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27章
ドラゴンハーレム7
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武術大会とくれば、やはり忙しいのは武具を取り扱うお店だろう。
世界で一番の名工ならば、ドワーフ族の武具になる。
温泉大陸には、ドワーフのお爺ちゃん達がお店を構えているので、こうした時便利と言えば便利。
ただし、素材は持ち込みになる為に、ルーファスの亜空間倉庫から山のように素材が出てくるわ……出てくる……
動物って、物を隠したり溜め込むのが好きよねーと、この時ばかりは思う。
「足りない物があれば言ってくれ。取りに行く」
「十分だよ。おおっ! こりゃまた珍しい物があるねぇ」
「欲しいものがあれば持って行ってくれ」
「気前がいいねぇ。流石、大旦那様だ!」
ドワーフのお爺さん達が素材に目を輝かせ、ルーファスはご自慢の集めた素材がもてはやされるものだから、鼻高々で尻尾が機嫌よく揺れている。
そんなにルーファスを褒めていると、また訳の分からない物を集めちゃうから止めて欲しいのだけどね。
「お嬢は何を作るんだい?」
「私は、そうねぇ……この材料で何か作れるかしら?」
私は自分の巾着袋から、瓶に入れた牙と爪を取り出す。
これは、うちの魔獣クロとフェネシーの牙と爪なのよね。一応、魔獣だから素材扱いらしくて、お掃除しながら見付けては瓶に入れていたのよ。
「魔法反射の石程じゃあないが、粉にして何かに混ぜ合わせれば、魔法軽減と攻撃軽減になりそうだな」
「それじゃあ、それで何か作ってもらえる? あ、ちなみに装備させたいのは、この子達なの」
私はドラゴン達を指さすと、ドワーフのおじいちゃん達はニンマリとした笑顔を彼らに向ける。
お爺ちゃん達、うちの子達は素材じゃないのでヨダレをたらさないで欲しい。
「嫁。こいつら怖いぞ!」
「狩人の目だよ! 怖い!」
「あははー……」
私の後ろに隠れるドラゴン達の可愛いこと。
やはり身の危険を感じるわよね。うんうん。あれはドラゴンの爪とか平気でもぎ取る狩人の目だよ。
「お嬢ちゃん自身のは良いのかい?」
「私は、前に作ってもらったし、総大将だから、早々前で戦ったりはしないよ」
守られる姫ポジションというやつなのよ。
各国の戦士や魔法使いと戦うなんて、か弱い上に運動音痴の私がするものじゃない。
「爺さん、アカリの代わりに俺の方を頼むぜ」
今回は参加になってしまったハガネは、財布の中身を見ては盛大に溜め息をつき、素材を着物から取り出す。
なんだか、変な河原で拾った石ころばかりに見えるけど……
「この素材じゃ魔法増量系のもんしか作れねぇな」
「俺はそれでいいんだよ。あと、マジックポーションを直ぐに取り出せる袋で頑丈なのを作ってくれ。あ、アカリの魔法反射と攻撃軽減の素材が余ったら、それに使ってくれ」
「あいよ。お前さんは図体がデカいから、いい的になりそうだわなー」
「うっせー。そりゃあ分かってるんだよ」
ハガネは魔法のスペシャリストだけど、体術系に持ち込まれるとボロ雑巾にされちゃうものね。
それにしてもポーションホルダーを強化させる……って、ことは……大技を最初からガンガン使ってマジックポーションが尽きない限り攻め続けるつもりかも? 普通にそんなのを見たら、ポーションホルダーを攻撃して飲めないようにするのが早そうだよね。
流石ハガネ、先を考えてる。
「ここのドワーフの鍛冶屋は、防具を取り扱っているか?」
お客さんが来たようで、ドワーフのお爺さんが「外の看板に書いてあるだろ」と声を出す。
外の看板には、防具の修理のみと書かれている。
武術大会前は、私達温泉大陸の代表者を優先で武具を作ってくれるために、他は受け付けないようにしているのだ。
「武術大会に参加するために、どうしてもドワーフの武具が必要なんだ!」
「そうは言っても、うちは小規模の店だからな。手一杯で他の国の防具を作る余裕はないねぇ」
「我々の国が勝てば、我々の国でも店を出すことを許可しよう! それでいいだろう?」
「ハァー……わかってねぇなぁ。ワシらドワーフは、自分達の気に入った土地でしか店を出さん。お前らの国がこの温泉大陸ほどの魔力を帯びた土地か? ワシらを歓迎してもてなす国か? ワシらは、ただの武器防具職人じゃねぇのさ」
ドワーフのお爺さん達が「そうだそうだ!」と抗議し、この様子ではへそを曲げているので、早目にお客さんは退散した方が良いと思う。
私はルーファスが前に出た事で、お客さんを見れなかったけど、グリムレインがフッと口から息を吐くとお客さんは氷漬けになり、ドワーフのお爺さんが大きなハンマーで店の外に放り投げてしまっていた。
「一昨日きやがれってんだ!」
「まったくだわい!」
ここのお店もうちの【黒狼亭】に感化されてきたわね。
いや、元々ドワーフのお爺ちゃん達はこんなものだったかしらね?
