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25章
おヨメさまと五つの塔
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お宿の一階にある人が二十人程は入れそうな大きな応接間で、私はルーファスの膝の上でお人形さんのような状態で座って居る。
私達の前には、『塔長』と呼ばれる、塔で一番偉い人と『大隊長』がセットで五つの塔から来ている。
火の塔は呼んで無いのに、お宿の前で騒いでいたのでお宿の迷惑にもなるということで一応通しておいた。
大隊長のレベンさんは、今現在、他の火の塔の警備兵と一緒に土の塔で捕まえられている為に『塔長』さん一人である。
ちなみに何故、土の塔なのか? 火属性は土属性に対して魔法攻撃してもダメージが通りにくいからなのである。
あと、土の塔は犬獣人が多いこと。
犬は土掘るの好きだから……土属性と相性が良いのかも?
「今回の事件に関しては火の塔は関係は無く、ただどこよりも早く事件の収集に当たろうとした結果が……」
「その話をするなら、うちの息子にするんだな。今頃、罪状書類を作って送り付ける準備をしているだろうさ」
火の塔の塔長さんは広い額をハンカチで拭きながら、今にも倒れそうである。
元々、塔長さんは落ち武者のような頭で、あのアフロ達のせいで髪の毛が寂しかった所にリュエールのチクチク攻撃で頭部を広げているような……きっと気のせいということにしておこう。
「これだから、火属性は」
「暑苦しいだけの火属性は」
「ぐぬ……っ」
他の塔の塔長と大隊長達はここぞとばかりに火の塔をチクチク言っている。
一緒になって嫌味言ってる風の塔……あなた達はいきなり襲い掛かってきたことを忘れてはいないかな? と、問いただしたい。
「下らん話を繰り広げるなら、オレ達は部屋に戻らせてもらうが?」
ルーファスがギロリとそれぞれの塔の人々を睨みつけて、ようやく話し合いになった。
私達は護衛にケイを置いていて、ケイの大隊長辞職については、ケイは前々からミッシャさんが『開花無』を患っていることを言っていた為、残された時間を一緒に過ごす為に温泉大陸で暮らすことになったという理由で納得してもらったらしい。
私達と若い頃に出会い縁があった為、妻のことを話したところ、快く温泉大陸へ暮らす手筈を整えて貰った為に護衛としてこの席に立ち会っているという説明で通している。
嘘ではない。半分は。ミッシャさんはお店のお引越しをする準備を今はしていて、ご近所さんへの挨拶とか色々しているらしい。
「さて、オレ達が見たことは説明したと思うが、他に何が聞きだしたいんだ?」
塔の人達はこぞって言うのは「どの塔が一番初めに手を出したか」ということらしい。
一斉に「こいつ等のところの奴が先だろう!?」と騒ぎ立てるのは本当に止めて欲しい。いい年をした大人がなにを言い合っているのやらという感じである。
「「「「「なにをー!?」」」」」
喧嘩のような言い合いを始めた塔の人間に、ルーファスも呆れた目をしていて、お宿の人に出してもらったお茶とマドレーヌを私に「あーん」をして食べさせて無視している。
白い陶磁器のカップは水色と青の線が入っていて、ドラゴンが小さく描かれている。マドレーヌが四つ置いてある白いお皿も水色と青の線にドラゴンが描かれているのでセット物なのだろうけど、このお屋敷の人はドラゴンが本当に好きだったようだ。
ああ、それにしてもマドレーヌがしっとりしていて、レモーネのピューレ入りで美味しい。
うまうま。ここのお宿のお土産品で売っているのなら、お土産に買っていきたいところである。
「美味いか?」
「美味し~。ルーファスも、あーん」
バカップルのような感じで、私達は塔の人を無視することにした。
人の話を聞く気が無いなら、こっちも聞く気は無いし、折角の旅行なのだからいっぱいイチャついてやるのである。
