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25章
おヨメさまとお人形
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「針で刺したの! 自分で刺しちゃっただけなの! ポプリを作る体験してたのー!」
自分のドジさを声を大にして説明し、「大事なポプリの先生のミッシャさんのお店を壊しちゃダメ―!」と大騒ぎしてルーファスを止める羽目になった。
しかも、刺した指は舐められて血が止まるまでずっとペロペロチュウチュウされてるし、針で刺した血なんて直ぐ止まるのに、このせいでなかなか止まらないし……。
うう……っ、どんな羞恥プレイなのか!?
ケイはルーファスのことは報告はしないと言い、「自分の番に掛けて絶対です!」と、この世界では自分の命と同等の番に誓っているので、「そこら辺をブラブラして時間を潰してから、職場に戻ります」と言うケイの言葉を信じて、ミッシャさんのお店に私とルーファスは置いてもらっている。
ルーファスの膝の上で私はポプリ作りの続きをして、ルーファスは「アカリの匂いをオレも作ってみよう」と、試験管に入ったハーブ等を手にとっては首を傾げている。
ミッシャさんは私の狼のお人形作りの続きをしてくれている。
「ルーファス、私が気絶した後、なにがあったの?」
「アカリを抱いて魔法で応戦していたら、魔法省の水使い達まで来て、流石に弱点をつける雷魔法で一網打尽にしてしまった方が早いと思って、木の陰にアカリを置いて戦っていたら……他の塔の奴等まで来て、気付いたらアカリが攫われていた」
「ううっ、面目ないです……」
「いや、これはオレが悪い。アカリに手を出されたくなければ、事情聴取に応じろと言われてついて行ったが、アカリには会わせてもらえず、噛み殺してやろうかと思っていた」
あわわ……大惨事になる前で良かった……と、言うか、暴れてないよね?
チラッとルーファスを見上げれば、試験管の中の匂いと私の髪の匂いを比べている。
ああ~っ、さっき階段下りまくりで汗かいてたから変な匂いしてるかも、ひぇぇ、嗅がないでほしいかも~。
「ん? どうした?」
「あの、私、さっき汗かいたから、あまり嗅がないで欲しいんだけど……」
「アカリの匂いはいつでも良い香りだから気にするな」
うーっ、私は気にするよー!
頭の天辺にキスを落として、ルーファスは次の試験管に手を伸ばしている。
今のところ、ヒメタシの花・ミッカの花・シャボンラウラ草がルーファスの選んだ私の香りらしい。
ヒメタシの花は、梔子の花の香りに近い香りで、シャボンラウラ草は甘い石けんに似た香りかな?
なんだか、香りで美化されている気がする……。
「ルーファスは、どの塔に居たの?」
「オレは水の塔だ。被害者が出たところが一番アレコレうるさく無かったしな」
「そりゃあ、ルーファスが風魔法で助けなかったら、クリスタルガラスで死んじゃってたかもしれないしね。回復魔法も掛けてたし」
「ただ、オレが風魔法を使っていたことから風の塔の人間では無いかと言われたがな」
「ふふっ、ルーファスは結構万能型で魔法が使えるからね」
風竜スピナが主君契約で底上げをしているから、普通に風魔法だけ使われたらそう思ってしまうかも?
私がネリリスさんから魔法を継いでしまったから、風魔法の上級魔法が番のルーファスにも使えるので、余計にそうなるんだろうなぁ。
「よし、縫い終わったぁ~! ミッシャさん、縫い終わりました!」
「お疲れ様です。こちらも出来ましたよ」
「早い~っ!」
ルーファスの膝から降りて、ミッシャさんと一緒にお人形の中に作ったポプリの袋を入れる。
仕上げにミッシャさんが縫い上げて、私のルーファスポプリ人形の完成!!
「ミッシャさんありがとうございますー!」
「喜んでもらえて良かったわ」
「お代は如何ほどですか?」
「いいの、いいの。主人が昔お世話になった人だもの」
「駄目です! 使った材料も多かったし、お人形もオーダーなんですから! ちゃんと対価に見合うお金と感謝を私に払わせてください!」
「本当にいいのよ? それに塔の方で迷惑を掛けてしまっているのでしょう?」
「それとこれとは別問題ですよ」
渋るミッシャさんになんとかお代を支払い、私は自分の首周りにルーファスポプリ人形を巻いて、ふんふんと匂いを嗅ぎ、ルーファスの匂いを嗅いで、やっぱり微妙に違うなぁ……と、思いつつも、それでも何処か似ている匂いに満足してしまう。
「アカリ、そんな物がなくても、本物のオレが居るだろ?」
「それとこれとは別問題。ルーファスの匂いに包まれて眠るんだもの。さしずめこの子はルーファス二号です!」
「アーカーリー……いつだってオレが抱いて寝てやるから、そんな物は要らんだろう?」
「ルーファス、わかってないですね。これは女の子の夢とロマンが詰まっているんです! そう自分の番の匂いを表現出来て、尚且つ、番の形をしたお人形なんて最高じゃないですか!」
「そういうものか?」
「ええ! 男性も仕事で離れている番の匂いがポプリで再現されたら、いつも番の側に居る様な気がしていいと思うんですよ。男性用はお仕事に邪魔にならないロケット型のネックレスとかブレスレットリングで作れば、良いと思うの! これはきっと番の人達に売れますよ!」
ルーファスに力説し、ミッシャさんにも「ですよね!」と同意を求めて、私はミッシャさんを本気で『女将亭』の新たな商品開発としてスカウトする気満々である。
しかし、ミッシャさんに『開花無』が治ったことをどう告げれば良いのか……。
うーん、悩む。
自分のドジさを声を大にして説明し、「大事なポプリの先生のミッシャさんのお店を壊しちゃダメ―!」と大騒ぎしてルーファスを止める羽目になった。
しかも、刺した指は舐められて血が止まるまでずっとペロペロチュウチュウされてるし、針で刺した血なんて直ぐ止まるのに、このせいでなかなか止まらないし……。
うう……っ、どんな羞恥プレイなのか!?
