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18章
新年会
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新しい年が始まり【刻狼亭】の新年会が料亭で催され、ルーファスの隣りで朱里が従業員やお世話になっている温泉街の関係者に挨拶をして回っている。
ドワーフの老人達と火酒を自棄飲みしているのは言わずと知れたグリムレインで、朱里が記憶をなくしたと聞いて駆け付けたのに勢いが付き過ぎて朱里を昏倒させてしまい、ルーファスに雷を落とされたのだ。
文字通り雷を食らわされて氷属性のグリムレインとしては痛い目に遭ってしまい、いじけているうちに朱里が目を覚まし、記憶はスッカリ戻っていた。
「我のおかげでは無いか?」
そう言って見た物の、これ以上朱里の頭に衝撃を与えるな!と、怒られてしまったのだ。
朱里は苦笑いで「グリムレインのおかげで新年をちゃんと迎えられたのだし」と言ってくれたが、グリムレインが嬉しさの余り朱里にまた抱きついて危うく頭をぶつけるところだったので、やはり朱里の記憶が落ち着くまでは余計な接触をするんじゃないと怒られた。
よってグリムレインはムスッとしたまま自棄酒中なのである。
「グリムレイン、今年もよろしくね」
「・・・嫁ぇ~」
「ふふっ。はい。お酒どうぞ」
朱里が旅行で買っておいた最後の1本になった冬リンゴのお酒をグリムレインのグラスに注いで自分のグラスにも注いでカチンと合わせる。
「去年は旅行も行ったし、楽しかったねぇ。今年も色々一緒に遊ぼうね」
「うむ。嫁を連れて何所でも行くぞ」
「うん。楽しみにしてるね。それじゃ私は他の人にも挨拶に行くね」
グリムレインに手を小さく振って朱里が他の人の所へ挨拶に向かう。
新年会は女将業で朱里も忙しいのは解っているのでグリムレインはティル達三つ子にデザートを強請られているハガネの所へ向かう。
「おっ、やけ酒はもう良いのか?」
「もう良いわ。明日二日酔いになって苦しみたくもないしな」
「まぁ、毎年二日酔いじゃしまらねぇからな」
「ハガネは飲まんのか?」
「俺りゃあいいんだよ。体が一回若くなってから酒はめっきり駄目になっちまったしな」
実際、ハガネは朱里達より先に若返りをしたものの体自体は10代後半か20代前半ぐらいで止まっている感じで成長があまり見られない。複数の魔法や薬品が使われた為に蘇生回復魔法よりも解析の出来ない複合魔法の産物と言って良い。
朱里達も蘇生魔法のおかげで肉体年齢が10歳若返ってから肉体の老化はかなりゆっくりとしている。
これに関してはシュトラールが今も暇を見ては解析を進めている。
冒険者カードの【賢者】の称号がいつの間にやら【大賢者】になっていたりと、シュトラールは何所へ向かっているのか?という疑問もある。
グリムレインがティルナール達三つ子に「あーん」と口を開けて近付くと、ケーキをポイポイと入れられ、お返しに3人にフルーツをシャーベット状にして口に入れていく。
「んふーっ」
「美味かろう?」
「あっ、ズルいのです!わたくし達にも!」
「ブドウがいいのです!ブドウください!」
ミルアとナルアがグリムレインの周りに来て寄越せ寄越せと騒ぎ、「やれやれ元気だのう」とグリムレインが子供達と一緒に今年は二日酔いになる事無く過ごす事になった。
朱里がありすと新年の挨拶をして「あけおめ!ことよろー!」と毎年の異世界風挨拶で「きゃー」とあいさつを交わし、これだけは何十年経っても変わらない物なので、きっとお婆ちゃんになっても言ってそうだと思っている。
ありすの夫のリロノスにも挨拶をして、娘夫婦のリリスとイルマールにも挨拶をするとリュエールとシュトラールも一緒に居た。
「あらあら、やっぱり幼馴染同士相変わらず仲が良いのねぇ」
「母上、もう大丈夫なの?」
「母上、また頭ぶつけないでね?」
「うふふ。お世話を掛けました。母上は大丈夫です。それよりもあなた達の方はどうなの?」
「一応心配だから旅館の方に2人共居てもらってるよ」
