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23章
温泉街の氷祭り6 終
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ポツポツと降り出した雨で、外に居た人々が家の中や店の軒下で雨宿りを始めている足音がしている。
街の中を歩いていた私とルーファスも雨に濡れて、街中のお茶屋さんの大きな番傘の下に入る。
ルーファスが乾燥魔法を唱えて、私の濡れた髪や服の雫を消し飛ばす。
「折角の氷の祭りも、雨だと勿体ないな」
私は小さく目を閉じて「そうだね」とルーファスに伝える。
子供達とドラゴンが頑張っていたのだし雨なのは残念である。
今の温泉街は街中に氷の鳥居を建てて、まるで千本鳥居のように連なっていて、色とりどりの氷の提灯が幻想的になっている。
今は雨で透明度が増して、これはこれで素敵ではあるけれど、この雨の中で見てくれる人は少なそうだ。
「アカリ、寒くはないか?」
むしろ、雨が心地よくもあると感じられるから、私は瞬きを二回する。
ルーファスが心配そうな顔で私を抱き上げたまま、おでこをくっつけ合わせる。
「ああ……熱が上がっているな。もう、今日は帰った方がいいだろう」
もう少しだけ子供達の作った物を見たくて、瞬きを二回する。
「アカリ……、あと少しだけ、だからな?」
目を閉じて、少しだけ口元に笑みを浮かべると、ルーファスは眉尻を少し下げながら笑い返してくれる。
頭を撫でてくれるルーファスの手に、「ありがとう」と心の中で呟いておく。
私が声が出せない状態なのは、声を出せる元気がないからである。
蛇に噛まれて、全身に回った毒を特殊ポーションで消していったけど、体の中を巡った毒の速さと体内破壊の【腐食】という毒が、私の体を動かす神経をボロボロにしてしまったらしい。
この【腐食】という毒は、南国辺りの毒蛇に多くみられるもので、内臓をドロドロの液状に溶かしてしまう怖い毒なのだという。
しかも、魔獣の王の魔石によって変質した蛇の毒は、【腐食】の毒をさらに強力にしてしまったらしく、全身へ毒が回るのが早かった。
特殊ポーションで毒は消えても、体の内部破壊は治せるわけではない。
今現在、製薬部隊とシルビアさんがソラガラノヘビの血清を作っていて、私のように蛇に噛まれてしまった人が出た時の為に頑張ってくれている。
ちなみに、これ、この世界の人達だと、噛まれた場所が壊死して腐り落ちるけど、私の様に全身回るわけでは無いらしい。
全身に早く回ってしまったのは私の【聖域】が以前より強力になった分、毒などに侵食されやすくなってしまったという、相変わらずの残念仕様だからだ。
シュトラールに回復魔法をしてもらったものの、破壊された組織を治すには【蘇生】でなくてはいけない。
しかし、私の体が蘇生魔法に耐えきれずに心臓発作を起こしてしまい、術者であるシュトラールにも半分それは跳ね返り、シュトラールも今は安静にして魔力と体力を戻している最中である。
私の体が蘇生魔法に耐えられるだけの体力が戻らない事には、術を掛けるのは難しいみたい。
うーん。やっぱり年には勝てない。
若い頃はまだ体力があったんだなぁって……思ったりもする。
「アカリ、見てみろ。グリムレインが氷でドームを街に掛けて雨を凌いでくれたみたいだぞ」
上を見れば氷で出来たドームが張られていて、大きな氷の結晶が見える。
ああ、これも素敵な氷祭りの出し物みたいで良いなぁ。
「子供達が、アカリに見せたかった場所に行こう」
私に何を見せてくれるのだろう?
