを堂々と晒したまま、天音を連れて帰ってきた愛慈は皆から非難の視線を浴びる事となった。



「愛慈…お前。」
(中途半端すんなよ、言うたシリから…)


そんな愛慈の様子を聞きつけ奥から出てきた仁之助の瞳は怒りに燃えていたが、振り返った愛慈の表情かおを見てそれは違う怒りへと変わる事となる。




「はい、親父!なんかありました?」ニコニコ




まるでハートでも周りに見えそうなほど、にこやかないつもと明らかに違う様子に仁之助はフリーズした。



(こいつ堂々と遊んできたか思たらまさか……)



二人のやりとりを、みんな聞いていないフリをしながら絶妙な距離感で聞き耳を立てていた。




「…天音、ちゃうやろな。」

((((((親父、聞いたー!!!!))))))




「……まっさかー♡♡」ニコニコ


((((((絶対そうーーー!!))))))



「(驚愕)………もうええ。」フラリ





あからさまに天音と進展があった雰囲気の愛慈の花でも飛んでいそうな笑顔に何かを察した仁之助は(全員だが)ふらりと部屋に帰って行ってしまった。



「お、お嬢…愛慈となんかあったんですか?」


恐る恐る、笑顔で聞いた松岡に天音はカァっと顔を赤くして、返事をした。


「何もないよっ、なんで!?」


(何でって男もんの部屋着来て帰ってきて、行きはしていた化粧をしていない…でも言えねぇ…)


「いや…愛慈があんな顔すんのお嬢が関係してるときだけなんで、なんかあったんかと思ったんすよ。」


するとお嬢は、照れながらも目を細めて愛慈を見て微笑んだ。



(絶対何かあったぞ)

(愛慈、アイツ等々やりよったか!)

(ちょっと、連行してこい!)


家中が騒ぎ立ててることなど知る余地もない天音は、部屋で今日の愛慈を思い返してドキドキしていた。


「なんか、可愛い所もあるのよね…」キュン




翌日、天音は相変わらず起きない。

「お嬢、」

「んーー」

「お嬢いいんですか?起きなくて、」

(俺の服着て、可愛い!写メ撮っとこ)カシャ


-ギシ

愛慈は天音のベッドに腰掛けると、天音にキスをして天音のTシャツに手を滑り込ませる。


「お嬢起きないと、このまま…!」ギュ


「愛慈…ん…。一緒に寝よ…」


(やばい。誘ってんの?あーもう今すぐ喰いてえ) 

愛慈は理性で抑え、天音の横にうずくまって頭を抱えた後、そのままくるりと向き直って、耳元で囁く。
 


「…だめです。デートしないんですか?」



天音はバサッと寝ぼけたまま布団をめくって起き上がり、


「え?デート、、もう朝?!」




焦点のあっていない目で言った。





「くっ…くく。お嬢っ、おはようございます。」


「愛慈、おはよう…そうよ、デートよね、」




恥ずかしそうに布団を抱きしめて言う天音の頭をポンポンと撫でて、テキパキと身支度を置いた愛慈に天音はなんの疑問もなく受け取って、シャワーを浴びに行った。

(なんか、いつも通りだなぁ…こんなもの?)


少し寂しく感じながらもシャワーを浴びて、出るとスマホが鳴った。


「あ、咲…!」


恋愛など初めて、しかもそれが愛慈だなんてと、相談したくて、少しやりとりをしながら用意していると…

ーーピロン



(じゃあ、愛慈さんと付き合ったの??)




「え…?」

そういえば、愛慈に付き合って欲しいと言われた訳ではなく今朝も何事もなかったような態度であった愛慈を思い出した。


まだ、星華の事も終わったわけでは無いだろう。

信じて待つと決めた天音だったが、内心得体の知れない不安で埋め尽くされた。



(あとで、愛慈に聞いてみよう。ちゃんと。)




ーー

いつもより気合いを入れて準備をした天音に、卒倒する愛慈。

(俺の為のメイク!髪は俺がしたんだけど…でもイイ!)



「あの、愛慈…。私は愛慈の彼女なの?」


「…!」ピシーン


固まってしまった愛慈を不安げに見る天音。

一方愛慈の頭の中では絶賛会議中であった。



(親父にもまだなんも言ってねぇけど…いいのか?星華の事もケジメつけねぇと…利仁さんにはなんて言う?…でもここで返事しないとぜってーお嬢に不信感もたれる、、。)


「愛慈…?」

「や…、そうなんだけど、違う。違うくないけど、まだダメなんです、」



「…そうだよね!…デート楽しもっか!」


天音は少し寂しそうに笑ったが、すぐに愛慈の袖をちょんと摘んで、「まずは、仕事しないとね」と笑った。


「…お嬢。」


玄関を出る天音の後ろ姿に小さな声で「待ってて」と言ってすぐに追いかけた愛慈だが、天音は内心不安を消化しきれていなかった。





(余計に不安になっちゃった、大丈夫…よね?)



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