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26章
収穫大宴の招待状
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秋も深まり始めた頃、一通の招待状が届いた。
『収穫大宴』という名前の宴が開かれるのだとか……
初耳の宴の名前に首を傾げると、ルーファスが「オレも初めてだが、昔から五十年に一度色々な貴族や王室の者が集まる宴だな」と言い、リュエールに招待状を渡すと「それ、僕にも来てるから父上宛ての物は自分で処理して」と言われてしまう。
確かにルーファスの名前が招待状には書かれていて、ついでのように私の名前もある。
ルーファスもリュエールも「面倒くさい」と肩眉を上げて同じ様な表情をしている。
「どうするの?」
「行かねばなるまい……ハァ……こちらは『蜜籠り』時期だというのに」
ルーファス、その一言は要らないと思うなーと、思えばリュエールも「まったくだよ」と同意見らしい。
まぁ、獣人の大人にとっては大事な子孫繁栄の時期なので、恥じることは無い事らしい。
「アカリ、近いうち宴に行かねばならん。【風雷商】でドレスを作るとしよう」
「私も行くの?」
「ああ、なるべくアカリは外に出したくないんだが、オレの番だからな。仕方がない」
「お作法とかある?」
「あるにはあるが、オレから離れなければ大丈夫だ」
迷子になったら駄目なやつですね。はい。自重します。
でも一般庶民に、貴族だ王族だが集まる宴に出ろとか無茶すぎやしませんかね? と、私は言いたい。
「キリン、キリンも行かないといけないから母上と一緒にドレスを作らないとね」
「ええっ!? わたしも!? そんなっ、一般庶民に偉い人と一緒の宴に出ろとか、無理だよ!?」
おお、キリンちゃん私と同じ意見だね。わかる! わかるよー!
キリンちゃんがシャルちゃんを抱いて、フルフル顔を横に振れば「ん―……父上達が行けばいいんだし、僕等は別にいいかなぁ……」とか言い出した。
私を一人にしないで、キリンちゃんッ!!!!
「キリンちゃん、ドレス可愛いの着ましょう!! キリンちゃんに似合う薄い緑のドレスとか凄く綺麗だと思うの!」
逃がしてなるものか~と、私は必死にドレスの可愛い物を次々に上げていき、リュエールが「それ、見てみたいなぁ」と言って、キリンちゃんも行くことが決定した。
やったー! 私はルーファスとキリンちゃんから離れないぞー!
だって、トイレとかは流石にルーファスと一緒は無理だから、キリンちゃんが居なかったら迷子確実だろうし、また迷子になって何かトラブルを起こそうものなら、今度こそ『籠の鳥』にされてしまう!
ちなみに『収穫大宴』というのは、収穫祭の貴族や王族だけの集まりの様な物で、自分達の国や土地で出来た一番良い物を宴に出したりする、いわば品評会の様な物で、気に入った物があれば交流の懸け橋にもなるという。
ある一定の爵位が無ければ参加は出来ないVIPの集まりなのだそうだ。
行かなければ下に見られる、貴族階級のよくわからないマウントの取り合い……らしい。
うわっ! 面倒くさそう! と、先程のルーファス達と同じ顔を私もしそう。
でも、温泉大陸以外の美味しい物が食べられるのは、素直に「いっぱい食べたーい!」と食いしん坊な私が顔を覗かせる。
ルーファスとリュエールは「どれを持ち込む?」と温泉大陸の名産品を前に「ふむ」と唸っている。
魔力は高い野菜などは多いけれど、温泉大陸産となると、なかなかに難しい。
温牛は魔国の魔牛が温泉大陸で少し変化したもので、元をただせば魔国の名産の様なものだし、バナナもミシリマーフ国の物だし、ミッカはどの国でも採れる。ただ、温泉大陸のミッカは地熱でどの季節でも収穫可能なものではある。
「コハルはどうするんです?」
「流石にコハルを連れて行くのは危険だから、今回はハガネに冬眠をしないように頼んでおこう」
