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27章
ドラゴンハーレム9
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イルブールのギルド本部から少し出た所に、ギルド本部で用意してもらったホテルがある。
【黒狼亭】は和風(ここでは東風)の建物が多いけれど、イルブールは世界の中心というだけあり、和洋中という感じで色々なホテルや建物に食べ物、世界の珍しいものなどが一つに集まっている感じ。
私達が用意してもらったホテルは洋風である。外観はヨーロピアンスタイルで内装も、そうなのだけど、特徴としては、ソファがやたら多いところかな? 窓際にも、ベッドの近くにもソファがある。イスとテーブルもあるし、座る所だらけという感じかな?
私達は部屋を一つ用意してもらい、一つは私とルーファス、もう一つはネルフィームとアルビーで、もう一つがグリムレインとニクストローブ、そして最後がギルさんとその手下三人組。
やはり、ここでもギルさんが騒いだ。
「わたし、ネルフィームとアルビーと同じ部屋が良いです!!」
「嫌だよ。ギルはそいつらと居なよ」
「主は他の部屋を自分で取ればいい」
アルビーとネルフィームに拒絶されて、ギルさんは大泣きしていたけれど、まぁ……これは仕方がない。
愛情も押し付けばかりだと嫌われてしまうのだから。
ギルさんの愛情過多に、ドラゴン二人はうんざりしているのよね。
昔からだけどね。何十年経っても変わらない。
「それじゃあ、夕飯までは各自、部屋でくつろぐなり、街をうろつくなりしてていいぞ。ただし、腕輪は絶対に忘れるな」
「はーい。ルーファスは心配性だね。私達は子供じゃないんだから、これでもドラゴンだよ?」
「アルビー、そう言って卵孵りさせられても知らんぞ」
そんなやり取りをして、それぞれが部屋に入り、ひと段落したところで久々の子供達から離れて、のんびり夫婦水入らず。
移動魔法があるから、直ぐに帰れるとは言え、やっぱり二人で居る時間も大事である。
ひとまず、温泉大陸の人間としてはお風呂チェックは欠かせない。
可愛らしい猫足のバスタブに、シャンプーボトルと、四角い瓶に入ったキューブが置いてある。
このキューブは、ありすさんが以前作った物だと記憶している。
意外とありすさんは、この世界にむこうの世界の物を持ち込むから、なじみのある物が増えた気がするんだよねぇ。
ちなみにこのキューブはバスバブル。
つまり、泡ぶろが出来るキューブである。しかも、体も洗えてしまう優れもの。
「ルーファス。ここのお風呂泡ぶろに出来るみたい」
「温泉では泡ぶろなんて出来ないからな、新鮮と言えば新鮮か」
温泉だとねー、やはり水質の関係で泡ぶろをしてしまうと入れ替えしなければいけないから、早々出来ないことなのよ。
ミッカの実を浮かべたお風呂とか、花びらを浮かべたお風呂ぐらいなら対処できるけどね。
温泉大陸では使えないから、結果……こうしたホテルに卸しているようだ。
「明日から建設で忙しくなるし、今日は泡ぶろでゆっくりしようね」
「そうだな」
建設に関しては、とにかく……他国の建設者と建設者がぶつかり合うデザイン問題が勃発して、それはもう……熾烈な言い争いだった。
ギルド長もうんざりした顔をしていたし、ルーファスに至っては膝の上に乗せた私と肩に乗せたニクストローブとでしりとりをしていたぐらいよ。
この間に他のドラゴン達は、ギルさんと一緒にカジノで遊んでいたのだから、困ったものだけどね。
建設はそれぞれの国が自国らしさを出せるように取り入れていく……という話でまとまり、世界地図に合わせた位置で観覧席を設けていくらしい。
東国と温泉大陸はほぼ真ん中なので、思い切って空中観覧席でもしてみようか? と、冗談で言ったりもしていた。
「ルーファス。体洗ってあげようか?」
「うん? アカリが洗いたいだけだろう」
「実はそう。獣化して! わしゃわしゃ~って、洗うから」
ルーファスが服を脱いで獣化するとバスタブに座り、私も服を脱いでバスタブにバブルキューブを放り込み、お湯を溜めていく。
泡はブクブクと盛り上がり、泡が出るたびにルーファスの頭の上に泡を乗せていく。
「ふふふ。子供達が喜びそうな泡だよね」
「アカリも楽しそうだが?」
「そりゃあ、滅多にこうした事は出来ないからね」
いつもは家事をしているだけで一日の大半は終わってしまうし、お風呂もコハルにシャルちゃんにピスターシュ、ミルアの息子エミールくんやシュトラールの娘のキャロルちゃんもお風呂に入れる時がある。
よって、私達がこうして二人ではしゃいでお風呂に入るのは、とても珍しい。
我が家は、隠居した暇なルーファスと私が働く子供たちの代わりに色々してあげているからね。
甘やかしすぎだとは思うけど、若い頃は【黒狼亭】の事で子供達にかまう余裕が無かったから、せめて孫たちくらいは、お世話をしてあげたい。罪滅ぼしとでもいうのだろうか?
