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24章
リネン室パニック
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リネン室に移動魔法で出た私の目の前で、お仕着せを着たまま下半身を合体させている見習いさん二人。
一瞬、何事? と、マジマジと見てしまい……二人もいきなり現れた私に驚いた顔をしているけど、男性の腰は動いていて……。
ムアッと生臭い青い匂いで鳥肌が立って、正気に戻る。
「うきゃぁぁーっ! 失礼しましたぁぁぁ!!!」
私は悲鳴のような声を上げてリネン室を出ようとドアをノブを回すと、鍵が掛かっていて、鍵を開けて外に出ると「きゃんっ!」「あうっ!」と足元で小さな悲鳴が上がる。
小鬼ちゃん二人が私が開けたドアにぶつかってコロコロと転がっていく。
「あわわっ! 小鬼ちゃん達ごめんなさーい!」
小鬼ちゃん二人を拾い上げて、「大丈夫?」と声を掛けているとリネン室から見習い二人が着物を直しながら出て来る。
小鬼ちゃん二人を腕に抱き上げると、私は全力疾走したものの……私、足が遅いみたいで、直ぐに二人に捕まってしまった。
「少し、話を聞けよ」
「はぅっ……こ、ここはお仕事の場所ですよ!」
私が怒ると、手で口を塞がれてリネン室に連れ込まれる。
もう仕方がないと、魔法通信の腕輪に手を当てながらリュエールに繋ぐ。
「お前、ミヤだっけ? ここで見たことは黙ってろ」
「んーっ! んんっ!!」
頭を横に振って、リュエールに私の声が届くように塞がれた口から必死に声を出す。
小鬼ちゃん達も腕の中に居るから、『テン』と『温泉』の小鬼にも連絡がいっているだろう。
「恋愛は禁止じゃないだろ?」
「んーっんーっ!!」
恋愛は禁止じゃないけど、仕事はどうしたのだと言いたい。
マジマジと見るとこの男性も女性も獣人のようだし、もしかして『蜜籠り』シーズンの人達かもしれない。
目が異常に興奮してるし、いや、エッチなことをしたばかりだからかもしれないけど……。
でも、蜜籠りのシーズンの人達は雇わないとリュエールは言っていたし、雇うにしても『抑制剤』のような性欲を抑える薬を使用している人だけを雇っているはずなのだ。
……と、いうか!
このリネン室が青臭い匂いがして気持ち悪いッ!!
「チェイル、お前は先に小鬼連れて戻ってろ」
「はぁい。また遊んでねぇ~」
腕を強くチェイルという女性に握られて、小鬼ちゃんを持つ手が緩むと二人共連れて行かれて、リネン室のドアが静かに閉じる。
「まだヤリ足りなかったんだ。遊ぼうぜ」
「んんんっ!! んーっ!」
口から手が離れて、叫ぼうとしたら、カシャッとなにか眩しい光で目がチカチカする。
着物の前身頃を引っ張られて、またカシャッと音と光がする。
目が慣れてくると、それがカメラだということが分かる。
それなりに流通はしているけど、個人で持っている人はお金がかなりある富裕層のはずだ。
「ハーッ、やっぱ、シーズンは女遊びに限るよな」
「だったら! 【刻狼亭】から出て遊んでればいいでしょ!」
顎を手で掴まれて、痛さに顔を歪めると「それが出来ねぇ―からここに居るんだよ!」と、リネン室の使用済みのシーツの上に投げつけられる。
「きゃうっ!」
またカメラの音がして、男が私の上に跨る。
投げつけられて腕輪から手を離してしまったけど、もう十分な時間は稼げているから直ぐに助けは来るはず。
「カメラで良い写真撮ってやるから、黙ってろよ? 親父に【刻狼亭】に雇われなかったら勘当されるんだよ。あとがねぇーのは辛いよなー」
「こんなことした時点で、あなたは失格です! 【刻狼亭】はあなたを雇いません!」
男性の手が上に上がったのを見て、殴られると思って目を瞑るとドゴンッと音がして体に衝撃がある。
