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16章
小鬼とジャムと金のスプーン
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世界の中心イルブール都市。
冒険者ギルドの本部があり世界中の情報が一ヶ所に集まる場所であり、各地の冒険者へ指示を出したり国への情報を繋いだりするのもこの場所で犯罪者等を捕まえる為の派遣部隊を送るのもこの場所。
無くてはならない重要拠点ともいえる。
いつもは冒険者が大勢街中を歩き回っているが、今は外出を控え外出時は口元を布で覆いながら『熱病』対策をして歩く姿を見る感じである。
「それでは僕らは温泉大陸の小鬼から貰った『ミッカジャム』の実験に行ってきます!」
「行ってらっしゃい!ちゃんと布巾で顔は覆った?手を帰る時はドアの前で洗う事!」
「気を付けて!僕ら小鬼が帰って来るの待ってるよ!」
「気を付けて行きなさい。私の可愛い小鬼達」
イルブールの小鬼達は温泉大陸の小鬼から届けられた熱病に効果があるというミッカジャムの瓶を持って熱病で欠勤が多いギルド職員の宿舎に乗り込むべく、10人程の大人の小鬼が背中に瓶とスプーンを入れた風呂敷を背負い小さな子供の小鬼と長老の小鬼に見送られて出て行く。
既に小鬼達は朝食に出されたスコーンにミッカジャムを付けて1瓶食べてしまっており、「効果がなかったらティータイムにはクッキーとクラッカーに着けて食べよう!」と決めている。
情報も好物なら美味しい物も好きな小鬼達は、情報と小腹を満たす為に元気に動き回る。
ギルド職員の宿舎は一見宿屋の様に見える建物で入り口を入るとフロントロビーがあり、そこには今宿舎に居るギルド員と働いているギルド員の札が掛けてあり、外出中のギルド員は黒字、宿舎に居るギルド員は赤字で書かれているが、今現在の宿舎のギルド員はほぼ赤字。
『熱病』に掛かっていても休みの人員が多すぎて無理をして出た患者が他の冒険者や働けているギルド員に接触したことで被害を拡大させた。
「情報通り、お休み多いみたいですね」
「まずは重要な管理職からやっていきましょうか?」
「恩が売れたら御の字ですね!僕賛成します!」
「僕も賛成です!」
「僕ら頑張りましょう!」
ワッと騒いでギルド職員の宿舎のフロントロビーで自分達の中の情報から管理職の人間の名前を叩き出し、それぞれがバラバラに動き出す。
ここは情報が共有できる小鬼の便利な所で誰が何所にを担当するかが瞬時に話し合える為に迷うことなく実行に移していく。
「お邪魔します!」
そう言ったところで返事はなく、小鬼はベッドの上で苦しそうにしているギルド職員の元へ歩いて行く。
鼻歌交じりに「実験、実験」と口ずさんでベッドの上に上がるとジャムの瓶の蓋を開けて、ミッカジャムの匂いを吸い込みスプーンにジャムをすくうと瓶の蓋を閉めてギルド職員の口にジャムを入れに行く。
「そーれ!」
苦しそうにうなされるギルド職員が口を開けた瞬間にスプーンを叩きこんでジャムを入れ込み、小鬼は急いでギルド職員から離れる。
ゴホッゴホッとギルド職員が咳を繰り返し、小鬼が「見つかる前に逃げます!」と風呂敷にジャムの瓶を入れて背中に背負っていると、ガシッと体を掴まれる。
「きゃーーーーー!!!」
小鬼の大悲鳴に掴んだギルド職員は小鬼から手を離すと、小鬼はキャーキャーと騒ぎながら部屋から猛ダッシュで逃げていく。
部屋に残されたギルド職員は驚いた顔で「小鬼・・・?」と眉間にしわを寄せて首を捻る。
「熱で幻覚でも見たか?・・・スプーン・・・小鬼のだな」
