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18章
衝撃
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「そういえば今年はレーネルとルビスが生まれたのでバタバタしていて忘れていたが2人共誕生日が過ぎていたな」
ルーファスの一言に「あ」と誰が発した言葉だったのか・・・夕飯の食事で箸が止まる状況になった。
リュエールとシュトラールの誕生日を忘れていた一同はお互いに目線を彷徨わせる。
「あはは。別にもう祝ってもらう歳でもないし、むしろもう祝う側だしね」
「だねー。流石に子供が生まれたしね」
リュエールとシュトラールの大人な発言に一同も「そっかー」と言いつつも、少しだけ罪悪感もある。
ルーファスが着物の裾から「ならこれで最後か」と2つ細長い箱を出すと、リュエールとシュトラールの前に置く。
2人が箱を開けると調整できるチェーン付きの魔法通信の小さなブレスレットだった。
「えーと・・・父上?」
「レーネルとルビスの腕輪だ。子供は直ぐに大きくなるから調整できるチェーンタイプにしておいた」
「オレ達の誕生日プレゼントっていうより、レーネルとルビスへのプレゼントだね」
「ありがとう、父上・・・まぁ、流石に赤ん坊には持たせないからそのうちね」
朱里とドラゴン達が何とも言えない顔をしつつも、ルーファスがすました顔をして尻尾を振っているので、孫フィーバーだなぁと生暖かい視線を送る。
しかし、ティルナール達よりも先に孫に魔法通信の腕輪を上げてしまう辺りどうなのかとも思うが、あと1ヶ月もしない間にティルナールの5歳の誕生日で同じ月にミルアとナルアも13歳になり2月後にはエルシオンとルーシーも5歳になる。
それを思うと三つ子にも5歳の誕生日に渡すのかとも思ってしまう。
「リューちゃんもシューちゃんも18歳かぁ・・・私がルーファスに出会った年齢ですね」
「あの頃とアカリは変わりないな」
「もう、お上手ですね。こう見えて7人の子持ちの2人の孫持ちなんですよ」
「それを言うならオレもだ」
2人で隣り合わせで頭をコツコツと擦り付け合っていると子供達の痛い者を見る目に見つめられつつ、夕飯の時間が過ぎていき、夕飯の片付けを朱里が1人でしているとカタカタと小さく振動があり、また子供達かドラゴンが騒いで暴れているのかな?と、気にせずにお皿に乾燥魔法を掛けていると、ガタガタと振動が床から伝わり、地震?と、思った瞬間ズシンと横から衝撃がきてそのまま床から足が離れる。
横なぎにされるように倒れると足元に衝撃で食器がガシャガシャと音を立てて落ちてきて、ギクリと体が硬直する。
「ヒッ!」
小さく息を呑み目をつぶると大きな音を立てて上の棚が開く音がして、ガコンガコン音を立てて床に落ちて来る。
身を縮こまらせて物が落ちて来るのが納まるのを待ってから目を開けると、ちょっとした惨状だった。
収納していた鍋や食器や調味料が床に散乱して、その下で割れてしまっているお皿に関しては少し考えたくないものがある。
「地震じゃない・・・よね?」
横から風圧の様な衝撃で飛ばされた感じだった事から地震とは違うだろうと思っていると、キャーという声と子供の泣き声に慌てて台所から大広間へ戻ると、家具が横なぎで倒れている。
「レーネルくんとルビスちゃんは大丈夫?!」
「多分大丈夫!丁度抱っこしてたから!皆は無事?!」
「ははうえー!!ぶぇえええん」
「皆、大広間に集まれ!」
「アカリは?!」
お互いに声を上げながら無事を確かめようと大広間に集まると、とりあえず全員無事ではあるが、家具で体を打ち付けたりはあったのでシュトラールが回復魔法を全員に掛けて見えない所まで治療をした。