ミルクティーも美味しい。少し匂いが独特だからアッサムの茶葉かな? このマドレーヌによく合う。
このお宿はお茶も美味しいからこのお宿にしたのは正解である。お宿を選んでくれたリュエールに感謝しておこう。
「ルーファス、この人達お話する気無いみたいだし、私お昼ご飯を決めに行きたいな~」
「そうだな。折角、旅行の予定をこいつ等の話に付き合っているのに、これではな……さて、どこに行くか?」
「今日は少し冷えるからー……」
私が「んーっ」と考えていると、塔の人の大隊長達が塔長をそれぞれ諫めて、慌てて塔長が私達の存在を思い出したようだ。
「申し訳ない。折角お時間を頂いたのに」
「まったくだ。次に話がズレたら、なにを言おうとオレ達は出掛ける」
ルーファスの言葉に私もコクコクと頷き、マドレーヌをもう一つ手に取ろうとしたら、マドレーヌがお皿に四つあったハズなのに、一つ無くなっている。
あれ? ルーファスが食べた……? そんな気配は無かったんだけどなぁ。
私が首を傾げている間に、ルーファスは塔の人に昨日、土の塔にも話した話をする。
「それに、オレ達は上の橋で光があったのに気付いてから見上げて見たのだから、どの塔が最初に手を出したかは知らん。魔法の前に、お前達のように口論していれば、それこそ分からんしな」
それはそうなんだよね。小さな魔法で相手を揶揄って先に手を出したりしていたら、下に居た私達が分かるわけは無い。
「それぞれ、その場に居た当事者に話を聞くべきことだろう? 被害者も少々怪しいと思うが、目は覚ましたのか?」
「火の塔は、最初に魔法を放ったのは水の使い手だと言っている」
「風の塔も、最初に手を出したのは水だと言っている」
「土の塔も右に同じだ」
「雷の塔も水が最初に橋で水を掛けてきたと言っている」
「ふざけるな! まだ意識が戻らないからと言って罪を擦りつける気か!」
水の塔の被害者と思われる人はまだ意識が戻っていないようだ。
でも、ここで少し思ったことがある。私はルーファスの服を引っ張って耳打ちをした。
私達の前には、『塔長』と呼ばれる、塔で一番偉い人と『大隊長』がセットで五つの塔から来ている。
火の塔は呼んで無いのに、お宿の前で騒いでいたのでお宿の迷惑にもなるということで一応通しておいた。
大隊長のレベンさんは、今現在、他の火の塔の警備兵と一緒に土の塔で捕まえられている為に『塔長』さん一人である。
ちなみに何故、土の塔なのか? 火属性は土属性に対して魔法攻撃してもダメージが通りにくいからなのである。
あと、土の塔は犬獣人が多いこと。
犬は土掘るの好きだから……土属性と相性が良いのかも?
「今回の事件に関しては火の塔は関係は無く、ただどこよりも早く事件の収集に当たろうとした結果が……」
「その話をするなら、うちの息子にするんだな。今頃、罪状書類を作って送り付ける準備をしているだろうさ」
火の塔の塔長さんは広い額をハンカチで拭きながら、今にも倒れそうである。
元々、塔長さんは落ち武者のような頭で、あのアフロ達のせいで髪の毛が寂しかった所にリュエールのチクチク攻撃で頭部を広げているような……きっと気のせいということにしておこう。
「これだから、火属性は」
「暑苦しいだけの火属性は」
「ぐぬ……っ」
他の塔の塔長と大隊長達はここぞとばかりに火の塔をチクチク言っている。
一緒になって嫌味言ってる風の塔……あなた達はいきなり襲い掛かってきたことを忘れてはいないかな? と、問いただしたい。
「下らん話を繰り広げるなら、オレ達は部屋に戻らせてもらうが?」
ルーファスがギロリとそれぞれの塔の人々を睨みつけて、ようやく話し合いになった。
私達は護衛にケイを置いていて、ケイの大隊長辞職については、ケイは前々からミッシャさんが『開花無』を患っていることを言っていた為、残された時間を一緒に過ごす為に温泉大陸で暮らすことになったという理由で納得してもらったらしい。
