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22章
狼と孫達
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「ただいま戻ってきました。リュエールがお世話になりました」
ハニーブロンドの髪をサラッと揺らしながら、キリンちゃんが頭を下げてニッコリと笑って里帰りから戻ってきた。孫のレーネルくんも一緒に戻ってきたので、ルーファスが膝の上に乗ってきたレーネルくんに目尻を下げている。
リュエールは自分の膝にすぐに戻ってこないレーネルくんにヤキモキしている様で少し笑ってしまう。
「キリンちゃん、おかえりなさい。里帰りで羽は伸ばせたかな?」
「はい! それはもう、これでもかってくらいです!」
「ふふっ、良かった。たまには親元でのんびりしないとね」
「うちの両親はのんびりできる様な人達じゃないですよ。むしろ、森の中にいるだけで羽を伸ばせたって感じです」
さすが森の妖精と言われるエルフといったところだろうか?
コロコロとキリンちゃんが笑い、里帰りでリフレッシュしたのかスッキリした顔をしていた。
リュエールはいつものすまし顔ではあるものの、キリンちゃんが帰ってきた事に尻尾がせわしなく動いている。正直な尻尾に「あらあら」と微笑ましくなってしまう。
「お義母さん、二人目が出来たんです」
「まぁ! それはおめでとう。なら、体を大事にしないとね。お仕事の方は私も手伝うから、なるべく休んでね。ドーンと、お母さんに任せなさい」
胸に手を置いて笑うと、キリンちゃんも「お願いします」と笑顔をみせる。
ルーファスは耳をピクピク動かして、私に意見を求める目をしているけど、素直に喜べばいいのに困った人だ。
「キリンさん、わたしもお手伝いします!」
「ありがとう。フィリア」
うちのお嫁さん二人も仲が良いから安心安心。
「あー、リュエール。二人目が生まれるまで、しっかり支えてやれ」
「言われなくても、当然でしょ。生まれてからも支えるよ」
ルーファスはとりあえず、自分の息子の方へ声をかける事にしたようで、男の人はこういう時、面倒くさい性格ね。と思う。
「リューちゃん、良かったねぇ。楽しみだね」
「あ、うん。また母上にはお世話になると思うから、よろしくね」
「それは任せてね。ふふっ、スー叔父さん、姪っ子か甥っ子ができますよ~」
「母上、スーが可哀想だから叔父さん呼びは止めてあげなよ」
「ふふふっ」
抱っこしているスクルードを叔父さん呼びしていると、リュエールが眉尻を下げてスクルードを抱き上げると「重くなったね」と言って、昨日のルーファスの様に顔面に張り付かれて「えっ!」と変な声を上げていた。
どうやらスクルードは三角耳の魔力に魅かれてしまっているようだ。
「こらぁ。スーちゃん、お兄ちゃんが痛いでしょー? お耳は駄目よ」
「んぎぃー」
「……何気に、握力強くない? スー」
リュエールの耳をガッチリ握りしめて仕舞いには口の中に耳を入れ始め、シュトラールと一緒にスクルードを引き剥がす羽目になった。
「スー、流石に耳を口に入れたら駄目だよ」
「あぶー、んぎぃぃ」
「あはは。スー、オレの耳はだーめ」
「んぎぃー、あう、あばなー、んぎー」
シュトラールの耳に次は狙いを付けたスクルードは、手をバタバタさせて文句を言っている。それをシュトラールはお兄ちゃんという感じで軽くあしらっている。
リュエールが言っていたように、スクルードは手の力が強いのか、手だけでロッククライミングの様にシュトラールにへばりつこうとしている辺り、我が家の末っ子は末恐ろしい子である。
「うわぁ……耳ベタベタにされてる」
「リュエールでも弟さんには敵わないね」
「まぁね、父上ですらスーには敵わないし。うちでスーに敵う人って居ないんじゃない?」
「レーネルはヤンチャなところがあんまり無いから、スーちゃんが新鮮に見えるね」
相変わらずルーファスの膝の上でお座りしているレーネルくんは、男の子らしい元気の良さはあるけど、スクルードの様に活発に動き回る幼児ではない。
どことなく品の良いお坊ちゃんという感じが強いかな?
「ほら、スーくん、姉様の方においでー」
フィリアちゃんがスクルードをシュトラールから奪い、抱っこすると、ルビスちゃんが「あーっ!」と声を出して、フィリアちゃんの足にしがみつく。
「かーしゃま、めっ! めなの!」
「あっ、ルビス。メッ! スーくんはルビスより小さい子なのよ? 優しくしなさい」
「いやぁー! かーしゃまぁ! スー、いやぁ!」
「……んっ、んぎぃぃぃ、ひゃぁぁん」
ジタジタとルビスちゃんが地団太を踏むと、スクルードが泣き始め、釣られる様にルビスちゃんも泣き始め、ついにはレーネルくんも感化されて泣き始めるというカオス状態となった。
「ルビス、おいで」
「とーしゃ、いやぁぁ! かーしゃまぁぁ!」
ガクリとシュトラールが項垂れて、ルーファスが苦笑いしつつレーネル君をリュエールに渡し、フィリアちゃんからスクルードを受け取ってあやし始め、フィリアちゃんはルビスちゃんをなだめ始める。
「賑やかなものだな」
「数年前もこんな感じでしたよ。来年にはまた増えているでしょうから、もっと賑やかですよ」
きっと来年の今頃は、私達は孫にまた囲まれているのだろう。
それは賑やかな日々に違いない。その日を楽しみに、私とルーファスは顔を見合わせて笑う。
ハニーブロンドの髪をサラッと揺らしながら、キリンちゃんが頭を下げてニッコリと笑って里帰りから戻ってきた。孫のレーネルくんも一緒に戻ってきたので、ルーファスが膝の上に乗ってきたレーネルくんに目尻を下げている。
リュエールは自分の膝にすぐに戻ってこないレーネルくんにヤキモキしている様で少し笑ってしまう。
「キリンちゃん、おかえりなさい。里帰りで羽は伸ばせたかな?」
「はい! それはもう、これでもかってくらいです!」
「ふふっ、良かった。たまには親元でのんびりしないとね」
「うちの両親はのんびりできる様な人達じゃないですよ。むしろ、森の中にいるだけで羽を伸ばせたって感じです」
さすが森の妖精と言われるエルフといったところだろうか?
