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25章
おヨメさまとディナー
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三時間遅れで出発した汽車は夕暮れから夜へと切り替わりかけていて、夜は食堂車両でディナーをという話だったから、化粧を直してルーファスに抱き上げられたまま予約席まで行くと、レベンさんが椅子を引いてくれた。
「ありがとうございます」
「すまないな。レベン」
「可愛いレディをエスコートするのは、男の義務だろ?」
ウインクしてレベンさんが言い、こういう所はハガネとは違うなぁと自分の従者と見比べてみたりする。
ハガネだったら「ほらよ」と言って椅子を引いてくれるまでは同じだけど、むず痒い口説くような台詞は吐かない。
まぁ、吐こうものならルーファスにボコボコにされそうではあるけど。
レベンさんも私達と席が近かったようで、そのついでに私に親切にしてくれたようだ。
まぁ、私がコートを脱いできていたので、この胸を強調させるバストコルセットで子供では無いことをわかってもらえたようだけど……着物だと不釣り合いだから、帯にタオルとか厚めの布を入れて調整しちゃうので、中々胸で大人だとは気づかれないのが悲しいところ……なんだけど、胸しか大人っぽいところがないのも悲しい。
「お夕飯なんだろうねー?」
「メニュー表がここにあるぞ」
テーブルに小さな手の平サイズの紙が置いてあって、本日出るディナー内容が書いてあった。
・魔牛のフィレステーキ
・豆のポタージュ
・海とキノコ男爵のココットポット
・森の三種の豆とナッツのサラダ
・ポットパイのロルのカスタード焼き
「お肉あるみたいだね。お豆は相変わらずあるみたい」
「飲み物は酒とジュースと茶があるが、どうする?」
「んーっ、今日は落ち付いて寝れるように、お茶で!」
お昼間にあんな戦闘があったのだし、しかもお昼寝もしているから寝つきが悪いかもしれないしね。
お酒の方が良いだろうけど、汽車とか乗り物に乗ってお酒は飲んだことが無いから、酔って吐いたりしたら怖い。
危険は冒しちゃいけない。
リュエールに「母上はまったく!」と、怒られかねないし……って、今回は旅行前に散々怒られたのが効いているのか、リュエールに怒られるっていうのが一番にきてしまって、無謀な事が出来ない。
これがリュエール流、厳しく言いつけて良い子の出来上がりか……いや、これ、洗脳じゃない? と、少し思って見たり。
うん、我が子ながら恐ろしい子だわ。
「お前達はどこに行くんだ?」
レベンさんが声を掛けてきて、ルーファスはドリアードの駅員さんに食前酒と食後のお茶を注文してからレベンさんに答えた。
「オレ達はベネティクタだ。お前は実家に帰るんだったな、どこが実家なんだ?」
「俺もベネティクタだ。アーデン地区の森公園の近くに実家がある」
「そうか。何処かで会えると良いな」
「おっ、飯が来たな。じゃあな!」
ドリアードの駅員さんが食事を銀のトレイで運び、一番初めに森の三種の豆とナッツサラダが前菜として出た。
パリパリのサラダにホクホクしたひよこ豆と大豆とレッドビーンがコリコリのナッツととろりとしたマイルドなホワイトソースに絡まったサラダは中々に美味しい。
欲を言えば、胡麻ドレッシングが良かったなぁ……と、思ったり。
「ルーファスは食前酒だけでいいの? お酒色々あるみたいだよ?」
「ああ。食前酒だけで今回は良い。アカリも少しだけ飲んでみるか?」
「ううん。リューちゃんが怖いから止めておくよ。お酒で失敗して怒られたら禁酒させられちゃう」
きっと禁酒は一生続くと思う。リュエールはそういう子なのだ。
ルーファスが眉を少し下げて笑い、「確かに、ありそうで怖いな」とクイッと琥珀色のお酒を飲んでからサラダを食べ始めた。
次が豆のポタージュで、フワフワのパンも一緒に付いてきた。
昔の私なら、ここでお腹いっぱいになっていたかもしれない。それを思えば、結構食べる様になったかも?