目を開けると、ドアがリネン室内に吹き飛び、私の上に跨っていた男性ごと壁に叩きつけられていた。
体への衝撃は、跨っていた男性の足がドアに吹き飛ばされた時に、私のわき腹にも食い込んだ衝撃だった様だ。
お腹の痛さもあるけど、頭がくらくらして目が回り始めていた。
金色の狼がリネン室に入り込んで、リュエールとテンも入って来る。
「大丈夫か!?」
「お腹、痛いー……頭くらくりゃふにゅ……」
「【回復】!!」
じわじわとお腹の痛さが引いていって、くらくらするのは多分、衝撃で脳が揺れたせいだと思うのでしばらくは動けなさそうだ。
獣化を解いたルーファスに抱き上げてもらって、これで安全安心である。
「ごめんね。ミヤ、遅れちゃって」
「群青と橙の小鬼から、少し情報を引き出すのに時間が掛かって申し訳ありません~」
申し訳なさそうなリュエールとテンの声に「大丈夫」と言いたいけど、まだ頭がくらくらするので小さく指を動かして親指だけ上げておく。
「さて、このバカ見習いをどうしようか?」
「とりあえず~目を覚まさせないとですねぇ~」
ルーファスがリネン室から出て廊下に出ると、廊下では先程の女性が従業員に簀巻きされていて、小鬼ちゃん達は『テン』と『温泉』の小鬼に怒られていた。
「ミヤ、大丈夫で……か?」
大丈夫ですかと、言おうとしてカミカミな従業員を他の従業員がわき腹を小突いて、言葉遣いが方言の様になってしまっている。
「ミヤは少し目を回しているだけだ。すぐに治る」
あらら、ルーファスったら、口調がいつも通りですよ? まったく困った人だなぁ。
少し笑って見せると、ルーファスにギュッと抱き込まれておでこにキスされてしまった。あーもう、ルーファスそれはしたら、見習いに紛れている意味が無いですよ?
そう思いつつ、私は安心な腕の中と匂いにふにゃっと顔を緩ませた。
一瞬、何事? と、マジマジと見てしまい……二人もいきなり現れた私に驚いた顔をしているけど、男性の腰は動いていて……。
ムアッと生臭い青い匂いで鳥肌が立って、正気に戻る。
「うきゃぁぁーっ! 失礼しましたぁぁぁ!!!」
私は悲鳴のような声を上げてリネン室を出ようとドアをノブを回すと、鍵が掛かっていて、鍵を開けて外に出ると「きゃんっ!」「あうっ!」と足元で小さな悲鳴が上がる。
小鬼ちゃん二人が私が開けたドアにぶつかってコロコロと転がっていく。
「あわわっ! 小鬼ちゃん達ごめんなさーい!」
小鬼ちゃん二人を拾い上げて、「大丈夫?」と声を掛けているとリネン室から見習い二人が着物を直しながら出て来る。
小鬼ちゃん二人を腕に抱き上げると、私は全力疾走したものの……私、足が遅いみたいで、直ぐに二人に捕まってしまった。
「少し、話を聞けよ」
「はぅっ……こ、ここはお仕事の場所ですよ!」
私が怒ると、手で口を塞がれてリネン室に連れ込まれる。
もう仕方がないと、魔法通信の腕輪に手を当てながらリュエールに繋ぐ。
「お前、ミヤだっけ? ここで見たことは黙ってろ」
「んーっ! んんっ!!」
頭を横に振って、リュエールに私の声が届くように塞がれた口から必死に声を出す。
小鬼ちゃん達も腕の中に居るから、『テン』と『温泉』の小鬼にも連絡がいっているだろう。
「恋愛は禁止じゃないだろ?」
「んーっんーっ!!」
恋愛は禁止じゃないけど、仕事はどうしたのだと言いたい。
マジマジと見るとこの男性も女性も獣人のようだし、もしかして『蜜籠り』シーズンの人達かもしれない。
目が異常に興奮してるし、いや、エッチなことをしたばかりだからかもしれないけど……。
でも、蜜籠りのシーズンの人達は雇わないとリュエールは言っていたし、雇うにしても『抑制剤』のような性欲を抑える薬を使用している人だけを雇っているはずなのだ。
……と、いうか!