小さく首を傾げて、氷で出来た鳥居の下を歩いて行き、街中に植えてある桜の木の所まで来ると、氷の桜が満開に咲き誇っていた。
小さな風が吹くと夏には有り難い冷気が広がり、氷の桜の花弁が散っていく。
「見事だな。凄く綺麗だ」
私も「綺麗」と小さく目を閉じる。
これが私に見せたかったものだろうか? とても綺麗だったけど、これを見るのならば、夜の方がライトアップされて綺麗かもしれない。
ルーファスが桜並木を歩き、港の広がった船着き場に着くと、そこには氷で出来た旧・女将亭が建っていて、昔のようにレストランと販売ブースがあり、そこでドラゴンと子供達が料理を出し、販売物を売っている。
「子供達がアカリに見せたかったものだ」
私のお城。
ルーファスが私の安全の為に造り、私が考えて物を作って売って、子供達を育てた大事な思い出の居場所。
今もちゃんとあるけれど、物を作ったりはしていないから、昔のままで再現してくれたのは本当に嬉しい。
「……~っ、っ」
「アカリは泣き虫だな」
顔をルーファスの手で拭かれながら、ポロポロと涙が零れていく。
手足が上手く動かないから、子供達に駆け寄って抱きしめて感激を伝える事も出来ないけど、ちゃんと覚えておこう。
体が治ったら、いっぱい子供達の好きな食べ物を作って感謝を伝えられるようにならなきゃいけない。
「ははうー!」
私達に気付いたスクルードが走り出し、スクルードのお腹に巻かれた紐に一緒に繋がっているエデンが引っ張られてバランスを崩しながら、私に気付くとスクルードを抱き上げてそのまま私達の所へ飛んできてくれた。
「主様! いらっしゃいませ!」
「ははうー、いらやいまー!」
「スー、案内してくれるか?」
「うー! こっちー!」
エデンに地面に下ろしてもらうと、スクルードが後ろを何回も振り向いて笑顔で尻尾を振りながらレストランへ案内してくれる。
「あっ、母上! いらっしゃいですの!」
「父上、お席はこっちですのよ」
「うーっ! スーがやるの! スーの!」
黒いメイドドレス姿のミルアとナルアがピョコッと姿を出して、案内しようとしたのをスクルードが頬をぷっくり膨らませて自分が案内するのだと主張をしている。
「はいはい。スーちゃん頑張るのですよ?」
「うふふ。スーちゃんに出来ますかしら?」
「うーっ! できうー! できうのー!」
姉二人に揶揄われながら、スクルードが氷の釜戸の前の席に案内してくれる。
どうやら私の為の席だったらしく、予約席の札がかかっていた。
「嫁、婿。ようこそ。氷の女将亭へ」
執事服を着たグリムレインが私達の席に来て、テーブルの上に氷の花籠を作り飾ってくれる。
メイドドレスでスピナも出てきて、銀色の小さなティーポットを頭上から流すと、白い液体が出て、それをグリムレインが氷で作った器の中に入れて長いガラスのスプーンで混ぜると、アイスクリームが出来上がる。
「嫁と婿へのスペシャルだ」
「ルーとアカリ二人でどうぞ!」
「スーも、スーも!」
「はーい。スーは、主様達の案内ご苦労様なのよー」
「いにゃぁぁあ」
エデンにスクルードはそのまま持っていかれてしまい、ここに居ても大丈夫だったのだけど、あららという感じである。
「では、嫁に婿、ゆっくりしていってくれ」
「じゃあ、楽しんでね!」
グリムレインとスピナも楽し気に笑って戻っていく。
なんだか、デートをお膳立てされたようで少し気恥ずかしい物がある。
「アカリ、あーん」
ルーファスが長いガラスのスプーンでアイスクリームをすくい取って、私の口に入れてくれる。
冷たくてサラサラと溶けるアイスクリームの絶妙さは物を噛んだりできない私への配慮なのだろう。
甘くて美味しい。しつこくない甘さでサッパリしてる。
「美味いか?」
目を一回閉じて「うん」と答えると、ルーファスにまた頬に伝い落ちる涙を手で拭かれてしまう。
私達の子供達と従者は優しくて、愛おしい。幸せで感動してしまうのはどうしようもない。
