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1.プロローグ
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『おめでとうございます! あなたは異世界スマートガチャに当選致しました!』
ある日の夜、胡散臭い封筒が玄関の郵便受けに入っていた。普段見ないけど、あれだけ大きな音が鳴れば気づくというもの。
中身はメッセージの書かれた紙と、スマートフォンらしきもの。
「これはどういう……」
新手の詐欺でも始まったのか?
そう思うのも仕方ないだろう。
異世界や当選したという単語が悪い。
とはいえ、このスマホが普通に使えるものなら貰っておきたい。そろそろ、買い替えの時期かなと思っていたから。
詐欺だったのなら、全部無視すればいいだけ。
そういうのには割と慣れているし。
「んん?」
起動すると、画面に『ガチャ』『アバター管理』『ステータス確認』『課金』の項目が現れる。……ただ、ガチャ以外は選択不可になっているらしい。
ソシャゲのようにしか見えないけど、とりあえず引いてみようか。
『・美少女ガチャ····月に1度、少女を手に入れることが出来る。引いた結果を消す場合は、アイテムガチャの10回無料券を獲得』
なんというか、『引いた結果を消す』とか地味に生々しいからやめて欲しい。
『・アイテムガチャ····日に1度、異世界産の道具や武具を手に入れることが出来る。1万円課金で1日10回まで引くことが可能』
課金で1万……ぼったくりにも程がある。
本当だったらいくらでも課金しそうだけど……。
『・アビリティガチャ····週に1度、特殊な能力を得ることが出来る。10万円課金で1週間に2回まで引くことが可能』
特殊な能力って……しかも10万は高すぎ。
ちなみに、初回は無料で10連が引ける。アイテムかアビリティで選べるようだけど、アビリティガチャしか選択肢が無い。
何故なら、アイテムを引いて『住所を登録してゲットしよう!』みたいなことになったら嫌だからである。
そんな訳で、アビリティガチャを選択。
『注意:肉体と精神が変質するため、1時間程の間は意識が途絶えます。YESを選択する前に安全な場所へ移動して下さい。 YES/NO』
「はい?」
そんなことがあるはずもないのだが、それならどうしてこんな注意を……? 少し気になるし、大した手間でもないからベッドに向かう。
さて……
『本当によろしいですか?』
YESを選択。
「…………………なんだ、何も起こらな――」
そこで、僕は意識を失った。
◇◇◇
「……寝てたのかな」
寝る前のことはしっかり覚えている。
ガチャを引いて、何も起きないと思ったら本当に意識が途絶えた。
時間も大体1時間ちょっと過ぎている。
これは、もしかしたらもしかするのかもしれない。
「えーと、ガチャの方は……」
──────────────────
『獲得アビリティ一覧』
・透視〈HN〉
・魔力操作rank7〈SSR〉
・剣術rank2〈HN〉
・アイテムボックス〈HR〉
・魔力拡張rank3〈R〉
・料理rank4〈R〉
・鍛治rank1〈N〉
・鑑定〈R〉
・回復魔法rank3〈HR〉
・身体強化・改〈LR〉
──────────────────
明らかに要らねってなるのがある。
まぁ、【鑑定】は重宝しそうだけど。
問題は、これが本物なのか偽物なのか。普通に考えれば嘘間違いなしでも、状況を考えると完全に否定は出来ない。
したくない、というのもある。
検証は簡単。僕が好きな微糖のコーヒー缶……それもスチール製のやつを握ってみればいい。【身体強化・改】があるならそれくらい握り潰せないと話にならないから。
でも、筋肉あんまり無いし、
――グシャッ!
「what?」
思わず英語が出てしまうくらいびっくりした。
だって、筋肉無いよなーって確認しようとしただけでスチール缶が潰れるなんて……幸いなのは、力を込めようとしなければ普段通りなこと。
それはいいとして、
「本当なのが証明出来ちゃったなぁ……」
どうして僕に、どうやって、とか疑問はいくつかあるけど、これはドキドキせざるを得ない。いや、こう見えても健全な男子高校生ですから。
残るはアイテムガチャ1回と美少女ガチャ。
せっかくなので、美少女ガチャを引いてみる。
……いや待て、人間が出てくるとしたら、戸籍とか食費とか色々と問題があるのでは……?