ケイはルーファスのことは報告はしないと言い、「自分の番に掛けて絶対です!」と、この世界では自分の命と同等の番に誓っているので、「そこら辺をブラブラして時間を潰してから、職場に戻ります」と言うケイの言葉を信じて、ミッシャさんのお店に私とルーファスは置いてもらっている。
ルーファスの膝の上で私はポプリ作りの続きをして、ルーファスは「アカリの匂いをオレも作ってみよう」と、試験管に入ったハーブ等を手にとっては首を傾げている。
ミッシャさんは私の狼のお人形作りの続きをしてくれている。
「ルーファス、私が気絶した後、なにがあったの?」
「アカリを抱いて魔法で応戦していたら、魔法省の水使い達まで来て、流石に弱点をつける雷魔法で一網打尽にしてしまった方が早いと思って、木の陰にアカリを置いて戦っていたら……他の塔の奴等まで来て、気付いたらアカリが攫われていた」
「ううっ、面目ないです……」
「いや、これはオレが悪い。アカリに手を出されたくなければ、事情聴取に応じろと言われてついて行ったが、アカリには会わせてもらえず、噛み殺してやろうかと思っていた」
あわわ……大惨事になる前で良かった……と、言うか、暴れてないよね?
チラッとルーファスを見上げれば、試験管の中の匂いと私の髪の匂いを比べている。
ああ~っ、さっき階段下りまくりで汗かいてたから変な匂いしてるかも、ひぇぇ、嗅がないでほしいかも~。
「ん? どうした?」
「あの、私、さっき汗かいたから、あまり嗅がないで欲しいんだけど……」
「アカリの匂いはいつでも良い香りだから気にするな」
うーっ、私は気にするよー!
頭の天辺にキスを落として、ルーファスは次の試験管に手を伸ばしている。
今のところ、ヒメタシの花・ミッカの花・シャボンラウラ草がルーファスの選んだ私の香りらしい。
ヒメタシの花は、梔子の花の香りに近い香りで、シャボンラウラ草は甘い石けんに似た香りかな?
なんだか、香りで美化されている気がする……。
「ルーファスは、どの塔に居たの?」
「オレは水の塔だ。被害者が出たところが一番アレコレうるさく無かったしな」
「そりゃあ、ルーファスが風魔法で助けなかったら、クリスタルガラスで死んじゃってたかもしれないしね。回復魔法も掛けてたし」
「ただ、オレが風魔法を使っていたことから風の塔の人間では無いかと言われたがな」
「ふふっ、ルーファスは結構万能型で魔法が使えるからね」
風竜スピナが主君契約で底上げをしているから、普通に風魔法だけ使われたらそう思ってしまうかも?
私がネリリスさんから魔法を継いでしまったから、風魔法の上級魔法が番のルーファスにも使えるので、余計にそうなるんだろうなぁ。
「よし、縫い終わったぁ~! ミッシャさん、縫い終わりました!」
「お疲れ様です。こちらも出来ましたよ」
「早い~っ!」
ルーファスの膝から降りて、ミッシャさんと一緒にお人形の中に作ったポプリの袋を入れる。
仕上げにミッシャさんが縫い上げて、私のルーファスポプリ人形の完成!!
「ミッシャさんありがとうございますー!」
「喜んでもらえて良かったわ」
「お代は如何ほどですか?」
「いいの、いいの。主人が昔お世話になった人だもの」
「駄目です! 使った材料も多かったし、お人形もオーダーなんですから! ちゃんと対価に見合うお金と感謝を私に払わせてください!」
「本当にいいのよ? それに塔の方で迷惑を掛けてしまっているのでしょう?」
「それとこれとは別問題ですよ」
渋るミッシャさんになんとかお代を支払い、私は自分の首周りにルーファスポプリ人形を巻いて、ふんふんと匂いを嗅ぎ、ルーファスの匂いを嗅いで、やっぱり微妙に違うなぁ……と、思いつつも、それでも何処か似ている匂いに満足してしまう。
「アカリ、そんな物がなくても、本物のオレが居るだろ?」
「それとこれとは別問題。ルーファスの匂いに包まれて眠るんだもの。さしずめこの子はルーファス二号です!」
「アーカーリー……いつだってオレが抱いて寝てやるから、そんな物は要らんだろう?」
「ルーファス、わかってないですね。これは女の子の夢とロマンが詰まっているんです! そう自分の番の匂いを表現出来て、尚且つ、番の形をしたお人形なんて最高じゃないですか!」
「そういうものか?」
「ええ! 男性も仕事で離れている番の匂いがポプリで再現されたら、いつも番の側に居る様な気がしていいと思うんですよ。男性用はお仕事に邪魔にならないロケット型のネックレスとかブレスレットリングで作れば、良いと思うの! これはきっと番の人達に売れますよ!」
ルーファスに力説し、ミッシャさんにも「ですよね!」と同意を求めて、私はミッシャさんを本気で『女将亭』の新たな商品開発としてスカウトする気満々である。
しかし、ミッシャさんに『開花無』が治ったことをどう告げれば良いのか……。
うーん、悩む。
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