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26章
可愛い番 ルーファス視点
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今日は朝から子供達がそれぞれ屋敷を出て夏休みを謳歌している為に、屋敷に居るのは昨日の結婚式で風邪をひいた息子嫁のキリンに、孫のレーネル、シャル、ルビス。
そして自分の番のアカリと生まれて四ヶ月半になる娘のコハルだ。
アカリの作った弁当を食べた後、子供達はお腹がいっぱいになったのか昼寝に入り、カウチソファの上ではニクストローブとスピナとエデンが丸まって寝ている。
今元気に起きているのは、オレとコハルとアカリの三人ぐらいだろう。
「コハル、ほら見てごらん。虹だよー」
「んきゃー」
アカリが水魔法で庭に水を撒いて虹を作り、それをコハルと一緒に見て楽しんでいる。
うちの番と娘はどうしてこんなに可愛いのか……のんびりとした何気ないこうした日々が、番が居るというだけで、こうして彩られて華やかなものになっていく幸せを実感せずにはいられない。
「見て、ルーファス。虹が綺麗でしょう?」
楽しそうに笑って見上げてくるアカリに、「綺麗なのはアカリだ」と思いながら頷く。
アカリが庭に水を撒き終わると、満足そうにコハルを連れて戻ってきて、オレにコハルを預けると、台所から冷たい茶を持って戻ってくる。
「ルーファスもお茶どうぞ」
「ありがとう」
礼を言って茶を飲んでいると「ただいまですわー」と昨日嫁に行ったはずのミルアの声がする。
「あら? ミルアったら、もう帰ってきたみたい」
ふふっと笑って朱里が出迎えに行き、ミルアが大広間に顔を出す。
薄緑色の浴衣にお菓子の絵が入っている少しユニークな浴衣を着こなし、手にはピンクと白のストライプの入った紙袋を下げて「父上、お土産ですの」とミルアは笑う。
アカリに子供の頃はよく似ていたが成長すると、アルバムで見たアカリの母親に顔が似てきている気がする。
「ミールは一緒では無いのか?」
「ミールなら昨日散々飲み潰されて、今も頭が痛いと魘されていますわ」
ああ、うちの従業員達の洗礼を受けてしまったのか……あいつ等は結婚式の花婿に酒をしこたま飲ませて、忘れられない初夜を迎えさせるということをする事がある。
花嫁は折角の初夜を台無しにされたと怒り、花婿はそれで尻に敷かれるという……その話を肴に酒の席などで揶揄うのがうちの従業員達なのだから困ったものだ。
今回もそれなのだろう。やれやれ、先輩という権限を掲げられてミールも断れなかったに違いない。
「新居の方はどうだ?」
「うーん。住んでみると、色々とこれが足りないっていう物に気付きますわね」
「まぁ、そういうものだろうな」
ミルアとミールの新居はシュトラールが住んでいる新築地区に、ミルアの趣味が前面に出ている丸い感じの家が建てられている。ミルアいわくメリーゴーランドのような家……らしい。
足りない物は二人で色々揃えていけば良いだろうと思うが、親としては不便をしているなら直ぐに揃えてやりたいと思ってしまうのは、少し子離れが出来ていないだろうか?
「ミルア、冷たいお茶どうぞ」
「母上、ありがとうですの。母上、ナルちゃんとルーシーはポプリ作りですの?」
「ええ。ミルアは作りにいかなくて良かったの?」
「わたくしはミールと離れて暮らすわけじゃありませんもの」
アカリにミルアから貰った土産を手渡すと「わぁ! シュークリーム! おやつにしましょう!」と、アカリがフンフンと鼻歌交じりに台所に持っていき、皿に盛りつけるとニコニコ顔で戻ってくる。
「はい。ルーファス、ミルアも」
シュークリームの乗った皿を手渡され、食べようと口を開くとコハルが「あー」と声を出してシュークリームん手を伸ばす。
流石にまだコハルには早いと思うが、仲間外れも可哀想か?
