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20章
黒狼亭⑫ ※R18 【終】
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交わした唇と唇の間から洩れる息すら甘く、飴の様な甘さでもない番の甘い味は口の中で直ぐに溶けてしまうのに、満足した瞬間また欲しくなって求めてしまう不思議な物。
ルーファスと出会ってから元の世界で生きてきた年数より一緒に居るけど、変わらず番を求めてしまう事に、この世界の番という物は浮気一つ出来ない物だと思う。
だって、こんなに求めてしまう人が居るのに、浮気なんてする理由がない。
「んっ、ルーファス、もっと……はぁ、っ」
キスをせがむ私にルーファスが、唇を重ねて舌で歯列をなぞって、歯の裏や上顎も舐めていく。
流石に上顎はくすぐったくて、体ごと逃げようとすると、お尻から股に入れられた指が、蜜壺の中に深く入り込んでお腹がビクンと動く。
「ふぁあっ! っ、ルーファス、そこっ」
「ああ、アカリの弱いとこは知ってる。ここがイイんだろ?」
「きゃぅっ! お腹、もっ、足、力入んないっ……っんぁっ、っ」
ルーファスの肩に顔を埋めて、ルーファスの手で愛撫されて、蜜壺の中から溢れた蜜の水音を掻き消す様に嬌声を上げて、息を荒げる。
「アカリの中は大洪水だな」
「やだ……っ、エッチ……んっ、ふっ」
「オレを受け入れる為に濡れているんだから、恥ずかしがること無いだろ?」
「うーっ……それでも、恥ずかしい……ひゃぅっ!」
ズルッと指を抜かれて、太腿の間を蜜がつぅーと、滴り流れていく。
お尻ごと左右に太腿を開かされて、私の中にルーファスの先端がぬぷっと挿入ってくる。
「はひっ……っ」
挿入された時、初めてルーファスに抱かれて自分の中に精液が満たされた時に感じた、ああ、コレが番なのかって感じた満ち足りた感じが広がって、先端を少し入れただけなのに、腰砕けになってしまう程の快感が子宮内に響く。
「きゃうぅぅっ、あっ、やっ、ひぅぅっ、動いちゃ、駄目ぇ……んっあ」
「っ、そうは、いっても……アカリの胎内がビクついて」
「あっ、やだぁ、やっ、待って……やっやぁ」
自分では抑えられない子宮内の疼きと、ヒクつきに思わずルーファスの肩に噛みつくと、ルーファスがビクッと体を揺らして蜜壺内に半分以上剛直がずり上がり侵入してきた。
ビリビリした様な快感に、ナニコレ? ナニコレ? ワケわからない!! と、頭の中は真っ白になって、気付けば透明な液が自分の中から出ていた。
「……っ、アカリ、大丈夫か?」
「は……、ひっ……、っ、あ……」
達っちゃった……挿入れただけなのに、どうして?
気持ち好過ぎるのと、体が悦んでて落ち着いてくれない……なんでだろう?
ルーファスが抱きしめながら、動かない様にしてくれて何とか、体が小さく震えるだけで納まっているけど、少しでも動かれたら理性が飛んでしまいそう。
「多分だが、時間移動でアカリは番の絆が一度外れたから、再び番の絆が出来た事で体が求めすぎているんだ」
「そ、なの……?」
「オレが、何度かアカリと絆が切れる度にそうなってるからな」
そういえば、私が死にかけて蘇る度に、ルーファスのエッチはその後激しかったような気がしたのは、そういう理由もあったのか……死にかけて驚かせたからだとばかり、思ってた……。
毎度ごめんなさいとは、思うけど、快感がじわじわと下腹部で熱を帯びて競り上がってくるから、しんみりと反省する余裕はほぼない。
「はぁ、はぁ……んっ、ルーファス、どうしたら、ひぅ、いい?」
ゴクッと唾を飲み込むのも下腹部にキュウキュウ刺激が走って辛い。
ルーファスを見上げると、ルーファスも少し我慢したような顔で眉間にしわが少し寄りながら片眉が上がってる。
お腹の中に挿入ってるルーファスの男性器の形が内壁を通じて判るぐらい、きゅうきゅうと蜜壺は動いていて少しずつ硬さと張りが凶悪な物になってきている気がする。
「アカリ……忍耐力が限界なんだが……」
「はぅぅ……っ、ルーファスぅー……んっぅ」
「そんな泣きそうな顔をされると、余計に抑えが利かないんだが……」
プルプルと足が動いて力尽きる様に下がってしまうと、じゅくっと音を立ててルーファスの男性器を飲み込んでいて、「_____っ!!」悲鳴にならない悲鳴を上げると、対面座位でルーファスの胸にまでずり落ちた私は、胸に顔を押し付けたまま、また達ってしまい、はふはふと息を吐いていると、ルーファスに後頭部を撫でられながら下から突き上げられて、奥まで全部挿入れさせられた。
