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17章
氷竜と氷の城4
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「あ」と、どちらが先に声を出したのかヴァレリーとグリムレインがお互いに泣きそうな困った顔をして口を開こうとしてヴァレリーは閉じ、グリムレインが開く。
「ヴァレリー、我の配慮が足りなかったようだ。しかし、我は自分の主君を害するお前を許す事は出来ん」
「グリムレイン・・・わらわは・・・」
ヴァレリーが伸ばす手は途中で力なく下ろされ、悲しそうな縋るような目でグリムレインを見つめるが金色の瞳は逸らされ、ヴァレリーを見てはくれなかった。
「婿、済まなかった・・・」
「オレは別にいい」
グリムレインがルーファスに謝るがそれは自分に対しては不要と肩をすくめる。
3人が廊下で言葉を発せずにいると、部屋からパチパチパチと手を叩く音が響き、朱里の声がして雪の妖精達の声が「次はこっち!」「こっちが次ぎ!」と騒ぐ声がする。
ルーファスが部屋の扉を開けると朱里がベッドの白いシーツを被って「さぁ次はオバケのお話だよー!」と次の絵本を手に子供達と雪の妖精に話し掛けている。
「嫁・・・」
「あっ!グリムレイン、絵本の読み聞かせをしてるんだよ!聞いていく?ふふっ」
楽しそうにシーツを被りながら「『怪盗オバケちゃん!』始まるよー!」と子供達と雪の妖精達と盛り上がっている朱里に自然と口元に笑みが浮かぶ。
承諾して主従契約をしたわけでは無いが、それでも長年一緒に時を過ごしていると朱里を主君にしている事は偶然ではなく必然だと思える様にはなっている。
出会った頃からコロコロと表情をよく変える仕草は幼子の様で可愛い物だと思うし、相変わらずか弱いところは守ってやらなくてはいけないと庇護欲を煽る。
だから、だからこそ___、元妻であったとしても朱里を害したヴァレリーを許すわけにはいかない。
「ヴァレリー、明日の朝出て行く。それで終わりだ」
「終わり?何でじゃ?!わらわは・・・冬の一時グリムレインに会えるのを楽しみにしておったのに!」
「我は主君を守る為の従者なのだ!主君の敵になったお前の元へ我が足を赴くことは無い!」
「わらわを妻にしたではないか!それを・・・」
「あれはあの日1日だけの事だ。もう終わった過去だ」
コロンコロンと床に音を立ててヴァレリーの涙が氷の粒になって床に落ちては砕けていく。
俯くヴァレリーを見てグリムレインも苦い想いを飲み込む様に唇を噛みしめてほんの少し伸ばしそうになった手を握りしめて引っ込める。
『番』ではあったが1日にも満たない出会いと別れでしかなかった物はヴァレリーにもグレムレインの心にも長年そのままにして居心地の良さだけをお互いに持ち続け、友人であり恋人の様であり、冬の間だけの密かな楽しみの様な関係。
『番』で無くなった為に番の時に感じた乾く様な飢える様な愛を求める心は無い。
それでもその時感じた愛は確かに自分達の中にあった物で、失くしてしまうのは惜しい気もする何とも言えない物でもあった。
「あやつがおるからか!」
ヴァレリーが顔を上げて朱里を指さした瞬間、カキンと音が立ち朱里と子供達がキョトンとした顔で壁にめり込んだ氷の塊を見る。
魔法反射のペンダントがヴァレリーの氷を弾き飛ばしたのを理解した朱里が慌ててシーツで子供達を自分の腕に引き寄せてヴァレリーを見る。
「ヴァレリー!!」
「アカリ!!」
グリムレインがヴァレリーを怒鳴りつけるのと同時にルーファスが朱里の元へ駆け出す。
一瞬、戸惑うような顔をしたヴァレリーがグリムレインの顔を見て首を少し振った後、眉を下げて笑うと「もう良いわ・・・」と投げやりな言葉を吐く。
グラッと城が大きく揺れると地響きを立て始め、ガタガタと部屋が揺れミシミシと城のあちらこちらからヒビの入る様な音が鳴り響く。
「きゃあっ!」
「アカリ!ティル、エル、ルーシーしっかり捕まっていろ!」
「ちちえー!」
「きゅぅうん」
「ちちえー!ちちえー!」
部屋の隅でルーファスが結界を張ると「なんですのー!」とミルアとナルアの声が響き、朱里とルーファスがハッとした様な顔をするがしがみ付いているティルナールや怖がって獣化してしまったエルシオンに泣きじゃくっているルーシーを置いても行けず、一瞬迷うがミルアとナルアが「脱出ですのー!」と騒いで飛び出した音を聞き、心配ではあるが2人を信じてグリムレインに目線を向ける。
「ヴァレリー!城を壊す気か!!」
「うるさい!うるさい!うるさいのじゃ!もうどうでも良いわ!」
「ふざけるな!我をこれ以上怒らせるな!!」
癇癪を起したようにヴァレリーが喚き、グリムレインが自分の手を握りしめて広げると城の揺れが収まりキンッとする冷たさが広がる。
「我は氷竜グリムレイン、主君に仇をなそうとする者は何者であっても凍らせる!」
