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25章
おヨメさまと一夜を (ルーファス視点)
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ワインを二本程二人で空けて、上機嫌な番が可愛らしいサクランボのような唇を少し尖らせて、音程のズレた口笛を吹く。
ワインで程よく体が温かくなったのか、夜風にあたりながら帰るのだと少し覚束ない足取りで先を歩く。
「えへへー。ほわほわしてる~んふふ」
「足元に気を付けろ」
注意してもアカリは「大丈夫!」と黒いドレスのスカートをふわりと広げて、笑っている。
まぁ、オレが注意して危なかったら手を差し伸べてコケないようにしてやればいいか……アカリが楽しそうだしな。
今日はドレスで可愛いお姫様なアカリが見たかったが、少しばかりワインを飲ませ過ぎた。
酒が入ると白い肌が桜色に色づくのが、なんとも美味そ……いや、ついついもう少し色づいたらどうなるか見てみたかったのだ。
「ルーファスぅ~、おっぱい溢れちゃった~」
「は?」
思わず間抜けな声を出すと、ドレスの背中の紐が解けたのか、胸部分のドレスの生地と胸を両手で押さえている。
「ほら、コートを着ておけと言っただろう?」
「やーん。コート熱い~」
ぷるぷると頭を左右に振って、オレの方を見上げると「抱っこ―」と両手を上げてくる。
ペロンとドレスの布地が下がり、胸のふくらみと先端の桃色の蕾がチラリと見え、慌てて抱き上げると上機嫌で頬を摺り寄せてくる。
「悪い酔っ払いだな」
「んーっ、ルーファスあったかーい」
毎回飲ませ過ぎるとこうなるが、これはこれでいつもとは違った顔が見れるので、アカリの全部を知りたいオレはアカリが自分で「もう飲めない~」と言うまでは早々止めることはあまりない。
この甘え切った顔と蕩ける様な微笑みが、今回の塔絡みのご褒美というところだろうか?
よじよじと首元まで顔を上げて、アカリが首筋を小さな口で齧りついてくる。
一体、何なのか? ぢゅっと吸っては舌でペロペロ舐めて歯を立てる。
くすぐったいやら、可愛いやらでアカリが首筋を噛みやすいように腕に乗せたアカリを、少し上にあげてやると、ちゅうちゅう吸って「んふーっ」と機嫌良さそうに声を出している。
「アカリ、そろそろ宿に着くが、このままで大丈夫か?」
「んんふぉ」
「いいよ」と言うことだろう。
きっと酔っていなければ「下ろしてー! 恥ずかしいから、お宿の人に見られるぅー」と騒いでいるだろう。
せめて背中が見えないように、アカリのコートを肩に掛けておき、フロントに入ると老婆のメイドが人の好さそうな笑顔で「おかえりなさいませ」と言ってくる。
「あらあら、奥様、酔われてしまったんですか?」
「少し飲み過ぎたようでな」
「やいよーぶ」
呂律の回っていない時点で大丈夫ではないが、アカリ本人は上機嫌だ。
「明日は奥様に朝はスッキリするようなハーブティーをお出ししますね」
「悪いな。助かるよ」
「えへへ~、ハーブティたのしみらね」
へにゃっと笑ったアカリを連れて、老婆のメイドに礼を言って部屋に戻ると、アカリを椅子に座らせピンヒールを脱がせる。
小さな足がピンヒールから自由になると、足の指を器用に動かす。
「かいほーかん!」
アカリはヒールのような靴で足を閉じ込めるのは好きではないらしく、足をパタパタと上下に動かして子供のようだ。
まぁ、ドレスの背中の紐が解けているせいで、胸もポロンと解放されているが……。
やはり、既製品のドレスではアカリのたわわな胸は収まらないらしい。
今度からアカリ用のドレスは、常に鍵の倉庫に入れて持ち歩くべきだな。
自分の方もコートと上着を脱いでいると、アカリが自分のハンドバッグを漁っている。
口紅を塗り直して、「んふーっ」とコンパクトミラーを見て唇を動かしている。
末の息子のスクルードが笑う時「んふーっ」と、よく言っていたが、あれはアカリの笑い方の真似だったのだろうか?