「っ! きゃぅぅ!」
ドクドクと下腹部が心臓の様に動いて、快感に意識を持っていかれない様にルーファスに抱きつきながら、下から突き上げられるたびに、全部持っていかれてしまうような感覚に翻弄されて、嬌声というよりは悲鳴に近かったかもしれない。
「ハァー……ハァー……、もぅ……」
何度も達して、体もフラフラで意識も気を抜くと保っていられなくなると、子宮口にコツコツと先端がノックしてきて、抵抗する力も無くぐったりすると、子宮の中にドクドクと白濁が注がれて、「私の番」と安心と満たされた気持ちが、ようやく私を快楽地獄から解放してくれた。
「ルーファス、ありがと……はふっ……」
頭をルーファスの胸にくっつけると、腰の辺りに腕が回されて、ベッドにそのまま押し倒される形になって、ルーファスを見上げて、少し「あれー?」と思うと、竿が引き抜かれて行くので、「あ、何だ終わりだよね?」と、ホッとした所で、竿がまた奥に押し込まれては引き抜かれて押し込まれてと繰り返されていく。
「あっ、やっ、やっ、ひんっ!ルー……っ」
ずちゅずちゅと音を立てて出し入れされて、落ち着き始めた快感がまた戻って来て首を左右に振ると、ズンッと奥までグリグリと押さえ込まれる。
「ひぅぅっ!」
「まだ、足りない。もう少しオレに付き合ってくれ」
「やぁ、ルーファス、んー、これ以上は、おかしくなるからぁ、ひんっ、だめったらぁ」
「今は『蜜籠り』なのを忘れたか?」
冬なのは知ってるけど、私、時間移動で一杯冒険してきた後なのに~っ!!!
私の心の叫びは嬌声として出ただけで、ルーファスに満足いくまで付き合わされて、時間移動の魔道具を持って来たアルビーに「コッソリ戻して帰ってきた!」と、気を使われた……。
恥かしさに穴を掘って隠れたい……。
ルーファスが毛皮つやつやの顔はニコニコで、声を枯らして腰も股も感覚無くなった私のお世話をしながらべったりと寄り添っている。
「うー……ルーファスの鬼畜狼ぃ」
「脹れたアカリも可愛い」
駄目だ……ルーファスに通じない。
ガクリと頭を項垂れて、ルーファスに抱き上げて貰うと、私達は温泉大陸の人達が眠っている墓地へ向かう。
魔獣の【王】が倒されて、魔石が砕けた影響で冬なのに雪も無く、少し暖かいくらいの気温がしている。
「先祖代々『星降り祭り』を欠かすな、感謝を忘れるな。そう言われてきていたが……全部、アカリへの感謝だったんだな」
「ふふっ、感謝してください! 私、温泉大陸に魔石をいっぱい持ち込みましたからね!」
ドヤッとした顔で言うとルーファスが目を細めて笑って、私の唇にキスをしてくる。
「【刻狼亭】の初代からオレの代までアカリに感謝してる。リューの代からも今回の魔獣の【王】の魔石でアカリに感謝するだろうが、今まで知らずに、忙しいだけの祭りに意味があるのか分からなかったが、分かると感謝してもしきれない」
「ふふっ、本当にこれが正しい歴史なのかは分からないけど、私が役に立って良かったです」
温泉大陸が他の国よりも魔力の多い土地という理由も、温泉大陸への不可侵協定が他の国にも魔法契約でされている理由も謎が解けて、私としてもルーファスとしてもスッキリしたところ。
ただ、一つだけ、謎は残っているけど……。
「黒天狼族って、結局、引き継がれなかった血統なんでしょうかね?」
「オレも黒狼族の事は数が少ないとしか分からないからなぁ。ただ、トリニア家だけ黒狼族で金の目だという理由は黒天狼族の名残りだと言う事だろうな」
「そっかー……ルーディクスさんの金色の目はルーファスや子供達に受け継がれて、黒天狼族はちゃんと居るんだね」
でも、あの黒い羽が無くなってしまったのは少し残念かな? 綺麗な黒い羽だったのになぁ。
墓地に着くと、ルーファスが初代からのお墓に清掃魔法を掛けながら綺麗にしていき、14代目のルーファスのご両親のお墓まで綺麗にし終わった。
「ルーディクスさん、つい少し前の出会いだったのに、もう会えないのは寂しいですね? ルーディクスさんがくれたお金で無事に番と子供達の所へ帰れました。あの時、言えなかったけど、あなたにはちゃんと子孫が17代目まで続いて、これから先も続くみたいだよ? 良かったですね」
ルーファスによく似たルーディクスさん……ううん、ルーファスがルーディクスさんに似てるんだね。
あなたの事、ルーファスに会ってなかったらきっと好きにはなってたと思いますよ? でも、運命の番では無かったし、あなたにはちゃんと番が居たのだから、お互い、あの時の事はお墓に持って行きましょうね?
