此れ以上、甘やかさないで!

abang

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愛慈の憂鬱

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最近のお嬢は俺から自立するんだと、必死で何やらやっているようだ。

やってみれば出来ないなりに出来ていたりして、今のところはまだ音をあげていない。


(お嬢居ねーと寂しいな…。)


もう取ってる授業は終わっている時間からかなり経つのに…
お嬢はまだ帰ってこない。

(GPS、GPSっと…お、もう近くに居るな。)


お嬢は俺からのピンキーリングを大切にしているようで、肌身離さず付けている。

それに仕込んだGPSは俺の携帯から見れるようになっていて、まさに今お嬢が家のすぐそこまで帰って来ていることを示している。



急いで玄関を出て待っていると、門の向こうから二人分の声が聞こえてくる。


「あの…先輩、今日はありがとうございました。」


「こちらこそ、付き合ってくれてありがとう。」


「いえ、とても楽しかったです!」


「…今度はもっとゆっくり居たい、です。」


「あれ、高梨先輩がなんで敬語なんですか!あはは、また今度ゆっくりご飯しましょうね。」


全く意識していないのだろうと安心半分、男と飯などとんでもない。本当に彼氏ができるのではと不安半分。

なにより嫉妬と怒りが込み上げてくる……。


門を開けて入って来たお嬢をそのまま引っ張って、半分離れのようになっている、お嬢の部屋の隣の空き部屋のその横にある自分の部屋のベッドに優しく投げすてた。



「ちょっ、あいじ!ねぇなに?いたっ……きゃっ!」


そのまま覆い被さってお嬢の首元に顔を埋めて、鎖骨、胸元、脇腹、お腹……と順番にお嬢の匂いを確認していく。


「どうやら、至近距離では居なかったようですね。」


「何してんの、愛慈。匂いを嗅ぐなんて変よ、」


「お嬢に悪い虫が付いたんじゃないかなと…」



「なっ!馬鹿!そんなんじゃないもん!」



真っ赤になって、愛慈の胸を押す天音をじっと見て少し考えてからひょいっと持ち上げて向かい合わせに、自分の膝に乗せた。


「お嬢…俺さみしいです。」


「愛慈?」


「それに、心配なんです…。」


愛慈はわざとらしく寂しそうな顔をしたが、天音はその魂胆に気づく事なく申し訳なさそうに愛慈にぎゅっとハグした。


「あのね…私いつも私だけの愛慈みたいな気持ちだったから、嫉妬したのも正直ある。でも、愛慈は大切な人だから、自分の時間も大切にして欲しいの。」


でも愛慈はそれどころではなかった。

愛慈を跨いだせいでギリギリまで上がったミニスカートから白い生脚が露わになり、抱きしめられた頭は彼女の胸元へギュッと押し付けられている。


自身がむくりと起き上がる感覚がして、焦っていた。



(これはヤバい…バレるなよ…くそ、鎮まれ、俺)



ゴリッー


「…….?!愛慈…あ、の…」



天音が全身を硬直させたのが分かった途端、

愛慈はサアァァと血の気が引くのを感じた。



が、顔には出さずにすぐに持ち直し、急いで離れようとする天音のくびれた腰に腕を回した。




(いっその事、強制的に意識させてみる…か?)

-ギュッ



「何ですか?」


「あ…の、何でもない….」

(気付いていないのかな?言わない方がいいよね…)


悲しげな顔のまま、何も知りませんという顔で首を傾げた愛慈に天音はあえて指摘するような野暮な事はできなかった。


ただ、祖父と父の手前、多少過保護であるだけで、妹のように思われて居るだけだと思っている天音にとってその主張は彼女をかなり混乱させるものだった。


(女性とのに反応すると聞いたわ…まさか…いえ、でも彼女がいるもの。)



「お嬢?」


天音の大切な部分にちょうど当たったままの愛慈のモノをなんて説明していいか分からず、顔を真っ赤にして目を泳がせた。


「なんでもないの、離れて、愛慈。」


「やだ、俺寂しいんです、急に手を離れたみたいで…ずっと俺のですよね?」ギュ


「あっ…!愛慈だめほんとに!」


あてがわれたソレが抱きしめられると押し付けられて天音を刺激する。初めて男性の熱を感じた天音は瞳を潤ませ、染まった頬でドキドキと高鳴る心臓を両手で抑えて耐えるのような仕草をした。

不思議と嫌悪感や嫌な感じはしなかったが、それがまた天音の得体の知れない背徳心を煽った。



(こんな事だめよ、当たってるってちゃんと言わなきゃ、)

「あの、あ、当たってるの…だからとりあえず離れてっ」



頼りなく小さめの声で言った天音の恥ずかしそうな表情と湿っぽく熱を持っている当たっている部分に愛慈は身震いした。


(俺を意識してる…っ)



「何が?お嬢熱でもあるんですか?顔が赤い、熱い?」



「きゃっ、愛慈…ほんとに離れて!」



彼女の面積の少ない下着はもう殆ど意味を成さない程に濡れて、動くたびに音を立てており、愛慈のズボンにまでそれは伝わってきていて、天音が愛慈を男性として意識して居ると確信させた。

(しかも、嫌そうでもない…?)




「…分かりましたよ。本当に大丈夫ですか?」

内心天音のその可愛さに悶えながらも何事もないように振る舞い、天音を膝からおろしてやると、


「あ、おお風呂入ってくる!」


と身ひとつで風呂場へパタパタと走って行った天音を見て嬉しそうに笑った。


「お嬢、自立忘れてるし….」




決して着ている姿を見た事は無いのだが、愛慈は今日も好みのものを選んで脱衣所に用意しておくのだった。


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