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26章
コハルとスー
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冬の湯治に温泉街へと人々が訪れ、毎年恒例の『花魁道中』も開催しており、賑やかさも例年通りだ。
我が家では、スクルードがコハルに追いかけ回されて、大変賑やかである。
「あい、あい、あいあい」
「はるぅー、いやぁ~こわいんんっ!」
最近、ハイハイが出来るようになって、コハルはスクルードを追いかけ回すのが日課になっている。
お兄ちゃんのスクルードが泣き叫んで逃げているのはどうかと思うけど、コハルの成長が日々進化しているのが凄い。
うーん、これが女神の言っていた『クーポン』なのかな?
でも、成長の早い子は早いから、まだ断定も出来ない。
コハル自身は他の子より、少し小さめで、シャルちゃんに比べても小さいのだけど、シャルちゃんは少しおっとりした所もあるから、ハイハイは少し歩いては、休んだまま寝ちゃったりするんだよね。
個人差があり過ぎて、困ってしまう。
「コハル。スーに遊んでもらっているのか?」
「あうー、あいあい」
「いやぁ~、ちちうー、はるこわいぃ~」
ペチンとコハルに頬を叩かれて、ぴえぇぇぇと、スクルードが泣かされる。
ドヤッとした勝ち誇った顔をしているコハルに、「コハルッ!」と怒ると、何故か泣かされたスクルードがコハルを庇って前に出て、プルプル顔を横に振るのだから、兄妹愛は素晴らしいと言うべきなのか、コハルを甘やかす駄目な兄にスクルードがなっているのでは? と、将来が不安になる。
「コハル、手を出しては駄目だ」
ルーファスがコハルを抱き上げて、鼻先を指でツンと叩くと、ルーファスの指にしゃぶりついている。
うーん、コハルに甘過ぎかな?
スクルードの顔を布巾で拭いて、頭を撫でて抱き上げると、流石に重いッ!
三歳児の重さに、私の腕が悲鳴を上げる~っ!
スクルードは三歳にしては、大きいのもあるんだよね。まぁ、将来の大きさから考えても、グングン伸びてるんだなぁとは思う。
「スーちゃん、重くなったねぇ」
「うー?」
まだ言葉とかは幼いままなんだけど、きっと、あっという間に喋り始めて、スポンジの様に色々吸収していくのだろう。
何度も子供の成長していく姿を見ているから、寂しくもあり嬉しくもある、複雑な親心だ。
「あいあい! あー」
「はいはい。コハルはどうしたの?」
ルーファスの指をしゃぶっていたコハルが、指から手を離して足をバタつかせながら私に手を伸ばしてニコニコしている。
この笑顔だけなら可愛いのだけど、迂闊に近づくと、コハルのパンチを食らうので、私は警戒しまくりである。
「コハル、パッチンしたら駄目よ?」
「あいあい!」
とりあえず近寄ったら、やはりパンチが飛んできた。
ルーファスがコハルの手を押さえる。子供のパンチと言っても、当たれば痛いものは痛い。
「コハル、手を出すのは駄目だと言っているだろう?」
「あー! んんっ、あいあい!」
返事だけは「あいあい!」と良いんだけどね。ヤンチャ過ぎ。
「コハルのこのパンチ癖、何なのかしらね?」
「分からんが、こんなにパンチしてくる元気な子は初めてだな」
「写真に撮る時のタイトルは『暴君コハルちゃん』だね」
「そうなりそうだな……くくっ」
楽しそうにルーファスが笑い、コハルが納得しない顔で、手をブンブンとしながら、癇癪を起す。
うーん。暴君っぷりが半端ない。
「はるぅ、めっ! だよ?」
「あい!」
スクルードがお兄ちゃんらしく言い聞かせているけど、多分、このコハルの顔は聞いてないと思う。
くわぁ~っと、コハルが欠伸をすると、スクルードもつられて欠伸をして、コテンと電池切れの玩具の様に寝てしまうのだから、子供は電源のオンオフが突然という感じだ。
「さて、二人を寝せておくか」
「うん。ゆっくりね」
子供部屋に連れて行って二人を寝せると、目を開けたらパンチばかりする癖に、コハルがスクルードの手を握って寝ている。
ツンデレのデレは寝ている無意識化でしか発動しないのかな?
まぁ、そういう所も可愛いけど、出来れば、パンチを繰り出さない女の子に育って欲しい。
うちの娘達はヤンチャが過ぎるから……ミルアにしろナルアにしろ好戦的だし、ルーシーは唯一普通に思えるけど、三つ子の兄達であるティルナールとエルシオンには容赦なく飛び蹴りをベランダからしに行くような子だから……コハルだけは、元気でも良いから、おしとやかに育って欲しいけど、どうなるやら?
「寝顔だけなら可愛いんだけど……」
「起きてても、可愛いが?」
「ルーファスは親ばかなんだから」
「アカリに似てるから、可愛い」
私を抱き寄せて、顎を上に向かせると唇を重ねてくる。
食む様なキスを繰り返して、少しずつ息が上がり始めて、「はぅ」と小さく声を出すと、ルーファスの手が着物の前身頃から入り込んで、胸を触り始めた時、「ぴえぇぇ~っ」とスクルードの泣き声が上がる。
「どうしたの?」
「はるが、けったー」
寝ていても暴君……へにゃーとした可愛い笑顔で、コハルの足が小さく動いていた。
「これは、一緒に寝せるのは無理だな」
「そうだね。どんな子に育つのやらだねぇ」
少し前までは、エルシオンが我が家の泣き虫の名を欲しいままにしていたけど、最近はスクルードが泣き虫の名を欲しいままにしている。
いつか妹に泣かされない強いお兄ちゃんになって欲しいものだ。
我が家では、スクルードがコハルに追いかけ回されて、大変賑やかである。
「あい、あい、あいあい」
「はるぅー、いやぁ~こわいんんっ!」
最近、ハイハイが出来るようになって、コハルはスクルードを追いかけ回すのが日課になっている。
お兄ちゃんのスクルードが泣き叫んで逃げているのはどうかと思うけど、コハルの成長が日々進化しているのが凄い。
うーん、これが女神の言っていた『クーポン』なのかな?
