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27章
ドラゴンハーレム16
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武闘大会が開始され、四日が経った。
私達ドラゴニア国は順調に勝ち進んでいたし、相手側が棄権することもあり、楽々……と、途中までは思っていたのよ。
「うっそぉー……」
「うわぁー……」
アルビーと私がポカンと口を開けて見上げたのは、巨大な白い狼がグリムレインの氷を相殺してしまった事だ。
私達ドラゴニア対獣人国のセスタの戦い。
しかも、あと三国倒せば私達は、決勝……と、いうところだった。
巨大な白い狼は狼獣人だと思う……思うけど、大きい。
ルーファスの獣化より、相手の獣化の方した姿の方が倍である。
まぁ、ルーファスは狼獣人にしては小柄な方だと前に言っていたし、シュトラールよりも少し小さいけど、リュエールよりは大きいし、他の狼獣人の人を見ても、それ程大差なかった気がするんだけど……
狼獣人カテゴリーというよりは、別の狼に似た何かなのでは?
「なんなのだこやつは! 我の氷と同等のものを出すぞ!」
「グリムレイン! 相手が悪い。一旦交代だ!」
ルーファスが雷の魔法で二人を引き離すが、負けず嫌いのグリムレインは引き下がる事が出来ずにいるようで、相手に吹雪を口で吹きかけている。
「相手は氷属性特化みたいね。グリムレインじゃ相性が悪いわ」
「嫁! 我が負けるわけが無いだろう!? 無理じゃない!」
火に油を注いでしまったのか、グリムレインは余計にムキになって氷を相手に投げつけ、氷の粒は飛んでくるわ、氷の割れる音は凄いわで段々と氷が削れてピシピシと肌に当たってきた。
それが地味に痛かったりする。
「グリムレインはムキにならないの! もう、グリムレインったら! おやつを抜きにしますからね!」
外野から私達、出待ち組は騒ぎ、試合場ではルーファスとニクストローブがグリムレインを止めにかかっている。
なんというカオスな状態なのか!
「選手交代だ! 早くしろ! 下がれ!」
ネルフィームの言葉に「チッ」と舌打ちをしてグリムレインが引き下がる。
私が主君なのに、この扱いの差!? 酷くない?
相手を睨みつけながら戻るグリムレインの代わりにネルフィームが試合会場のリングへと躍り出る。
以前の姿より幼い少女姿の全身真っ黒ゴスロリドレスのネルフィームは、なんというか原宿とかにいそうだなぁなんて、ちょっと昔の記憶で思ってみた。
きっと私の若いころと違って、原宿にはもう新しいファッションが流行っていて、ゴスロリの子なんて居ないかもしれない。
そんなゴスロリ少女のネルフィームが場に出たとたん、応援席からはギルさんが飛び出さん勢いで「ネルフィーム! 可愛いですよー! 貴女が一番素敵ですよー!」と大声で叫ぶ。
「主は……うるさい」
苦虫を噛む様な顔でネルフィームがうんざりした声を出している。
代わりに戻ってきたグリムレインは戻るなり、私の頭の上に顎を乗せて溜め息のような冷気を吐き出す。
「ひゃあああ! グリムレイン、止めて。寒い! ブルッてするからぁ~!」
「うるさいぞ。嫁」
「うるさくされたく無きゃ、その溜め息を人に吹きかけるのをやーめーてぇー」
「うるさい嫁だの」
主君のいう事なんて、聞いてくれるような従者ではない。
私の頭をポスポスと顎で突き回してくる。
本当にこの従者、私を大事にしてくれるつもりはないらしい。
私達が外野で騒いでいる間も、もちろん試合は続いているわけだけど、ネルフィームが出たとたん、さっきまでの白い狼は他の選手と交代してしまう。
黒髪に黒目の真っ白な鎧を着た背の高い男――もしかして、この馴染みのある顔は日本人では無いだろうか?
私をこの異世界に巻き込ませた男ケンジ。その男以外で日本人を見るのは初めてかもしれない。
「闇属性なら俺の出番だね!」
「アカツキ、貴方は弱いのですから無理はしないように」
「はい!? 俺、強いからね? 勇者で魔王だからね?」
「それは過去の話でしょう。いつまで過去の栄光にすがっているのです」
「酷くない!? 俺、まだまだ現役だからね?」
アカツキと白い狼に呼ばれた青年は、名前からしても日本人なのは間違いなさそうだ。
白い狼が獣化を解くと、緑色の軍服を着た銀髪の背の高い青年に変わる。
青い氷のような涼しげな眼に表情は、氷属性そのものの冷たさが垣間見れた……けど、観客席の方へ目を向けた瞬間、ふわっとした蕩けるような笑顔だ。
視線の先には黒髪黒目のポニーテールの少女と、銀髪の狼獣人の男の子が手を振っている。
尻尾の揺れが凄い……これは、番同士なのかも?
しかし、アカツキという青年といい、黒髪黒目の女の子といい、この世界に異世界召喚の道具がまだあったのだろうか?
