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24章
小鬼の子供達
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世界の中心イルブールの街へ、温泉大陸から高速船『刻狼丸』が入港し二頭身程の身長の小鬼より更に低い一頭身程の背丈の小鬼達が『刻狼丸』へ乗り込んでいく。
港には子供達を見送りに来た小鬼達が集まっていた。
「それでは、お子さん達をお預かりしますね」
「ええ、しっかり学ばせてやって下さい」
『刻』と背中に書かれている羽織を着た【刻狼亭】の従業員が小鬼の中でも長老と呼ばれている小鬼に挨拶をして、船の出港準備を急がせる。
船の甲板では子供の小鬼達が親に手を振って「いってきまーす!」と元気に声を出している。
親達は「しっかり情報を扱えるようになっておいでー!」と手を振り返している。
子供の小鬼ではまだ範囲が離れすぎると情報の伝達が親達まで届かないこともあり、親達は少し心配なのもあるが、既に二人の小鬼が【刻狼亭】で働いており、子供達の様子等は映像でその小鬼達から定期的に送られることになるので、そこは少し安心もある。
子供達を船内の食堂に集めると、テーブルの上で子供達はキャッキャッとはしゃいだ声を出している。
「わぁー、僕等も外に行くんだねー」
「僕等、頑張れますかねー?」
「僕等ならきっと、上手くやれます!」
小鬼はどの小鬼も同じ顔なので、どの子供が喋っても他の種族には分からないし判別も難しく、名前も全員が小鬼と名乗るので相当、癖の強い小鬼でなければ見分けはつかない。
見分けを付ける為に、この子供達に一番初めに渡されたのは小さなチョーカーである。
それぞれ色が違うチョーカーで、小さな黒水晶の入国証明証が付いている。
そして各自に配られたのは『刻』と書いてある羽織りで、真ん中にチョーカーと同じ色の線が一本入っている。
「皆さん~、これから温泉大陸に行きますが、そこで皆さんには相棒となる見習いが一人に一人ずつ付くことになります~。それぞれ、皆さんに今渡したチョーカーの色と同じ物をしていますからぁ~、見習い同士仲良くやって下さいねぇ~」
薄い黄色の柔らかな髪に水色の眼をした優し気な青年___に、見える見た目だけ温和そうなテンが、子供達にそう説明し子供達は、自分の相棒はどんな人になるんだろう? とワクワクした顔をして青年を見上げる。
すると青年の肩に大人の小鬼が座って居ることに気付く。
「小鬼だ!」
「温泉の小鬼だー!」
「あれ? 軍の小鬼じゃないっけ?」
「情報が古いよ。もう温泉に戻っているのです」
「でも温泉にもう一人小鬼いるよね?」
子供達は小鬼に向かい騒ぐので、得意顔で小鬼は話す。
「僕は『テン』の小鬼です! 二番目は『温泉』の小鬼になるのです! 覚えておくのですよ子供達!」
「それ、威張ることなんですかねぇ~? 私物化してしまった気もしますけど~?」
「いいのですよ! 情報は混乱させる物では無いのです!」
「まぁ、いいですけどぉ~」
テンと小鬼のやり取りに子供達は「相棒というのは、あんな感じに付き合うのだな」と顔を見合わせて頷く。
子供達はテンと小鬼に温泉大陸のことを質問したり、どんな仕事をするのかを質問したりと、忙しなく口を動かして休む暇なく情報を得ようとする。
流石、小さくても小鬼である。
高速船で大騒ぎしつつも、小鬼の子供達が温泉大陸に着く頃にはぐったりモードになっていた。
二日間喋り通しの大騒ぎをしていたのもあるだろう。子供のうちは小鬼というのは中々に自分が喋っている量の情報に関してはセーブ出来ないのもあって、力尽きた感じである。
「やれやれ。お子様達ですね!」
「小鬼も小さい頃はこんなものでしたよ~?」
「そんなことは無いのです!」
「いえいえ~。温泉大陸に社員旅行で親に連れられて来た時に、大はしゃぎしたりして力尽きたりしてたのみましたしぃ~」
「!? テンさんに小鬼の見分けがつく訳はないのですよ? きっとそれは違う小鬼の子供なのです!」
「記憶力は良い方ですのでぇ~。泣き虫な小鬼なんてあなた以外に知りませんしぃ~」
小鬼がテンの頭をポカスカ叩きながら頬を膨らませて「酷いのです!」とキィキィ声を上げて、テンはいつも通りの穏やかな笑顔で温泉大陸の港を見つめる。
「温泉大陸へようこそ! 小鬼ちゃん達、長旅お疲れ様です!」
港に小鬼の子供達が降りると、温泉大陸の【刻狼亭】の大女将のアカリが、ニ十センチ程の黒い布に白字で『刻狼亭』と書かれている旗を持って楽しそうに出迎えに来ていた。
木竜のケルチャが肩から降りると体を元の大きさに戻し、木で作った大きな籠馬車を作る。
「さぁ、刻狼亭まで案内してあげるから乗ってね」
「アカリさん……何してるんですかぁ~?」
「テン、お疲れ様! うふふっ、案内役を一度やってみたかったの!」
「大旦那は許可したんですかぁ~?」
「あー……うふふっ」
目を上にあげるアカリに、テンはこれは許可を取らずに思い付きで動いちゃったんでしょうねぇと、思いつつも、ぐったりしている子供達を歩かせるのも可哀想かと一人ずつ籠馬車に乗せていく。
全員詰め込むと、ケルチャが籠馬車を引いて歩き、アカリが鼻歌交じりに歌いながら先頭を歩いて、子供達に街案内をしつつ歩くが、ぐったり状態の子供達は話半分で【刻狼亭】まで送り届けられるのだった。
