624 / 960
20章
黒狼亭⑪
しおりを挟む
目を開けると旧女将亭のベッドじゃなくて、新しい自宅になった寝室のベッドの上で私の頭の下と腰に回されているのはルーファスの腕で……はて?
腕を上げてみれば、時間移動の魔道具は無くなっている。
「……あれ?」
ルーファスの腕を指でつつくと、ルーファスの耳がピクッと動いて瞼が開くといつも通りの優しい目をしたルーファスの金色の目が見つめ返してくる。
「えーと、おはようございます?」
「ん……、ああ、おはよう。アカリ、これからはオレの居ない場所での酒は禁止だからな」
あー……、やっぱりアルビーに絡んでたの夢じゃなかったっ!!
ルーファスが髪を掻き上げながら起きて、私も抱き起こすと膝の上に乗せて、おでこをコツンと合わせてくる。
「……まったく、アルビーまで巻き込んで時間を移動したから、最初の時間移動で魔石が割れて失敗したんだぞ? 反省はしているか?」
「はうっ、すいません……でもね、その……」
ルーファスが唇を合わせて言葉を途切れさせると、唇から口の中に少しずつ番の甘さが広がって、食む様に口づけを交わすと、もうルーファスを離したく無くて、ギュッと抱きついてルーファスの口の中に舌を忍ばせると、伸ばした舌をルーファスの舌にギューっと吸われて、慌てて口を放す。
「ふぁっ、はふ……っ、ルーファス……」
「そんな物欲しそうな目をされると、襲いたくなる」
いつもならここで首を横に振るところだけど、番の絆が時間移動で切れてしまった胸の中に空いた喪失感は覚えているから、ナイトガウンの紐を解くと左右に開いて素肌の胸をルーファスに押し付ける。
「私が襲ちゃう事も、あるんですよ?」
「……参ったな。オレの番はいつから狼になったんだ?」
ククッと笑ってルーファスが私の頬に手を当てて目を細める。
私の大好きなルーファスだなぁ……うん。良かった。過去に飛んで少しでもルーファスに影響が出ていたらどうしようかと思っていたけど、大丈夫そう。
「ルーファス、寂しかったよぅ」
「ああ。オレには一瞬でアカリが目の前から消えた様に思えたが、アカリは冒険をしてきたようだな」
「解るの? 私、初代の【刻狼亭】にも行っちゃったんだよ?」
「初代にまでか? 随分と大冒険だな。でも匂いが色々混じっているから何となく解るよ」
ルーファスが、唇を私の素肌に落としながら首筋を下から上に舐め上げる。
「ふぁぁっ、ゾクゾクする……んっ」
「ゾクゾクするなら、そこに快感を感じる場所があるんだろうな」
「それは……どうだろ?」
チュウチュウとルーファスに首筋を吸われて、ゾワゾワしながらも、確かに下腹部にキュッとした熱が溜まっていく。もどかしいこの熱をいつも与えるのはルーファスで、満たしてくれるのもルーファスしかいない。
「あっ、過去から連れてきちゃったアルビーは何処に?」
「すぐにアカリの時間移動の魔道具を使って帰っていった。そろそろ預かってくれていた魔道具を返しに来るとは思うがな。アルビーいわく、時間移動は問題なく出来ているらしい」
「そうなんだ……」
私が過去からアルビーを巻き込んで現在に戻った為に、時間移動に出発する私が巻き込まれてしまったのか……飛んでいった私頑張れ。
肩口にルーファスの唇が触れて、「あっ、怪我どうしたんだろう?」と見れば、左肩は綺麗に治っていた。
シューちゃんが治してくれたんだろうか?