従業員さん達に囲まれて食べてるうちに、いっぱい食べれるようになって、子供が出来てからは子供の為に! というのと、食べなきゃ動けない! って感じだったから、必死に詰め込んでいたんだよね。でも、こうして色々食べれるようになって、美味しい物にありつけるのだから、感謝である。
「んーっ、このポタージュ美味しい」
「オレは少し塩味が欲しいところだな」
「その為のパンじゃないかな? パンと食べると良い味になるよ」
「んっ、本当だな」
パンが少し塩気があって、ポタージュと一緒に食べると丁度いいのだ。
計算して作られているんだなぁって感じで、こういう風に食べるのも悪くは無い。
次に魔牛のフィレステーキがきて、ルーファスがやっとお肉が食べれると尻尾を揺らしていて、デザートを貰う代わりに私も分も渡しておいた。
流石に私には、あの解体ショーの後でお肉を食べる元気はない。
海とキノコ男爵のココットポットは、塩気のあるホクホクのキノコのマッシュされたグラタンに似た感じのもの。
異世界の食材だなぁって感じで、これは私にも言葉にするのは難しい。
キノコなのにジャガイモみたいな……?
最後にデザートが出て、ロルは甘酸っぱいけど、カスタードの甘さと合わさって、幸せは口の中でサクサクだぁ~と、一番満足したかも!
デザートは別腹。ルーファスにもデザートを貰い、大満足で食後のお茶を飲んでほぅっと落ち着いたよ。
「私、汽車の中でご飯食べるの初めてで、外国映画みたいだった」
「映画というのは分からんが、アカリが楽しんでくれたなら良かったよ」
「えへへ。私の世界じゃ汽車の中でご飯って言うと、お弁当くらいだからね」
駅弁は駅弁で種類豊富でいい物だけどね、でもこういうレストラン仕様のは今もやっているかはわからない。
昔、テレビで汽車内のレストラン最後の運行の日みたいなのを見たことがある。
少しだけ「汽車でご飯いいなぁ」って思っていたから、この世界で味わえたのは良かった。
「さて、車両に戻るとしよう」
「うん」
ルーファスに抱き上げられて戻る時に、レベンさんを見たらワインをいっぱい飲んでいたようで駅員さんに「もう一本追加!」と元気に騒いでいた。
無事に自分の車両に戻れるのか気になるけど、そこは駅員さん、お仕事頑張って! かな?
「ありがとうございます」
「すまないな。レベン」
「可愛いレディをエスコートするのは、男の義務だろ?」
ウインクしてレベンさんが言い、こういう所はハガネとは違うなぁと自分の従者と見比べてみたりする。
ハガネだったら「ほらよ」と言って椅子を引いてくれるまでは同じだけど、むず痒い口説くような台詞は吐かない。
まぁ、吐こうものならルーファスにボコボコにされそうではあるけど。
レベンさんも私達と席が近かったようで、そのついでに私に親切にしてくれたようだ。
まぁ、私がコートを脱いできていたので、この胸を強調させるバストコルセットで子供では無いことをわかってもらえたようだけど……着物だと不釣り合いだから、帯にタオルとか厚めの布を入れて調整しちゃうので、中々胸で大人だとは気づかれないのが悲しいところ……なんだけど、胸しか大人っぽいところがないのも悲しい。
「お夕飯なんだろうねー?」
「メニュー表がここにあるぞ」
テーブルに小さな手の平サイズの紙が置いてあって、本日出るディナー内容が書いてあった。
・魔牛のフィレステーキ
・豆のポタージュ
・海とキノコ男爵のココットポット
・森の三種の豆とナッツのサラダ
・ポットパイのロルのカスタード焼き
「お肉あるみたいだね。お豆は相変わらずあるみたい」
「飲み物は酒とジュースと茶があるが、どうする?」
「んーっ、今日は落ち付いて寝れるように、お茶で!」
お昼間にあんな戦闘があったのだし、しかもお昼寝もしているから寝つきが悪いかもしれないしね。
お酒の方が良いだろうけど、汽車とか乗り物に乗ってお酒は飲んだことが無いから、酔って吐いたりしたら怖い。
危険は冒しちゃいけない。
