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16章
オークション
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【刻狼亭】の長男と次男が予想した通り、彼等の両親ルーファスと朱里は2日間離れずに側に居たので仕事は結局、2人の兄弟がすることになった。
「予想はしてたよ」
「まぁまぁ、リュエール頑張ろ?」
「キリンがここに居なかったら僕は職務放棄してるところだよ」
「あはは。リュエールはそんな事しないの判ってるよ?」
「ううん。キリンに会いに家に戻ってる。これは確実」
キリンの腰に手を回して唇を重ねると、もう少し深く唇を合わせようとした時、ダンッと仕事部屋のドアが開きシュトラールが「連絡が入ったよー」と部屋に入って来る。
部屋に入って状況を理解すると、シュトラールが後ろ向きにドアから出て行こうとするが、「シュー」とリュエールの低く唸る声に足を止める。
「リュー、ごめーん」
「まったく、シューは足音位立てて歩きなよ。どこのアサシンなのさ?」
「逃亡生活の名残り・・・かな?」
「で?連絡は何だって?」
「あ、うん。新聞社の元編集長ロデミック・アロアイを【刻狼亭】諜報部の人が調べたところ、ロデミックが売り払った宝石の一部がオークションに出されることになって、それを『ロックヘル』の方へ伝えたらオークションへの出席をしてほしいって依頼があったよ」
「わかった。父上を呼び出すよ」
シュトラールが「ごめんねー」と言いながらそそくさと部屋から出て行くが、やはり足音を立てずアサシンの様な抜き足で去っていく。
「まったく、本当にシューは何処を目指してるんだか」
「あはっ。リュエールよりも変な所で器用だよね」
「僕の器用さ証明してみせようか?」
「あっ、いい!結構です!」
キリンがブンブンと顔を横に振るも、先程の続きとばかりにリュエールに腰を引かれて唇を奪われたのはその直ぐ後だった。
シュトラールからの報告でエフリの都市のロックヘルから盗まれた財貨の一部がオークションにかけられることが判明し、ファルヒュームと小人から競り落とす様に頼まれた事がルーファスの所に来たのは午後の話。
ファルヒュームと小人はエフリの都市から出ることは出来ないらしく、ファルヒュームの『無限の財貨』という無限にお金が出て来るお財布を貸してくれるらしいのでオークションで確実に競り落としてきて欲しいと言われ、元の持ち主に返す為にも他人に競り落とされるのを阻止を目的としている。
「僕は反対」
リュエールの反対の声にルーファスと朱里とキリンが困った顔をする。
オークションではある程度の身分が求められる為に【刻狼亭】から参加出来るのは当主のルーファス、番の朱里。そして16代目のリュエールとその番のキリンなのだが、ルーファスは新聞社の詐欺事件の指揮を執っている為に動けず、朱里を1人で行かせるわけにもいかず、リュエールとキリンの2人に行って貰おうと提案をしたら、リュエールが反対したのである。
「キリンはエルフだから目を付けられたら困る」
「大丈夫だよ。わたしなら耳を隠せば」
リュエールが懸念しているのはエルフは見た目の美しさから狙われる事の多い種族な事と、結婚をしているエルフは高確率で『エルフの回復薬』の作り方を知っているので、出回りにくい薬を手に入れる為に狙われることが多い。
ただ、エルフは高潔な種族なので何かあれば自決も辞さない種族でもある。
その為に扱いは難しい種族でもある。
オークションなどと言う珍しい物を集める為に集まる人々の中に珍しいエルフが居れば狙われる可能性もあるのである。
「そうねぇ・・・やっぱりここは私がグリムレイン達と行った方がいいかな?」
「アカリ、それは不安しか無いからやめてくれ」
「でもキリンちゃんは心配だし、リューちゃん1人ではまだ16代目を継いだわけじゃないから夫婦同伴になっちゃうし・・・」
「誰か身分があって信用のおける人物がいないものか・・・」
4人で顔を突き合わせながら「うーん」と唸っていると、リュエールが「あっ」と声を出す。
「リロノスおじさんは?元『魔王』で一応、貴族位も持っていた筈だよ」
「そういえば、そうだな・・・」
魔族の王の座から降りた時、リロノスは全てを放棄したが、今現在のリロノスの弟である『魔王』から元魔王として一応、爵位くらいは持っておいてくださいと、爵位を持たされている。
すっかり庶民と化しているリロノスに大丈夫か?とも思うが、女将亭でも優雅な対応で女性客を賑わせていたので早速リロノスへ話を持ち込みに行く事になる。
「うちも行きたーい!」
「アリスは大人しく家にいなさい!」
「リロっちが行くならうちも行くし!」
