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25章
おヨメさまと愛のコイン
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ベネティクタの観光名所で有名な場所といえば、大聖堂のステンドグラスなのだそうだ。
そこでは予約すれば結婚式も出来るのだとか。乙女の夢ですね! 私はそういうの好きですよ! 大好物といってもいいかも?
ちなみに、その大聖堂では自分のデザインしたステンドグラスや陶器の上にステンドグラスで縁取られたオリジナルのティーカップや花瓶なども作れるらしい。
カシャッとカメラで街のあちこちを撮ったり、ルーファスと一緒に自撮りしたりして、遅ればせながらの自撮りブームの到来である。
ありすさんが自撮り要素もカメラの機能に付けたので、練習しましたとも……私は携帯だったから、スマホのようなインカメラの自撮り機能はあっても画面が小さいから、使ったことが無かったのだ。
「ルーファス。大聖堂って、あの白くて大きな建物かな?」
「いや、あれは魔法歴史博物館だな。リューが行ってこいと言っていたやつだ」
「んーっ、では無視の方向で! さぁ大聖堂はどこかなー?」
わざとらしい位に手で回れ右と言わんばかりに、ルーファスに行く方向を指さす。
リュエールの「行ってこい」は、なにがあるか分からないからパスです! パス!
「大聖堂は……ここの地図はわかり辛いな。ええと、魔法歴史博物館から左に三本目の道を行くみたいだ」
「この都市ってほんとに入り組んでるよねぇ……私、同じ場所をぐるぐるしてる気すらするよ」
私が首を振ると、ルーファスが「アカリが迷子にならないように、しっかりオレが覚えないとな」とニッコリ笑う。
うーん。反論出来ない。
それに私はルーファスの腕に抱き上げられているから、ルーファスが道に迷わない限りは迷わない。
たまには自分で歩こうかと思ったけど、昨日の夜お酒を飲んで色々しちゃったみたいで、朝起きたら腰が抜けていた。
朝一番に起きたら、ルーファスの顔や体に口紅付きのキスマークが散っていて……一瞬、どこの夜のお店で遊んできたのか! と、騒ぐところだった。
でも、口紅の色が私の口紅だし、ベッドサイドに私の口紅が……犯人は私しか居ない訳で、お酒に酔った私はなにをやらかしたのか!!
頑張って立ち上がると、足がプルプルして生まれたての小鹿状態だった。
しかも「今度は裸エプロン、してくれるんだろ?」と言うルーファスの言葉に、本当に私、なに言ったんだ! と、自分を自分で問い詰めたい。
でも、ルーファスは朝から私を甘やかしまくりで、服を着るのも靴を履かせてくれたのもルーファスで、お姫様というか、お嬢様と執事のような感じだ。
そんな訳で私は、ルーファスに抱き上げられて移動している。
「大聖堂が見えたぞ」
「わぁ! 外から見える窓全部ステンドグラスだ~」
大聖堂は白い縦長の建物で、細い窓ガラスが幾つも並び、その全てがステンドグラスだった。
中に入ると、長細い旗が上から吊るされていて、緑色の旗に白い大きな大樹の絵が描かれていて真ん中に五つの色が輪の中に描かれている。
「この旗のマークはなんだろ?」
「これはこの都市のマークだ。ドリアードの大樹にこのベネティクタの魔法学園の五つの色が描かれている」
「なるほど。あっ、ホールの真ん中に三角のクリスタルがあるよ」
入って直ぐのホールに三角のクリスタルが浮いていた。その下には小さな噴水があり、見たことのない銀色のコインが沈んでいる。
「このコインは何かな?」
「さぁ? 聞いてみるか。そこの牧師、このコインは何だか教えて貰えるか?」
ルーファスが近くに居た白いローブに赤くて細長い襷のような物を肩から掛けている牧師さんに声を掛ける。
「これは魔法の愛のコインですよ。二人の愛が永遠にこの噴水によって、清らかなままいられるようにと、願いを込めて入れる物です。このクリスタルに愛する二人が手を付けると、コインが出ます」
「愛が無ければコインは出ないんですか?」
「ええ。どういう仕組みなのか私共にも分かりませんが」
これで出なかったら恥ずかしい……番なのに出ないとかあるかなぁ?
ルーファスと一緒にクリスタルに手を付けると、コインが一枚出た。良かったぁ~! これで出なかったら責任者を呼んでちょうだい! って泣き叫ぶところだったよ。
ルーファスがコインを私に見してくれて、コインには名前が刻まれていた。
表には『Rufus&Akari』裏には『All my love』と書かれていた。
「これはローマ字だね」
「なんて書いてあるんだ?」
「こっちの表面が『ルーファスとアカリ』で、こっちの裏がAllが全てで、myが私で、loveは愛だから……『私の愛の全て』って言葉になるかな?」
良かった。難しい英語じゃなくて!
ホッとしつつルーファスを見上げると、「オレの愛の全て」と私の唇にキスをしてきた。
牧師さんの前なのだけどー!!
しかも、なんだか私にも要求するように期待した目をして、顔を近付けたままだし……くぅっ。
「私の愛の全て」
チュッと軽くキスを返すと、ルーファスは尻尾を嬉しそうにパタパタさせながら、噴水にコインを入れた。
顔から火が出るかと思った……牧師さんがニコニコしている人で良かった。
それにしても、他のコインもよく見れば、英語で書かれている。結構、バラバラの文字のようだ。
『Ban on fool』……馬鹿禁止……いや、この場合は浮気禁止という意味かな?