「オレ心配だから帰りたいー」
朱里の焼肉屋の助言で産院へキリンとフィリアを連れて行った2人は妊娠が判り、番への過保護ぶりが上がっている所だったりする。
これに関しては朱里も初孫になるので過保護なくらいで別にいいとは思うものの、出産日の逆計算からして蜜籠りから直ぐに出来た様なのでルーファスと言い、親子ねぇ・・・とも思う。
まぁ産んだのは朱里なので自分を含めて血は争えないとは思っている。
「あっ、そうそう。妊婦さんってお酒の匂いで吐いてしまう場合もあるからお酒は飲んじゃ駄目よ?」
「・・・母上、それは先に言ってよ・・・付き合いで少し飲んじゃったよ」
「うわっ、オレも飲んでる!どうしよっ!」
「それ以上飲まずに戻ったら直ぐにお風呂に入って歯を磨いて、べたべた近寄らない事。匂いが無くなるまではだーめ」
「母上、他に注意する事とかある?」
「ううっ、オレ、フィリア抱いて寝ないと寝れない」
「そうねぇ、人によるけど、味の好みが変わったりするから産院で貰った食べて良い物悪い物リストでちゃんと調べる事。あと抱きついて眠るのはあまりお勧めしません。シューちゃん寝相悪いからお腹に手が当たったら大変だし」
シュトラールが耳を下げて「クゥーン」と声を出して、リュエールは「うーん」と唸っている。
朱里が「初めての子供は悩むわよねぇ。頑張ってね」と笑いながらルーファスの方へ戻っていく。
「ルーファス。挨拶は終わった?」
「粗方な。朱里の方はどうだ?」
「私の方もそれなりに終わりました。ルーファス今回は色々お世話を掛けました」
「まぁ・・・もうオレ達家族を忘れないでいてくれたらそれでいい」
「はい。でも、お母さん達の事すごくハッキリ思い出して凄くスッキリした感じなの」
「そうか。記憶の無い時の事も覚えているなら、それもアカリの大事な財産だ。大事にしておけ」
「はい。おかげで私、魔法使える様になりましたしね」
「それに関してはハガネのお手柄だな」
「ふふっ、ルーファス、今年もよろしくお願いしますね?」
「ああ。今年もいい年になる様に共に過ごして行こうな」
グラスにお酒をお互いに次ぎ合って小さく合わせて飲み干すと目を細めて笑い合う。
新しい1年がまた始まる。
ドワーフの老人達と火酒を自棄飲みしているのは言わずと知れたグリムレインで、朱里が記憶をなくしたと聞いて駆け付けたのに勢いが付き過ぎて朱里を昏倒させてしまい、ルーファスに雷を落とされたのだ。
文字通り雷を食らわされて氷属性のグリムレインとしては痛い目に遭ってしまい、いじけているうちに朱里が目を覚まし、記憶はスッカリ戻っていた。
「我のおかげでは無いか?」
そう言って見た物の、これ以上朱里の頭に衝撃を与えるな!と、怒られてしまったのだ。
朱里は苦笑いで「グリムレインのおかげで新年をちゃんと迎えられたのだし」と言ってくれたが、グリムレインが嬉しさの余り朱里にまた抱きついて危うく頭をぶつけるところだったので、やはり朱里の記憶が落ち着くまでは余計な接触をするんじゃないと怒られた。
よってグリムレインはムスッとしたまま自棄酒中なのである。
「グリムレイン、今年もよろしくね」
「・・・嫁ぇ~」
「ふふっ。はい。お酒どうぞ」
朱里が旅行で買っておいた最後の1本になった冬リンゴのお酒をグリムレインのグラスに注いで自分のグラスにも注いでカチンと合わせる。
「去年は旅行も行ったし、楽しかったねぇ。今年も色々一緒に遊ぼうね」
「うむ。嫁を連れて何所でも行くぞ」
「うん。楽しみにしてるね。それじゃ私は他の人にも挨拶に行くね」
グリムレインに手を小さく振って朱里が他の人の所へ挨拶に向かう。
新年会は女将業で朱里も忙しいのは解っているのでグリムレインはティル達三つ子にデザートを強請られているハガネの所へ向かう。
「おっ、やけ酒はもう良いのか?」
「もう良いわ。明日二日酔いになって苦しみたくもないしな」
「まぁ、毎年二日酔いじゃしまらねぇからな」
「ハガネは飲まんのか?」
「俺りゃあいいんだよ。体が一回若くなってから酒はめっきり駄目になっちまったしな」
