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21章
異世界聖女⑬ ~イノリ~
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子供の頃から、自分は特別なんだと思っていた。
両親が年を取ってから出来た『奇跡の子』それが私、安藤祈。
欲しくて、望まれて、不妊治療の末に私は生まれてきた。
「祈ちゃん、欲しい物はある?」
「祈の欲しがってたゲーム機買ってきたよ」
ママもパパも私が少し「あれ、欲しいな」と言えば、何でも買ってくれた。
お姫様の様だ……と、自分でも思ったし、幼稚園の劇でも『お姫様』役は私の物だった。
でも、小学校から私の事を『お姫様』扱いしてくれなくなった。
「安藤さん、どうして協力しないの?」
「調理実習で手伝わないって、将来お料理出来なくて困るの安藤さんだよ」
小学校や中学の調理実習ごときで、私の将来の心配とかハッキリいって鬱陶しい。
体育にしても、レクリエーションでも、人と関わると口うるさく言われるのが嫌だった。
人と関わりたくなくて、いつもスマートフォンでゲームをしてた。
乙女ゲームは私をいつでも『お姫様』にしてくれた。私は王子様に囲まれているうちに自分の好みを知った。
私は同年代の子供より、年上のイケメンなオジサンが好きであると。
まぁ、パパが理想の男性だから仕方がないよね? パパは格好いいし、私の自慢だからね。
イケオジ最高だと思う。
世の中探せばイケオジだけの乙女ゲームはあるモノで、私はお小遣いの大半を課金してイケオジ王子様の為に捧げていた。
高校に入学して、初めての夏休み。
私は生まれて初めて、東京の秋葉原に一人で行った。
スマホのイケオジのアプリを作っている会社が、パソコン版のイケオジ乙女ゲームを製作して、秋葉原店舗限定で特別キャラクター追加ディスクが売られると聞いて、自分の足で買いに来た。
ママやパパは最近、私がゲームばかりして勉強が出来てないって、やんわりと言っていたから、秋葉原にはついてきてくれなかった。
初めての都会は、人が多くて……駅のエスカレーターや階段も何処をどういって良いか分からない。
ゴチャゴチャし過ぎていて、スマホで調べながら歩いていたけど、「歩きスマホは止めてください」と駅員に怒られた。
だったら、もっとわかりやすい駅内にしてほしい。
ようやく目的地側の駅前に出て、一歩踏み出した時だった。
足元に地面が、無かった……。
気付いた時には、豪華なお城の中みたいな所に居た。
でも、ここは神殿で、大昔に降嫁したお姫様の持ち物だった魔道具という物を保管している場所だったらしい。
アシュッヘルム都市、そこに私は来てしまった。
初めは夢かな? とか、色々思ったけど、私の知らない人達は種族も色々いて、全員が私に「素敵な人」「素晴らしい人」と褒め称えて来る。
もしかして、私はゲームのヒロインにでもなったのかもしれない。
だって、こんなに好感度が凄いってゲーム以外考えられない。
試しに「私は『聖女』です」と、言ったら、皆が私を『聖女』と言い始めた。間違いなくこれはゲームだ。
夢かもしれないけど、だったら、楽しんじゃおう。
「この世界で一番すごい物ってなぁに?」
「『聖女様』それは『聖女様』です」
「違うの。私以外ではって事」
「でしたら、ドラゴンでしょうか?」
「ドラゴンもいるの!? 欲しい! ペットに1匹欲しいわ」
「畏まりました」
そんな会話をした後、その人は居なくなった。
きっと、私の為にドラゴンを探し求めて冒険をしているに違いない。
私ってば、罪な女……。
この世界、ゲームにしては少し不親切で、ステータス表示は出来ないし、誰を落として良いのかもわからない。
乙女ゲームとしては、初心者に優しくない設定みたいだった。
でも、最近の小説とかアニメも主人公は自分で色々きり開いて、自分の辿るべき道を探していくのだから、私もそうしなきゃいけない。
せめてサポートキャラクターぐらいは欲しいけど。
暫くして、私の神殿に薄い黄色の髪の毛に薄い水色の目をした青年から中年になりかけの、今まで居なかったタイプのキャラが登場した。
サポートキャラかと思った小さな悪魔みたいなマスコットは逃げちゃったけど、追加キャラのテンは私に色々教えてくれた。
テンがどうやら私のサポート役だったみたい。
周りの人達が私に色々してくれるのは、私の魔法らしい。魔法の世界っていうのは何となく気付いていたけど、私も知らず知らずに使っていたなんて、これは主人公補整というやつかな?