「【回復・大】」
「はぁ・・・今の一体何だったんでしょうね?」
「わからんが、【刻狼亭】の方を見て来る。リューは料亭を、オレは旅館の方に行く。シューはいつでも回復魔法が出来る様にここで待機。怪我人が居たら腕輪で連絡する」
「わかったよ。キリン、子供を頼むね」
「うん。気を付けてね」
「アカリ、家の事を頼む」
「はい。わかりました」
ルーファスとリュエールが出掛け、ハガネの指示の元ドラゴン達と一緒に家具の片付けが始まり、安全第一という事でキリンとフィリアに赤ん坊と三つ子はハガネの結界の中で片付けが終わるまでは居てもらい、それぞれ片付けて行っていたが、引っ越したばかりだというのに、色々と家具で家が傷ついてしまったのは少し痛い所だ。
「母上、怪我人が居る様だから少し旅館の方に行ってくるね」
「うん。気を付けていってらっしゃい」
シュトラールが出掛け、3時間後にようやく一息ついた時にはもう少しで日付けが変わろうとしていた。
まだ細々とした物の片付けは終わってないが、もう明日にするしか無いと諦めて台所から出ようとした時、台所のお勝手口をガリガリと引っ掻く爪音に扉を開けるとクロが「ゥナー・・・」と力なく舌を出していた。
「クロどうしたの?」
「ナーァー・・・ゥゥー」
「クロ、大丈夫?」
ガブッとクロに初めて噛みつかれ血が滲み、ビックリしてクロを見るとクロが必死に傷を舐めるとクロの体から黒いモヤの様な物が出て四散する。
クラッとした眩暈に胸がギュッと苦しくなると胸を押さえて身を丸め込む。
何だろう・・・今の?
クロが必死に頭を擦り付けて、心配そうに「ナウーナーン」といつもの声で甘えた様に鳴く。
いつものクロだと思いながら、胸の痛さが治まり、さっきの衝撃でクロも少し調子がおかしかったのかな?とクロを撫でながら台所を出ると、ルーファス達が帰ってきたところだった。
ルーファスの一言に「あ」と誰が発した言葉だったのか・・・夕飯の食事で箸が止まる状況になった。
リュエールとシュトラールの誕生日を忘れていた一同はお互いに目線を彷徨わせる。
「あはは。別にもう祝ってもらう歳でもないし、むしろもう祝う側だしね」
「だねー。流石に子供が生まれたしね」
リュエールとシュトラールの大人な発言に一同も「そっかー」と言いつつも、少しだけ罪悪感もある。
ルーファスが着物の裾から「ならこれで最後か」と2つ細長い箱を出すと、リュエールとシュトラールの前に置く。
2人が箱を開けると調整できるチェーン付きの魔法通信の小さなブレスレットだった。
「えーと・・・父上?」
「レーネルとルビスの腕輪だ。子供は直ぐに大きくなるから調整できるチェーンタイプにしておいた」
「オレ達の誕生日プレゼントっていうより、レーネルとルビスへのプレゼントだね」
「ありがとう、父上・・・まぁ、流石に赤ん坊には持たせないからそのうちね」
朱里とドラゴン達が何とも言えない顔をしつつも、ルーファスがすました顔をして尻尾を振っているので、孫フィーバーだなぁと生暖かい視線を送る。
しかし、ティルナール達よりも先に孫に魔法通信の腕輪を上げてしまう辺りどうなのかとも思うが、あと1ヶ月もしない間にティルナールの5歳の誕生日で同じ月にミルアとナルアも13歳になり2月後にはエルシオンとルーシーも5歳になる。
それを思うと三つ子にも5歳の誕生日に渡すのかとも思ってしまう。
「リューちゃんもシューちゃんも18歳かぁ・・・私がルーファスに出会った年齢ですね」
「あの頃とアカリは変わりないな」
「もう、お上手ですね。こう見えて7人の子持ちの2人の孫持ちなんですよ」