「ルーファス、肩の怪我……」
「ああ、オレが治した」
「え?」
「初めて番の儀をした時に言ったはずだ。オレと番えばオレの持っている魔法はアカリにも使えると。そしてアカリが魔法を覚えた今、オレにもアカリの使える魔法は使える」
なるほど、ネリリスさんの魔法の全てはルーファスにも使えるわけだから、風竜スピナの主君のルーファスなら風魔法の癒し魔法は使える。
私だと回復・弱小回復だけど、ルーファスなら回復・大回復という事か……。
「ありがとう。ルーファス大好き!」
「ああ。オレも、アカリが世界で一番、愛してるし、好きだよ」
「私も世界で一番、ルーファスが好きだよ」
ルーファスの首に腕を回してキスをすると、ルーファスがキスをしながら手でナイトガウンを脱がせて、お尻を触る手がそのまま太腿を左右に開かせて、お尻側から股の間を指でなぞられる。
「やんっ」
「アカリ、時間移動の間、浮気はしていないよな?」
「ふぇ? してないよ! 私はルーファスの番なんだから、するわけ無いじゃない?」
ルーファスに首をかしげると、ルーファスが少し眉間にしわを寄せて目を閉じる。
どうしたんだろう? 時間移動で色んな人の匂いそんなについているんだろうか? まぁ、ほぼ【刻狼亭】の人々に目撃されたぐらいで『白い女の子』の幽霊騒ぎの元凶にはなるくらいの回数だとは思うけど……。
「アカリから匂う、オレじゃない男の匂いにどうしても嫉妬してしまう」
「心配しなくても、私はルーファスのお嫁さんだから、他の男にフラフラしません」
「いや……アカリにその気は無くても、アカリでは力づくで男に襲われたら抵抗できないだろ?」
ゴツンと、ルーファスのおでこに自分のおでこをぶつけて痛さに少しクラッときたものの、おでこを摩りながらルーファスの頬を片手て引っ張る。
「もう。疑うなら確かめていいよ?」
「いや、疑っているわけじゃ……ただ、アカリから匂うニオイで一つやけに嫉妬深そうな絡みついた匂いがするのが気になってな……」
該当者はルーディクスさんくらいしかいないけど、そんなに嫉妬深い匂いなんだろうか?
でも、ルーファスのこういうところは嫉妬深いから、ルーディクスさんの嫉妬深い匂いはルーファスの中に受け継がれてると思う。
「ふふっ、じゃあルーファスの匂いで一杯にしてね?」
鼻先にキスをして笑うと、ルーファスの耳は下がったり上がったり忙しなく動いて、可愛い人だなと愛おしささえ感じてしまう。
腕を上げてみれば、時間移動の魔道具は無くなっている。
「……あれ?」
ルーファスの腕を指でつつくと、ルーファスの耳がピクッと動いて瞼が開くといつも通りの優しい目をしたルーファスの金色の目が見つめ返してくる。
「えーと、おはようございます?」
「ん……、ああ、おはよう。アカリ、これからはオレの居ない場所での酒は禁止だからな」
あー……、やっぱりアルビーに絡んでたの夢じゃなかったっ!!
ルーファスが髪を掻き上げながら起きて、私も抱き起こすと膝の上に乗せて、おでこをコツンと合わせてくる。
「……まったく、アルビーまで巻き込んで時間を移動したから、最初の時間移動で魔石が割れて失敗したんだぞ? 反省はしているか?」
「はうっ、すいません……でもね、その……」
ルーファスが唇を合わせて言葉を途切れさせると、唇から口の中に少しずつ番の甘さが広がって、食む様に口づけを交わすと、もうルーファスを離したく無くて、ギュッと抱きついてルーファスの口の中に舌を忍ばせると、伸ばした舌をルーファスの舌にギューっと吸われて、慌てて口を放す。
「ふぁっ、はふ……っ、ルーファス……」
「そんな物欲しそうな目をされると、襲いたくなる」
いつもならここで首を横に振るところだけど、番の絆が時間移動で切れてしまった胸の中に空いた喪失感は覚えているから、ナイトガウンの紐を解くと左右に開いて素肌の胸をルーファスに押し付ける。
「私が襲ちゃう事も、あるんですよ?」
「……参ったな。オレの番はいつから狼になったんだ?」
ククッと笑ってルーファスが私の頬に手を当てて目を細める。
私の大好きなルーファスだなぁ……うん。良かった。過去に飛んで少しでもルーファスに影響が出ていたらどうしようかと思っていたけど、大丈夫そう。
「ルーファス、寂しかったよぅ」
「ああ。オレには一瞬でアカリが目の前から消えた様に思えたが、アカリは冒険をしてきたようだな」
「解るの? 私、初代の【刻狼亭】にも行っちゃったんだよ?」
「初代にまでか? 随分と大冒険だな。でも匂いが色々混じっているから何となく解るよ」
ルーファスが、唇を私の素肌に落としながら首筋を下から上に舐め上げる。
「ふぁぁっ、ゾクゾクする……んっ」
「ゾクゾクするなら、そこに快感を感じる場所があるんだろうな」
「それは……どうだろ?」
チュウチュウとルーファスに首筋を吸われて、ゾワゾワしながらも、確かに下腹部にキュッとした熱が溜まっていく。もどかしいこの熱をいつも与えるのはルーファスで、満たしてくれるのもルーファスしかいない。
「あっ、過去から連れてきちゃったアルビーは何処に?」
「すぐにアカリの時間移動の魔道具を使って帰っていった。そろそろ預かってくれていた魔道具を返しに来るとは思うがな。アルビーいわく、時間移動は問題なく出来ているらしい」
「そうなんだ……」
私が過去からアルビーを巻き込んで現在に戻った為に、時間移動に出発する私が巻き込まれてしまったのか……飛んでいった私頑張れ。
肩口にルーファスの唇が触れて、「あっ、怪我どうしたんだろう?」と見れば、左肩は綺麗に治っていた。
シューちゃんが治してくれたんだろうか?