「イケメンのオジサンの多い場所とかない?」
「だったら、温泉大陸でしょうかねぇー?」
「よしっ! 行こう、テン! 目指せハーレムエンド!」
「ええ。良いですよ~聖女様の為に」
一週間掛けて妖精の小道って呼ばれる不思議な木の根みたいな道を歩いて、たどり着いた温泉大陸は、江戸時代か何か時代を感じさせるような建物が多くて、異世界ファンタジーから和風ファンタジーに来てしまった様な感じさえしてしまう。
そこで出会ったうちのママより少し若い三十代くらいのオバサンは日本人に見えた。
日本人と言う事は先行プレイヤーかな? と、仲間意識で声を掛けたら、オバサンは学校の人間と同じ嫌な人だった。
「ゲッ! その制服……アンタが『聖女』って言われてる痛い子ちゃんっしょ!」
「なっ! このオバサン失礼過ぎる! テン、このオバサンどうにかして!」
「はいはい。仕方がないですねぇ~」
「させるか! 【幻惑】」
オバサンを横に抱えて、背の高い青年が何かをすると、目の前は白い霧に包まれて、気付けばオバサンも青年も居なくなっていた。
その後、テンの案内で獣人のイケオジと悪魔系イケオジを紹介してもらって、私はイケオジに囲まれたハーレムを作るはずだったのに、またオバサンと妊婦っぽいオネエサンが私に絡んできた。
私だけの幸せなエンディングを目指しているのに、『泥棒猫』呼ばわり、本当に最悪。
イケオジ達も何故か私から離れるし、竜人は私の物にならないし、バグが起きているのは確かだった。
だって、テンが『10号室』を展開させた時、私は巻き込まれるのは分かっていたけど、『10号室』が私に執行されることは無いのに、何故か、私は何度逃げても拷問されていた。
「テン! 目を覚まして! 私のサポート役でしょ!? ここから出して!」
「おかしいですねぇ~、普通『10号室』でこんなに精神が持つなんて稀なんですけどぉ~、やはり、精神魔法系の使い手には効きにくいのかもしれないですねぇ~」
目の前が暗くなると、また赤いランプの部屋に連れ込まれ、椅子に座っていた。
何度目の椅子だろう? 逃げてもまた赤いランプの部屋と椅子に座って居るループに陥っていた。
「なんで? 私、テンの『お姫様』でしょう……?」
「あなたの魔法に精神侵食されていただけですからぁ~、流石にもう解けましたからぁ、『お姫様』はもう少しこの部屋で遊んでいってくださいねぇ~」
「私はテンの言う通りに、凝縮して魔法を使っただけなのに!」
「それはすいません~。精神系統の魔法を解析するのに色々試したかったんだと思います~。何事も把握するのが好きなのでぇ、流石に精神を乗っ取られてやり過ぎた感じですからぁ、正気に戻った以上は、魔法の有効利用を考えさせていただきますねぇ~」
「何よそれ! ワケわかんないよ!」
私の言葉がテンに通じているのかいないのかも分からない。
テンの言葉は、まるで私が全部悪い様な言い方で……私は、何も悪い事してないのに、どうして?
両親が年を取ってから出来た『奇跡の子』それが私、安藤祈。
欲しくて、望まれて、不妊治療の末に私は生まれてきた。
「祈ちゃん、欲しい物はある?」
「祈の欲しがってたゲーム機買ってきたよ」
ママもパパも私が少し「あれ、欲しいな」と言えば、何でも買ってくれた。
お姫様の様だ……と、自分でも思ったし、幼稚園の劇でも『お姫様』役は私の物だった。
でも、小学校から私の事を『お姫様』扱いしてくれなくなった。
「安藤さん、どうして協力しないの?」
「調理実習で手伝わないって、将来お料理出来なくて困るの安藤さんだよ」
小学校や中学の調理実習ごときで、私の将来の心配とかハッキリいって鬱陶しい。
体育にしても、レクリエーションでも、人と関わると口うるさく言われるのが嫌だった。
人と関わりたくなくて、いつもスマートフォンでゲームをしてた。
乙女ゲームは私をいつでも『お姫様』にしてくれた。私は王子様に囲まれているうちに自分の好みを知った。
私は同年代の子供より、年上のイケメンなオジサンが好きであると。
まぁ、パパが理想の男性だから仕方がないよね? パパは格好いいし、私の自慢だからね。
イケオジ最高だと思う。
世の中探せばイケオジだけの乙女ゲームはあるモノで、私はお小遣いの大半を課金してイケオジ王子様の為に捧げていた。
高校に入学して、初めての夏休み。
私は生まれて初めて、東京の秋葉原に一人で行った。
スマホのイケオジのアプリを作っている会社が、パソコン版のイケオジ乙女ゲームを製作して、秋葉原店舗限定で特別キャラクター追加ディスクが売られると聞いて、自分の足で買いに来た。
ママやパパは最近、私がゲームばかりして勉強が出来てないって、やんわりと言っていたから、秋葉原にはついてきてくれなかった。
初めての都会は、人が多くて……駅のエスカレーターや階段も何処をどういって良いか分からない。
ゴチャゴチャし過ぎていて、スマホで調べながら歩いていたけど、「歩きスマホは止めてください」と駅員に怒られた。
だったら、もっとわかりやすい駅内にしてほしい。
