此れ以上、甘やかさないで!

abang

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お嬢に男が出来た?

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結局一滴も口をつけずに出てきたので自販機で炭酸飲料を買って飲みながら、店の方に目をやる


窓際で楽しげに話すお嬢は、恋をしていると言う感じでは無かったが年相応に笑っていて声をかけるのも気が引けた。

大人の男達(しかも任侠もんばっか)に囲まれてて妙に大人びてるから、あんな顔してるとこは滅多に見ない。


(んだよ…あんなに楽しそうにされたら邪魔できないじゃん)


店を出るまで待ってやろうと、暫く待っていると暗くて俺に気付く様子もなく、車に乗ろうとしていた。


お嬢は助手席の前で一度立ち止まって、先に乗ってしまった高梨を見て、慌てる様に車に乗った。

(ドアも開けてやんねーのかよ。気が効かない奴。)


ーーー


律先輩に、ドライブに誘われたので愛慈に言ってから出ようとしたらまだ仕事から帰って無かったからお祖父ちゃんに言ってからドキドキしながら出てきた。


(これってデートだよね?初めてだから緊張する…)


男性に誘われる事なんて今まで無かったのでドキドキしながら、準備して律先輩を待った。


それなのに…なぜかおかしい。

あんなにドキドキしていたはずなのに、心はまるで期待を外したかのように感じてしまっていた。



車に乗る時も、先に乗ってしまった律先輩の車に勝手に開けて乗ってしまって良いのか悩んだ末に、自分で開けて乗った。



(愛慈はいつも開けてくれるから待っちゃった…。)



愛慈ならシートベルトを着けてくれるのに、愛慈なら椅子を引いてくれるのに、愛慈はいつもブランケットをかけてくれる……



お会計をしてる所を初めて見て、焦って自分も出すと食い下がった天音に、笑顔でご馳走してくれた律先輩は優しいはずなのに、



(愛慈はいつもお会計いつしてたんだろう?)




買い物の時も、ご飯の時も、私に気を使わせないようにお会計するところを見せて無かったんだって初めて気付く。


律先輩はとても良い人だし、優しいし、真っ直ぐ好意を伝えてくれる。


なのに、律先輩と居るほど、愛慈の優しさに気づいてしまって、無意識に比べてしまう。


(愛慈はただお祖父ちゃんの孫として大切にしてくれているだけ。)



そう言い聞かせて、律先輩の笑顔に微笑み返した。



「あの…天音ちゃん、俺と…」


ーーーコンコンッ



「きゃぁああ!」


「うわぁ!」



「お二人さーん。子供は帰って寝る時間ですよー。」


「愛慈っ!」


「びっくりした…迎えが来たみたいだね、」


困ったように笑った律先輩が、車の鍵を開けると、すかさず助手席側の扉を開けて、シートベルトを外してやり、天音の手を取って車から降ろした愛慈をみて、ぐっと何か感じたように顔をした律先輩に、愛慈はハッとした。




(何か手応えのない様なスカしたような感じがしてたけど…なんとなく理由がわかったかもしれない。)

一方律は天音に対して感じない手応えの理由が愛慈だと感じでいた。



「あ、人様の車なのに行儀悪くて申し訳ねぇ…つい癖で。」



(見ればわかる、天音ちゃんすごく自然だった。)



「大丈夫です。逆に勉強になりました。」



「…どういたしまして、」


律は正直、嫉妬していた。

愛慈の細かい仕草には全部、天音への思いやりがあり、その瞳は愛してると全力で訴えかけていた。


(天音ちゃんは全く気づいてないのか…)


今も、上着を脱いで天音の肩に掛けた愛慈が、彼女の風で乱れた横髪を分けてやる仕草を、ごく当たり前かののように受け入れている天音はすごく安心しているようにも見えた。


(まだまだ、俺じゃ敵わないってことかな。)


「愛慈さん。俺、諦めてませんから!」

「何のことだ、勝手にしろ。」

(お嬢のこの表情かお見てよくまだ頑張れんな)



「??」


律の言葉の意味を汲み取れなかった天音が首を傾げてから、


「律先輩、ありがとうございました!楽しかったです!」



と笑った天音をエスコートするように車に乗せて、


「また!連絡するっ!!」



と言った律を軽く睨んで車を出した。

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