「ルーファス、駄目ですよー? コハルに生クリームはまだ早ーい」
「うにゃー」
「しかし、コハルが文句を言っているが……」
「ルーファス、メッ。良い匂いをさせた私達も悪いけど、コハルにはまだ駄目」
ここは母親であるアカリの意見を素直に聞いておこう。
コハルが大きくなったらいっぱい買って食べさせてやろう。今はしばらく我慢だ。
しかし、「メッ」と言う、アカリの上目遣いでお困ったような怒った顔はとても可愛い。
オレの番は仕草の一つ一つが可愛くてたまらない。
「んーっ、美味しいっ!」
「んーっ、たまりませんわ!」
目を閉じて頬に手を当てながら食べるポーズは母娘そっくりで、うちの番と娘が可愛いとなってしまう。
どうも、アカリや娘を前にすると「可愛い」が一番先にきてしまう。
「「ただいまー! あっ、なんかおやつの匂い!」」
バタバタと玄関が騒がしくなると、ティルナールとエルシオンが大広間に走り込んできて、オレの顔を見ると水玉で手を洗ってニッと白い歯を見せて笑うと、アカリに「母上おやつ!」と騒ぐ。
可愛いアカリの食べる姿を見ていたかったのだが、うちのやんちゃ坊主達のオヤツコールにアカリが食べかけのシュークリームを皿の上に置いて、台所へ二人の分を取りに行くと縁側からアルビーとアクエレインも帰ってくる。
「川のぬしは捕まえられたか?」
「一応ねー……でも、変質しちゃってて称号は無かったよー」
「一応、母上にお土産で持って帰ってきたよ」
アルビーが「呪いは無くなってたから食べれるかもよ?」とフフッと笑いながら、こぢんまりとした川のぬしを指にぶら下げる。
昔はハガネよりも大きなサイズだったが、変質して指で摘まめるほど小さくなってしまったとは……川のぬしも災難なことだ。
「アルビー、アクエレインおかえりー……って、なにそのピンクのタツノオトシゴ!?」
アカリが川のぬしを指さして『タツノオトシゴ』と呼び、異世界にも同じようなものがいるらしい。
聞いたところ、タツノオトシゴというのはオスが腹の中でメスの卵を稚魚になるまで育てるのだとか……どんな生物なんだそれは……異世界は奇妙な生き物がいるらしい。
ちなみに「竜の落とし子」と書いたり「海馬」と書くらしい。
ドラゴンや馬に似てる感じだからかな? と、言われてアルビー達ドラゴンが「どこが!?」と声を上げていた。
「アルビー達をミイラみたいに干からびさせたら……似てるかも?」
「「「ドラゴンスレイヤーだー!!」」」
アカリの一言にドラゴンが大騒ぎして、アカリが「冗談だよー」とキャラキャラ笑っていた。
やはり、オレの番は可愛い。
そして自分の番のアカリと生まれて四ヶ月半になる娘のコハルだ。
アカリの作った弁当を食べた後、子供達はお腹がいっぱいになったのか昼寝に入り、カウチソファの上ではニクストローブとスピナとエデンが丸まって寝ている。
今元気に起きているのは、オレとコハルとアカリの三人ぐらいだろう。
「コハル、ほら見てごらん。虹だよー」
「んきゃー」
アカリが水魔法で庭に水を撒いて虹を作り、それをコハルと一緒に見て楽しんでいる。
うちの番と娘はどうしてこんなに可愛いのか……のんびりとした何気ないこうした日々が、番が居るというだけで、こうして彩られて華やかなものになっていく幸せを実感せずにはいられない。
「見て、ルーファス。虹が綺麗でしょう?」
楽しそうに笑って見上げてくるアカリに、「綺麗なのはアカリだ」と思いながら頷く。
アカリが庭に水を撒き終わると、満足そうにコハルを連れて戻ってきて、オレにコハルを預けると、台所から冷たい茶を持って戻ってくる。
「ルーファスもお茶どうぞ」
「ありがとう」
礼を言って茶を飲んでいると「ただいまですわー」と昨日嫁に行ったはずのミルアの声がする。
「あら? ミルアったら、もう帰ってきたみたい」
ふふっと笑って朱里が出迎えに行き、ミルアが大広間に顔を出す。
薄緑色の浴衣にお菓子の絵が入っている少しユニークな浴衣を着こなし、手にはピンクと白のストライプの入った紙袋を下げて「父上、お土産ですの」とミルアは笑う。
アカリに子供の頃はよく似ていたが成長すると、アルバムで見たアカリの母親に顔が似てきている気がする。
「ミールは一緒では無いのか?」
「ミールなら昨日散々飲み潰されて、今も頭が痛いと魘されていますわ」
ああ、うちの従業員達の洗礼を受けてしまったのか……あいつ等は結婚式の花婿に酒をしこたま飲ませて、忘れられない初夜を迎えさせるということをする事がある。
花嫁は折角の初夜を台無しにされたと怒り、花婿はそれで尻に敷かれるという……その話を肴に酒の席などで揶揄うのがうちの従業員達なのだから困ったものだ。
今回もそれなのだろう。やれやれ、先輩という権限を掲げられてミールも断れなかったに違いない。
「新居の方はどうだ?」
「うーん。住んでみると、色々とこれが足りないっていう物に気付きますわね」
「まぁ、そういうものだろうな」
ミルアとミールの新居はシュトラールが住んでいる新築地区に、ミルアの趣味が前面に出ている丸い感じの家が建てられている。ミルアいわくメリーゴーランドのような家……らしい。
足りない物は二人で色々揃えていけば良いだろうと思うが、親としては不便をしているなら直ぐに揃えてやりたいと思ってしまうのは、少し子離れが出来ていないだろうか?