もう、ルーディクスさんはお墓の中だけど、いつか私がお墓に入ったら、ルーファスを紹介してあげますからね。
「ふぅ。ルーファス、私の方は報告終わりです」
「ああ、そうか。こっちも父上と母上に孫達の事も報告した」
「じゃあ、帰りましょうか!」
「ああ。帰ってゆっくりしよう」
抱き上げて貰って、ゆっくりと墓地を見つめながら私達は帰る。
私はもう時間移動する事はないけれど、あなた達の生きた証はずっと残っていきますからね。
これから先も、金色の目という証で残っていくはず、私の子供達のそのまた子供達もいるのだから。
「ふふっ」
「ん? どうしたアカリ?」
「いえ、黒狼亭の名前を今の刻狼亭にしたのも私なんだなぁって思っただけです」
「ああ、今までオレも『刻』の字は、客に時間を忘れて過ごせる店にしろという意味かと思っていたが、アカリを待っている事で付けられたと言われれば、納得もいく。アカリは【刻狼亭】が成り立つ上で必要な女性で、ずっとこの時を先祖たちは待っていたんだろうな」
「でもね、私的には、ルーファスに出会えたからこそ、今のこの幸せがあるから、ご先祖様達に感謝してるよ」
「本当にアカリは、オレの可愛い番だな」
「そうですよ? 私はルーファスの可愛いお嫁さんなんですから」
私が笑うとルーファスも笑って頬を摺り寄せてきて、時間移動の旅は色んな意味で私にとってはいい経験になったともう。
流石に、またやれと言われても、ルーファスと離れた時のあの喪失感をまた味わうのは嫌だから、断るけどね。
でも、ルーファスの腕の中に戻って来れて、離れたくないって再認識と日々の何気ない日常のありがたさは身に染みて判った気がする。
これから先の人生は、ルーファスの側で変わらずに毎日を積み重ねて笑って過ごしていけたら、良いと思う。
ルーファスと出会ってから元の世界で生きてきた年数より一緒に居るけど、変わらず番を求めてしまう事に、この世界の番という物は浮気一つ出来ない物だと思う。
だって、こんなに求めてしまう人が居るのに、浮気なんてする理由がない。
「んっ、ルーファス、もっと……はぁ、っ」
キスをせがむ私にルーファスが、唇を重ねて舌で歯列をなぞって、歯の裏や上顎も舐めていく。
流石に上顎はくすぐったくて、体ごと逃げようとすると、お尻から股に入れられた指が、蜜壺の中に深く入り込んでお腹がビクンと動く。
「ふぁあっ! っ、ルーファス、そこっ」
「ああ、アカリの弱いとこは知ってる。ここがイイんだろ?」
「きゃぅっ! お腹、もっ、足、力入んないっ……っんぁっ、っ」
ルーファスの肩に顔を埋めて、ルーファスの手で愛撫されて、蜜壺の中から溢れた蜜の水音を掻き消す様に嬌声を上げて、息を荒げる。
「アカリの中は大洪水だな」
「やだ……っ、エッチ……んっ、ふっ」
「オレを受け入れる為に濡れているんだから、恥ずかしがること無いだろ?」
「うーっ……それでも、恥ずかしい……ひゃぅっ!」
ズルッと指を抜かれて、太腿の間を蜜がつぅーと、滴り流れていく。
お尻ごと左右に太腿を開かされて、私の中にルーファスの先端がぬぷっと挿入ってくる。
「はひっ……っ」
挿入された時、初めてルーファスに抱かれて自分の中に精液が満たされた時に感じた、ああ、コレが番なのかって感じた満ち足りた感じが広がって、先端を少し入れただけなのに、腰砕けになってしまう程の快感が子宮内に響く。
「きゃうぅぅっ、あっ、やっ、ひぅぅっ、動いちゃ、駄目ぇ……んっあ」
「っ、そうは、いっても……アカリの胎内がビクついて」
「あっ、やだぁ、やっ、待って……やっやぁ」
自分では抑えられない子宮内の疼きと、ヒクつきに思わずルーファスの肩に噛みつくと、ルーファスがビクッと体を揺らして蜜壺内に半分以上剛直がずり上がり侵入してきた。
ビリビリした様な快感に、ナニコレ? ナニコレ? ワケわからない!! と、頭の中は真っ白になって、気付けば透明な液が自分の中から出ていた。
「……っ、アカリ、大丈夫か?」
「は……、ひっ……、っ、あ……」
達っちゃった……挿入れただけなのに、どうして?
