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22章
氷の刻狼亭2
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氷で出来た店内はグリムレインの魔法によって、溶けない、手を付けても張り付かないと、中々に良い感じで何より、ミシリマーフ国は砂漠地帯。暑さは尋常ではないのだけど、氷の街は涼しく快適!
そして、この涼しい中で食べるカレーは熱々で美味しい! まぁ、辛いとスクルードのお乳問題でまた地獄の様な声で泣かれては困るから、豆と芋のグリーンカレーを食べている。辛くはないし、ナンはスイーツナンなのでカラフルなチョコチップがのっている。甘くて普通のナンのパンらしさより、お菓子っぽさがある。
あと、サモナという中にカレーが入った肉種を芋で包み、それを薄いパン生地で包んで揚げた物もある。
これもまた美味しい。
乳製品で出来たヨーグルトっぽいラッシーの様な飲み物もあるんだけど、私は授乳があるので胸がガチガチに固まると困るから飲めないけど、アルビーいわく美味しいらしい。
私は大人しくバナナジュースです。
ええ、スクルードの好きな味なのでたっぷりとりますとも!
「んーっ、美味しい~っ!」
「お店が直ぐ完売して良かったよね!」
「私達の幻のミッカジュースは不滅の伝説ね!うふふっ」
予定以上の客入りに私達のジュースとワッフル屋は一気に完売状態で、午前中に終わってしまった。開催は3日間なので明日はもう少し材料を多くし入れる事にして、私達は完売の看板をお店の前に出して、露店まわりをして色々買い込み、お店の中で少し遅いお昼ご飯をしている。
「これ食ったら、俺達も大旦那の手伝いに行くか?」
「はーい。でも、朝からお酒飲む人なんているのかしら?」
「酒は何処でも飲むやつは一定数いるだろ」
「夜の方が儲かりそう」
ハガネがスクルードを膝に乗せてお昼を食べつつ、エデンとケイトがスプーンを持って交互にスクルードの口に離乳食を食べさせる。
傍から見たらドラゴン二人に食べさせてもらっているお子様なんて贅沢である。
なんせここはドラゴンを祀っていた国なので、ドラゴンは今も神聖視されているから、この氷祭りもいきなりの申し込みだったのに喜ばれた。
うちの温泉大陸のドラゴンは人化禁止で参加とは言われたけど、ドラゴン達も楽しそうなので良しとしておく。
アルビーやエデンやケイトを見ようとお客さんが集まったのもあったしね。
私の手柄半分、ドラゴン達の手柄半分の完売御礼でもある。
「アルビー達の人気凄いねぇ」
「そりゃあ、私達ドラゴンは人前には滅多に姿を現さないし、人に力を貸すなんてほぼしないからね。昔はともかく、今の人達ってなんでも自分達でやってしまうからね」
「ドラゴンが言うと深い……人生、いや竜生長いく生きているだけはある」
「なにそれ~」
アルビーとはこの世界に来て、二、三ヶ月くらいで出会っているから思えば長い付き合いで、ドラゴンと一緒にいる生活は私にとっては馴染みのあるものだけど、この世界ではドラゴンは滅多に姿を見ることもない存在だったから、こうして目の前に居るという事自体、この世界の人達には奇跡に近いのだろう。
未来もこのドラゴン達は温泉大陸に存在している事は、未来から来たリルさんから聞いているから、私達はこの先も離れることは無いのだろう。
「なぁに? アカリったらそんなに見つめて」
「ううん。早く食べてルーファスのお手伝いに行こうね」
「うん。お酒なら私に任せてほしいね」
「ふふっ、そうだね」
お昼ご飯を食べ終えて、エデンとケイトがお昼寝に突入してしまったスクルードの面倒を見ていると言うので任せて、私達はルーファスのお店『黒狼』へ向かった。
お店はカウンター席とテーブル席が四つだけのこじんまりとしたお店ではあったのだけど……褐色の美女の多さに私は笑顔で固まっていた。
なんだこのホストクラブ!?
「大旦那、盛況だな」
「ああ、ハガネか。アカリ達も来たのか。まぁ、ご覧の通りだ」
こういった樽酒は渋い大人の一夜の楽しみ……みたいなイメージがあったのだけど、なんか、氷とウィスキーに甘い炭酸水で割って、景気よく飲んでいらっしゃるお客さん達に少し驚きである。
南国の人々は陽気なようで、お酒をグイーッと飲んで「次行ってみよー!」という感じで、元気よく飲んでは別のお店でも騒いで、喉が渇いたらまた戻って来る感じのようだ。
「お手伝いはいる?」
「いや、そろそろ品切れ状態だ。完売の看板をシュテンが今書いている」
「マジかよー! 俺も飲みたかったのに!」
「ハガネは温泉大陸に帰ればいつでも飲めるだろう?」
「こういうところで雰囲気に呑まれて飲むのが良いんじゃねぇ―か」
やれやれな従者である。
私達が店に入って、注目が集まったのはやはり光竜のアルビーの姿だろう。
今までルーファスにまとわりついていた美女がアルビーに一斉に注目しているのだから、現金なものだ。
いえ、私は怒ってませんよ? ルーファスはカッコイイですからね。ええ、流石私の番です。そう、私のです。
「アカリ? なんだか笑顔が怖いんだが?」
「番の笑顔が怖いとか失礼ですよ。うふふふ」
「うわっ、アカリが嫉妬してんぞ。大旦那どうにかしろ」
「嫌だな、ハガネったら。私がなんで嫉妬するっていうの?」
ガツッとハガネの脛を蹴ってニッコリ笑っておく。
ハガネの悲鳴が上がるが、それは放置しておこう。私達がコントの様な事をしていると、小さなピキピキという音が何所からかして、小さく揺れた気もするけど、わかるかわからないかの振動だったので、気にはしなかった。
問題が起きたのは次の日だった__氷の城壁の一部が壊されていたのだった。
そして、この涼しい中で食べるカレーは熱々で美味しい! まぁ、辛いとスクルードのお乳問題でまた地獄の様な声で泣かれては困るから、豆と芋のグリーンカレーを食べている。辛くはないし、ナンはスイーツナンなのでカラフルなチョコチップがのっている。甘くて普通のナンのパンらしさより、お菓子っぽさがある。
あと、サモナという中にカレーが入った肉種を芋で包み、それを薄いパン生地で包んで揚げた物もある。
これもまた美味しい。
乳製品で出来たヨーグルトっぽいラッシーの様な飲み物もあるんだけど、私は授乳があるので胸がガチガチに固まると困るから飲めないけど、アルビーいわく美味しいらしい。
私は大人しくバナナジュースです。
ええ、スクルードの好きな味なのでたっぷりとりますとも!
