934 / 960
27章
ドラゴンハーレム
しおりを挟む
夏が近づき、衣替えを慌ただしくしていた時だった。
私の太腿の上でお行儀よく座っていた石竜のピスターシュが、私に一つ目を輝かせて「おかーさん」と言った。
「うん? どうしたのピスターシュ」
「うふふーおかーさん」
「あらあら。甘えん坊さんだねぇ」
私の太腿にスリスリと頬をすりつけて、尻尾がフリフリしている。
うーん。可愛い。この黒くて艶っとしたボディも子供だから、ぷりんぷりんしているし、大人のドラゴンにはない可愛らしさだわ。
頭を撫でてピスターシュを甘やかしていると、不満気な声が手伝いもしてくれない従者からあがった。
「ピスターシュ。お前はドラゴンだ。嫁は、お前の母ではない」
「こら! グリムレイン! 小さい子を苛めないの!」
「ピピィ~」
「何が『怖い』だ。嫁、こういう事は早めに教えておかねばならんのだ!」
ズンズンと私に向かって不機嫌な顔で来るグリムレインに、「はいはい。ストーップ」と割り込んできたのは、我が家の弟分であるアルビーだ。
「もう。グリムレインやめなよ。そのうちピスターシュも解るよ」
アルビーの言葉に、私も大きく頷く。
小さいうちにやいのやいの言ったところで、嫌々覚えさせるより、自然に覚えさせていった方が良いと思うし、ドラゴンは人と知能は変わらないなら、動物の様に「自分は人間」と思いこむようなことも無いだろう。
「おかーさん」
「はぁーい。ピスターシュは可愛い~可愛い~」
「うふふーおかーさん」
この甘えた子竜の可愛らしさは、我が子の可愛らしさにも通じるものがある。まぁ、我が子達はルーファスが衣替えの邪魔をしない様に連れ出してくれているけどね。
「アカリ。可愛がるのも良いけど、可愛がり過ぎも良くないからね?」
「そう? でも、いつかは自然と解ってくれるだろうから、それまでは甘えさせて良いと思うの。それに、ピスターシュもそうだけど、アルビーもグリムレインも他の子達も、皆、私の家族なんだからね!」
「おかーさん!」
「嫁がそう言うなら、我とて家族でいてやろうではないか」
「グリムレイン。それってただ単に、グリムレインがピスターシュに嫉妬してるだけじゃないの? 全く、ドラゴンがどーのこーの言っても、結局はアカリを独り占めしたいだけじゃない」
グリムレインにギュウギュウに抱きつかれ、ピスターシュも足元でギュウッとしがみついている。
我が家の甘えたがりのドラゴン達だ。
アルビーはヤレヤレという顔で見ているけど、アルビーも割りと甘えたがりだから、尻尾がフリフリと動いているんだよね。手でアルビーにも、おいでおいでをするとアルビーも「仕方ないなぁ」と言いつつ私の所にくる。
ドラゴンのハーレムだわ。
「アカリは昔から、変わらないよねー」
「ふふふっ。人間、そう変わるものじゃないでしょ?」
「そういえば、嫁が若い時は色々やらかしてたな」
「グリムレイン。アカリは今でも、色々やらかしてるよ」
「あなた達、失礼よ」
ワイワイ騒ぎつつ、衣替えを進めていき、ようやく衣替えが終わる頃に腕輪でルーファスから『帰る』という連絡があった。
「おかーさん」
「なぁに? ピスターシュ」
「お空からなにかくるー」
「空? なにかって?」
ピスターシュを抱っこして縁側から、空を見上げると大きな羽を生やした金髪の悪魔の様な人……元魔王リロノスさんが降ってきた。
ズンッと、地面に凄い音を立てて降りて来たので、地面にクレーターも出来て屋敷もグラッと揺れたから、相当な勢いで降りてきたようだ。
「おかーさん。おちてきたー」
「あー、うん。降りて来たねぇ。リロノスさん、どうかしましたか~?」
声を掛けると、リロノスさんは勢いよく私の方まで来て「一緒に来て下さい!!」と、手を掴み、カブリと腕に抱っこしていたピスターシュに噛みつかれ、グリムレインに「人さらいだの」と、言われていた。
「どうしたんですか? ありすさんに何かありましたか?」
「そうなんです! アリスがおかしいんです!」
「じゃあ、シューちゃんとシルビアにも、連絡を入れてからの方が良いかも?」
「急いで下さい! アカリさん!」
「おかーさん、はなしてー! ピヤァァァ!」
ガブガブとピスターシュがリロノスさんに噛みつきながらも、リロノスさんがあわてているので、仕方なく、アルビーとグリムレインにシュトラールとシルビアに連絡するように言って、リロノスさんと一緒に出掛けることになった。
ピスターシュはガブガブ噛みついたまま一緒についてきたのは……まぁ、仕方がないかな?
私の太腿の上でお行儀よく座っていた石竜のピスターシュが、私に一つ目を輝かせて「おかーさん」と言った。
「うん? どうしたのピスターシュ」
「うふふーおかーさん」
「あらあら。甘えん坊さんだねぇ」
私の太腿にスリスリと頬をすりつけて、尻尾がフリフリしている。
うーん。可愛い。この黒くて艶っとしたボディも子供だから、ぷりんぷりんしているし、大人のドラゴンにはない可愛らしさだわ。
頭を撫でてピスターシュを甘やかしていると、不満気な声が手伝いもしてくれない従者からあがった。
「ピスターシュ。お前はドラゴンだ。嫁は、お前の母ではない」
「こら! グリムレイン! 小さい子を苛めないの!」
「ピピィ~」
「何が『怖い』だ。嫁、こういう事は早めに教えておかねばならんのだ!」
ズンズンと私に向かって不機嫌な顔で来るグリムレインに、「はいはい。ストーップ」と割り込んできたのは、我が家の弟分であるアルビーだ。
「もう。グリムレインやめなよ。そのうちピスターシュも解るよ」
アルビーの言葉に、私も大きく頷く。
小さいうちにやいのやいの言ったところで、嫌々覚えさせるより、自然に覚えさせていった方が良いと思うし、ドラゴンは人と知能は変わらないなら、動物の様に「自分は人間」と思いこむようなことも無いだろう。
「おかーさん」
「はぁーい。ピスターシュは可愛い~可愛い~」
「うふふーおかーさん」
この甘えた子竜の可愛らしさは、我が子の可愛らしさにも通じるものがある。まぁ、我が子達はルーファスが衣替えの邪魔をしない様に連れ出してくれているけどね。
「アカリ。可愛がるのも良いけど、可愛がり過ぎも良くないからね?」
「そう? でも、いつかは自然と解ってくれるだろうから、それまでは甘えさせて良いと思うの。それに、ピスターシュもそうだけど、アルビーもグリムレインも他の子達も、皆、私の家族なんだからね!」
「おかーさん!」
「嫁がそう言うなら、我とて家族でいてやろうではないか」
「グリムレイン。それってただ単に、グリムレインがピスターシュに嫉妬してるだけじゃないの? 全く、ドラゴンがどーのこーの言っても、結局はアカリを独り占めしたいだけじゃない」
グリムレインにギュウギュウに抱きつかれ、ピスターシュも足元でギュウッとしがみついている。
我が家の甘えたがりのドラゴン達だ。
アルビーはヤレヤレという顔で見ているけど、アルビーも割りと甘えたがりだから、尻尾がフリフリと動いているんだよね。手でアルビーにも、おいでおいでをするとアルビーも「仕方ないなぁ」と言いつつ私の所にくる。
ドラゴンのハーレムだわ。
「アカリは昔から、変わらないよねー」
「ふふふっ。人間、そう変わるものじゃないでしょ?」
「そういえば、嫁が若い時は色々やらかしてたな」
「グリムレイン。アカリは今でも、色々やらかしてるよ」
「あなた達、失礼よ」
ワイワイ騒ぎつつ、衣替えを進めていき、ようやく衣替えが終わる頃に腕輪でルーファスから『帰る』という連絡があった。
「おかーさん」
「なぁに? ピスターシュ」
「お空からなにかくるー」
「空? なにかって?」
ピスターシュを抱っこして縁側から、空を見上げると大きな羽を生やした金髪の悪魔の様な人……元魔王リロノスさんが降ってきた。
ズンッと、地面に凄い音を立てて降りて来たので、地面にクレーターも出来て屋敷もグラッと揺れたから、相当な勢いで降りてきたようだ。
「おかーさん。おちてきたー」
「あー、うん。降りて来たねぇ。リロノスさん、どうかしましたか~?」
声を掛けると、リロノスさんは勢いよく私の方まで来て「一緒に来て下さい!!」と、手を掴み、カブリと腕に抱っこしていたピスターシュに噛みつかれ、グリムレインに「人さらいだの」と、言われていた。
「どうしたんですか? ありすさんに何かありましたか?」
「そうなんです! アリスがおかしいんです!」
「じゃあ、シューちゃんとシルビアにも、連絡を入れてからの方が良いかも?」
「急いで下さい! アカリさん!」
「おかーさん、はなしてー! ピヤァァァ!」
ガブガブとピスターシュがリロノスさんに噛みつきながらも、リロノスさんがあわてているので、仕方なく、アルビーとグリムレインにシュトラールとシルビアに連絡するように言って、リロノスさんと一緒に出掛けることになった。
ピスターシュはガブガブ噛みついたまま一緒についてきたのは……まぁ、仕方がないかな?
60
お気に入りに追加
4,628
あなたにおすすめの小説