私達と若い頃に出会い縁があった為、妻のことを話したところ、快く温泉大陸へ暮らす手筈を整えて貰った為に護衛としてこの席に立ち会っているという説明で通している。
嘘ではない。半分は。ミッシャさんはお店のお引越しをする準備を今はしていて、ご近所さんへの挨拶とか色々しているらしい。
「さて、オレ達が見たことは説明したと思うが、他に何が聞きだしたいんだ?」
塔の人達はこぞって言うのは「どの塔が一番初めに手を出したか」ということらしい。
一斉に「こいつ等のところの奴が先だろう!?」と騒ぎ立てるのは本当に止めて欲しい。いい年をした大人がなにを言い合っているのやらという感じである。
「「「「「なにをー!?」」」」」
喧嘩のような言い合いを始めた塔の人間に、ルーファスも呆れた目をしていて、お宿の人に出してもらったお茶とマドレーヌを私に「あーん」をして食べさせて無視している。
白い陶磁器のカップは水色と青の線が入っていて、ドラゴンが小さく描かれている。マドレーヌが四つ置いてある白いお皿も水色と青の線にドラゴンが描かれているのでセット物なのだろうけど、このお屋敷の人はドラゴンが本当に好きだったようだ。
ああ、それにしてもマドレーヌがしっとりしていて、レモーネのピューレ入りで美味しい。
うまうま。ここのお宿のお土産品で売っているのなら、お土産に買っていきたいところである。
「美味いか?」
「美味し~。ルーファスも、あーん」
バカップルのような感じで、私達は塔の人を無視することにした。
人の話を聞く気が無いなら、こっちも聞く気は無いし、折角の旅行なのだからいっぱいイチャついてやるのである。
ミルクティーも美味しい。少し匂いが独特だからアッサムの茶葉かな? このマドレーヌによく合う。
このお宿はお茶も美味しいからこのお宿にしたのは正解である。お宿を選んでくれたリュエールに感謝しておこう。
「ルーファス、この人達お話する気無いみたいだし、私お昼ご飯を決めに行きたいな~」
「そうだな。折角、旅行の予定をこいつ等の話に付き合っているのに、これではな……さて、どこに行くか?」
「今日は少し冷えるからー……」
私が「んーっ」と考えていると、塔の人の大隊長達が塔長をそれぞれ諫めて、慌てて塔長が私達の存在を思い出したようだ。
「申し訳ない。折角お時間を頂いたのに」
「まったくだ。次に話がズレたら、なにを言おうとオレ達は出掛ける」
ルーファスの言葉に私もコクコクと頷き、マドレーヌをもう一つ手に取ろうとしたら、マドレーヌがお皿に四つあったハズなのに、一つ無くなっている。
あれ? ルーファスが食べた……? そんな気配は無かったんだけどなぁ。
私が首を傾げている間に、ルーファスは塔の人に昨日、土の塔にも話した話をする。
「それに、オレ達は上の橋で光があったのに気付いてから見上げて見たのだから、どの塔が最初に手を出したかは知らん。魔法の前に、お前達のように口論していれば、それこそ分からんしな」
それはそうなんだよね。小さな魔法で相手を揶揄って先に手を出したりしていたら、下に居た私達が分かるわけは無い。
「それぞれ、その場に居た当事者に話を聞くべきことだろう? 被害者も少々怪しいと思うが、目は覚ましたのか?」
「火の塔は、最初に魔法を放ったのは水の使い手だと言っている」
「風の塔も、最初に手を出したのは水だと言っている」
「土の塔も右に同じだ」
「雷の塔も水が最初に橋で水を掛けてきたと言っている」
「ふざけるな! まだ意識が戻らないからと言って罪を擦りつける気か!」
水の塔の被害者と思われる人はまだ意識が戻っていないようだ。
でも、ここで少し思ったことがある。私はルーファスの服を引っ張って耳打ちをした。
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