「んーっ、美味しい~っ!」
「お店が直ぐ完売して良かったよね!」
「私達の幻のミッカジュースは不滅の伝説ね!うふふっ」
予定以上の客入りに私達のジュースとワッフル屋は一気に完売状態で、午前中に終わってしまった。開催は3日間なので明日はもう少し材料を多くし入れる事にして、私達は完売の看板をお店の前に出して、露店まわりをして色々買い込み、お店の中で少し遅いお昼ご飯をしている。
「これ食ったら、俺達も大旦那の手伝いに行くか?」
「はーい。でも、朝からお酒飲む人なんているのかしら?」
「酒は何処でも飲むやつは一定数いるだろ」
「夜の方が儲かりそう」
ハガネがスクルードを膝に乗せてお昼を食べつつ、エデンとケイトがスプーンを持って交互にスクルードの口に離乳食を食べさせる。
傍から見たらドラゴン二人に食べさせてもらっているお子様なんて贅沢である。
なんせここはドラゴンを祀っていた国なので、ドラゴンは今も神聖視されているから、この氷祭りもいきなりの申し込みだったのに喜ばれた。
うちの温泉大陸のドラゴンは人化禁止で参加とは言われたけど、ドラゴン達も楽しそうなので良しとしておく。
アルビーやエデンやケイトを見ようとお客さんが集まったのもあったしね。
私の手柄半分、ドラゴン達の手柄半分の完売御礼でもある。
「アルビー達の人気凄いねぇ」
「そりゃあ、私達ドラゴンは人前には滅多に姿を現さないし、人に力を貸すなんてほぼしないからね。昔はともかく、今の人達ってなんでも自分達でやってしまうからね」
「ドラゴンが言うと深い……人生、いや竜生長いく生きているだけはある」
「なにそれ~」
アルビーとはこの世界に来て、二、三ヶ月くらいで出会っているから思えば長い付き合いで、ドラゴンと一緒にいる生活は私にとっては馴染みのあるものだけど、この世界ではドラゴンは滅多に姿を見ることもない存在だったから、こうして目の前に居るという事自体、この世界の人達には奇跡に近いのだろう。
未来もこのドラゴン達は温泉大陸に存在している事は、未来から来たリルさんから聞いているから、私達はこの先も離れることは無いのだろう。
「なぁに? アカリったらそんなに見つめて」
「ううん。早く食べてルーファスのお手伝いに行こうね」
「うん。お酒なら私に任せてほしいね」
「ふふっ、そうだね」
お昼ご飯を食べ終えて、エデンとケイトがお昼寝に突入してしまったスクルードの面倒を見ていると言うので任せて、私達はルーファスのお店『黒狼』へ向かった。
お店はカウンター席とテーブル席が四つだけのこじんまりとしたお店ではあったのだけど……褐色の美女の多さに私は笑顔で固まっていた。
なんだこのホストクラブ!?
「大旦那、盛況だな」
「ああ、ハガネか。アカリ達も来たのか。まぁ、ご覧の通りだ」
こういった樽酒は渋い大人の一夜の楽しみ……みたいなイメージがあったのだけど、なんか、氷とウィスキーに甘い炭酸水で割って、景気よく飲んでいらっしゃるお客さん達に少し驚きである。
南国の人々は陽気なようで、お酒をグイーッと飲んで「次行ってみよー!」という感じで、元気よく飲んでは別のお店でも騒いで、喉が渇いたらまた戻って来る感じのようだ。
「お手伝いはいる?」
「いや、そろそろ品切れ状態だ。完売の看板をシュテンが今書いている」
「マジかよー! 俺も飲みたかったのに!」
「ハガネは温泉大陸に帰ればいつでも飲めるだろう?」
「こういうところで雰囲気に呑まれて飲むのが良いんじゃねぇ―か」
やれやれな従者である。
私達が店に入って、注目が集まったのはやはり光竜のアルビーの姿だろう。
今までルーファスにまとわりついていた美女がアルビーに一斉に注目しているのだから、現金なものだ。
いえ、私は怒ってませんよ? ルーファスはカッコイイですからね。ええ、流石私の番です。そう、私のです。
「アカリ? なんだか笑顔が怖いんだが?」
「番の笑顔が怖いとか失礼ですよ。うふふふ」
「うわっ、アカリが嫉妬してんぞ。大旦那どうにかしろ」
「嫌だな、ハガネったら。私がなんで嫉妬するっていうの?」
ガツッとハガネの脛を蹴ってニッコリ笑っておく。
ハガネの悲鳴が上がるが、それは放置しておこう。私達がコントの様な事をしていると、小さなピキピキという音が何所からかして、小さく揺れた気もするけど、わかるかわからないかの振動だったので、気にはしなかった。
問題が起きたのは次の日だった__氷の城壁の一部が壊されていたのだった。
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