時間をかけてルーファスに食べさせてもらい、少し体の中も冷えてきたと思ったら、ルーファスに口元を舐められて、抱き上げられると、厨房の方へ連れて行かれる。
「オレ達は帰るが、アカリも楽しんだようだ。皆、有り難う」
「父上、母上、来年もまたやりますから、また来年楽しみにして下さいね!」
ルーシーがそう言い、ティルナールやエルシオンも頷く。そしてドヤ顔のグリムレインが自分を指さす。
「我が重要な立て役者だという事を覚えておくといいぞ」
確かにグリムレインが居なくては氷の祭りは難しそうだ。グリムレインが私の頬を撫でて「早く帰って寝ることだの」と、頭をポンポンと叩く。
ルーファスが帰ろうとした時に、足元で両手を広げてスクルードがピョンピョン跳ねている。
「ちちうー、スーも、スーもだっこー!」
「スーちゃんはお姉様が抱っこしてあげますの」
ミルアがスクルードを抱き上げると、泣きそうな顔で私とルーファスを見上げてくる。
「ははうー……うー……」
「アカリ、少し重くなるがいいか?」
瞬きを一回して、ルーファスが少し屈むと「ミルア、スーをこっちへ」と言って、ミルアが困った顔をしつつも、私の上にスクルードを乗せて、スクルードに私の腕を乗せてくれる。そして、ルーファスが私がスクルードを落とさないようにしっかり抱き上げて腕を固定させる。
「母上、大丈夫ですか?」
瞬きを一回して「大丈夫」と伝えて、ミルアとナルアがスクルードの頭を撫でる。
「スーちゃん、はしゃぎ過ぎては駄目ですからね?」
「スーちゃん、母上の上で暴れちゃ駄目ですからね?」
「スー、いいこ! ははうー、ははうー」
ミルアとナルアに注意されるも、スクルードは私に抱いてもらっている形が嬉しいのか、私の胸にスリついてニコニコしている。
この状態になってから、スクルードには寂しい思いをさせているから、本当に早めに元気になっておかなくては。
「さて、帰るか」
「かえるー!」
ルーファスとスクルードと一緒に氷の桜並木を見ながら帰り、氷で出来た千本鳥居の下を通って屋敷へ向かう。
来年もやると言っていたから、来年こそは子供達のお手伝いをしてあげれたらいいのだけど、来年も私は蚊帳の外かもしれない。
でも、サプライズは嬉しかったから、来年も楽しみにしておこうかな?
街の中を歩いていた私とルーファスも雨に濡れて、街中のお茶屋さんの大きな番傘の下に入る。
ルーファスが乾燥魔法を唱えて、私の濡れた髪や服の雫を消し飛ばす。
「折角の氷の祭りも、雨だと勿体ないな」
私は小さく目を閉じて「そうだね」とルーファスに伝える。
子供達とドラゴンが頑張っていたのだし雨なのは残念である。
今の温泉街は街中に氷の鳥居を建てて、まるで千本鳥居のように連なっていて、色とりどりの氷の提灯が幻想的になっている。
今は雨で透明度が増して、これはこれで素敵ではあるけれど、この雨の中で見てくれる人は少なそうだ。
「アカリ、寒くはないか?」
むしろ、雨が心地よくもあると感じられるから、私は瞬きを二回する。
ルーファスが心配そうな顔で私を抱き上げたまま、おでこをくっつけ合わせる。
「ああ……熱が上がっているな。もう、今日は帰った方がいいだろう」
もう少しだけ子供達の作った物を見たくて、瞬きを二回する。
「アカリ……、あと少しだけ、だからな?」
目を閉じて、少しだけ口元に笑みを浮かべると、ルーファスは眉尻を少し下げながら笑い返してくれる。
頭を撫でてくれるルーファスの手に、「ありがとう」と心の中で呟いておく。
私が声が出せない状態なのは、声を出せる元気がないからである。
蛇に噛まれて、全身に回った毒を特殊ポーションで消していったけど、体の中を巡った毒の速さと体内破壊の【腐食】という毒が、私の体を動かす神経をボロボロにしてしまったらしい。
この【腐食】という毒は、南国辺りの毒蛇に多くみられるもので、内臓をドロドロの液状に溶かしてしまう怖い毒なのだという。