ようやく目的地側の駅前に出て、一歩踏み出した時だった。
足元に地面が、無かった……。
気付いた時には、豪華なお城の中みたいな所に居た。
でも、ここは神殿で、大昔に降嫁したお姫様の持ち物だった魔道具という物を保管している場所だったらしい。
アシュッヘルム都市、そこに私は来てしまった。
初めは夢かな? とか、色々思ったけど、私の知らない人達は種族も色々いて、全員が私に「素敵な人」「素晴らしい人」と褒め称えて来る。
もしかして、私はゲームのヒロインにでもなったのかもしれない。
だって、こんなに好感度が凄いってゲーム以外考えられない。
試しに「私は『聖女』です」と、言ったら、皆が私を『聖女』と言い始めた。間違いなくこれはゲームだ。
夢かもしれないけど、だったら、楽しんじゃおう。
「この世界で一番すごい物ってなぁに?」
「『聖女様』それは『聖女様』です」
「違うの。私以外ではって事」
「でしたら、ドラゴンでしょうか?」
「ドラゴンもいるの!? 欲しい! ペットに1匹欲しいわ」
「畏まりました」
そんな会話をした後、その人は居なくなった。
きっと、私の為にドラゴンを探し求めて冒険をしているに違いない。
私ってば、罪な女……。
この世界、ゲームにしては少し不親切で、ステータス表示は出来ないし、誰を落として良いのかもわからない。
乙女ゲームとしては、初心者に優しくない設定みたいだった。
でも、最近の小説とかアニメも主人公は自分で色々きり開いて、自分の辿るべき道を探していくのだから、私もそうしなきゃいけない。
せめてサポートキャラクターぐらいは欲しいけど。
暫くして、私の神殿に薄い黄色の髪の毛に薄い水色の目をした青年から中年になりかけの、今まで居なかったタイプのキャラが登場した。
サポートキャラかと思った小さな悪魔みたいなマスコットは逃げちゃったけど、追加キャラのテンは私に色々教えてくれた。
テンがどうやら私のサポート役だったみたい。
周りの人達が私に色々してくれるのは、私の魔法らしい。魔法の世界っていうのは何となく気付いていたけど、私も知らず知らずに使っていたなんて、これは主人公補整というやつかな?
「イケメンのオジサンの多い場所とかない?」
「だったら、温泉大陸でしょうかねぇー?」
「よしっ! 行こう、テン! 目指せハーレムエンド!」
「ええ。良いですよ~聖女様の為に」
一週間掛けて妖精の小道って呼ばれる不思議な木の根みたいな道を歩いて、たどり着いた温泉大陸は、江戸時代か何か時代を感じさせるような建物が多くて、異世界ファンタジーから和風ファンタジーに来てしまった様な感じさえしてしまう。
そこで出会ったうちのママより少し若い三十代くらいのオバサンは日本人に見えた。
日本人と言う事は先行プレイヤーかな? と、仲間意識で声を掛けたら、オバサンは学校の人間と同じ嫌な人だった。
「ゲッ! その制服……アンタが『聖女』って言われてる痛い子ちゃんっしょ!」
「なっ! このオバサン失礼過ぎる! テン、このオバサンどうにかして!」
「はいはい。仕方がないですねぇ~」
「させるか! 【幻惑】」
オバサンを横に抱えて、背の高い青年が何かをすると、目の前は白い霧に包まれて、気付けばオバサンも青年も居なくなっていた。
その後、テンの案内で獣人のイケオジと悪魔系イケオジを紹介してもらって、私はイケオジに囲まれたハーレムを作るはずだったのに、またオバサンと妊婦っぽいオネエサンが私に絡んできた。
私だけの幸せなエンディングを目指しているのに、『泥棒猫』呼ばわり、本当に最悪。
イケオジ達も何故か私から離れるし、竜人は私の物にならないし、バグが起きているのは確かだった。
だって、テンが『10号室』を展開させた時、私は巻き込まれるのは分かっていたけど、『10号室』が私に執行されることは無いのに、何故か、私は何度逃げても拷問されていた。
「テン! 目を覚まして! 私のサポート役でしょ!? ここから出して!」
「おかしいですねぇ~、普通『10号室』でこんなに精神が持つなんて稀なんですけどぉ~、やはり、精神魔法系の使い手には効きにくいのかもしれないですねぇ~」
目の前が暗くなると、また赤いランプの部屋に連れ込まれ、椅子に座っていた。
何度目の椅子だろう? 逃げてもまた赤いランプの部屋と椅子に座って居るループに陥っていた。
「なんで? 私、テンの『お姫様』でしょう……?」
「あなたの魔法に精神侵食されていただけですからぁ~、流石にもう解けましたからぁ、『お姫様』はもう少しこの部屋で遊んでいってくださいねぇ~」
「私はテンの言う通りに、凝縮して魔法を使っただけなのに!」
「それはすいません~。精神系統の魔法を解析するのに色々試したかったんだと思います~。何事も把握するのが好きなのでぇ、流石に精神を乗っ取られてやり過ぎた感じですからぁ、正気に戻った以上は、魔法の有効利用を考えさせていただきますねぇ~」
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