「アリス、頼むから家で大人しくしてて・・・」
結局ありすの粘り勝ちでありすとリロノスの2人がオークションへ行く事になり、従者としてテンと小鬼が付き添う事になった。
「予想はしてたよ」
「まぁまぁ、リュエール頑張ろ?」
「キリンがここに居なかったら僕は職務放棄してるところだよ」
「あはは。リュエールはそんな事しないの判ってるよ?」
「ううん。キリンに会いに家に戻ってる。これは確実」
キリンの腰に手を回して唇を重ねると、もう少し深く唇を合わせようとした時、ダンッと仕事部屋のドアが開きシュトラールが「連絡が入ったよー」と部屋に入って来る。
部屋に入って状況を理解すると、シュトラールが後ろ向きにドアから出て行こうとするが、「シュー」とリュエールの低く唸る声に足を止める。
「リュー、ごめーん」
「まったく、シューは足音位立てて歩きなよ。どこのアサシンなのさ?」
「逃亡生活の名残り・・・かな?」
「で?連絡は何だって?」
「あ、うん。新聞社の元編集長ロデミック・アロアイを【刻狼亭】諜報部の人が調べたところ、ロデミックが売り払った宝石の一部がオークションに出されることになって、それを『ロックヘル』の方へ伝えたらオークションへの出席をしてほしいって依頼があったよ」
「わかった。父上を呼び出すよ」
シュトラールが「ごめんねー」と言いながらそそくさと部屋から出て行くが、やはり足音を立てずアサシンの様な抜き足で去っていく。
「まったく、本当にシューは何処を目指してるんだか」
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「僕の器用さ証明してみせようか?」
「あっ、いい!結構です!」
キリンがブンブンと顔を横に振るも、先程の続きとばかりにリュエールに腰を引かれて唇を奪われたのはその直ぐ後だった。
シュトラールからの報告でエフリの都市のロックヘルから盗まれた財貨の一部がオークションにかけられることが判明し、ファルヒュームと小人から競り落とす様に頼まれた事がルーファスの所に来たのは午後の話。
ファルヒュームと小人はエフリの都市から出ることは出来ないらしく、ファルヒュームの『無限の財貨』という無限にお金が出て来るお財布を貸してくれるらしいのでオークションで確実に競り落としてきて欲しいと言われ、元の持ち主に返す為にも他人に競り落とされるのを阻止を目的としている。
「僕は反対」
リュエールの反対の声にルーファスと朱里とキリンが困った顔をする。
オークションではある程度の身分が求められる為に【刻狼亭】から参加出来るのは当主のルーファス、番の朱里。そして16代目のリュエールとその番のキリンなのだが、ルーファスは新聞社の詐欺事件の指揮を執っている為に動けず、朱里を1人で行かせるわけにもいかず、リュエールとキリンの2人に行って貰おうと提案をしたら、リュエールが反対したのである。
「キリンはエルフだから目を付けられたら困る」
「大丈夫だよ。わたしなら耳を隠せば」
リュエールが懸念しているのはエルフは見た目の美しさから狙われる事の多い種族な事と、結婚をしているエルフは高確率で『エルフの回復薬』の作り方を知っているので、出回りにくい薬を手に入れる為に狙われることが多い。
ただ、エルフは高潔な種族なので何かあれば自決も辞さない種族でもある。
その為に扱いは難しい種族でもある。
オークションなどと言う珍しい物を集める為に集まる人々の中に珍しいエルフが居れば狙われる可能性もあるのである。
「そうねぇ・・・やっぱりここは私がグリムレイン達と行った方がいいかな?」
「アカリ、それは不安しか無いからやめてくれ」
「でもキリンちゃんは心配だし、リューちゃん1人ではまだ16代目を継いだわけじゃないから夫婦同伴になっちゃうし・・・」
「誰か身分があって信用のおける人物がいないものか・・・」
4人で顔を突き合わせながら「うーん」と唸っていると、リュエールが「あっ」と声を出す。
「リロノスおじさんは?元『魔王』で一応、貴族位も持っていた筈だよ」
「そういえば、そうだな・・・」
魔族の王の座から降りた時、リロノスは全てを放棄したが、今現在のリロノスの弟である『魔王』から元魔王として一応、爵位くらいは持っておいてくださいと、爵位を持たされている。
すっかり庶民と化しているリロノスに大丈夫か?とも思うが、女将亭でも優雅な対応で女性客を賑わせていたので早速リロノスへ話を持ち込みに行く事になる。
「うちも行きたーい!」
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「リロっちが行くならうちも行くし!」
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