「ミルア、冷たいお茶どうぞ」
「母上、ありがとうですの。母上、ナルちゃんとルーシーはポプリ作りですの?」
「ええ。ミルアは作りにいかなくて良かったの?」
「わたくしはミールと離れて暮らすわけじゃありませんもの」
アカリにミルアから貰った土産を手渡すと「わぁ! シュークリーム! おやつにしましょう!」と、アカリがフンフンと鼻歌交じりに台所に持っていき、皿に盛りつけるとニコニコ顔で戻ってくる。
「はい。ルーファス、ミルアも」
シュークリームの乗った皿を手渡され、食べようと口を開くとコハルが「あー」と声を出してシュークリームん手を伸ばす。
流石にまだコハルには早いと思うが、仲間外れも可哀想か?
「ルーファス、駄目ですよー? コハルに生クリームはまだ早ーい」
「うにゃー」
「しかし、コハルが文句を言っているが……」
「ルーファス、メッ。良い匂いをさせた私達も悪いけど、コハルにはまだ駄目」
ここは母親であるアカリの意見を素直に聞いておこう。
コハルが大きくなったらいっぱい買って食べさせてやろう。今はしばらく我慢だ。
しかし、「メッ」と言う、アカリの上目遣いでお困ったような怒った顔はとても可愛い。
オレの番は仕草の一つ一つが可愛くてたまらない。
「んーっ、美味しいっ!」
「んーっ、たまりませんわ!」
目を閉じて頬に手を当てながら食べるポーズは母娘そっくりで、うちの番と娘が可愛いとなってしまう。
どうも、アカリや娘を前にすると「可愛い」が一番先にきてしまう。
「「ただいまー! あっ、なんかおやつの匂い!」」
バタバタと玄関が騒がしくなると、ティルナールとエルシオンが大広間に走り込んできて、オレの顔を見ると水玉で手を洗ってニッと白い歯を見せて笑うと、アカリに「母上おやつ!」と騒ぐ。
可愛いアカリの食べる姿を見ていたかったのだが、うちのやんちゃ坊主達のオヤツコールにアカリが食べかけのシュークリームを皿の上に置いて、台所へ二人の分を取りに行くと縁側からアルビーとアクエレインも帰ってくる。
「川のぬしは捕まえられたか?」
「一応ねー……でも、変質しちゃってて称号は無かったよー」
「一応、母上にお土産で持って帰ってきたよ」
アルビーが「呪いは無くなってたから食べれるかもよ?」とフフッと笑いながら、こぢんまりとした川のぬしを指にぶら下げる。
昔はハガネよりも大きなサイズだったが、変質して指で摘まめるほど小さくなってしまったとは……川のぬしも災難なことだ。
「アルビー、アクエレインおかえりー……って、なにそのピンクのタツノオトシゴ!?」
アカリが川のぬしを指さして『タツノオトシゴ』と呼び、異世界にも同じようなものがいるらしい。
聞いたところ、タツノオトシゴというのはオスが腹の中でメスの卵を稚魚になるまで育てるのだとか……どんな生物なんだそれは……異世界は奇妙な生き物がいるらしい。
ちなみに「竜の落とし子」と書いたり「海馬」と書くらしい。
ドラゴンや馬に似てる感じだからかな? と、言われてアルビー達ドラゴンが「どこが!?」と声を上げていた。
「アルビー達をミイラみたいに干からびさせたら……似てるかも?」
「「「ドラゴンスレイヤーだー!!」」」
アカリの一言にドラゴンが大騒ぎして、アカリが「冗談だよー」とキャラキャラ笑っていた。
やはり、オレの番は可愛い。
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