コロコロとキリンちゃんが笑い、里帰りでリフレッシュしたのかスッキリした顔をしていた。
リュエールはいつものすまし顔ではあるものの、キリンちゃんが帰ってきた事に尻尾がせわしなく動いている。正直な尻尾に「あらあら」と微笑ましくなってしまう。
「お義母さん、二人目が出来たんです」
「まぁ! それはおめでとう。なら、体を大事にしないとね。お仕事の方は私も手伝うから、なるべく休んでね。ドーンと、お母さんに任せなさい」
胸に手を置いて笑うと、キリンちゃんも「お願いします」と笑顔をみせる。
ルーファスは耳をピクピク動かして、私に意見を求める目をしているけど、素直に喜べばいいのに困った人だ。
「キリンさん、わたしもお手伝いします!」
「ありがとう。フィリア」
うちのお嫁さん二人も仲が良いから安心安心。
「あー、リュエール。二人目が生まれるまで、しっかり支えてやれ」
「言われなくても、当然でしょ。生まれてからも支えるよ」
ルーファスはとりあえず、自分の息子の方へ声をかける事にしたようで、男の人はこういう時、面倒くさい性格ね。と思う。
「リューちゃん、良かったねぇ。楽しみだね」
「あ、うん。また母上にはお世話になると思うから、よろしくね」
「それは任せてね。ふふっ、スー叔父さん、姪っ子か甥っ子ができますよ~」
「母上、スーが可哀想だから叔父さん呼びは止めてあげなよ」
「ふふふっ」
抱っこしているスクルードを叔父さん呼びしていると、リュエールが眉尻を下げてスクルードを抱き上げると「重くなったね」と言って、昨日のルーファスの様に顔面に張り付かれて「えっ!」と変な声を上げていた。
どうやらスクルードは三角耳の魔力に魅かれてしまっているようだ。
「こらぁ。スーちゃん、お兄ちゃんが痛いでしょー? お耳は駄目よ」
「んぎぃー」
「……何気に、握力強くない? スー」
リュエールの耳をガッチリ握りしめて仕舞いには口の中に耳を入れ始め、シュトラールと一緒にスクルードを引き剥がす羽目になった。
「スー、流石に耳を口に入れたら駄目だよ」
「あぶー、んぎぃぃ」
「あはは。スー、オレの耳はだーめ」
「んぎぃー、あう、あばなー、んぎー」
シュトラールの耳に次は狙いを付けたスクルードは、手をバタバタさせて文句を言っている。それをシュトラールはお兄ちゃんという感じで軽くあしらっている。
リュエールが言っていたように、スクルードは手の力が強いのか、手だけでロッククライミングの様にシュトラールにへばりつこうとしている辺り、我が家の末っ子は末恐ろしい子である。
「うわぁ……耳ベタベタにされてる」
「リュエールでも弟さんには敵わないね」
「まぁね、父上ですらスーには敵わないし。うちでスーに敵う人って居ないんじゃない?」
「レーネルはヤンチャなところがあんまり無いから、スーちゃんが新鮮に見えるね」
相変わらずルーファスの膝の上でお座りしているレーネルくんは、男の子らしい元気の良さはあるけど、スクルードの様に活発に動き回る幼児ではない。
どことなく品の良いお坊ちゃんという感じが強いかな?
「ほら、スーくん、姉様の方においでー」
フィリアちゃんがスクルードをシュトラールから奪い、抱っこすると、ルビスちゃんが「あーっ!」と声を出して、フィリアちゃんの足にしがみつく。
「かーしゃま、めっ! めなの!」
「あっ、ルビス。メッ! スーくんはルビスより小さい子なのよ? 優しくしなさい」
「いやぁー! かーしゃまぁ! スー、いやぁ!」
「……んっ、んぎぃぃぃ、ひゃぁぁん」
ジタジタとルビスちゃんが地団太を踏むと、スクルードが泣き始め、釣られる様にルビスちゃんも泣き始め、ついにはレーネルくんも感化されて泣き始めるというカオス状態となった。
「ルビス、おいで」
「とーしゃ、いやぁぁ! かーしゃまぁぁ!」
ガクリとシュトラールが項垂れて、ルーファスが苦笑いしつつレーネル君をリュエールに渡し、フィリアちゃんからスクルードを受け取ってあやし始め、フィリアちゃんはルビスちゃんをなだめ始める。
「賑やかなものだな」
「数年前もこんな感じでしたよ。来年にはまた増えているでしょうから、もっと賑やかですよ」
きっと来年の今頃は、私達は孫にまた囲まれているのだろう。
それは賑やかな日々に違いない。その日を楽しみに、私とルーファスは顔を見合わせて笑う。
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