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27章
ドラゴンハーレム20
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甘味の満漢全席を前に、お互いの子供達を見ながら話を交えていく。
日南子さんとしては、黒髪黒目の私を見て日本人だと思って、『何か困っている事があれば、自分に出来る事をしますよ』という親切心からだったようだ。
「わたしに出来ることは、日本食を作ったり……ぐらいなんですけど。あっ、わたし、セスタ国の警備塔で厨房の料理人をしています。日本でもキッチンカーで働いていました」
「そうなの。私はそういう立派なお仕事はしていないけれど、この世界に来て長いから、わりとなんでも大丈夫なのよ。夫も居るし、子供達もいるからね」
「可愛いですよね。三人もいるなんて」
「ふふっ。この子、シャルちゃんは長男の娘で、私の孫よ。この間、5人目の孫も生まれたの。ちなみに、スーは八番目の子供でコハルは九番目なの」
「ふえっ!? 朱里さん……失礼ですが、ご年齢は……??」
「うふふふ」
私が笑うと日南子さんは聞いてはいけないのだと思ったのか、目をクルクル動かしていた。
日南子さんは私を一人の日本人として気遣ってくれて、どうやら私も同じ年代の子だと思われていたみたいね。
日南子さんが生まれた時、私は二人のお母さんになっていたぐらいの歳の差がある。
そして、ふっと気になった。
「日南子さんの『特殊能力』は? あ、言えない場合はいいのだけど」
「特殊能力? えーと、唐揚げの揚げ時間が体感で分かる……くらいですかね?」
首を傾げてしまう日南子さんに、私も同じように首を傾げる。
この世界へ来る時に『特殊能力』が備わるはずだ。
私には【聖域】があるように、ありすさんに【聖女】の能力があるように、何かしらあるはず。
しかし、彼女は首を傾げるばかりで理解できていないようだ。
「もしかして、『特殊能力』の話は聞いていないの?」
私はグーエンさんを見上げる。
日南子さんから目線を外して、途端に少しだけ冷たい表情のグーエンさんは小さく目を伏せる。
「ヒナに特殊能力はありません。彼女は、勇者召喚に巻き込まれただけですから、一人通過する際に先程のアカツキという男にのみ特殊能力が付き、ヒナは……持ち前の料理の腕前だけですね」
「グーエン? その話、わたしは一度も聞いていないのだけど?」
「それは、ただでさえアカツキのせいでこの世界へ来てしまったのに、能力すら与えられないと知ったらヒナが悲しむかと思いまして……」
「んーっ、わたしは別に特殊能力なんかなくても、お料理に、グーエンに、レンの三つがあればじゅうぶんだからね? すぐに教えてくれて良かったのに」
「ヒナ……」
にこやかに微笑んで二人は自分達の世界という感じだ。
ルーファスが白けた顔をしているけど、若い二人が愛情いっぱいで素敵じゃない。
「母上。あーん」
「はいはい。スーちゃんも甘えん坊ね」
「コハルも! コハルも―!」
ラブラブ夫婦に触発された子供達は、一斉に口を開ける。
小さな雛鳥達にスプーンでホイップクリームを運んでいく。
ルーファスはシャルちゃんにせっせと給仕をしている。
自分の親がラブラブ状態のフリーレン君は自分の手で食べれる物を、黙々と食べているのは、おそらく普段からこのラブラブ状態なのかもしれない。
うちも【刻狼亭】や【女将亭】があったから、子供達は早くに独り立ちさせてしまったようなものだし、目の当たりにしてしまうと色々言いたくはなるけど、お前が言うな状態よねぇ。
「あ、レン。レンも、ギューッよ」
「はう」
「では私も」
日南子さんがガバッとフリーレン君を抱きしめて、グーエンさんが日南子さんごとフリーレン君を抱きしめる。
これなら、心配しなくても大丈夫そう。
「若い人達は良いわよねぇ」
「うん? オレ達もいつもこんなものだろう」
「そうかしら?」
「そうか。オレの愛情不足というところだな。これからはもっと示していかないとな」
「ひゃっ! 今のままで十分です! 大丈夫、分かってるから~」
ルーファスに持ち上げられると膝に乗せられ、スクルード達も一緒に抱きかかえてしまうのは……グーエンさんへの対抗意識かもしれない。
