おおかみ宿舎の食堂でいただきます

ろいず

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プロローグ

桜舞う炎

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 桜が舞う中を、チャリチャリと小さな爪が掻く様な音がする。

 白磁の石畳の上を、銀色の狼の背に横乗りに座っている少女。

 少女が笑う。

「 ー……! さくら、きれいね!」

 鈴を転がすような、可愛らしい声で少女は目を伏せる。

「ああ、今日は良い日になりそうだ。―……、桜日和だな」

 ザァ……と、風が吹き、言葉は上手く聞き取れない。
それでも、嬉しくて、自然と口元は笑っていた。

 気付けば、一人。
暗闇の中にポツンと立っていた。

 あの狼は、どこだろう?
あの人は……誰だっただろう? 思い出せない。

 あの桜は、あの白磁の石畳は何処へ行ってしまったのだろう?

 あの銀色の狼は、何処へ行ってしまったのだろう___

 画面が切り替わる様に、別の場所へ画面が変わる。

 炎が舞う。
熱い、熱い、熱い___誰か、助けて!!
悲鳴が辺り一面でしていた。

 燃える、遊園地。

 助けて、死にたくない! 熱いよ!

 手を伸ばした先に、黒いすすの木炭の様な人形があった。
見たくない。怖い。アレは何? 怖い。怖い。

 炎が揺れる。
白い、虎が、炎の中で、こちらを見ていた。
全身が炎で包まれた。
息を吸うと、喉がまるで一瞬で紙くずを丸める様にクシャッと鳴った。

「___っ!!!!」

 悲鳴を上げて、飛び起きる。
心臓がバクバクと音を立て、全身から嫌な汗が噴き出していた。

「__っ、はぁ、はぁ……夢、あれは夢。だって、私は燃えてない」

 それだけ呟くと、私は布団の上に倒れ込む。
いつもの夢だ。そう、子供の頃から見る、嫌な悪夢だ……
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