しかも、魔獣の王の魔石によって変質した蛇の毒は、【腐食】の毒をさらに強力にしてしまったらしく、全身へ毒が回るのが早かった。
特殊ポーションで毒は消えても、体の内部破壊は治せるわけではない。
今現在、製薬部隊とシルビアさんがソラガラノヘビの血清を作っていて、私のように蛇に噛まれてしまった人が出た時の為に頑張ってくれている。
ちなみに、これ、この世界の人達だと、噛まれた場所が壊死して腐り落ちるけど、私の様に全身回るわけでは無いらしい。
全身に早く回ってしまったのは私の【聖域】が以前より強力になった分、毒などに侵食されやすくなってしまったという、相変わらずの残念仕様だからだ。
シュトラールに回復魔法をしてもらったものの、破壊された組織を治すには【蘇生】でなくてはいけない。
しかし、私の体が蘇生魔法に耐えきれずに心臓発作を起こしてしまい、術者であるシュトラールにも半分それは跳ね返り、シュトラールも今は安静にして魔力と体力を戻している最中である。
私の体が蘇生魔法に耐えられるだけの体力が戻らない事には、術を掛けるのは難しいみたい。
うーん。やっぱり年には勝てない。
若い頃はまだ体力があったんだなぁって……思ったりもする。
「アカリ、見てみろ。グリムレインが氷でドームを街に掛けて雨を凌いでくれたみたいだぞ」
上を見れば氷で出来たドームが張られていて、大きな氷の結晶が見える。
ああ、これも素敵な氷祭りの出し物みたいで良いなぁ。
「子供達が、アカリに見せたかった場所に行こう」
私に何を見せてくれるのだろう?
小さく首を傾げて、氷で出来た鳥居の下を歩いて行き、街中に植えてある桜の木の所まで来ると、氷の桜が満開に咲き誇っていた。
小さな風が吹くと夏には有り難い冷気が広がり、氷の桜の花弁が散っていく。
「見事だな。凄く綺麗だ」
私も「綺麗」と小さく目を閉じる。
これが私に見せたかったものだろうか? とても綺麗だったけど、これを見るのならば、夜の方がライトアップされて綺麗かもしれない。
ルーファスが桜並木を歩き、港の広がった船着き場に着くと、そこには氷で出来た旧・女将亭が建っていて、昔のようにレストランと販売ブースがあり、そこでドラゴンと子供達が料理を出し、販売物を売っている。
「子供達がアカリに見せたかったものだ」
私のお城。
ルーファスが私の安全の為に造り、私が考えて物を作って売って、子供達を育てた大事な思い出の居場所。
今もちゃんとあるけれど、物を作ったりはしていないから、昔のままで再現してくれたのは本当に嬉しい。
「……~っ、っ」
「アカリは泣き虫だな」
顔をルーファスの手で拭かれながら、ポロポロと涙が零れていく。
手足が上手く動かないから、子供達に駆け寄って抱きしめて感激を伝える事も出来ないけど、ちゃんと覚えておこう。
体が治ったら、いっぱい子供達の好きな食べ物を作って感謝を伝えられるようにならなきゃいけない。
「ははうー!」
私達に気付いたスクルードが走り出し、スクルードのお腹に巻かれた紐に一緒に繋がっているエデンが引っ張られてバランスを崩しながら、私に気付くとスクルードを抱き上げてそのまま私達の所へ飛んできてくれた。
「主様! いらっしゃいませ!」
「ははうー、いらやいまー!」
「スー、案内してくれるか?」
「うー! こっちー!」
エデンに地面に下ろしてもらうと、スクルードが後ろを何回も振り向いて笑顔で尻尾を振りながらレストランへ案内してくれる。
「あっ、母上! いらっしゃいですの!」
「父上、お席はこっちですのよ」
「うーっ! スーがやるの! スーの!」
黒いメイドドレス姿のミルアとナルアがピョコッと姿を出して、案内しようとしたのをスクルードが頬をぷっくり膨らませて自分が案内するのだと主張をしている。
「はいはい。スーちゃん頑張るのですよ?」
「うふふ。スーちゃんに出来ますかしら?」
「うーっ! できうー! できうのー!」
