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22章
氷の刻狼亭3
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ドラゴン祭り・氷の刻狼亭の二日目開催___
朝、氷の街中で人だかりが出来たのは、街を一周する様に壁が建てられていたのだけど、その壁の幾つかが壊されていた。
あの氷竜グリムレインの氷の壁を破壊するという事は、氷属性の魔法を壊せるだけの魔力の持ち主か、力強さが備わった人物しかいない。
「我の氷の壁をこの様にしおって!」
「グリムレイン、お前の能力が柔っこくなったんじゃねぇの?」
「失敬な! 我は魔力過多で、これでもかというぐらい頑丈に作っておったわ!」
「ふぅーん。でもよぉ、こんぐらいの氷の壁なら、大旦那辺りなら割れるんじゃねぇの?」
壊された氷の壁を直しながら、ハガネがグリムレインを揶揄い、まん丸グリムレインは益々丸い頬を膨らませている。
ルーファスが崩れている氷の欠片を握って太陽にかざす。
「そうだな。ドワーフの武器があれば怪我も無く壊せるな。武器が無ければ拳か足を痛めるかもしれんが」
「さては、婿が犯人だな!」
「そんなわけあるわけ無いだろう。オレは子供達の企画を壊すような事はせん」
「獅子族は我が子を崖から落とすというではないか!」
「オレは狼族だ。一緒にするな」
氷の魔法に絶対の自信のあるグリムレインとしては不満いっぱいで誰にでも噛みついていきたい感じらしい。太陽やミシリマーフ国の南国特有の熱さではグリムレインの氷が溶ける事もないので、それもプライドを傷つけられている要因の一つかもしれない。
「でも、こんな風に壁を壊すなんて酷い事をする人もいるものだね」
「グリムレインは冬を運ぶドラゴンだからな……猛吹雪をまき散らす事もあって、死者もでていた……恨まれているのもまた確かだからな」
「我がいなければ、作物すら育たん魔力のない大地に恵みを与えていただけだというのに!」
ムスーッとグリムレインが怒った顔をして、ルーファスが肩をすくめて「やれやれ、困ったヤツだな」と言いながら、壁の外側に少し棘の様な角を付けて、肉体派で壊されている場合に備えてはどうか? と提案して、外の壁は棘の様な形に直された。
何故、外側だけなのか?
どれも外側から壊されていて、内側からではなかったから。
勿論、今日、内側から壊されたら、それはそれで考える様だけどね。
「それにしても、グリムレイン。大分、丸さが無くなり始めたね」
「うむ。常に氷を維持して生み出しているおかげだの」
「早く元の姿に戻るといいねぇ」
「うむ。早く嫁と一緒に遊んでやりたいが、まだ体が上手く動かんから……」
「ふふっ、元に戻ったらまたお買い物に一緒に行こうね」
グリムレインの足をポンポンと叩くと、尻尾が嬉しそうに揺れて大きな犬の様だ。ルーファスもそうだけど、ドラゴンも嬉しいと尻尾を振るから、尻尾は雄弁である。
ハガネは耳も尻尾も隠すから、何を考えているかは表情を見ないと分からないけどね。
グリムレインを触っていると、ルーファスに後ろから持ち上げられて抱き上げられると、少し拗ねた様な顔をしている。
これはグリムレインに妬きもちだろうか?