「わらわとて冬の一柱ヴァレリーじゃ!負けはせぬわ!」
ゴウッと城の中を吹雪が一瞬で吹き荒れ、朱里は体温が奪われる様に小さく体は震え始めルーファスが朱里と子供達をしっかりと抱き寄せる。
「ヴァレリー、我の配慮が足りなかったようだ。しかし、我は自分の主君を害するお前を許す事は出来ん」
「グリムレイン・・・わらわは・・・」
ヴァレリーが伸ばす手は途中で力なく下ろされ、悲しそうな縋るような目でグリムレインを見つめるが金色の瞳は逸らされ、ヴァレリーを見てはくれなかった。
「婿、済まなかった・・・」
「オレは別にいい」
グリムレインがルーファスに謝るがそれは自分に対しては不要と肩をすくめる。
3人が廊下で言葉を発せずにいると、部屋からパチパチパチと手を叩く音が響き、朱里の声がして雪の妖精達の声が「次はこっち!」「こっちが次ぎ!」と騒ぐ声がする。
ルーファスが部屋の扉を開けると朱里がベッドの白いシーツを被って「さぁ次はオバケのお話だよー!」と次の絵本を手に子供達と雪の妖精に話し掛けている。
「嫁・・・」
「あっ!グリムレイン、絵本の読み聞かせをしてるんだよ!聞いていく?ふふっ」
楽しそうにシーツを被りながら「『怪盗オバケちゃん!』始まるよー!」と子供達と雪の妖精達と盛り上がっている朱里に自然と口元に笑みが浮かぶ。
承諾して主従契約をしたわけでは無いが、それでも長年一緒に時を過ごしていると朱里を主君にしている事は偶然ではなく必然だと思える様にはなっている。
出会った頃からコロコロと表情をよく変える仕草は幼子の様で可愛い物だと思うし、相変わらずか弱いところは守ってやらなくてはいけないと庇護欲を煽る。
だから、だからこそ___、元妻であったとしても朱里を害したヴァレリーを許すわけにはいかない。
「ヴァレリー、明日の朝出て行く。それで終わりだ」
「終わり?何でじゃ?!わらわは・・・冬の一時グリムレインに会えるのを楽しみにしておったのに!」
「我は主君を守る為の従者なのだ!主君の敵になったお前の元へ我が足を赴くことは無い!」
「わらわを妻にしたではないか!それを・・・」
「あれはあの日1日だけの事だ。もう終わった過去だ」
コロンコロンと床に音を立ててヴァレリーの涙が氷の粒になって床に落ちては砕けていく。
俯くヴァレリーを見てグリムレインも苦い想いを飲み込む様に唇を噛みしめてほんの少し伸ばしそうになった手を握りしめて引っ込める。
『番』ではあったが1日にも満たない出会いと別れでしかなかった物はヴァレリーにもグレムレインの心にも長年そのままにして居心地の良さだけをお互いに持ち続け、友人であり恋人の様であり、冬の間だけの密かな楽しみの様な関係。
『番』で無くなった為に番の時に感じた乾く様な飢える様な愛を求める心は無い。
それでもその時感じた愛は確かに自分達の中にあった物で、失くしてしまうのは惜しい気もする何とも言えない物でもあった。
「あやつがおるからか!」
ヴァレリーが顔を上げて朱里を指さした瞬間、カキンと音が立ち朱里と子供達がキョトンとした顔で壁にめり込んだ氷の塊を見る。
魔法反射のペンダントがヴァレリーの氷を弾き飛ばしたのを理解した朱里が慌ててシーツで子供達を自分の腕に引き寄せてヴァレリーを見る。
「ヴァレリー!!」
「アカリ!!」
グリムレインがヴァレリーを怒鳴りつけるのと同時にルーファスが朱里の元へ駆け出す。
一瞬、戸惑うような顔をしたヴァレリーがグリムレインの顔を見て首を少し振った後、眉を下げて笑うと「もう良いわ・・・」と投げやりな言葉を吐く。
グラッと城が大きく揺れると地響きを立て始め、ガタガタと部屋が揺れミシミシと城のあちらこちらからヒビの入る様な音が鳴り響く。
「きゃあっ!」
「アカリ!ティル、エル、ルーシーしっかり捕まっていろ!」
「ちちえー!」
「きゅぅうん」
「ちちえー!ちちえー!」
部屋の隅でルーファスが結界を張ると「なんですのー!」とミルアとナルアの声が響き、朱里とルーファスがハッとした様な顔をするがしがみ付いているティルナールや怖がって獣化してしまったエルシオンに泣きじゃくっているルーシーを置いても行けず、一瞬迷うがミルアとナルアが「脱出ですのー!」と騒いで飛び出した音を聞き、心配ではあるが2人を信じてグリムレインに目線を向ける。
「ヴァレリー!城を壊す気か!!」
「うるさい!うるさい!うるさいのじゃ!もうどうでも良いわ!」
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「我は氷竜グリムレイン、主君に仇をなそうとする者は何者であっても凍らせる!」
「わらわとて冬の一柱ヴァレリーじゃ!負けはせぬわ!」
ゴウッと城の中を吹雪が一瞬で吹き荒れ、朱里は体温が奪われる様に小さく体は震え始めルーファスが朱里と子供達をしっかりと抱き寄せる。
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