「よしっ、細かいことは後で考えよう!」
鑑定で宝くじの当たりとか分かるかもしれないし。
演出は鎖に繋がれた顔の見えない誰かが歩いてくる姿。まるで奴隷のようだ……と考えてから本当にそうなのかもしれないと思い直す。
酷い扱いをするつもりはないけれど。
『C』
まさかのそんな低いやつ?
『N』
と思ったら、レア度表示は変化するらしい。
『HN』
もうちょい……
『R』
今さらだけど、
『HR』
これってどういうレア度なんだろう?
『SR』
可愛さとか強さとか?
『SSR』
それなら、SSRって相当……あ、終わったかと思ったら更に上がった。
『UR』
ま、まだ終わらない……だと?
『LR』
ここで本当に終了……かと思いきや、
『わたしは、あなただけをずっと見ています』
ピシリと画面に罅が入り(演出として)、セリフが聞こえてくる。そして、完全に割れたところで見えたのは……金髪の獣耳っ娘とXRの文字。
耳が頭に生えており、尻尾のもふもふ感からすると狐だと思われる。
顔は滅茶苦茶可愛い。2次元な可愛さじゃなくて、リアルな可愛い女の子。胸も大きいし、声もいいし、性格さえよければパーフェクト。
『結果を確定しますか? 手に入れた少女は、貴方を想い行動します。ただし、貴方の言動次第で嫌われることもあるので気をつけましょう。少女が顔で判断することはありません』
勿論YES。色んな問題とか、美少女が貰えるならどうにでもする。可愛すぎてもうヤバい。
「って眩しっ!?」
目を瞑っていても明るいくらい光を放ち――
「お兄様ぁ~っ!」
狐っ娘――ティアは、僕の胸に飛び込んできた。
ある日の夜、胡散臭い封筒が玄関の郵便受けに入っていた。普段見ないけど、あれだけ大きな音が鳴れば気づくというもの。
中身はメッセージの書かれた紙と、スマートフォンらしきもの。
「これはどういう……」
新手の詐欺でも始まったのか?
そう思うのも仕方ないだろう。
異世界や当選したという単語が悪い。
とはいえ、このスマホが普通に使えるものなら貰っておきたい。そろそろ、買い替えの時期かなと思っていたから。
詐欺だったのなら、全部無視すればいいだけ。
そういうのには割と慣れているし。
「んん?」
起動すると、画面に『ガチャ』『アバター管理』『ステータス確認』『課金』の項目が現れる。……ただ、ガチャ以外は選択不可になっているらしい。
ソシャゲのようにしか見えないけど、とりあえず引いてみようか。
『・美少女ガチャ····月に1度、少女を手に入れることが出来る。引いた結果を消す場合は、アイテムガチャの10回無料券を獲得』
なんというか、『引いた結果を消す』とか地味に生々しいからやめて欲しい。
『・アイテムガチャ····日に1度、異世界産の道具や武具を手に入れることが出来る。1万円課金で1日10回まで引くことが可能』
課金で1万……ぼったくりにも程がある。
本当だったらいくらでも課金しそうだけど……。
『・アビリティガチャ····週に1度、特殊な能力を得ることが出来る。10万円課金で1週間に2回まで引くことが可能』
特殊な能力って……しかも10万は高すぎ。
ちなみに、初回は無料で10連が引ける。アイテムかアビリティで選べるようだけど、アビリティガチャしか選択肢が無い。
何故なら、アイテムを引いて『住所を登録してゲットしよう!』みたいなことになったら嫌だからである。
そんな訳で、アビリティガチャを選択。
『注意:肉体と精神が変質するため、1時間程の間は意識が途絶えます。YESを選択する前に安全な場所へ移動して下さい。 YES/NO』
「はい?」
そんなことがあるはずもないのだが、それならどうしてこんな注意を……? 少し気になるし、大した手間でもないからベッドに向かう。