港には子供達を見送りに来た小鬼達が集まっていた。
「それでは、お子さん達をお預かりしますね」
「ええ、しっかり学ばせてやって下さい」
『刻』と背中に書かれている羽織を着た【刻狼亭】の従業員が小鬼の中でも長老と呼ばれている小鬼に挨拶をして、船の出港準備を急がせる。
船の甲板では子供の小鬼達が親に手を振って「いってきまーす!」と元気に声を出している。
親達は「しっかり情報を扱えるようになっておいでー!」と手を振り返している。
子供の小鬼ではまだ範囲が離れすぎると情報の伝達が親達まで届かないこともあり、親達は少し心配なのもあるが、既に二人の小鬼が【刻狼亭】で働いており、子供達の様子等は映像でその小鬼達から定期的に送られることになるので、そこは少し安心もある。
子供達を船内の食堂に集めると、テーブルの上で子供達はキャッキャッとはしゃいだ声を出している。
「わぁー、僕等も外に行くんだねー」
「僕等、頑張れますかねー?」
「僕等ならきっと、上手くやれます!」
小鬼はどの小鬼も同じ顔なので、どの子供が喋っても他の種族には分からないし判別も難しく、名前も全員が小鬼と名乗るので相当、癖の強い小鬼でなければ見分けはつかない。
見分けを付ける為に、この子供達に一番初めに渡されたのは小さなチョーカーである。
それぞれ色が違うチョーカーで、小さな黒水晶の入国証明証が付いている。
そして各自に配られたのは『刻』と書いてある羽織りで、真ん中にチョーカーと同じ色の線が一本入っている。
「皆さん~、これから温泉大陸に行きますが、そこで皆さんには相棒となる見習いが一人に一人ずつ付くことになります~。それぞれ、皆さんに今渡したチョーカーの色と同じ物をしていますからぁ~、見習い同士仲良くやって下さいねぇ~」
薄い黄色の柔らかな髪に水色の眼をした優し気な青年___に、見える見た目だけ温和そうなテンが、子供達にそう説明し子供達は、自分の相棒はどんな人になるんだろう? とワクワクした顔をして青年を見上げる。
すると青年の肩に大人の小鬼が座って居ることに気付く。
「小鬼だ!」
「温泉の小鬼だー!」
「あれ? 軍の小鬼じゃないっけ?」
「情報が古いよ。もう温泉に戻っているのです」
「でも温泉にもう一人小鬼いるよね?」
子供達は小鬼に向かい騒ぐので、得意顔で小鬼は話す。
「僕は『テン』の小鬼です! 二番目は『温泉』の小鬼になるのです! 覚えておくのですよ子供達!」
「それ、威張ることなんですかねぇ~? 私物化してしまった気もしますけど~?」
「いいのですよ! 情報は混乱させる物では無いのです!」
「まぁ、いいですけどぉ~」
テンと小鬼のやり取りに子供達は「相棒というのは、あんな感じに付き合うのだな」と顔を見合わせて頷く。
子供達はテンと小鬼に温泉大陸のことを質問したり、どんな仕事をするのかを質問したりと、忙しなく口を動かして休む暇なく情報を得ようとする。
流石、小さくても小鬼である。
高速船で大騒ぎしつつも、小鬼の子供達が温泉大陸に着く頃にはぐったりモードになっていた。
二日間喋り通しの大騒ぎをしていたのもあるだろう。子供のうちは小鬼というのは中々に自分が喋っている量の情報に関してはセーブ出来ないのもあって、力尽きた感じである。
「やれやれ。お子様達ですね!」
「小鬼も小さい頃はこんなものでしたよ~?」
「そんなことは無いのです!」
「いえいえ~。温泉大陸に社員旅行で親に連れられて来た時に、大はしゃぎしたりして力尽きたりしてたのみましたしぃ~」
「!? テンさんに小鬼の見分けがつく訳はないのですよ? きっとそれは違う小鬼の子供なのです!」
「記憶力は良い方ですのでぇ~。泣き虫な小鬼なんてあなた以外に知りませんしぃ~」
小鬼がテンの頭をポカスカ叩きながら頬を膨らませて「酷いのです!」とキィキィ声を上げて、テンはいつも通りの穏やかな笑顔で温泉大陸の港を見つめる。
「温泉大陸へようこそ! 小鬼ちゃん達、長旅お疲れ様です!」
港に小鬼の子供達が降りると、温泉大陸の【刻狼亭】の大女将のアカリが、ニ十センチ程の黒い布に白字で『刻狼亭』と書かれている旗を持って楽しそうに出迎えに来ていた。
木竜のケルチャが肩から降りると体を元の大きさに戻し、木で作った大きな籠馬車を作る。
「さぁ、刻狼亭まで案内してあげるから乗ってね」
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「テン、お疲れ様! うふふっ、案内役を一度やってみたかったの!」
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「あー……うふふっ」
目を上にあげるアカリに、テンはこれは許可を取らずに思い付きで動いちゃったんでしょうねぇと、思いつつも、ぐったりしている子供達を歩かせるのも可哀想かと一人ずつ籠馬車に乗せていく。
全員詰め込むと、ケルチャが籠馬車を引いて歩き、アカリが鼻歌交じりに歌いながら先頭を歩いて、子供達に街案内をしつつ歩くが、ぐったり状態の子供達は話半分で【刻狼亭】まで送り届けられるのだった。
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