「ルーファスも一緒にお買い物に行きましょうね?」
「ああ、勿論だ」
頬を擦り合わせてルーファスが嬉しそうな声を出して、尻尾をブンブンと振っている。やはり尻尾は雄弁だ。
私達大人が壁の修復で喋っていると、ティルナールとルーシーが開店準備の通達と見回りにきた。
「壁は直った? そろそろ入場時間だから父上も母上もハガネも準備してね?」
「グリムレイン、今日のお店の人達からの注文を紙に書いておいたから、今日も頑張って」
「わかった。そろそろ我々も動くか」
「そうですね。今日も頑張りましょうね」
「我は今日もコキ使われる……」
それぞれが行動開始の為に自分の持ち場へ帰り、本日二日目の氷の刻狼亭が開催された。
店に戻ったらアルビーがミッカの輪切りを大量に作っていて、私はひたすらミッカ絞りを繰り返し、アルビーが輪切りにしたミッカをグリムレインに凍らせてもらって氷替わりに氷のコップに入れる。
氷で薄まるのをグリムレインに調節してもらっていたのだけれど、これはこれで、グリムレインが悲鳴を上げていたので、ミッカの輪切りをカチンコチンに凍らせて氷替わりにしたというわけです。
皮の部分は飴でパリパリコーティングしてあるから、美味しく食べれるはずだ。
「いらっしゃいませー! 幻のミッカジュースは一杯四白銅貨(四百円)ですよー! 白竜アルビーの光属性の癒し効果付きです!」
「え!? アカリなにそれ! 聞いてないよ!?」
「うふふっ、【聖域】がどうしても発動しちゃうから、アルビーの癒し効果にしとけばいいかなって、ルーファスが宣伝に使いなさいって」
「うわっ、酷いよ~。夫婦揃って私を何だと思ってるのさー」
私とアルビーが販売カウンターで騒いでいると、何やら人だかりがザワッとして、人を引き連れた五十代くらいの難しい顔をしたオジサンが現れた。
「すまないが、ミッカジュースとワッフルを三つ貰えるだろうか?」
「はい。三つずつですね。ジュースとワッフル合わせて一銅貨八白銅貨(千八百円)になります」
「ハガネ、ワッフル三つお願い」
「あいよ。リロノス、出来上がってる方持ってくぞ」
「はい。どうぞ」
ジュースとワッフルを手渡して、お金を貰うと、その人がお金と一緒に「リロノス殿へ渡してくれ」と包みを渡してきた。
よく分からずに受け取り、リロノスさんへ渡していると、その人は姿を消してしまった。
リロノスさんが慌ててカウンターからその人を追って出て行き、カウンターの中の私達三人は首を傾げて、そのままお客さんの対応に追われてしまって、リロノスさんが戻ってきたのはそれから20分くらいしてからだった。
「すいません。お店は大丈夫でしたか?」
「大丈夫だぜ。俺に任せりゃ、楽勝だ」
「ええ。大丈夫ですよ。それで、さっきの人は何だったんです?」
「えー、まぁ、親戚になります……」
「親戚?」
この国に親戚なんているんだー? と思っていたら、そういえばイルマールくんはこの国の出身だったと思い出す。そっち方面だろう。
「ええ、イルマールの叔父にあたる人で……ミシリマーフ国王です」
「「「ふぁっ!!?」」」
驚いた声を三人で上げてしまったが、確かお客さん達の驚きようと、連れてきている人達も護衛という感じだったかも……?
「娘達の子供が生まれる事をテルトワイトさんから聞いたとかで、お祝いを貰ってしまったんです」
「なるほど。良かったじゃないですか。あー、でも生まれてからのお返しが王様相手だと困っちゃいますね」
「そうですね。娘達には大変そうなので私の方で用意するしかないですね」
「お父さんは大変ですね。あっ、お祖父ちゃんは大変ですね? かしらね。ふふっ」
リロノスさんが照れたような笑い方をして、女のお客さんがキャーッと黄色い声を上げた……リロノスさんって見慣れてしまったけど、顔は良いからなぁと苦笑いして、店の奥へ行ってもらいワッフル作り機と化してもらった。