気持ち好過ぎるのと、体が悦んでて落ち着いてくれない……なんでだろう?
ルーファスが抱きしめながら、動かない様にしてくれて何とか、体が小さく震えるだけで納まっているけど、少しでも動かれたら理性が飛んでしまいそう。
「多分だが、時間移動でアカリは番の絆が一度外れたから、再び番の絆が出来た事で体が求めすぎているんだ」
「そ、なの……?」
「オレが、何度かアカリと絆が切れる度にそうなってるからな」
そういえば、私が死にかけて蘇る度に、ルーファスのエッチはその後激しかったような気がしたのは、そういう理由もあったのか……死にかけて驚かせたからだとばかり、思ってた……。
毎度ごめんなさいとは、思うけど、快感がじわじわと下腹部で熱を帯びて競り上がってくるから、しんみりと反省する余裕はほぼない。
「はぁ、はぁ……んっ、ルーファス、どうしたら、ひぅ、いい?」
ゴクッと唾を飲み込むのも下腹部にキュウキュウ刺激が走って辛い。
ルーファスを見上げると、ルーファスも少し我慢したような顔で眉間にしわが少し寄りながら片眉が上がってる。
お腹の中に挿入ってるルーファスの男性器の形が内壁を通じて判るぐらい、きゅうきゅうと蜜壺は動いていて少しずつ硬さと張りが凶悪な物になってきている気がする。
「アカリ……忍耐力が限界なんだが……」
「はぅぅ……っ、ルーファスぅー……んっぅ」
「そんな泣きそうな顔をされると、余計に抑えが利かないんだが……」
プルプルと足が動いて力尽きる様に下がってしまうと、じゅくっと音を立ててルーファスの男性器を飲み込んでいて、「_____っ!!」悲鳴にならない悲鳴を上げると、対面座位でルーファスの胸にまでずり落ちた私は、胸に顔を押し付けたまま、また達ってしまい、はふはふと息を吐いていると、ルーファスに後頭部を撫でられながら下から突き上げられて、奥まで全部挿入れさせられた。
「っ! きゃぅぅ!」
ドクドクと下腹部が心臓の様に動いて、快感に意識を持っていかれない様にルーファスに抱きつきながら、下から突き上げられるたびに、全部持っていかれてしまうような感覚に翻弄されて、嬌声というよりは悲鳴に近かったかもしれない。
「ハァー……ハァー……、もぅ……」
何度も達して、体もフラフラで意識も気を抜くと保っていられなくなると、子宮口にコツコツと先端がノックしてきて、抵抗する力も無くぐったりすると、子宮の中にドクドクと白濁が注がれて、「私の番」と安心と満たされた気持ちが、ようやく私を快楽地獄から解放してくれた。
「ルーファス、ありがと……はふっ……」
頭をルーファスの胸にくっつけると、腰の辺りに腕が回されて、ベッドにそのまま押し倒される形になって、ルーファスを見上げて、少し「あれー?」と思うと、竿が引き抜かれて行くので、「あ、何だ終わりだよね?」と、ホッとした所で、竿がまた奥に押し込まれては引き抜かれて押し込まれてと繰り返されていく。
「あっ、やっ、やっ、ひんっ!ルー……っ」
ずちゅずちゅと音を立てて出し入れされて、落ち着き始めた快感がまた戻って来て首を左右に振ると、ズンッと奥までグリグリと押さえ込まれる。
「ひぅぅっ!」
「まだ、足りない。もう少しオレに付き合ってくれ」
「やぁ、ルーファス、んー、これ以上は、おかしくなるからぁ、ひんっ、だめったらぁ」
「今は『蜜籠り』なのを忘れたか?」
冬なのは知ってるけど、私、時間移動で一杯冒険してきた後なのに~っ!!!