「これでオレ達の愛は永遠にここに残るな」
「ふふっ、そうだね。ついでだから、私も噴水触っちゃお」
手を噴水に入れると、銀色のコインがくすんだ物も綺麗な銀色になったような気がする。私の【聖域】ついに腐食まで防止するようになったのかな?
そこでは予約すれば結婚式も出来るのだとか。乙女の夢ですね! 私はそういうの好きですよ! 大好物といってもいいかも?
ちなみに、その大聖堂では自分のデザインしたステンドグラスや陶器の上にステンドグラスで縁取られたオリジナルのティーカップや花瓶なども作れるらしい。
カシャッとカメラで街のあちこちを撮ったり、ルーファスと一緒に自撮りしたりして、遅ればせながらの自撮りブームの到来である。
ありすさんが自撮り要素もカメラの機能に付けたので、練習しましたとも……私は携帯だったから、スマホのようなインカメラの自撮り機能はあっても画面が小さいから、使ったことが無かったのだ。
「ルーファス。大聖堂って、あの白くて大きな建物かな?」
「いや、あれは魔法歴史博物館だな。リューが行ってこいと言っていたやつだ」
「んーっ、では無視の方向で! さぁ大聖堂はどこかなー?」
わざとらしい位に手で回れ右と言わんばかりに、ルーファスに行く方向を指さす。
リュエールの「行ってこい」は、なにがあるか分からないからパスです! パス!
「大聖堂は……ここの地図はわかり辛いな。ええと、魔法歴史博物館から左に三本目の道を行くみたいだ」
「この都市ってほんとに入り組んでるよねぇ……私、同じ場所をぐるぐるしてる気すらするよ」
私が首を振ると、ルーファスが「アカリが迷子にならないように、しっかりオレが覚えないとな」とニッコリ笑う。
うーん。反論出来ない。
それに私はルーファスの腕に抱き上げられているから、ルーファスが道に迷わない限りは迷わない。
たまには自分で歩こうかと思ったけど、昨日の夜お酒を飲んで色々しちゃったみたいで、朝起きたら腰が抜けていた。
朝一番に起きたら、ルーファスの顔や体に口紅付きのキスマークが散っていて……一瞬、どこの夜のお店で遊んできたのか! と、騒ぐところだった。
でも、口紅の色が私の口紅だし、ベッドサイドに私の口紅が……犯人は私しか居ない訳で、お酒に酔った私はなにをやらかしたのか!!
頑張って立ち上がると、足がプルプルして生まれたての小鹿状態だった。
しかも「今度は裸エプロン、してくれるんだろ?」と言うルーファスの言葉に、本当に私、なに言ったんだ! と、自分を自分で問い詰めたい。
でも、ルーファスは朝から私を甘やかしまくりで、服を着るのも靴を履かせてくれたのもルーファスで、お姫様というか、お嬢様と執事のような感じだ。
そんな訳で私は、ルーファスに抱き上げられて移動している。
「大聖堂が見えたぞ」
「わぁ! 外から見える窓全部ステンドグラスだ~」
大聖堂は白い縦長の建物で、細い窓ガラスが幾つも並び、その全てがステンドグラスだった。
中に入ると、長細い旗が上から吊るされていて、緑色の旗に白い大きな大樹の絵が描かれていて真ん中に五つの色が輪の中に描かれている。
「この旗のマークはなんだろ?」
「これはこの都市のマークだ。ドリアードの大樹にこのベネティクタの魔法学園の五つの色が描かれている」
「なるほど。あっ、ホールの真ん中に三角のクリスタルがあるよ」
入って直ぐのホールに三角のクリスタルが浮いていた。その下には小さな噴水があり、見たことのない銀色のコインが沈んでいる。
「このコインは何かな?」
「さぁ? 聞いてみるか。そこの牧師、このコインは何だか教えて貰えるか?」
ルーファスが近くに居た白いローブに赤くて細長い襷のような物を肩から掛けている牧師さんに声を掛ける。
「これは魔法の愛のコインですよ。二人の愛が永遠にこの噴水によって、清らかなままいられるようにと、願いを込めて入れる物です。このクリスタルに愛する二人が手を付けると、コインが出ます」
「愛が無ければコインは出ないんですか?」
「ええ。どういう仕組みなのか私共にも分かりませんが」
これで出なかったら恥ずかしい……番なのに出ないとかあるかなぁ?
ルーファスと一緒にクリスタルに手を付けると、コインが一枚出た。良かったぁ~! これで出なかったら責任者を呼んでちょうだい! って泣き叫ぶところだったよ。
ルーファスがコインを私に見してくれて、コインには名前が刻まれていた。
表には『Rufus&Akari』裏には『All my love』と書かれていた。
「これはローマ字だね」
「なんて書いてあるんだ?」
「こっちの表面が『ルーファスとアカリ』で、こっちの裏がAllが全てで、myが私で、loveは愛だから……『私の愛の全て』って言葉になるかな?」
良かった。難しい英語じゃなくて!
ホッとしつつルーファスを見上げると、「オレの愛の全て」と私の唇にキスをしてきた。
牧師さんの前なのだけどー!!
しかも、なんだか私にも要求するように期待した目をして、顔を近付けたままだし……くぅっ。
「私の愛の全て」
チュッと軽くキスを返すと、ルーファスは尻尾を嬉しそうにパタパタさせながら、噴水にコインを入れた。
顔から火が出るかと思った……牧師さんがニコニコしている人で良かった。
それにしても、他のコインもよく見れば、英語で書かれている。結構、バラバラの文字のようだ。
『Ban on fool』……馬鹿禁止……いや、この場合は浮気禁止という意味かな?
「これでオレ達の愛は永遠にここに残るな」
「ふふっ、そうだね。ついでだから、私も噴水触っちゃお」
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