でも、成長の早い子は早いから、まだ断定も出来ない。
コハル自身は他の子より、少し小さめで、シャルちゃんに比べても小さいのだけど、シャルちゃんは少しおっとりした所もあるから、ハイハイは少し歩いては、休んだまま寝ちゃったりするんだよね。
個人差があり過ぎて、困ってしまう。
「コハル。スーに遊んでもらっているのか?」
「あうー、あいあい」
「いやぁ~、ちちうー、はるこわいぃ~」
ペチンとコハルに頬を叩かれて、ぴえぇぇぇと、スクルードが泣かされる。
ドヤッとした勝ち誇った顔をしているコハルに、「コハルッ!」と怒ると、何故か泣かされたスクルードがコハルを庇って前に出て、プルプル顔を横に振るのだから、兄妹愛は素晴らしいと言うべきなのか、コハルを甘やかす駄目な兄にスクルードがなっているのでは? と、将来が不安になる。
「コハル、手を出しては駄目だ」
ルーファスがコハルを抱き上げて、鼻先を指でツンと叩くと、ルーファスの指にしゃぶりついている。
うーん、コハルに甘過ぎかな?
スクルードの顔を布巾で拭いて、頭を撫でて抱き上げると、流石に重いッ!
三歳児の重さに、私の腕が悲鳴を上げる~っ!
スクルードは三歳にしては、大きいのもあるんだよね。まぁ、将来の大きさから考えても、グングン伸びてるんだなぁとは思う。
「スーちゃん、重くなったねぇ」
「うー?」
まだ言葉とかは幼いままなんだけど、きっと、あっという間に喋り始めて、スポンジの様に色々吸収していくのだろう。
何度も子供の成長していく姿を見ているから、寂しくもあり嬉しくもある、複雑な親心だ。
「あいあい! あー」
「はいはい。コハルはどうしたの?」
ルーファスの指をしゃぶっていたコハルが、指から手を離して足をバタつかせながら私に手を伸ばしてニコニコしている。
この笑顔だけなら可愛いのだけど、迂闊に近づくと、コハルのパンチを食らうので、私は警戒しまくりである。
「コハル、パッチンしたら駄目よ?」
「あいあい!」
とりあえず近寄ったら、やはりパンチが飛んできた。
ルーファスがコハルの手を押さえる。子供のパンチと言っても、当たれば痛いものは痛い。
「コハル、手を出すのは駄目だと言っているだろう?」
「あー! んんっ、あいあい!」
返事だけは「あいあい!」と良いんだけどね。ヤンチャ過ぎ。
「コハルのこのパンチ癖、何なのかしらね?」
「分からんが、こんなにパンチしてくる元気な子は初めてだな」
「写真に撮る時のタイトルは『暴君コハルちゃん』だね」
「そうなりそうだな……くくっ」
楽しそうにルーファスが笑い、コハルが納得しない顔で、手をブンブンとしながら、癇癪を起す。
うーん。暴君っぷりが半端ない。
「はるぅ、めっ! だよ?」
「あい!」
スクルードがお兄ちゃんらしく言い聞かせているけど、多分、このコハルの顔は聞いてないと思う。
くわぁ~っと、コハルが欠伸をすると、スクルードもつられて欠伸をして、コテンと電池切れの玩具の様に寝てしまうのだから、子供は電源のオンオフが突然という感じだ。
「さて、二人を寝せておくか」
「うん。ゆっくりね」
子供部屋に連れて行って二人を寝せると、目を開けたらパンチばかりする癖に、コハルがスクルードの手を握って寝ている。
ツンデレのデレは寝ている無意識化でしか発動しないのかな?
まぁ、そういう所も可愛いけど、出来れば、パンチを繰り出さない女の子に育って欲しい。
うちの娘達はヤンチャが過ぎるから……ミルアにしろナルアにしろ好戦的だし、ルーシーは唯一普通に思えるけど、三つ子の兄達であるティルナールとエルシオンには容赦なく飛び蹴りをベランダからしに行くような子だから……コハルだけは、元気でも良いから、おしとやかに育って欲しいけど、どうなるやら?
「寝顔だけなら可愛いんだけど……」
「起きてても、可愛いが?」
「ルーファスは親ばかなんだから」
「アカリに似てるから、可愛い」
私を抱き寄せて、顎を上に向かせると唇を重ねてくる。
食む様なキスを繰り返して、少しずつ息が上がり始めて、「はぅ」と小さく声を出すと、ルーファスの手が着物の前身頃から入り込んで、胸を触り始めた時、「ぴえぇぇ~っ」とスクルードの泣き声が上がる。
「どうしたの?」
「はるが、けったー」
寝ていても暴君……へにゃーとした可愛い笑顔で、コハルの足が小さく動いていた。
「これは、一緒に寝せるのは無理だな」
「そうだね。どんな子に育つのやらだねぇ」
少し前までは、エルシオンが我が家の泣き虫の名を欲しいままにしていたけど、最近はスクルードが泣き虫の名を欲しいままにしている。
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