そんなこんなで、私達は武術大会に向けて準備を進める日々を送っている。
世界で一番の名工ならば、ドワーフ族の武具になる。
温泉大陸には、ドワーフのお爺ちゃん達がお店を構えているので、こうした時便利と言えば便利。
ただし、素材は持ち込みになる為に、ルーファスの亜空間倉庫から山のように素材が出てくるわ……出てくる……
動物って、物を隠したり溜め込むのが好きよねーと、この時ばかりは思う。
「足りない物があれば言ってくれ。取りに行く」
「十分だよ。おおっ! こりゃまた珍しい物があるねぇ」
「欲しいものがあれば持って行ってくれ」
「気前がいいねぇ。流石、大旦那様だ!」
ドワーフのお爺さん達が素材に目を輝かせ、ルーファスはご自慢の集めた素材がもてはやされるものだから、鼻高々で尻尾が機嫌よく揺れている。
そんなにルーファスを褒めていると、また訳の分からない物を集めちゃうから止めて欲しいのだけどね。
「お嬢は何を作るんだい?」
「私は、そうねぇ……この材料で何か作れるかしら?」
私は自分の巾着袋から、瓶に入れた牙と爪を取り出す。
これは、うちの魔獣クロとフェネシーの牙と爪なのよね。一応、魔獣だから素材扱いらしくて、お掃除しながら見付けては瓶に入れていたのよ。
「魔法反射の石程じゃあないが、粉にして何かに混ぜ合わせれば、魔法軽減と攻撃軽減になりそうだな」
「それじゃあ、それで何か作ってもらえる? あ、ちなみに装備させたいのは、この子達なの」
私はドラゴン達を指さすと、ドワーフのおじいちゃん達はニンマリとした笑顔を彼らに向ける。
お爺ちゃん達、うちの子達は素材じゃないのでヨダレをたらさないで欲しい。
「嫁。こいつら怖いぞ!」
「狩人の目だよ! 怖い!」
「あははー……」
私の後ろに隠れるドラゴン達の可愛いこと。
やはり身の危険を感じるわよね。うんうん。あれはドラゴンの爪とか平気でもぎ取る狩人の目だよ。
「お嬢ちゃん自身のは良いのかい?」
「私は、前に作ってもらったし、総大将だから、早々前で戦ったりはしないよ」
守られる姫ポジションというやつなのよ。
各国の戦士や魔法使いと戦うなんて、か弱い上に運動音痴の私がするものじゃない。
「爺さん、アカリの代わりに俺の方を頼むぜ」
今回は参加になってしまったハガネは、財布の中身を見ては盛大に溜め息をつき、素材を着物から取り出す。
なんだか、変な河原で拾った石ころばかりに見えるけど……
「この素材じゃ魔法増量系のもんしか作れねぇな」
「俺はそれでいいんだよ。あと、マジックポーションを直ぐに取り出せる袋で頑丈なのを作ってくれ。あ、アカリの魔法反射と攻撃軽減の素材が余ったら、それに使ってくれ」
「あいよ。お前さんは図体がデカいから、いい的になりそうだわなー」
「うっせー。そりゃあ分かってるんだよ」
ハガネは魔法のスペシャリストだけど、体術系に持ち込まれるとボロ雑巾にされちゃうものね。
それにしてもポーションホルダーを強化させる……って、ことは……大技を最初からガンガン使ってマジックポーションが尽きない限り攻め続けるつもりかも? 普通にそんなのを見たら、ポーションホルダーを攻撃して飲めないようにするのが早そうだよね。
流石ハガネ、先を考えてる。
「ここのドワーフの鍛冶屋は、防具を取り扱っているか?」
お客さんが来たようで、ドワーフのお爺さんが「外の看板に書いてあるだろ」と声を出す。
外の看板には、防具の修理のみと書かれている。
武術大会前は、私達温泉大陸の代表者を優先で武具を作ってくれるために、他は受け付けないようにしているのだ。
「武術大会に参加するために、どうしてもドワーフの武具が必要なんだ!」
「そうは言っても、うちは小規模の店だからな。手一杯で他の国の防具を作る余裕はないねぇ」
「我々の国が勝てば、我々の国でも店を出すことを許可しよう! それでいいだろう?」
「ハァー……わかってねぇなぁ。ワシらドワーフは、自分達の気に入った土地でしか店を出さん。お前らの国がこの温泉大陸ほどの魔力を帯びた土地か? ワシらを歓迎してもてなす国か? ワシらは、ただの武器防具職人じゃねぇのさ」
ドワーフのお爺さん達が「そうだそうだ!」と抗議し、この様子ではへそを曲げているので、早目にお客さんは退散した方が良いと思う。
私はルーファスが前に出た事で、お客さんを見れなかったけど、グリムレインがフッと口から息を吐くとお客さんは氷漬けになり、ドワーフのお爺さんが大きなハンマーで店の外に放り投げてしまっていた。
「一昨日きやがれってんだ!」
「まったくだわい!」
ここのお店もうちの【黒狼亭】に感化されてきたわね。
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