リュエールに「母上はまったく!」と、怒られかねないし……って、今回は旅行前に散々怒られたのが効いているのか、リュエールに怒られるっていうのが一番にきてしまって、無謀な事が出来ない。
これがリュエール流、厳しく言いつけて良い子の出来上がりか……いや、これ、洗脳じゃない? と、少し思って見たり。
うん、我が子ながら恐ろしい子だわ。
「お前達はどこに行くんだ?」
レベンさんが声を掛けてきて、ルーファスはドリアードの駅員さんに食前酒と食後のお茶を注文してからレベンさんに答えた。
「オレ達はベネティクタだ。お前は実家に帰るんだったな、どこが実家なんだ?」
「俺もベネティクタだ。アーデン地区の森公園の近くに実家がある」
「そうか。何処かで会えると良いな」
「おっ、飯が来たな。じゃあな!」
ドリアードの駅員さんが食事を銀のトレイで運び、一番初めに森の三種の豆とナッツサラダが前菜として出た。
パリパリのサラダにホクホクしたひよこ豆と大豆とレッドビーンがコリコリのナッツととろりとしたマイルドなホワイトソースに絡まったサラダは中々に美味しい。
欲を言えば、胡麻ドレッシングが良かったなぁ……と、思ったり。
「ルーファスは食前酒だけでいいの? お酒色々あるみたいだよ?」
「ああ。食前酒だけで今回は良い。アカリも少しだけ飲んでみるか?」
「ううん。リューちゃんが怖いから止めておくよ。お酒で失敗して怒られたら禁酒させられちゃう」
きっと禁酒は一生続くと思う。リュエールはそういう子なのだ。
ルーファスが眉を少し下げて笑い、「確かに、ありそうで怖いな」とクイッと琥珀色のお酒を飲んでからサラダを食べ始めた。
次が豆のポタージュで、フワフワのパンも一緒に付いてきた。
昔の私なら、ここでお腹いっぱいになっていたかもしれない。それを思えば、結構食べる様になったかも?
従業員さん達に囲まれて食べてるうちに、いっぱい食べれるようになって、子供が出来てからは子供の為に! というのと、食べなきゃ動けない! って感じだったから、必死に詰め込んでいたんだよね。でも、こうして色々食べれるようになって、美味しい物にありつけるのだから、感謝である。
「んーっ、このポタージュ美味しい」
「オレは少し塩味が欲しいところだな」
「その為のパンじゃないかな? パンと食べると良い味になるよ」
「んっ、本当だな」
パンが少し塩気があって、ポタージュと一緒に食べると丁度いいのだ。
計算して作られているんだなぁって感じで、こういう風に食べるのも悪くは無い。
次に魔牛のフィレステーキがきて、ルーファスがやっとお肉が食べれると尻尾を揺らしていて、デザートを貰う代わりに私も分も渡しておいた。
流石に私には、あの解体ショーの後でお肉を食べる元気はない。
海とキノコ男爵のココットポットは、塩気のあるホクホクのキノコのマッシュされたグラタンに似た感じのもの。
異世界の食材だなぁって感じで、これは私にも言葉にするのは難しい。
キノコなのにジャガイモみたいな……?
最後にデザートが出て、ロルは甘酸っぱいけど、カスタードの甘さと合わさって、幸せは口の中でサクサクだぁ~と、一番満足したかも!
デザートは別腹。ルーファスにもデザートを貰い、大満足で食後のお茶を飲んでほぅっと落ち着いたよ。
「私、汽車の中でご飯食べるの初めてで、外国映画みたいだった」
「映画というのは分からんが、アカリが楽しんでくれたなら良かったよ」
「えへへ。私の世界じゃ汽車の中でご飯って言うと、お弁当くらいだからね」
駅弁は駅弁で種類豊富でいい物だけどね、でもこういうレストラン仕様のは今もやっているかはわからない。
昔、テレビで汽車内のレストラン最後の運行の日みたいなのを見たことがある。
少しだけ「汽車でご飯いいなぁ」って思っていたから、この世界で味わえたのは良かった。
「さて、車両に戻るとしよう」
「うん」
ルーファスに抱き上げられて戻る時に、レベンさんを見たらワインをいっぱい飲んでいたようで駅員さんに「もう一本追加!」と元気に騒いでいた。
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