黒狼の可愛いおヨメさま

ろいず

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22章

お説教タイム

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 白い魔獣のフェネシーをリュエールに取り上げられて、ルーファスとハガネとクロに正座でお説教されている私の足は、筋肉痛と痺れで体力ゲージは無いに等しい。

「反省したから、そんなに怒らないで~!」
「アカリは危機感が足りない!」
「この魔獣が変な病気持ってたらどーすんだ!」
「ナウナウナウ!」

 不用意に触ったのは駄目だったかもしれないけど、ふわモコの毛並みは極上だった……と、思っていたらクロが「ナウーッ!」と浮気を攻める夫の様に声を上げる。

「うう……っ、ちゃんと手は洗ったよ」
「そういう事じゃない! うちには小さな子供もいるんだぞ!」
「それはわかってるの! でもルーファスだって昨日捕まえてたでしょ?」
「大旦那のは捕獲で、アカリは普通に触りたいから触っただけだろーが」
「ううっ、だってフワフワしてたんだもの~」
「ナンナーン!」

 お説教で反省はしたけど、足の痺れと筋肉痛で半分は耳に入って外へ消えていく。
リュエールがそんな私とルーファス達を駄目な人達という目で見て、屋敷にフェネシーを回収に来た従業員に渡して【刻狼亭】へ戻っていく。

 私に攻撃が効かない状態だったものは数分で切れてしまったから、これはフェネシーの能力かもしれないと、製薬部隊が調べるのに手ぐすねを引いて待っているらしい。
あまりひどい事をしてほしくはないけど、余計な事を言えば、またお説教をされるので大人しくしておく。

「とにかく、アカリは子供じゃないんだ。むやみやたらに変な生き物に手を出すんじゃない!」

 それはクロを含めて言っているんだろうか? 確かにクロも猫だと思って私が手を出してしまった魔獣だけど、危険はなかったわけだし……フェネシーも草食魔獣なら危険はないと思うんだけどなぁ……。

「まぁ、リューや製薬部隊がキチンと調べ終わるまでは、アカリは大人しくしてるこった」
「はぁーい……」

 ハガネはクロを抱きかかえると、クロに新しいご飯を用意しに一緒に畑の方へ行くらしい。ハガネは最近、屋敷の裏に小さな家庭菜園を作ってクロや温泉鳥達にご飯を作ったりしている。なんというかハガネはハガネでマイペースに色々なものに世話を焼いている感じ。

「足が……痺れたー……」

 ハガネが出て行ったことで、正座を崩して床にバタンと倒れると、ルーファスが獣化して私を包み込む。
お日様と森と柑橘系っぽい良い香りがたまらない。少しスクルードのお世話をしているからミルクっぽい匂いもするけど。

 ルーファスの体に顔を埋めて、さわさわとセクハラよろしく触っているとルーファスにカプカプと首を甘噛みされる。お仕置き半分甘えているの半分というところだろうか?

「アカリ、頼むから、オレに心配させないでくれ」
「ごめんね。でもね、そんなに危険には感じなかったんだよ?」
「小鬼の情報にもない魔獣なんだ、何かあってからじゃ遅い」
「んーっ、クロの時はそんなに怒らなかったのに」
「クロは『カーバンクル』という魔獣だと最初から分かっていたからな」

 そういえば、クロの魔獣正式名称は『カーバンクル』って名前だったなぁ……。
『魔法反射の石』を額で作る魔獣。魔法攻撃の利かない魔獣でランクはCと弱い魔獣の部類に入るけど、この魔法がある世界では魔法反射なんて反則技を持っているのは『カーバンクル』だけなのでとても貴重種の魔獣らしい。
まぁ、我が家のクロは普通に猫扱いで可愛がっているからレアな魔獣といわれてもピンとはこないけど。

「あの白い子、何も危険が無かったら飼ってもいい?」
「うちにはクロとササマキに温泉鳥達がいるだろう?」
「ササマキちゃんはともかく、他の温泉鳥は何処にでも現れるから、うちで飼っているわけじゃないよ?」

 この温泉大陸の温泉鳥達は、間欠泉の森を抜けて街中によく出没するようになり、最近ではうちの庭先や屋敷の中にもよく現れる。温泉街の道に設置されている足湯なんかにもプカプカ浮いている姿がよく見られるようになっている。
 温泉大陸に遊びに来たお客さん達にも喜ばれているから、まぁそれは良いんだけどね。
でも、我が家で飼っているわけではない。ハガネが餌をあげていたりするけど……。
温泉街の道端のゴミを集めて箱に入れると餌を出る様に箱を設置しまくったのは私ではあるけど……手懐けているわけでは、決してないはず……。

「まぁ……番のアカリが望むのなら、オレはそれでも構わないがな」
「えへへ。ルーファスは昔から私に弱いんだから」

 ルーファスの首に抱きついて頬にキスをすると尻尾を振りながら「仕方のない番だ」といつもの様に優しい声で言って、顔を舐めてくる。

「それと、触るならオレの毛並みだけにしておけ」
「ふふっ、ルーファスの毛並みもサラサラで大好きだよ」

 なんで獣化したのかと思ったら、私が他の毛並みを触りまくったからか……嫉妬するルーファスは幾つになっても可愛いっ!
思う存分ルーファスに抱きついて触りまくり、毛並みを堪能した。
まぁ、代わりに獣化を解いた後のルーファスに今度は私が抱きつかれて触られまくったけど……。
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