小さなスプーンを手にギルド職員は幻覚では無かったようだと逃げ去った小鬼は何だったのだろう?と思いつつも、頭の痛さも熱もなくほんの少し体のけだるさとお腹の空くのを感じていた。
逃げ出した小鬼は他の仲間の小鬼に連絡を取れば、他の小鬼も似たり寄ったりではあるが、1つの答えは出た。
『苦しそうにしてたのに僕らをいきなり掴んだのです!起き上がったのです!これはジャムのおかげの様です!』と、答えが出ると他の患者にも実験だとギルドの平社員の所にも回って試していき、ジャムの効果だと解る頃には治ったギルド職員に運んでもらいながらの作業になっていた。
「それで小鬼達はそのジャムを何処で手に入れたんだ?」
ギルド職員に聞かれ小鬼達は良い笑顔で指で輪っかを作る。
「「「僕らの情報は安くは無いのです!」」」
小鬼達は1枚ずつ金貨を貰いニンマリと笑顔で「仲間の外にいる小鬼に貰ったのです」と言い、「何処にいる小鬼だ」とギルド職員が聞くと小鬼達は指でバツ印を作る。
「「「僕らは仲間の小鬼は売らないのですよ」」」
キャッキャッとはしゃいで小鬼達は「僕らは新しい情報を手に入れたので満足したから帰るのです」と言って帰っていく。
「あいつ等から情報吐かせますか?」
「やめとけ。あいつ等1匹でも手を出したら情報共有で各地に散らばった小鬼に非道な情報取得をされたと訴えられて金貨を積むことになるぞ」
「それに熱病が治った事だけでも感謝しないとね。仕事に復帰しないとギルド本部がヤバいわ」
ギルド職員達が仕事に復帰してしばらくして小鬼達に金のスプーンが贈られた。
小鬼達はスプーンの1つを温泉大陸の小鬼に贈った。
小鬼達は優雅なティータイムを楽しむ時に金のスプーンを使ってお茶に入れる砂糖をかき混ぜる。
「「「今日もお茶が美味しいです!」」」
小鬼達はニンマリと笑ってお茶を飲んでクッキーにミッカジャムをつけて食べる。
たまには情報を自分達だけの物にして楽しむのもありだと小鬼達は笑ってティータイムを楽しむ。
冒険者ギルドの本部があり世界中の情報が一ヶ所に集まる場所であり、各地の冒険者へ指示を出したり国への情報を繋いだりするのもこの場所で犯罪者等を捕まえる為の派遣部隊を送るのもこの場所。
無くてはならない重要拠点ともいえる。
いつもは冒険者が大勢街中を歩き回っているが、今は外出を控え外出時は口元を布で覆いながら『熱病』対策をして歩く姿を見る感じである。
「それでは僕らは温泉大陸の小鬼から貰った『ミッカジャム』の実験に行ってきます!」
「行ってらっしゃい!ちゃんと布巾で顔は覆った?手を帰る時はドアの前で洗う事!」
「気を付けて!僕ら小鬼が帰って来るの待ってるよ!」
「気を付けて行きなさい。私の可愛い小鬼達」
イルブールの小鬼達は温泉大陸の小鬼から届けられた熱病に効果があるというミッカジャムの瓶を持って熱病で欠勤が多いギルド職員の宿舎に乗り込むべく、10人程の大人の小鬼が背中に瓶とスプーンを入れた風呂敷を背負い小さな子供の小鬼と長老の小鬼に見送られて出て行く。
既に小鬼達は朝食に出されたスコーンにミッカジャムを付けて1瓶食べてしまっており、「効果がなかったらティータイムにはクッキーとクラッカーに着けて食べよう!」と決めている。
情報も好物なら美味しい物も好きな小鬼達は、情報と小腹を満たす為に元気に動き回る。
ギルド職員の宿舎は一見宿屋の様に見える建物で入り口を入るとフロントロビーがあり、そこには今宿舎に居るギルド員と働いているギルド員の札が掛けてあり、外出中のギルド員は黒字、宿舎に居るギルド員は赤字で書かれているが、今現在の宿舎のギルド員はほぼ赤字。
『熱病』に掛かっていても休みの人員が多すぎて無理をして出た患者が他の冒険者や働けているギルド員に接触したことで被害を拡大させた。