このリネン室が青臭い匂いがして気持ち悪いッ!!
「チェイル、お前は先に小鬼連れて戻ってろ」
「はぁい。また遊んでねぇ~」
腕を強くチェイルという女性に握られて、小鬼ちゃんを持つ手が緩むと二人共連れて行かれて、リネン室のドアが静かに閉じる。
「まだヤリ足りなかったんだ。遊ぼうぜ」
「んんんっ!! んーっ!」
口から手が離れて、叫ぼうとしたら、カシャッとなにか眩しい光で目がチカチカする。
着物の前身頃を引っ張られて、またカシャッと音と光がする。
目が慣れてくると、それがカメラだということが分かる。
それなりに流通はしているけど、個人で持っている人はお金がかなりある富裕層のはずだ。
「ハーッ、やっぱ、シーズンは女遊びに限るよな」
「だったら! 【刻狼亭】から出て遊んでればいいでしょ!」
顎を手で掴まれて、痛さに顔を歪めると「それが出来ねぇ―からここに居るんだよ!」と、リネン室の使用済みのシーツの上に投げつけられる。
「きゃうっ!」
またカメラの音がして、男が私の上に跨る。
投げつけられて腕輪から手を離してしまったけど、もう十分な時間は稼げているから直ぐに助けは来るはず。
「カメラで良い写真撮ってやるから、黙ってろよ? 親父に【刻狼亭】に雇われなかったら勘当されるんだよ。あとがねぇーのは辛いよなー」
「こんなことした時点で、あなたは失格です! 【刻狼亭】はあなたを雇いません!」
男性の手が上に上がったのを見て、殴られると思って目を瞑るとドゴンッと音がして体に衝撃がある。
目を開けると、ドアがリネン室内に吹き飛び、私の上に跨っていた男性ごと壁に叩きつけられていた。
体への衝撃は、跨っていた男性の足がドアに吹き飛ばされた時に、私のわき腹にも食い込んだ衝撃だった様だ。
お腹の痛さもあるけど、頭がくらくらして目が回り始めていた。
金色の狼がリネン室に入り込んで、リュエールとテンも入って来る。
「大丈夫か!?」
「お腹、痛いー……頭くらくりゃふにゅ……」
「【回復】!!」
じわじわとお腹の痛さが引いていって、くらくらするのは多分、衝撃で脳が揺れたせいだと思うのでしばらくは動けなさそうだ。
獣化を解いたルーファスに抱き上げてもらって、これで安全安心である。
「ごめんね。ミヤ、遅れちゃって」
「群青と橙の小鬼から、少し情報を引き出すのに時間が掛かって申し訳ありません~」
申し訳なさそうなリュエールとテンの声に「大丈夫」と言いたいけど、まだ頭がくらくらするので小さく指を動かして親指だけ上げておく。
「さて、このバカ見習いをどうしようか?」
「とりあえず~目を覚まさせないとですねぇ~」
ルーファスがリネン室から出て廊下に出ると、廊下では先程の女性が従業員に簀巻きされていて、小鬼ちゃん達は『テン』と『温泉』の小鬼に怒られていた。
「ミヤ、大丈夫で……か?」
大丈夫ですかと、言おうとしてカミカミな従業員を他の従業員がわき腹を小突いて、言葉遣いが方言の様になってしまっている。
「ミヤは少し目を回しているだけだ。すぐに治る」
あらら、ルーファスったら、口調がいつも通りですよ? まったく困った人だなぁ。
少し笑って見せると、ルーファスにギュッと抱き込まれておでこにキスされてしまった。あーもう、ルーファスそれはしたら、見習いに紛れている意味が無いですよ?
そう思いつつ、私は安心な腕の中と匂いにふにゃっと顔を緩ませた。
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