「泡が耳に入る……」
耳を上下に動かして鼻にしわを作るルーファスに、シャワーで耳の泡を流して泡で体を洗っていく。
もこもこ泡の泡獣人完成である。
「痒いところはない?」
「無いな。あとでオレがアカリを洗ってやろう」
「ふふー。ぜひお願いします」
シャワーでルーファスの泡を流し、鼻先にチュッとリップ音を立ててキスをすると気持ちよさそうに目を閉じて、バスタブの中でルーファスの尻尾が揺れるものだから、泡がまた出来ていた。
【黒狼亭】は和風(ここでは東風)の建物が多いけれど、イルブールは世界の中心というだけあり、和洋中という感じで色々なホテルや建物に食べ物、世界の珍しいものなどが一つに集まっている感じ。
私達が用意してもらったホテルは洋風である。外観はヨーロピアンスタイルで内装も、そうなのだけど、特徴としては、ソファがやたら多いところかな? 窓際にも、ベッドの近くにもソファがある。イスとテーブルもあるし、座る所だらけという感じかな?
私達は部屋を一つ用意してもらい、一つは私とルーファス、もう一つはネルフィームとアルビーで、もう一つがグリムレインとニクストローブ、そして最後がギルさんとその手下三人組。
やはり、ここでもギルさんが騒いだ。
「わたし、ネルフィームとアルビーと同じ部屋が良いです!!」
「嫌だよ。ギルはそいつらと居なよ」
「主は他の部屋を自分で取ればいい」
アルビーとネルフィームに拒絶されて、ギルさんは大泣きしていたけれど、まぁ……これは仕方がない。
愛情も押し付けばかりだと嫌われてしまうのだから。
ギルさんの愛情過多に、ドラゴン二人はうんざりしているのよね。
昔からだけどね。何十年経っても変わらない。
「それじゃあ、夕飯までは各自、部屋でくつろぐなり、街をうろつくなりしてていいぞ。ただし、腕輪は絶対に忘れるな」
「はーい。ルーファスは心配性だね。私達は子供じゃないんだから、これでもドラゴンだよ?」
「アルビー、そう言って卵孵りさせられても知らんぞ」
そんなやり取りをして、それぞれが部屋に入り、ひと段落したところで久々の子供達から離れて、のんびり夫婦水入らず。
移動魔法があるから、直ぐに帰れるとは言え、やっぱり二人で居る時間も大事である。
ひとまず、温泉大陸の人間としてはお風呂チェックは欠かせない。
可愛らしい猫足のバスタブに、シャンプーボトルと、四角い瓶に入ったキューブが置いてある。
このキューブは、ありすさんが以前作った物だと記憶している。
意外とありすさんは、この世界にむこうの世界の物を持ち込むから、なじみのある物が増えた気がするんだよねぇ。
ちなみにこのキューブはバスバブル。
つまり、泡ぶろが出来るキューブである。しかも、体も洗えてしまう優れもの。
「ルーファス。ここのお風呂泡ぶろに出来るみたい」
「温泉では泡ぶろなんて出来ないからな、新鮮と言えば新鮮か」
温泉だとねー、やはり水質の関係で泡ぶろをしてしまうと入れ替えしなければいけないから、早々出来ないことなのよ。
ミッカの実を浮かべたお風呂とか、花びらを浮かべたお風呂ぐらいなら対処できるけどね。
温泉大陸では使えないから、結果……こうしたホテルに卸しているようだ。
「明日から建設で忙しくなるし、今日は泡ぶろでゆっくりしようね」
「そうだな」
建設に関しては、とにかく……他国の建設者と建設者がぶつかり合うデザイン問題が勃発して、それはもう……熾烈な言い争いだった。
ギルド長もうんざりした顔をしていたし、ルーファスに至っては膝の上に乗せた私と肩に乗せたニクストローブとでしりとりをしていたぐらいよ。
この間に他のドラゴン達は、ギルさんと一緒にカジノで遊んでいたのだから、困ったものだけどね。
建設はそれぞれの国が自国らしさを出せるように取り入れていく……という話でまとまり、世界地図に合わせた位置で観覧席を設けていくらしい。
東国と温泉大陸はほぼ真ん中なので、思い切って空中観覧席でもしてみようか? と、冗談で言ったりもしていた。
「ルーファス。体洗ってあげようか?」
「うん? アカリが洗いたいだけだろう」
「実はそう。獣化して! わしゃわしゃ~って、洗うから」
ルーファスが服を脱いで獣化するとバスタブに座り、私も服を脱いでバスタブにバブルキューブを放り込み、お湯を溜めていく。
泡はブクブクと盛り上がり、泡が出るたびにルーファスの頭の上に泡を乗せていく。
「ふふふ。子供達が喜びそうな泡だよね」
「アカリも楽しそうだが?」
「そりゃあ、滅多にこうした事は出来ないからね」
いつもは家事をしているだけで一日の大半は終わってしまうし、お風呂もコハルにシャルちゃんにピスターシュ、ミルアの息子エミールくんやシュトラールの娘のキャロルちゃんもお風呂に入れる時がある。
よって、私達がこうして二人ではしゃいでお風呂に入るのは、とても珍しい。
我が家は、隠居した暇なルーファスと私が働く子供たちの代わりに色々してあげているからね。
甘やかしすぎだとは思うけど、若い頃は【黒狼亭】の事で子供達にかまう余裕が無かったから、せめて孫たちくらいは、お世話をしてあげたい。罪滅ぼしとでもいうのだろうか?
「泡が耳に入る……」
耳を上下に動かして鼻にしわを作るルーファスに、シャワーで耳の泡を流して泡で体を洗っていく。
もこもこ泡の泡獣人完成である。
「痒いところはない?」
「無いな。あとでオレがアカリを洗ってやろう」
「ふふー。ぜひお願いします」
シャワーでルーファスの泡を流し、鼻先にチュッとリップ音を立ててキスをすると気持ちよさそうに目を閉じて、バスタブの中でルーファスの尻尾が揺れるものだから、泡がまた出来ていた。
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