私の心の叫びは嬌声として出ただけで、ルーファスに満足いくまで付き合わされて、時間移動の魔道具を持って来たアルビーに「コッソリ戻して帰ってきた!」と、気を使われた……。
恥かしさに穴を掘って隠れたい……。
ルーファスが毛皮つやつやの顔はニコニコで、声を枯らして腰も股も感覚無くなった私のお世話をしながらべったりと寄り添っている。
「うー……ルーファスの鬼畜狼ぃ」
「脹れたアカリも可愛い」
駄目だ……ルーファスに通じない。
ガクリと頭を項垂れて、ルーファスに抱き上げて貰うと、私達は温泉大陸の人達が眠っている墓地へ向かう。
魔獣の【王】が倒されて、魔石が砕けた影響で冬なのに雪も無く、少し暖かいくらいの気温がしている。
「先祖代々『星降り祭り』を欠かすな、感謝を忘れるな。そう言われてきていたが……全部、アカリへの感謝だったんだな」
「ふふっ、感謝してください! 私、温泉大陸に魔石をいっぱい持ち込みましたからね!」
ドヤッとした顔で言うとルーファスが目を細めて笑って、私の唇にキスをしてくる。
「【刻狼亭】の初代からオレの代までアカリに感謝してる。リューの代からも今回の魔獣の【王】の魔石でアカリに感謝するだろうが、今まで知らずに、忙しいだけの祭りに意味があるのか分からなかったが、分かると感謝してもしきれない」
「ふふっ、本当にこれが正しい歴史なのかは分からないけど、私が役に立って良かったです」
温泉大陸が他の国よりも魔力の多い土地という理由も、温泉大陸への不可侵協定が他の国にも魔法契約でされている理由も謎が解けて、私としてもルーファスとしてもスッキリしたところ。
ただ、一つだけ、謎は残っているけど……。
「黒天狼族って、結局、引き継がれなかった血統なんでしょうかね?」
「オレも黒狼族の事は数が少ないとしか分からないからなぁ。ただ、トリニア家だけ黒狼族で金の目だという理由は黒天狼族の名残りだと言う事だろうな」
「そっかー……ルーディクスさんの金色の目はルーファスや子供達に受け継がれて、黒天狼族はちゃんと居るんだね」
でも、あの黒い羽が無くなってしまったのは少し残念かな? 綺麗な黒い羽だったのになぁ。
墓地に着くと、ルーファスが初代からのお墓に清掃魔法を掛けながら綺麗にしていき、14代目のルーファスのご両親のお墓まで綺麗にし終わった。
「ルーディクスさん、つい少し前の出会いだったのに、もう会えないのは寂しいですね? ルーディクスさんがくれたお金で無事に番と子供達の所へ帰れました。あの時、言えなかったけど、あなたにはちゃんと子孫が17代目まで続いて、これから先も続くみたいだよ? 良かったですね」
ルーファスによく似たルーディクスさん……ううん、ルーファスがルーディクスさんに似てるんだね。
あなたの事、ルーファスに会ってなかったらきっと好きにはなってたと思いますよ? でも、運命の番では無かったし、あなたにはちゃんと番が居たのだから、お互い、あの時の事はお墓に持って行きましょうね?
もう、ルーディクスさんはお墓の中だけど、いつか私がお墓に入ったら、ルーファスを紹介してあげますからね。
「ふぅ。ルーファス、私の方は報告終わりです」
「ああ、そうか。こっちも父上と母上に孫達の事も報告した」
「じゃあ、帰りましょうか!」
「ああ。帰ってゆっくりしよう」
抱き上げて貰って、ゆっくりと墓地を見つめながら私達は帰る。
私はもう時間移動する事はないけれど、あなた達の生きた証はずっと残っていきますからね。
これから先も、金色の目という証で残っていくはず、私の子供達のそのまた子供達もいるのだから。
「ふふっ」
「ん? どうしたアカリ?」
「いえ、黒狼亭の名前を今の刻狼亭にしたのも私なんだなぁって思っただけです」
「ああ、今までオレも『刻』の字は、客に時間を忘れて過ごせる店にしろという意味かと思っていたが、アカリを待っている事で付けられたと言われれば、納得もいく。アカリは【刻狼亭】が成り立つ上で必要な女性で、ずっとこの時を先祖たちは待っていたんだろうな」
「でもね、私的には、ルーファスに出会えたからこそ、今のこの幸せがあるから、ご先祖様達に感謝してるよ」
「本当にアカリは、オレの可愛い番だな」
「そうですよ? 私はルーファスの可愛いお嫁さんなんですから」
私が笑うとルーファスも笑って頬を摺り寄せてきて、時間移動の旅は色んな意味で私にとってはいい経験になったともう。
流石に、またやれと言われても、ルーファスと離れた時のあの喪失感をまた味わうのは嫌だから、断るけどね。
でも、ルーファスの腕の中に戻って来れて、離れたくないって再認識と日々の何気ない日常のありがたさは身に染みて判った気がする。
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