「情報通り、お休み多いみたいですね」
「まずは重要な管理職からやっていきましょうか?」
「恩が売れたら御の字ですね!僕賛成します!」
「僕も賛成です!」
「僕ら頑張りましょう!」
ワッと騒いでギルド職員の宿舎のフロントロビーで自分達の中の情報から管理職の人間の名前を叩き出し、それぞれがバラバラに動き出す。
ここは情報が共有できる小鬼の便利な所で誰が何所にを担当するかが瞬時に話し合える為に迷うことなく実行に移していく。
「お邪魔します!」
そう言ったところで返事はなく、小鬼はベッドの上で苦しそうにしているギルド職員の元へ歩いて行く。
鼻歌交じりに「実験、実験」と口ずさんでベッドの上に上がるとジャムの瓶の蓋を開けて、ミッカジャムの匂いを吸い込みスプーンにジャムをすくうと瓶の蓋を閉めてギルド職員の口にジャムを入れに行く。
「そーれ!」
苦しそうにうなされるギルド職員が口を開けた瞬間にスプーンを叩きこんでジャムを入れ込み、小鬼は急いでギルド職員から離れる。
ゴホッゴホッとギルド職員が咳を繰り返し、小鬼が「見つかる前に逃げます!」と風呂敷にジャムの瓶を入れて背中に背負っていると、ガシッと体を掴まれる。
「きゃーーーーー!!!」
小鬼の大悲鳴に掴んだギルド職員は小鬼から手を離すと、小鬼はキャーキャーと騒ぎながら部屋から猛ダッシュで逃げていく。
部屋に残されたギルド職員は驚いた顔で「小鬼・・・?」と眉間にしわを寄せて首を捻る。
「熱で幻覚でも見たか?・・・スプーン・・・小鬼のだな」
小さなスプーンを手にギルド職員は幻覚では無かったようだと逃げ去った小鬼は何だったのだろう?と思いつつも、頭の痛さも熱もなくほんの少し体のけだるさとお腹の空くのを感じていた。
逃げ出した小鬼は他の仲間の小鬼に連絡を取れば、他の小鬼も似たり寄ったりではあるが、1つの答えは出た。
『苦しそうにしてたのに僕らをいきなり掴んだのです!起き上がったのです!これはジャムのおかげの様です!』と、答えが出ると他の患者にも実験だとギルドの平社員の所にも回って試していき、ジャムの効果だと解る頃には治ったギルド職員に運んでもらいながらの作業になっていた。
「それで小鬼達はそのジャムを何処で手に入れたんだ?」
ギルド職員に聞かれ小鬼達は良い笑顔で指で輪っかを作る。
「「「僕らの情報は安くは無いのです!」」」
小鬼達は1枚ずつ金貨を貰いニンマリと笑顔で「仲間の外にいる小鬼に貰ったのです」と言い、「何処にいる小鬼だ」とギルド職員が聞くと小鬼達は指でバツ印を作る。
「「「僕らは仲間の小鬼は売らないのですよ」」」
キャッキャッとはしゃいで小鬼達は「僕らは新しい情報を手に入れたので満足したから帰るのです」と言って帰っていく。
「あいつ等から情報吐かせますか?」
「やめとけ。あいつ等1匹でも手を出したら情報共有で各地に散らばった小鬼に非道な情報取得をされたと訴えられて金貨を積むことになるぞ」
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小鬼達はスプーンの1つを温泉大陸の小鬼に贈った。
小鬼達は優雅なティータイムを楽しむ時に金のスプーンを使ってお茶に入れる砂糖をかき混ぜる。
「「「今日もお茶が美味しいです!」」」
小鬼達はニンマリと笑ってお茶を飲んでクッキーにミッカジャムをつけて食べる。
たまには情報を自分達だけの物にして楽しむのもありだと小鬼達は笑ってティータイムを楽しむ。
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