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。
鯖
恋愛
可憐な見た目とは裏腹に、突っ走りがちな令嬢のパトリシア。婚約者のフィリップが、巨乳じゃないと女として見れない、と話しているのを聞いてしまう。
パトリシアは、小さい頃に両親を亡くし、母の弟である伯爵家で、本当の娘の様に育てられた。お世話になった家族の為にも、幸せな結婚生活を送らねばならないと、兄の様に慕っているアレックスに、あるお願いをしに行く。

婚約者である皇帝は今日別の女と結婚する
アオ
恋愛
公爵家の末娘として転生した美少女マリーが2つ上の幼なじみであり皇帝であるフリードリヒからプロポーズされる。
しかしその日のうちにプロポーズを撤回し別の女と結婚すると言う。
理由は周辺の国との和平のための政略結婚でマリーは泣く泣くフリードのことを諦める。しかしその結婚は実は偽装結婚で
政略結婚の相手である姫の想い人を振り向かせるための偽装結婚式だった。
そんなこととはつゆ知らず、マリーは悩む。すれ違うがその後誤解はとけマリーとフリードは幸せに暮らしました。

大きくなったら結婚しようと誓った幼馴染が幸せな家庭を築いていた
黒うさぎ
恋愛
「おおきくなったら、ぼくとけっこんしよう!」
幼い頃にした彼との約束。私は彼に相応しい強く、優しい女性になるために己を鍛え磨きぬいた。そして十六年たったある日。私は約束を果たそうと彼の家を訪れた。だが家の中から姿を現したのは、幼女とその母親らしき女性、そして優しく微笑む彼だった。
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。