「アカリ、風呂はどうする?」
「お風呂……ご褒美の、あ・と・で」
少し区切りながら言って、アカリが塗り直した口紅付きの可愛い唇に弧を描く。
まるで小さな小悪魔のように妖艶な笑みでドレスを脱ぐと……ドレスをたたみ始める。
うちの番は、やはり酔っていても、妖艶にみせても、基本、家庭的なままなのだ。
下着も脱いでたたみ始め、『ご褒美』とは何だったのか!? と、少し思うが、相手は酔っ払いである。
きっと、このまま気持ち良く寝てしまうのだろう。
「すぴぃー……」
「やはりか……」
少しだけ期待したオレもまだまだ修行が足りない。
床の上で気持ちよさそうに寝入ってしまったアカリを抱き上げて、ベッドにゆっくり寝かせる。
布団を被せると丸くなってしまう。
子猫のような眠り方に少し口元が緩む。
「良い夢を」
おでこにキスをして、風呂に入りに行く。
寝る前にアカリに寝着を着せておかなくてはなと思いつつ、昼間に火の塔長に尻尾の毛を焼かれたので少し念入りに洗っておく。
一応、焦げ付きは切ったが、この尻尾はアカリが「綺麗ふわふわでサラサラ~」と自慢気に頬を摺り寄せる場所なので、焦げ付いた匂いを残すわけにはいかない。
ふぅ、少し洗うのに必死で長風呂をし過ぎた。
浴室から出ると、部屋から小さく喘ぐような甘い声がした。
ワインで程よく体が温かくなったのか、夜風にあたりながら帰るのだと少し覚束ない足取りで先を歩く。
「えへへー。ほわほわしてる~んふふ」
「足元に気を付けろ」
注意してもアカリは「大丈夫!」と黒いドレスのスカートをふわりと広げて、笑っている。
まぁ、オレが注意して危なかったら手を差し伸べてコケないようにしてやればいいか……アカリが楽しそうだしな。
今日はドレスで可愛いお姫様なアカリが見たかったが、少しばかりワインを飲ませ過ぎた。
酒が入ると白い肌が桜色に色づくのが、なんとも美味そ……いや、ついついもう少し色づいたらどうなるか見てみたかったのだ。
「ルーファスぅ~、おっぱい溢れちゃった~」
「は?」
思わず間抜けな声を出すと、ドレスの背中の紐が解けたのか、胸部分のドレスの生地と胸を両手で押さえている。
「ほら、コートを着ておけと言っただろう?」
「やーん。コート熱い~」
ぷるぷると頭を左右に振って、オレの方を見上げると「抱っこ―」と両手を上げてくる。
ペロンとドレスの布地が下がり、胸のふくらみと先端の桃色の蕾がチラリと見え、慌てて抱き上げると上機嫌で頬を摺り寄せてくる。
「悪い酔っ払いだな」
「んーっ、ルーファスあったかーい」
毎回飲ませ過ぎるとこうなるが、これはこれでいつもとは違った顔が見れるので、アカリの全部を知りたいオレはアカリが自分で「もう飲めない~」と言うまでは早々止めることはあまりない。
この甘え切った顔と蕩ける様な微笑みが、今回の塔絡みのご褒美というところだろうか?
よじよじと首元まで顔を上げて、アカリが首筋を小さな口で齧りついてくる。
一体、何なのか? ぢゅっと吸っては舌でペロペロ舐めて歯を立てる。
くすぐったいやら、可愛いやらでアカリが首筋を噛みやすいように腕に乗せたアカリを、少し上にあげてやると、ちゅうちゅう吸って「んふーっ」と機嫌良さそうに声を出している。
「アカリ、そろそろ宿に着くが、このままで大丈夫か?」
「んんふぉ」
「いいよ」と言うことだろう。
きっと酔っていなければ「下ろしてー! 恥ずかしいから、お宿の人に見られるぅー」と騒いでいるだろう。
せめて背中が見えないように、アカリのコートを肩に掛けておき、フロントに入ると老婆のメイドが人の好さそうな笑顔で「おかえりなさいませ」と言ってくる。
「あらあら、奥様、酔われてしまったんですか?」
「少し飲み過ぎたようでな」
「やいよーぶ」
呂律の回っていない時点で大丈夫ではないが、アカリ本人は上機嫌だ。
「明日は奥様に朝はスッキリするようなハーブティーをお出ししますね」
「悪いな。助かるよ」
「えへへ~、ハーブティたのしみらね」
へにゃっと笑ったアカリを連れて、老婆のメイドに礼を言って部屋に戻ると、アカリを椅子に座らせピンヒールを脱がせる。
小さな足がピンヒールから自由になると、足の指を器用に動かす。
「かいほーかん!」
アカリはヒールのような靴で足を閉じ込めるのは好きではないらしく、足をパタパタと上下に動かして子供のようだ。
まぁ、ドレスの背中の紐が解けているせいで、胸もポロンと解放されているが……。
やはり、既製品のドレスではアカリのたわわな胸は収まらないらしい。
今度からアカリ用のドレスは、常に鍵の倉庫に入れて持ち歩くべきだな。
自分の方もコートと上着を脱いでいると、アカリが自分のハンドバッグを漁っている。
口紅を塗り直して、「んふーっ」とコンパクトミラーを見て唇を動かしている。
末の息子のスクルードが笑う時「んふーっ」と、よく言っていたが、あれはアカリの笑い方の真似だったのだろうか?
「アカリ、風呂はどうする?」
「お風呂……ご褒美の、あ・と・で」
少し区切りながら言って、アカリが塗り直した口紅付きの可愛い唇に弧を描く。
まるで小さな小悪魔のように妖艶な笑みでドレスを脱ぐと……ドレスをたたみ始める。
うちの番は、やはり酔っていても、妖艶にみせても、基本、家庭的なままなのだ。
下着も脱いでたたみ始め、『ご褒美』とは何だったのか!? と、少し思うが、相手は酔っ払いである。
きっと、このまま気持ち良く寝てしまうのだろう。
「すぴぃー……」
「やはりか……」
少しだけ期待したオレもまだまだ修行が足りない。
床の上で気持ちよさそうに寝入ってしまったアカリを抱き上げて、ベッドにゆっくり寝かせる。
布団を被せると丸くなってしまう。
子猫のような眠り方に少し口元が緩む。
「良い夢を」
おでこにキスをして、風呂に入りに行く。
寝る前にアカリに寝着を着せておかなくてはなと思いつつ、昼間に火の塔長に尻尾の毛を焼かれたので少し念入りに洗っておく。
一応、焦げ付きは切ったが、この尻尾はアカリが「綺麗ふわふわでサラサラ~」と自慢気に頬を摺り寄せる場所なので、焦げ付いた匂いを残すわけにはいかない。
ふぅ、少し洗うのに必死で長風呂をし過ぎた。
浴室から出ると、部屋から小さく喘ぐような甘い声がした。
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