姉二人に揶揄われながら、スクルードが氷の釜戸の前の席に案内してくれる。
どうやら私の為の席だったらしく、予約席の札がかかっていた。
「嫁、婿。ようこそ。氷の女将亭へ」
執事服を着たグリムレインが私達の席に来て、テーブルの上に氷の花籠を作り飾ってくれる。
メイドドレスでスピナも出てきて、銀色の小さなティーポットを頭上から流すと、白い液体が出て、それをグリムレインが氷で作った器の中に入れて長いガラスのスプーンで混ぜると、アイスクリームが出来上がる。
「嫁と婿へのスペシャルだ」
「ルーとアカリ二人でどうぞ!」
「スーも、スーも!」
「はーい。スーは、主様達の案内ご苦労様なのよー」
「いにゃぁぁあ」
エデンにスクルードはそのまま持っていかれてしまい、ここに居ても大丈夫だったのだけど、あららという感じである。
「では、嫁に婿、ゆっくりしていってくれ」
「じゃあ、楽しんでね!」
グリムレインとスピナも楽し気に笑って戻っていく。
なんだか、デートをお膳立てされたようで少し気恥ずかしい物がある。
「アカリ、あーん」
ルーファスが長いガラスのスプーンでアイスクリームをすくい取って、私の口に入れてくれる。
冷たくてサラサラと溶けるアイスクリームの絶妙さは物を噛んだりできない私への配慮なのだろう。
甘くて美味しい。しつこくない甘さでサッパリしてる。
「美味いか?」
目を一回閉じて「うん」と答えると、ルーファスにまた頬に伝い落ちる涙を手で拭かれてしまう。
私達の子供達と従者は優しくて、愛おしい。幸せで感動してしまうのはどうしようもない。
時間をかけてルーファスに食べさせてもらい、少し体の中も冷えてきたと思ったら、ルーファスに口元を舐められて、抱き上げられると、厨房の方へ連れて行かれる。
「オレ達は帰るが、アカリも楽しんだようだ。皆、有り難う」
「父上、母上、来年もまたやりますから、また来年楽しみにして下さいね!」
ルーシーがそう言い、ティルナールやエルシオンも頷く。そしてドヤ顔のグリムレインが自分を指さす。
「我が重要な立て役者だという事を覚えておくといいぞ」
確かにグリムレインが居なくては氷の祭りは難しそうだ。グリムレインが私の頬を撫でて「早く帰って寝ることだの」と、頭をポンポンと叩く。
ルーファスが帰ろうとした時に、足元で両手を広げてスクルードがピョンピョン跳ねている。
「ちちうー、スーも、スーもだっこー!」
「スーちゃんはお姉様が抱っこしてあげますの」
ミルアがスクルードを抱き上げると、泣きそうな顔で私とルーファスを見上げてくる。
「ははうー……うー……」
「アカリ、少し重くなるがいいか?」
瞬きを一回して、ルーファスが少し屈むと「ミルア、スーをこっちへ」と言って、ミルアが困った顔をしつつも、私の上にスクルードを乗せて、スクルードに私の腕を乗せてくれる。そして、ルーファスが私がスクルードを落とさないようにしっかり抱き上げて腕を固定させる。
「母上、大丈夫ですか?」
瞬きを一回して「大丈夫」と伝えて、ミルアとナルアがスクルードの頭を撫でる。
「スーちゃん、はしゃぎ過ぎては駄目ですからね?」
「スーちゃん、母上の上で暴れちゃ駄目ですからね?」
「スー、いいこ! ははうー、ははうー」
ミルアとナルアに注意されるも、スクルードは私に抱いてもらっている形が嬉しいのか、私の胸にスリついてニコニコしている。
この状態になってから、スクルードには寂しい思いをさせているから、本当に早めに元気になっておかなくては。
「さて、帰るか」
「かえるー!」
ルーファスとスクルードと一緒に氷の桜並木を見ながら帰り、氷で出来た千本鳥居の下を通って屋敷へ向かう。
来年もやると言っていたから、来年こそは子供達のお手伝いをしてあげれたらいいのだけど、来年も私は蚊帳の外かもしれない。
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