今年もハガネの冬眠はないようだ。
まぁ、貉族は冬眠をしても浅い眠りなので、してもしなくても大丈夫らしい。
それにスクルードの魔法を見ている間は休む暇は無いと言っている。
それ程までに異世界渡りの魔法や時空魔法に関しては、ハガネは教えれることは全部教え込むつもりらしい。
私やルーファスが教えてあげられたら良かったのだけど、ハガネ程の魔法の知識も無ければ教えれる技量も無いのが残念なところだ。
「シャルが心配だけど、大丈夫かな?」
「シャルにはハガネも居るし、屋敷に従業員を警備に張り付かせるよ」
それにいざとなれば、魔法でここに様子を見に帰るしねと、リュエールがキリンちゃんに安心させる様に言い、『収穫大宴』が開催される前に、色々準備をすることで私達は忙しくなった。
次の日には【風雷商】の商人さんが我が家に来て、ドレスのデザインカタログや布を見せてくれて、オーダーメイドで作ってもらうことになった。
私のドレスは黒い生地にバックスタイルに金色の薔薇。そしてロングトレーンのドレープ、胸元のビーディングとドレープスカートには金薔薇のコサージュがついている。
髪にも金のコサージュと白い真珠を飾る予定である。そして指輪は結婚式で貰ったブラックダイヤにイエローダイヤの物を付けるつもりだ。
ネックレスは涙の形をしたブラックダイヤのシンプルな物に耳飾りは小さな親指の爪ぐらいの黒い珠に【狼】と金文字で彫られた物をしている。
迷子防止の音の鳴る耳飾りの小さいバージョンです。信用の無い私です。はい……
キリンちゃんは私のドレスと色違いで薄い黄緑色の明るいシルク素材の物に金の薔薇にしている。
腕輪通信も金に緑の物だから、つけていても違和感は無いし、リュエールが送った結婚指輪もそのドレスにはぴったりだ。
『収穫大宴』の日程が迫る頃……ドレスも出来上がり、私とキリンちゃんは呻いていた……
私はダンスが破壊的に出来ない。キリンちゃんはドレスのような服を着て、上手く移動が出来ないという問題に「うあぁぁぁ」と二人でギルさんの屋敷で、ギルさんの指導の元、床に突っ伏していたのだった。
『収穫大宴』という名前の宴が開かれるのだとか……
初耳の宴の名前に首を傾げると、ルーファスが「オレも初めてだが、昔から五十年に一度色々な貴族や王室の者が集まる宴だな」と言い、リュエールに招待状を渡すと「それ、僕にも来てるから父上宛ての物は自分で処理して」と言われてしまう。
確かにルーファスの名前が招待状には書かれていて、ついでのように私の名前もある。
ルーファスもリュエールも「面倒くさい」と肩眉を上げて同じ様な表情をしている。
「どうするの?」
「行かねばなるまい……ハァ……こちらは『蜜籠り』時期だというのに」
ルーファス、その一言は要らないと思うなーと、思えばリュエールも「まったくだよ」と同意見らしい。
まぁ、獣人の大人にとっては大事な子孫繁栄の時期なので、恥じることは無い事らしい。
「アカリ、近いうち宴に行かねばならん。【風雷商】でドレスを作るとしよう」
「私も行くの?」
「ああ、なるべくアカリは外に出したくないんだが、オレの番だからな。仕方がない」
「お作法とかある?」
「あるにはあるが、オレから離れなければ大丈夫だ」
迷子になったら駄目なやつですね。はい。自重します。
でも一般庶民に、貴族だ王族だが集まる宴に出ろとか無茶すぎやしませんかね? と、私は言いたい。
「キリン、キリンも行かないといけないから母上と一緒にドレスを作らないとね」
「ええっ!? わたしも!? そんなっ、一般庶民に偉い人と一緒の宴に出ろとか、無理だよ!?」
おお、キリンちゃん私と同じ意見だね。わかる! わかるよー!
キリンちゃんがシャルちゃんを抱いて、フルフル顔を横に振れば「ん―……父上達が行けばいいんだし、僕等は別にいいかなぁ……」とか言い出した。
私を一人にしないで、キリンちゃんッ!!!!