「ルーファス、肩の怪我……」
「ああ、オレが治した」
「え?」
「初めて番の儀をした時に言ったはずだ。オレと番えばオレの持っている魔法はアカリにも使えると。そしてアカリが魔法を覚えた今、オレにもアカリの使える魔法は使える」
なるほど、ネリリスさんの魔法の全てはルーファスにも使えるわけだから、風竜スピナの主君のルーファスなら風魔法の癒し魔法は使える。
私だと回復・弱小回復だけど、ルーファスなら回復・大回復という事か……。
「ありがとう。ルーファス大好き!」
「ああ。オレも、アカリが世界で一番、愛してるし、好きだよ」
「私も世界で一番、ルーファスが好きだよ」
ルーファスの首に腕を回してキスをすると、ルーファスがキスをしながら手でナイトガウンを脱がせて、お尻を触る手がそのまま太腿を左右に開かせて、お尻側から股の間を指でなぞられる。
「やんっ」
「アカリ、時間移動の間、浮気はしていないよな?」
「ふぇ? してないよ! 私はルーファスの番なんだから、するわけ無いじゃない?」
ルーファスに首をかしげると、ルーファスが少し眉間にしわを寄せて目を閉じる。
どうしたんだろう? 時間移動で色んな人の匂いそんなについているんだろうか? まぁ、ほぼ【刻狼亭】の人々に目撃されたぐらいで『白い女の子』の幽霊騒ぎの元凶にはなるくらいの回数だとは思うけど……。
「アカリから匂う、オレじゃない男の匂いにどうしても嫉妬してしまう」
「心配しなくても、私はルーファスのお嫁さんだから、他の男にフラフラしません」
「いや……アカリにその気は無くても、アカリでは力づくで男に襲われたら抵抗できないだろ?」
ゴツンと、ルーファスのおでこに自分のおでこをぶつけて痛さに少しクラッときたものの、おでこを摩りながらルーファスの頬を片手て引っ張る。
「もう。疑うなら確かめていいよ?」
「いや、疑っているわけじゃ……ただ、アカリから匂うニオイで一つやけに嫉妬深そうな絡みついた匂いがするのが気になってな……」
該当者はルーディクスさんくらいしかいないけど、そんなに嫉妬深い匂いなんだろうか?
でも、ルーファスのこういうところは嫉妬深いから、ルーディクスさんの嫉妬深い匂いはルーファスの中に受け継がれてると思う。
「ふふっ、じゃあルーファスの匂いで一杯にしてね?」
鼻先にキスをして笑うと、ルーファスの耳は下がったり上がったり忙しなく動いて、可愛い人だなと愛おしささえ感じてしまう。
40
お気に入りに追加
4,628
あなたにおすすめの小説

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。
鯖
恋愛
可憐な見た目とは裏腹に、突っ走りがちな令嬢のパトリシア。婚約者のフィリップが、巨乳じゃないと女として見れない、と話しているのを聞いてしまう。
パトリシアは、小さい頃に両親を亡くし、母の弟である伯爵家で、本当の娘の様に育てられた。お世話になった家族の為にも、幸せな結婚生活を送らねばならないと、兄の様に慕っているアレックスに、あるお願いをしに行く。

婚約者である皇帝は今日別の女と結婚する
アオ
恋愛
公爵家の末娘として転生した美少女マリーが2つ上の幼なじみであり皇帝であるフリードリヒからプロポーズされる。
しかしその日のうちにプロポーズを撤回し別の女と結婚すると言う。
理由は周辺の国との和平のための政略結婚でマリーは泣く泣くフリードのことを諦める。しかしその結婚は実は偽装結婚で
政略結婚の相手である姫の想い人を振り向かせるための偽装結婚式だった。
そんなこととはつゆ知らず、マリーは悩む。すれ違うがその後誤解はとけマリーとフリードは幸せに暮らしました。

大きくなったら結婚しようと誓った幼馴染が幸せな家庭を築いていた
黒うさぎ
恋愛
「おおきくなったら、ぼくとけっこんしよう!」
幼い頃にした彼との約束。私は彼に相応しい強く、優しい女性になるために己を鍛え磨きぬいた。そして十六年たったある日。私は約束を果たそうと彼の家を訪れた。だが家の中から姿を現したのは、幼女とその母親らしき女性、そして優しく微笑む彼だった。
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。