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18章
古着回収屋2
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庭に茣蓙を敷いてその上に古着を山積みにすると、ヤンチャな悪い子達が山積みした服の上に跳び込んで来る。
「きゃー!」
「キャーじゃないの。駄目!」
「わぁー!」
「とつげきぃー!」
ティルナールを捕まえると、横から隙を見計らった様にエルシオンとルーシーが服の山に飛び込んで来る。
ティルナールをケルチャに持たせて、エルシオンと捕まえてグリムレインに渡し、ルーシーを捕まえる為に身構えると、ルーシーはハガネに上からむんずと捕まえられて、鋼の腕にしがみ付いてキャッキャッと声を上げて笑っている。
「もぅ!反省しなさい!」
崩された服をたたんでいると服の山の中で黒い毛玉が丸まって寝ている。
言わずと知れた魔獣のクロが寝床にしてしまっている。
猫は服の上で寝ちゃうものだよねぇと思いつつも、クロを持ち上げると「ナーゥ」と不満の声を上げられる。我が家には悪い子がいっぱい居る様で、反省もしない・・・。
朱里が溜め息をふぅーと、吐くと頭上から声がする。
「アカリそろそろ古着回収屋が来る頃だろう?家の中に入っておいた方が良い」
「むっ、悪い子の親玉」
「ん?なんだそれは?」
「ルーファスは悪い子なので知りません」
「参ったな。まだ昨日の事で怒ってるのか・・・」
少しだけ頬を膨らませて頬を赤くする朱里の腰に後ろから手を回して軽くこめかみにキスをしながら「悪かった」と謝り、スリつくと朱里が片目を薄く開けて「仕方ない人ですね」とキスが返って来る。
ルーファスの尻尾がふさふさと左右に揺れて目を細めながら朱里の耳を軽く噛む。
「やんっ、ルーファス~っ」
「んっ、アカリは可愛いな」
朱里がジタバタしながらルーファスの腕から逃れようとしていると「『古着回収屋』です」と、か細い声が下からする。
朱里が足元を見ると大きな白い『蛾』が4匹そこに居た。
小さく朱里が息を呑んで「ヒッ」と声を上げるとルーファスに口を手で押さえられ、ルーファスが「そこに置いてあるのが古着だ」と、蛾達に告げる。
「では回収致しますね。新しい服はお任せで良いですか?サイズはどなたのを?」
「サイズはこの紙に書いてある物で女性用だ。今、オレの腕の中の番の物だが、清楚な感じの服で仕立ててやってくれ」
「畏まりました。お時間は・・・この量ですと3時間程かかります」
「ああ、よろしく頼む」
ルーファスに口を押えられたまま「んーっんーっ!!」と朱里が叫んで家の中に連れ込まれる。
家の中に入り、台所まで行くとようやく手が口から離される。
「ぷはっ!ルーファス何ですかあれ?!」
「あれが『古着回収屋』だ。アラクネ族の亜種の様な者達でな、アカリは牛蝉が嫌いだから回収屋も好きでは無いと思ってな・・・」
「ううっ、なら初めから説明してください!」
「悪かった。今まで回収屋を呼んでなかった理由が分かっただろ?」
「・・・はい・・・」
ルーファスが古着回収屋に少し口ごもっていた理由は自分のせいだったのかと教えられ、「虫は嫌いなの」と涙目で訴えて顔を横に振る。
「ああ、人には好き嫌いがあるから仕方がないさ」
「お洋服、あれどうするんです?」
「んー・・・聞いたら卒倒しそうだが、彼等は服を食べるんだ」
「食べる?!!」
「食べた後で、服の繊維を取り出して新しい糸に紡ぎ直して布にして、また服を作る」
「ううっ・・・それは大丈夫な物なの?」
「使われている古着の材質その物を新しい糸にして出すから品質には問題はない」
「食べた後の糸は何所から出て来るの・・・」
朱里が眉根を下げながら、疑問に思ったことを口に出しつつも、耳を手で塞ぎ始めている。
もし朱里に狼の耳が付いていたならぺっちゃりと下がって閉じて尻尾は確実に股に挟まっているだろうとルーファスは思いながら苦笑いする。
「まぁ、アカリの予想通りの場所だが、排泄物の管から出ているわけでは無いから大丈夫だぞ」
「それでもあの虫みたいな人達から出るんだよね・・・」
「それを言ったら、アカリの好きな寝着のガウンも下着のシルクも元をただせば虫から糸が取れて出来た物だ」
「はうぅぅっ!!!」
「気にせずに良い物を良いと思っておけばいい」
「・・・そうします」
「ん。良い子だ」
おでこにキスをされながら朱里が眉を顰めて「ううっ、お肉が元は魔獣の形をしていたというのと一緒」と、ブツブツ言い、ルーファスに「一時忘れさせてやろう」と後ろから服の中に手を入れられて、「あっ」と声を上げると3時間たっぷり喘がされて、『古着回収屋』の事をふわっと忘れて、ぐったりとソファの上で休んでいると、ルーファスに何着か品のいい服を渡されてガバッと起き上がる。
「ルーファス、すごくセンス良いですね」
「気に入ったか?」
「はい。可愛いけど大人の雰囲気もあってサイズも良いです。こんな服どこで?」
「それが『古着回収屋』の古着から作られた服だ」
「・・嘘ぉ」
「従業員達がはしゃいで古着を山にした意味もわかっただろう?」
「はぅぅ・・・」