「キリンちゃん、ドレス可愛いの着ましょう!! キリンちゃんに似合う薄い緑のドレスとか凄く綺麗だと思うの!」
逃がしてなるものか~と、私は必死にドレスの可愛い物を次々に上げていき、リュエールが「それ、見てみたいなぁ」と言って、キリンちゃんも行くことが決定した。
やったー! 私はルーファスとキリンちゃんから離れないぞー!
だって、トイレとかは流石にルーファスと一緒は無理だから、キリンちゃんが居なかったら迷子確実だろうし、また迷子になって何かトラブルを起こそうものなら、今度こそ『籠の鳥』にされてしまう!
ちなみに『収穫大宴』というのは、収穫祭の貴族や王族だけの集まりの様な物で、自分達の国や土地で出来た一番良い物を宴に出したりする、いわば品評会の様な物で、気に入った物があれば交流の懸け橋にもなるという。
ある一定の爵位が無ければ参加は出来ないVIPの集まりなのだそうだ。
行かなければ下に見られる、貴族階級のよくわからないマウントの取り合い……らしい。
うわっ! 面倒くさそう! と、先程のルーファス達と同じ顔を私もしそう。
でも、温泉大陸以外の美味しい物が食べられるのは、素直に「いっぱい食べたーい!」と食いしん坊な私が顔を覗かせる。
ルーファスとリュエールは「どれを持ち込む?」と温泉大陸の名産品を前に「ふむ」と唸っている。
魔力は高い野菜などは多いけれど、温泉大陸産となると、なかなかに難しい。
温牛は魔国の魔牛が温泉大陸で少し変化したもので、元をただせば魔国の名産の様なものだし、バナナもミシリマーフ国の物だし、ミッカはどの国でも採れる。ただ、温泉大陸のミッカは地熱でどの季節でも収穫可能なものではある。
「コハルはどうするんです?」
「流石にコハルを連れて行くのは危険だから、今回はハガネに冬眠をしないように頼んでおこう」
今年もハガネの冬眠はないようだ。
まぁ、貉族は冬眠をしても浅い眠りなので、してもしなくても大丈夫らしい。
それにスクルードの魔法を見ている間は休む暇は無いと言っている。
それ程までに異世界渡りの魔法や時空魔法に関しては、ハガネは教えれることは全部教え込むつもりらしい。
私やルーファスが教えてあげられたら良かったのだけど、ハガネ程の魔法の知識も無ければ教えれる技量も無いのが残念なところだ。
「シャルが心配だけど、大丈夫かな?」
「シャルにはハガネも居るし、屋敷に従業員を警備に張り付かせるよ」
それにいざとなれば、魔法でここに様子を見に帰るしねと、リュエールがキリンちゃんに安心させる様に言い、『収穫大宴』が開催される前に、色々準備をすることで私達は忙しくなった。
次の日には【風雷商】の商人さんが我が家に来て、ドレスのデザインカタログや布を見せてくれて、オーダーメイドで作ってもらうことになった。
私のドレスは黒い生地にバックスタイルに金色の薔薇。そしてロングトレーンのドレープ、胸元のビーディングとドレープスカートには金薔薇のコサージュがついている。
髪にも金のコサージュと白い真珠を飾る予定である。そして指輪は結婚式で貰ったブラックダイヤにイエローダイヤの物を付けるつもりだ。
ネックレスは涙の形をしたブラックダイヤのシンプルな物に耳飾りは小さな親指の爪ぐらいの黒い珠に【狼】と金文字で彫られた物をしている。
迷子防止の音の鳴る耳飾りの小さいバージョンです。信用の無い私です。はい……
キリンちゃんは私のドレスと色違いで薄い黄緑色の明るいシルク素材の物に金の薔薇にしている。
腕輪通信も金に緑の物だから、つけていても違和感は無いし、リュエールが送った結婚指輪もそのドレスにはぴったりだ。
『収穫大宴』の日程が迫る頃……ドレスも出来上がり、私とキリンちゃんは呻いていた……
私はダンスが破壊的に出来ない。キリンちゃんはドレスのような服を着て、上手く移動が出来ないという問題に「うあぁぁぁ」と二人でギルさんの屋敷で、ギルさんの指導の元、床に突っ伏していたのだった。
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