刻狼亭の人達で小鬼ちゃんたちの情報から、ほとんど異世界に関わる魔道具は壊していったはずだけど……これは調べなきゃいけないのかもしれない。
私達ドラゴニア国は順調に勝ち進んでいたし、相手側が棄権することもあり、楽々……と、途中までは思っていたのよ。
「うっそぉー……」
「うわぁー……」
アルビーと私がポカンと口を開けて見上げたのは、巨大な白い狼がグリムレインの氷を相殺してしまった事だ。
私達ドラゴニア対獣人国のセスタの戦い。
しかも、あと三国倒せば私達は、決勝……と、いうところだった。
巨大な白い狼は狼獣人だと思う……思うけど、大きい。
ルーファスの獣化より、相手の獣化の方した姿の方が倍である。
まぁ、ルーファスは狼獣人にしては小柄な方だと前に言っていたし、シュトラールよりも少し小さいけど、リュエールよりは大きいし、他の狼獣人の人を見ても、それ程大差なかった気がするんだけど……
狼獣人カテゴリーというよりは、別の狼に似た何かなのでは?
「なんなのだこやつは! 我の氷と同等のものを出すぞ!」
「グリムレイン! 相手が悪い。一旦交代だ!」
ルーファスが雷の魔法で二人を引き離すが、負けず嫌いのグリムレインは引き下がる事が出来ずにいるようで、相手に吹雪を口で吹きかけている。
「相手は氷属性特化みたいね。グリムレインじゃ相性が悪いわ」
「嫁! 我が負けるわけが無いだろう!? 無理じゃない!」
火に油を注いでしまったのか、グリムレインは余計にムキになって氷を相手に投げつけ、氷の粒は飛んでくるわ、氷の割れる音は凄いわで段々と氷が削れてピシピシと肌に当たってきた。
それが地味に痛かったりする。
「グリムレインはムキにならないの! もう、グリムレインったら! おやつを抜きにしますからね!」
外野から私達、出待ち組は騒ぎ、試合場ではルーファスとニクストローブがグリムレインを止めにかかっている。
なんというカオスな状態なのか!
「選手交代だ! 早くしろ! 下がれ!」
ネルフィームの言葉に「チッ」と舌打ちをしてグリムレインが引き下がる。
私が主君なのに、この扱いの差!? 酷くない?
相手を睨みつけながら戻るグリムレインの代わりにネルフィームが試合会場のリングへと躍り出る。
以前の姿より幼い少女姿の全身真っ黒ゴスロリドレスのネルフィームは、なんというか原宿とかにいそうだなぁなんて、ちょっと昔の記憶で思ってみた。
きっと私の若いころと違って、原宿にはもう新しいファッションが流行っていて、ゴスロリの子なんて居ないかもしれない。
そんなゴスロリ少女のネルフィームが場に出たとたん、応援席からはギルさんが飛び出さん勢いで「ネルフィーム! 可愛いですよー! 貴女が一番素敵ですよー!」と大声で叫ぶ。
「主は……うるさい」
苦虫を噛む様な顔でネルフィームがうんざりした声を出している。
代わりに戻ってきたグリムレインは戻るなり、私の頭の上に顎を乗せて溜め息のような冷気を吐き出す。
「ひゃあああ! グリムレイン、止めて。寒い! ブルッてするからぁ~!」
「うるさいぞ。嫁」
「うるさくされたく無きゃ、その溜め息を人に吹きかけるのをやーめーてぇー」
「うるさい嫁だの」
主君のいう事なんて、聞いてくれるような従者ではない。
私の頭をポスポスと顎で突き回してくる。
本当にこの従者、私を大事にしてくれるつもりはないらしい。
私達が外野で騒いでいる間も、もちろん試合は続いているわけだけど、ネルフィームが出たとたん、さっきまでの白い狼は他の選手と交代してしまう。
黒髪に黒目の真っ白な鎧を着た背の高い男――もしかして、この馴染みのある顔は日本人では無いだろうか?
私をこの異世界に巻き込ませた男ケンジ。その男以外で日本人を見るのは初めてかもしれない。
「闇属性なら俺の出番だね!」
「アカツキ、貴方は弱いのですから無理はしないように」
「はい!? 俺、強いからね? 勇者で魔王だからね?」
「それは過去の話でしょう。いつまで過去の栄光にすがっているのです」
「酷くない!? 俺、まだまだ現役だからね?」
アカツキと白い狼に呼ばれた青年は、名前からしても日本人なのは間違いなさそうだ。
白い狼が獣化を解くと、緑色の軍服を着た銀髪の背の高い青年に変わる。
青い氷のような涼しげな眼に表情は、氷属性そのものの冷たさが垣間見れた……けど、観客席の方へ目を向けた瞬間、ふわっとした蕩けるような笑顔だ。
視線の先には黒髪黒目のポニーテールの少女と、銀髪の狼獣人の男の子が手を振っている。
尻尾の揺れが凄い……これは、番同士なのかも?
しかし、アカツキという青年といい、黒髪黒目の女の子といい、この世界に異世界召喚の道具がまだあったのだろうか?
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