若い女の子のお客さんの目の毒だわ。
今日は昨日よりも多く材料を仕入れていたので、夕方になる少し前で完売になった。
ルーファスの所も同じような時間帯で終わり、夜になって皆で食事をとっていた時、小さな振動がして足元が揺れた。
パキパキと氷が砕かれるの様な音がして、グリムレインが「絶対に犯人を捕まえる!」と外へ飛び出し、私達も追って外へ出て、音のしている場所へ行くと、人だかりが出来ていた。
暗がりの壁際を魔法で明るく光らせると、一瞬、何かが氷の壁の外に見えたが、ズズズと音と振動を立てて消えてしまった。
「なんだったの今の?」
「一瞬過ぎて分からん……が、氷の壁を壊していたのは、人ではないな」
朝、氷の街中で人だかりが出来たのは、街を一周する様に壁が建てられていたのだけど、その壁の幾つかが壊されていた。
あの氷竜グリムレインの氷の壁を破壊するという事は、氷属性の魔法を壊せるだけの魔力の持ち主か、力強さが備わった人物しかいない。
「我の氷の壁をこの様にしおって!」
「グリムレイン、お前の能力が柔っこくなったんじゃねぇの?」
「失敬な! 我は魔力過多で、これでもかというぐらい頑丈に作っておったわ!」
「ふぅーん。でもよぉ、こんぐらいの氷の壁なら、大旦那辺りなら割れるんじゃねぇの?」
壊された氷の壁を直しながら、ハガネがグリムレインを揶揄い、まん丸グリムレインは益々丸い頬を膨らませている。
ルーファスが崩れている氷の欠片を握って太陽にかざす。
「そうだな。ドワーフの武器があれば怪我も無く壊せるな。武器が無ければ拳か足を痛めるかもしれんが」
「さては、婿が犯人だな!」
「そんなわけあるわけ無いだろう。オレは子供達の企画を壊すような事はせん」
「獅子族は我が子を崖から落とすというではないか!」
「オレは狼族だ。一緒にするな」
氷の魔法に絶対の自信のあるグリムレインとしては不満いっぱいで誰にでも噛みついていきたい感じらしい。太陽やミシリマーフ国の南国特有の熱さではグリムレインの氷が溶ける事もないので、それもプライドを傷つけられている要因の一つかもしれない。
「でも、こんな風に壁を壊すなんて酷い事をする人もいるものだね」
「グリムレインは冬を運ぶドラゴンだからな……猛吹雪をまき散らす事もあって、死者もでていた……恨まれているのもまた確かだからな」
「我がいなければ、作物すら育たん魔力のない大地に恵みを与えていただけだというのに!」
ムスーッとグリムレインが怒った顔をして、ルーファスが肩をすくめて「やれやれ、困ったヤツだな」と言いながら、壁の外側に少し棘の様な角を付けて、肉体派で壊されている場合に備えてはどうか? と提案して、外の壁は棘の様な形に直された。
何故、外側だけなのか?
どれも外側から壊されていて、内側からではなかったから。
勿論、今日、内側から壊されたら、それはそれで考える様だけどね。
「それにしても、グリムレイン。大分、丸さが無くなり始めたね」
「うむ。常に氷を維持して生み出しているおかげだの」
「早く元の姿に戻るといいねぇ」
「うむ。早く嫁と一緒に遊んでやりたいが、まだ体が上手く動かんから……」
「ふふっ、元に戻ったらまたお買い物に一緒に行こうね」
グリムレインの足をポンポンと叩くと、尻尾が嬉しそうに揺れて大きな犬の様だ。ルーファスもそうだけど、ドラゴンも嬉しいと尻尾を振るから、尻尾は雄弁である。
ハガネは耳も尻尾も隠すから、何を考えているかは表情を見ないと分からないけどね。
グリムレインを触っていると、ルーファスに後ろから持ち上げられて抱き上げられると、少し拗ねた様な顔をしている。
これはグリムレインに妬きもちだろうか?