さて……
『本当によろしいですか?』
YESを選択。
「…………………なんだ、何も起こらな――」
そこで、僕は意識を失った。
◇◇◇
「……寝てたのかな」
寝る前のことはしっかり覚えている。
ガチャを引いて、何も起きないと思ったら本当に意識が途絶えた。
時間も大体1時間ちょっと過ぎている。
これは、もしかしたらもしかするのかもしれない。
「えーと、ガチャの方は……」
──────────────────
『獲得アビリティ一覧』
・透視〈HN〉
・魔力操作rank7〈SSR〉
・剣術rank2〈HN〉
・アイテムボックス〈HR〉
・魔力拡張rank3〈R〉
・料理rank4〈R〉
・鍛治rank1〈N〉
・鑑定〈R〉
・回復魔法rank3〈HR〉
・身体強化・改〈LR〉
──────────────────
明らかに要らねってなるのがある。
まぁ、【鑑定】は重宝しそうだけど。
問題は、これが本物なのか偽物なのか。普通に考えれば嘘間違いなしでも、状況を考えると完全に否定は出来ない。
したくない、というのもある。
検証は簡単。僕が好きな微糖のコーヒー缶……それもスチール製のやつを握ってみればいい。【身体強化・改】があるならそれくらい握り潰せないと話にならないから。
でも、筋肉あんまり無いし、
――グシャッ!
「what?」
思わず英語が出てしまうくらいびっくりした。
だって、筋肉無いよなーって確認しようとしただけでスチール缶が潰れるなんて……幸いなのは、力を込めようとしなければ普段通りなこと。
それはいいとして、
「本当なのが証明出来ちゃったなぁ……」
どうして僕に、どうやって、とか疑問はいくつかあるけど、これはドキドキせざるを得ない。いや、こう見えても健全な男子高校生ですから。
残るはアイテムガチャ1回と美少女ガチャ。
せっかくなので、美少女ガチャを引いてみる。
……いや待て、人間が出てくるとしたら、戸籍とか食費とか色々と問題があるのでは……?
「よしっ、細かいことは後で考えよう!」
鑑定で宝くじの当たりとか分かるかもしれないし。
演出は鎖に繋がれた顔の見えない誰かが歩いてくる姿。まるで奴隷のようだ……と考えてから本当にそうなのかもしれないと思い直す。
酷い扱いをするつもりはないけれど。
『C』
まさかのそんな低いやつ?
『N』
と思ったら、レア度表示は変化するらしい。
『HN』
もうちょい……
『R』
今さらだけど、
『HR』
これってどういうレア度なんだろう?
『SR』
可愛さとか強さとか?
『SSR』
それなら、SSRって相当……あ、終わったかと思ったら更に上がった。
『UR』
ま、まだ終わらない……だと?
『LR』
ここで本当に終了……かと思いきや、
『わたしは、あなただけをずっと見ています』
ピシリと画面に罅が入り(演出として)、セリフが聞こえてくる。そして、完全に割れたところで見えたのは……金髪の獣耳っ娘とXRの文字。
耳が頭に生えており、尻尾のもふもふ感からすると狐だと思われる。
顔は滅茶苦茶可愛い。2次元な可愛さじゃなくて、リアルな可愛い女の子。胸も大きいし、声もいいし、性格さえよければパーフェクト。
『結果を確定しますか? 手に入れた少女は、貴方を想い行動します。ただし、貴方の言動次第で嫌われることもあるので気をつけましょう。少女が顔で判断することはありません』
勿論YES。色んな問題とか、美少女が貰えるならどうにでもする。可愛すぎてもうヤバい。
「って眩しっ!?」
目を瞑っていても明るいくらい光を放ち――
「お兄様ぁ~っ!」
狐っ娘――ティアは、僕の胸に飛び込んできた。
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