「それを言うならオレもだ」
2人で隣り合わせで頭をコツコツと擦り付け合っていると子供達の痛い者を見る目に見つめられつつ、夕飯の時間が過ぎていき、夕飯の片付けを朱里が1人でしているとカタカタと小さく振動があり、また子供達かドラゴンが騒いで暴れているのかな?と、気にせずにお皿に乾燥魔法を掛けていると、ガタガタと振動が床から伝わり、地震?と、思った瞬間ズシンと横から衝撃がきてそのまま床から足が離れる。
横なぎにされるように倒れると足元に衝撃で食器がガシャガシャと音を立てて落ちてきて、ギクリと体が硬直する。
「ヒッ!」
小さく息を呑み目をつぶると大きな音を立てて上の棚が開く音がして、ガコンガコン音を立てて床に落ちて来る。
身を縮こまらせて物が落ちて来るのが納まるのを待ってから目を開けると、ちょっとした惨状だった。
収納していた鍋や食器や調味料が床に散乱して、その下で割れてしまっているお皿に関しては少し考えたくないものがある。
「地震じゃない・・・よね?」
横から風圧の様な衝撃で飛ばされた感じだった事から地震とは違うだろうと思っていると、キャーという声と子供の泣き声に慌てて台所から大広間へ戻ると、家具が横なぎで倒れている。
「レーネルくんとルビスちゃんは大丈夫?!」
「多分大丈夫!丁度抱っこしてたから!皆は無事?!」
「ははうえー!!ぶぇえええん」
「皆、大広間に集まれ!」
「アカリは?!」
お互いに声を上げながら無事を確かめようと大広間に集まると、とりあえず全員無事ではあるが、家具で体を打ち付けたりはあったのでシュトラールが回復魔法を全員に掛けて見えない所まで治療をした。
「【回復・大】」
「はぁ・・・今の一体何だったんでしょうね?」
「わからんが、【刻狼亭】の方を見て来る。リューは料亭を、オレは旅館の方に行く。シューはいつでも回復魔法が出来る様にここで待機。怪我人が居たら腕輪で連絡する」
「わかったよ。キリン、子供を頼むね」
「うん。気を付けてね」
「アカリ、家の事を頼む」
「はい。わかりました」
ルーファスとリュエールが出掛け、ハガネの指示の元ドラゴン達と一緒に家具の片付けが始まり、安全第一という事でキリンとフィリアに赤ん坊と三つ子はハガネの結界の中で片付けが終わるまでは居てもらい、それぞれ片付けて行っていたが、引っ越したばかりだというのに、色々と家具で家が傷ついてしまったのは少し痛い所だ。
「母上、怪我人が居る様だから少し旅館の方に行ってくるね」
「うん。気を付けていってらっしゃい」
シュトラールが出掛け、3時間後にようやく一息ついた時にはもう少しで日付けが変わろうとしていた。
まだ細々とした物の片付けは終わってないが、もう明日にするしか無いと諦めて台所から出ようとした時、台所のお勝手口をガリガリと引っ掻く爪音に扉を開けるとクロが「ゥナー・・・」と力なく舌を出していた。
「クロどうしたの?」
「ナーァー・・・ゥゥー」
「クロ、大丈夫?」
ガブッとクロに初めて噛みつかれ血が滲み、ビックリしてクロを見るとクロが必死に傷を舐めるとクロの体から黒いモヤの様な物が出て四散する。
クラッとした眩暈に胸がギュッと苦しくなると胸を押さえて身を丸め込む。
何だろう・・・今の?
クロが必死に頭を擦り付けて、心配そうに「ナウーナーン」といつもの声で甘えた様に鳴く。
いつものクロだと思いながら、胸の痛さが治まり、さっきの衝撃でクロも少し調子がおかしかったのかな?とクロを撫でながら台所を出ると、ルーファス達が帰ってきたところだった。
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