実際、ハガネは朱里達より先に若返りをしたものの体自体は10代後半か20代前半ぐらいで止まっている感じで成長があまり見られない。複数の魔法や薬品が使われた為に蘇生回復魔法よりも解析の出来ない複合魔法の産物と言って良い。
朱里達も蘇生魔法のおかげで肉体年齢が10歳若返ってから肉体の老化はかなりゆっくりとしている。
これに関してはシュトラールが今も暇を見ては解析を進めている。
冒険者カードの【賢者】の称号がいつの間にやら【大賢者】になっていたりと、シュトラールは何所へ向かっているのか?という疑問もある。
グリムレインがティルナール達三つ子に「あーん」と口を開けて近付くと、ケーキをポイポイと入れられ、お返しに3人にフルーツをシャーベット状にして口に入れていく。
「んふーっ」
「美味かろう?」
「あっ、ズルいのです!わたくし達にも!」
「ブドウがいいのです!ブドウください!」
ミルアとナルアがグリムレインの周りに来て寄越せ寄越せと騒ぎ、「やれやれ元気だのう」とグリムレインが子供達と一緒に今年は二日酔いになる事無く過ごす事になった。
朱里がありすと新年の挨拶をして「あけおめ!ことよろー!」と毎年の異世界風挨拶で「きゃー」とあいさつを交わし、これだけは何十年経っても変わらない物なので、きっとお婆ちゃんになっても言ってそうだと思っている。
ありすの夫のリロノスにも挨拶をして、娘夫婦のリリスとイルマールにも挨拶をするとリュエールとシュトラールも一緒に居た。
「あらあら、やっぱり幼馴染同士相変わらず仲が良いのねぇ」
「母上、もう大丈夫なの?」
「母上、また頭ぶつけないでね?」
「うふふ。お世話を掛けました。母上は大丈夫です。それよりもあなた達の方はどうなの?」
「一応心配だから旅館の方に2人共居てもらってるよ」
「オレ心配だから帰りたいー」
朱里の焼肉屋の助言で産院へキリンとフィリアを連れて行った2人は妊娠が判り、番への過保護ぶりが上がっている所だったりする。
これに関しては朱里も初孫になるので過保護なくらいで別にいいとは思うものの、出産日の逆計算からして蜜籠りから直ぐに出来た様なのでルーファスと言い、親子ねぇ・・・とも思う。
まぁ産んだのは朱里なので自分を含めて血は争えないとは思っている。
「あっ、そうそう。妊婦さんってお酒の匂いで吐いてしまう場合もあるからお酒は飲んじゃ駄目よ?」
「・・・母上、それは先に言ってよ・・・付き合いで少し飲んじゃったよ」
「うわっ、オレも飲んでる!どうしよっ!」
「それ以上飲まずに戻ったら直ぐにお風呂に入って歯を磨いて、べたべた近寄らない事。匂いが無くなるまではだーめ」
「母上、他に注意する事とかある?」
「ううっ、オレ、フィリア抱いて寝ないと寝れない」
「そうねぇ、人によるけど、味の好みが変わったりするから産院で貰った食べて良い物悪い物リストでちゃんと調べる事。あと抱きついて眠るのはあまりお勧めしません。シューちゃん寝相悪いからお腹に手が当たったら大変だし」
シュトラールが耳を下げて「クゥーン」と声を出して、リュエールは「うーん」と唸っている。
朱里が「初めての子供は悩むわよねぇ。頑張ってね」と笑いながらルーファスの方へ戻っていく。
「ルーファス。挨拶は終わった?」
「粗方な。朱里の方はどうだ?」
「私の方もそれなりに終わりました。ルーファス今回は色々お世話を掛けました」
「まぁ・・・もうオレ達家族を忘れないでいてくれたらそれでいい」
「はい。でも、お母さん達の事すごくハッキリ思い出して凄くスッキリした感じなの」
「そうか。記憶の無い時の事も覚えているなら、それもアカリの大事な財産だ。大事にしておけ」
「はい。おかげで私、魔法使える様になりましたしね」
「それに関してはハガネのお手柄だな」
「ふふっ、ルーファス、今年もよろしくお願いしますね?」
「ああ。今年もいい年になる様に共に過ごして行こうな」
グラスにお酒をお互いに次ぎ合って小さく合わせて飲み干すと目を細めて笑い合う。
新しい1年がまた始まる。
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