服を見ながら「悔しいけど、良い物です」と朱里が言い、ルーファスが「服が溜まったらまた呼ぶか?」と聞いて頷いてしまったのは言うまでもない。
「きゃー!」
「キャーじゃないの。駄目!」
「わぁー!」
「とつげきぃー!」
ティルナールを捕まえると、横から隙を見計らった様にエルシオンとルーシーが服の山に飛び込んで来る。
ティルナールをケルチャに持たせて、エルシオンと捕まえてグリムレインに渡し、ルーシーを捕まえる為に身構えると、ルーシーはハガネに上からむんずと捕まえられて、鋼の腕にしがみ付いてキャッキャッと声を上げて笑っている。
「もぅ!反省しなさい!」
崩された服をたたんでいると服の山の中で黒い毛玉が丸まって寝ている。
言わずと知れた魔獣のクロが寝床にしてしまっている。
猫は服の上で寝ちゃうものだよねぇと思いつつも、クロを持ち上げると「ナーゥ」と不満の声を上げられる。我が家には悪い子がいっぱい居る様で、反省もしない・・・。
朱里が溜め息をふぅーと、吐くと頭上から声がする。
「アカリそろそろ古着回収屋が来る頃だろう?家の中に入っておいた方が良い」
「むっ、悪い子の親玉」
「ん?なんだそれは?」
「ルーファスは悪い子なので知りません」
「参ったな。まだ昨日の事で怒ってるのか・・・」
少しだけ頬を膨らませて頬を赤くする朱里の腰に後ろから手を回して軽くこめかみにキスをしながら「悪かった」と謝り、スリつくと朱里が片目を薄く開けて「仕方ない人ですね」とキスが返って来る。
ルーファスの尻尾がふさふさと左右に揺れて目を細めながら朱里の耳を軽く噛む。
「やんっ、ルーファス~っ」
「んっ、アカリは可愛いな」
朱里がジタバタしながらルーファスの腕から逃れようとしていると「『古着回収屋』です」と、か細い声が下からする。
朱里が足元を見ると大きな白い『蛾』が4匹そこに居た。
小さく朱里が息を呑んで「ヒッ」と声を上げるとルーファスに口を手で押さえられ、ルーファスが「そこに置いてあるのが古着だ」と、蛾達に告げる。
「では回収致しますね。新しい服はお任せで良いですか?サイズはどなたのを?」
「サイズはこの紙に書いてある物で女性用だ。今、オレの腕の中の番の物だが、清楚な感じの服で仕立ててやってくれ」
「畏まりました。お時間は・・・この量ですと3時間程かかります」
「ああ、よろしく頼む」
ルーファスに口を押えられたまま「んーっんーっ!!」と朱里が叫んで家の中に連れ込まれる。
家の中に入り、台所まで行くとようやく手が口から離される。
「ぷはっ!ルーファス何ですかあれ?!」
「あれが『古着回収屋』だ。アラクネ族の亜種の様な者達でな、アカリは牛蝉が嫌いだから回収屋も好きでは無いと思ってな・・・」
「ううっ、なら初めから説明してください!」
「悪かった。今まで回収屋を呼んでなかった理由が分かっただろ?」
「・・・はい・・・」
ルーファスが古着回収屋に少し口ごもっていた理由は自分のせいだったのかと教えられ、「虫は嫌いなの」と涙目で訴えて顔を横に振る。
「ああ、人には好き嫌いがあるから仕方がないさ」
「お洋服、あれどうするんです?」
「んー・・・聞いたら卒倒しそうだが、彼等は服を食べるんだ」
「食べる?!!」
「食べた後で、服の繊維を取り出して新しい糸に紡ぎ直して布にして、また服を作る」
「ううっ・・・それは大丈夫な物なの?」
「使われている古着の材質その物を新しい糸にして出すから品質には問題はない」
「食べた後の糸は何所から出て来るの・・・」
朱里が眉根を下げながら、疑問に思ったことを口に出しつつも、耳を手で塞ぎ始めている。
もし朱里に狼の耳が付いていたならぺっちゃりと下がって閉じて尻尾は確実に股に挟まっているだろうとルーファスは思いながら苦笑いする。
「まぁ、アカリの予想通りの場所だが、排泄物の管から出ているわけでは無いから大丈夫だぞ」
「それでもあの虫みたいな人達から出るんだよね・・・」
「それを言ったら、アカリの好きな寝着のガウンも下着のシルクも元をただせば虫から糸が取れて出来た物だ」
「はうぅぅっ!!!」
「気にせずに良い物を良いと思っておけばいい」
「・・・そうします」
「ん。良い子だ」
おでこにキスをされながら朱里が眉を顰めて「ううっ、お肉が元は魔獣の形をしていたというのと一緒」と、ブツブツ言い、ルーファスに「一時忘れさせてやろう」と後ろから服の中に手を入れられて、「あっ」と声を上げると3時間たっぷり喘がされて、『古着回収屋』の事をふわっと忘れて、ぐったりとソファの上で休んでいると、ルーファスに何着か品のいい服を渡されてガバッと起き上がる。
「ルーファス、すごくセンス良いですね」
「気に入ったか?」
「はい。可愛いけど大人の雰囲気もあってサイズも良いです。こんな服どこで?」
「それが『古着回収屋』の古着から作られた服だ」
「・・嘘ぉ」
「従業員達がはしゃいで古着を山にした意味もわかっただろう?」
「はぅぅ・・・」
服を見ながら「悔しいけど、良い物です」と朱里が言い、ルーファスが「服が溜まったらまた呼ぶか?」と聞いて頷いてしまったのは言うまでもない。
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