この後は、日南子さん達と情報交換をして、また食事でもしましょうと約束をかわし別れた。
日南子さんとしては、黒髪黒目の私を見て日本人だと思って、『何か困っている事があれば、自分に出来る事をしますよ』という親切心からだったようだ。
「わたしに出来ることは、日本食を作ったり……ぐらいなんですけど。あっ、わたし、セスタ国の警備塔で厨房の料理人をしています。日本でもキッチンカーで働いていました」
「そうなの。私はそういう立派なお仕事はしていないけれど、この世界に来て長いから、わりとなんでも大丈夫なのよ。夫も居るし、子供達もいるからね」
「可愛いですよね。三人もいるなんて」
「ふふっ。この子、シャルちゃんは長男の娘で、私の孫よ。この間、5人目の孫も生まれたの。ちなみに、スーは八番目の子供でコハルは九番目なの」
「ふえっ!? 朱里さん……失礼ですが、ご年齢は……??」
「うふふふ」
私が笑うと日南子さんは聞いてはいけないのだと思ったのか、目をクルクル動かしていた。
日南子さんは私を一人の日本人として気遣ってくれて、どうやら私も同じ年代の子だと思われていたみたいね。
日南子さんが生まれた時、私は二人のお母さんになっていたぐらいの歳の差がある。
そして、ふっと気になった。
「日南子さんの『特殊能力』は? あ、言えない場合はいいのだけど」
「特殊能力? えーと、唐揚げの揚げ時間が体感で分かる……くらいですかね?」
首を傾げてしまう日南子さんに、私も同じように首を傾げる。
この世界へ来る時に『特殊能力』が備わるはずだ。
私には【聖域】があるように、ありすさんに【聖女】の能力があるように、何かしらあるはず。
しかし、彼女は首を傾げるばかりで理解できていないようだ。
「もしかして、『特殊能力』の話は聞いていないの?」
私はグーエンさんを見上げる。
日南子さんから目線を外して、途端に少しだけ冷たい表情のグーエンさんは小さく目を伏せる。
「ヒナに特殊能力はありません。彼女は、勇者召喚に巻き込まれただけですから、一人通過する際に先程のアカツキという男にのみ特殊能力が付き、ヒナは……持ち前の料理の腕前だけですね」
「グーエン? その話、わたしは一度も聞いていないのだけど?」
「それは、ただでさえアカツキのせいでこの世界へ来てしまったのに、能力すら与えられないと知ったらヒナが悲しむかと思いまして……」
「んーっ、わたしは別に特殊能力なんかなくても、お料理に、グーエンに、レンの三つがあればじゅうぶんだからね? すぐに教えてくれて良かったのに」
「ヒナ……」
にこやかに微笑んで二人は自分達の世界という感じだ。
ルーファスが白けた顔をしているけど、若い二人が愛情いっぱいで素敵じゃない。
「母上。あーん」
「はいはい。スーちゃんも甘えん坊ね」
「コハルも! コハルも―!」
ラブラブ夫婦に触発された子供達は、一斉に口を開ける。
小さな雛鳥達にスプーンでホイップクリームを運んでいく。
ルーファスはシャルちゃんにせっせと給仕をしている。
自分の親がラブラブ状態のフリーレン君は自分の手で食べれる物を、黙々と食べているのは、おそらく普段からこのラブラブ状態なのかもしれない。
うちも【刻狼亭】や【女将亭】があったから、子供達は早くに独り立ちさせてしまったようなものだし、目の当たりにしてしまうと色々言いたくはなるけど、お前が言うな状態よねぇ。
「あ、レン。レンも、ギューッよ」
「はう」
「では私も」
日南子さんがガバッとフリーレン君を抱きしめて、グーエンさんが日南子さんごとフリーレン君を抱きしめる。
これなら、心配しなくても大丈夫そう。
「若い人達は良いわよねぇ」
「うん? オレ達もいつもこんなものだろう」
「そうかしら?」
「そうか。オレの愛情不足というところだな。これからはもっと示していかないとな」
「ひゃっ! 今のままで十分です! 大丈夫、分かってるから~」
ルーファスに持ち上げられると膝に乗せられ、スクルード達も一緒に抱きかかえてしまうのは……グーエンさんへの対抗意識かもしれない。
この後は、日南子さん達と情報交換をして、また食事でもしましょうと約束をかわし別れた。
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