「ルーファスも一緒にお買い物に行きましょうね?」
「ああ、勿論だ」
頬を擦り合わせてルーファスが嬉しそうな声を出して、尻尾をブンブンと振っている。やはり尻尾は雄弁だ。
私達大人が壁の修復で喋っていると、ティルナールとルーシーが開店準備の通達と見回りにきた。
「壁は直った? そろそろ入場時間だから父上も母上もハガネも準備してね?」
「グリムレイン、今日のお店の人達からの注文を紙に書いておいたから、今日も頑張って」
「わかった。そろそろ我々も動くか」
「そうですね。今日も頑張りましょうね」
「我は今日もコキ使われる……」
それぞれが行動開始の為に自分の持ち場へ帰り、本日二日目の氷の刻狼亭が開催された。
店に戻ったらアルビーがミッカの輪切りを大量に作っていて、私はひたすらミッカ絞りを繰り返し、アルビーが輪切りにしたミッカをグリムレインに凍らせてもらって氷替わりに氷のコップに入れる。
氷で薄まるのをグリムレインに調節してもらっていたのだけれど、これはこれで、グリムレインが悲鳴を上げていたので、ミッカの輪切りをカチンコチンに凍らせて氷替わりにしたというわけです。
皮の部分は飴でパリパリコーティングしてあるから、美味しく食べれるはずだ。
「いらっしゃいませー! 幻のミッカジュースは一杯四白銅貨(四百円)ですよー! 白竜アルビーの光属性の癒し効果付きです!」
「え!? アカリなにそれ! 聞いてないよ!?」
「うふふっ、【聖域】がどうしても発動しちゃうから、アルビーの癒し効果にしとけばいいかなって、ルーファスが宣伝に使いなさいって」
「うわっ、酷いよ~。夫婦揃って私を何だと思ってるのさー」
私とアルビーが販売カウンターで騒いでいると、何やら人だかりがザワッとして、人を引き連れた五十代くらいの難しい顔をしたオジサンが現れた。
「すまないが、ミッカジュースとワッフルを三つ貰えるだろうか?」
「はい。三つずつですね。ジュースとワッフル合わせて一銅貨八白銅貨(千八百円)になります」
「ハガネ、ワッフル三つお願い」
「あいよ。リロノス、出来上がってる方持ってくぞ」
「はい。どうぞ」
ジュースとワッフルを手渡して、お金を貰うと、その人がお金と一緒に「リロノス殿へ渡してくれ」と包みを渡してきた。
よく分からずに受け取り、リロノスさんへ渡していると、その人は姿を消してしまった。
リロノスさんが慌ててカウンターからその人を追って出て行き、カウンターの中の私達三人は首を傾げて、そのままお客さんの対応に追われてしまって、リロノスさんが戻ってきたのはそれから20分くらいしてからだった。
「すいません。お店は大丈夫でしたか?」
「大丈夫だぜ。俺に任せりゃ、楽勝だ」
「ええ。大丈夫ですよ。それで、さっきの人は何だったんです?」
「えー、まぁ、親戚になります……」
「親戚?」
この国に親戚なんているんだー? と思っていたら、そういえばイルマールくんはこの国の出身だったと思い出す。そっち方面だろう。
「ええ、イルマールの叔父にあたる人で……ミシリマーフ国王です」
「「「ふぁっ!!?」」」
驚いた声を三人で上げてしまったが、確かお客さん達の驚きようと、連れてきている人達も護衛という感じだったかも……?
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「なるほど。良かったじゃないですか。あー、でも生まれてからのお返しが王様相手だと困っちゃいますね」
「そうですね。娘達には大変そうなので私の方で用意するしかないですね」
「お父さんは大変ですね。あっ、お祖父ちゃんは大変ですね? かしらね。ふふっ」
リロノスさんが照れたような笑い方をして、女のお客さんがキャーッと黄色い声を上げた……リロノスさんって見慣れてしまったけど、顔は良いからなぁと苦笑いして、店の奥へ行ってもらいワッフル作り機と化してもらった。
若い女の子のお客さんの目の毒だわ。
今日は昨日よりも多く材料を仕入れていたので、夕方になる少し前で完売になった。
ルーファスの所も同じような時間帯で終わり、夜になって皆で食事をとっていた時、小さな振動がして足元が揺れた。
パキパキと氷が砕かれるの様な音がして、グリムレインが「絶対に犯人を捕まえる!」と外へ飛び出し、私達も追って外へ出て、音のしている場所へ行くと、人だかりが出来ていた。
暗がりの壁際を魔法で明るく光らせると、一瞬、何かが氷の壁の外に見えたが、ズズズと音と振動を立てて消えてしまった。
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