492 / 960
16章
変わりない日々
しおりを挟む
広いと感じていたギルの屋敷も子供が5人にドラゴンが6人も居て、そして朱里やハガネが居れば狭いと感じてしまう。
大理石の床に長い絨毯を敷いて、小さな子供達がコケても多少は大丈夫なようにする為に朝からドラゴンとハガネが動き回っている。
「ここの床痛いんだよねー・・・」
「経験者は語るだな」
朱里が電車ごっこの紐で子供3人を連れながら廊下に敷かれた絨毯を見て呟くとハガネが過去にココで頭を打ち付けた朱里の頭をポフポフと叩く。
「あの時はマデリーヌさんが押し倒してきて避けようがなかっただけ」
「たんこぶデカかったもんなぁ」
「あれは痛かった!シューちゃんがあの時いれば・・・あんな痛くなかったのにっ!」
「ハハハ。アカリは何だかんだで巻き込まれるよな」
「好きで巻き込まれたわけじゃないもの!」
ハガネに子供扱いを受けながら朱里が10年以上も前の事なのによく覚えている物だと半ば感心してしまう。
まぁそれに関してはあの時は痛かったと思い出せる自分も相当この大理石の床は痛いと頭にインプットされたのだろう。
「嫁よ、こんなもので良いか?」
「うん。バッチリ!これでコケてもぶつかっても痛くない!」
絨毯を敷き終えて、角になりそうな家具などに綿を詰めた小さな座布団のチャイルドガードを付けてもらい、子供達の安全を確保してもらった。
グリムレインが「疲れたぞー」と言いながら朱里の頭に乗り、ハガネが三つ子を抱き上げて「昼飯にすっか」と応接間に戻っていく。
応接間は今現在は食堂として使っていて、テーブルの上には既に用意した昼食に保温魔法が上からかけられ、膜の様な物で覆ってある。
ラップ要らずの便利魔法!しかも保温付き!魔法の使えない朱里の代わりにハガネがつけてくれているが、最近は朱里でもこの魔法が使えるようになったのである。
ドワーフから貰った杖『眠れる賛華』に保温魔法を入れてもらい使用可能にしている。
あまりに便利なのでドワーフに「もう1本!もう1本!」と『目覚めの賛華』という杖も作ってもらい、こちらには乾燥魔法を入れてもらった為に、三つ子の沐浴もルーファスの居ない時の入浴も乾燥魔法を使えるようになった。
「魔法、便利・・・」
「アカリは基礎を教えても直ぐに魔力が暴走するからなぁ」
実はハガネに何度も基礎練習を教えてもらっているのに魔法が良い所まで出来そうになると魔力が膨らみ過ぎて飛び散ってしまう。
精神的に未熟な部分と魔法を使う体力の配分が上手くいかず、練習の後は熱を出すわバテてしまうわで結局、頓挫したまま放置されている。
「母上~今日のお昼ご飯は何ですの?」
「母上~お腹すきましたわ~」
ミルアとナルアが応接間に顔を出すとハガネが「今、他の奴らも呼んで来るから待ってろ」とチャイルドチェアに三つ子を1人1人座らせて応接間を出て行く。
「今日は春らしく菜の花のおひたしを巻き寿司にしたのと、春キャベツを使ったグリル焼きもあるよ」
「母上、ジューシーなのは無いのですか?」
「お肉が欲しいのです~」
「お肉はローストビーフがあるよ。お肉系は夕飯にメンチカツをしようと思ってるの。キャベツを入れてね」
「やっぱりお肉が至高ですわー」
「メンチカツを夜少し残して明日の朝にパンに挟みたいのです!」
「あら、それは良いわね。なら多めに作っておきましょうね」
ミルアとナルアが朱里の腰にしがみ付いて甘える様にスリスリと頬擦りしてくる。
ディトリックスの件で色々とショックだったのか朱里に甘えるのが多くなった2人で、屋敷に引き籠りというワケでは無いが、朱里と一緒に外出する以外は庭で朱里と一緒にハーブの花壇を弄って過ごしている。
最近の2人は奔放でお転婆な所があった分、これはこれで大人しくなって良かったかな?とは思う。
ただし、家族や知り合い以外の男性を見ると脱兎のごとく逃げる様にはなった。
ハガネがドラゴン達を連れて応接間に戻ると同時に、朱里の腕輪が震えて朱里が出るとルーファスの声が耳に届く。
『アカリ、今大丈夫か?』
「ええ。丁度皆でお昼ご飯を食べに集まったところです」
『そうか。なら早めに切り上げないとな。腹をすかせた子供達に文句を言われる』
「ふふっ、そちらはどうですか?進展はありましたか?」
『ああ、丁度犯人の割り出しが終わって【刻狼亭】から人を動かす様に指示を出した。アカリ達は変わりないか?』
「相変わらずでしょうか?今日は絨毯を敷いて、午後からは花壇のお手入れをしてという感じです」
『変わりない様だな。子供達も相変わらずか?』
「ええ。皆変わりないですよ。しいて言うならエルが歯が生えてきてムズムズするせいかブーッて唾飛ばしてくるくらいでしょうか?」
『ああ、そういう時期か。懐かしいな』
「子供達のこの時期は布巾がいくらあっても足りませんね。ふふっ」
『なるべく早くこちらの方は切り上げて戻る。アカリが側に居ないと落ち着かんからな』
「はい。お帰りをお待ちしています」
『アカリ、愛してる』
「はい。私もですよ」
腕輪の通信を終えると、ミルアとナルアが耳をピコピコ動かしながら頬を赤くしている。
「父上は母上を愛しているんですの?」
「母上も父上を愛しているんですの?」
「ふふ。そうじゃなきゃあなた達はここに居ませんよ?」
2人が「愛なのですわ」と言いながらうにうにと口を動かしている。
「2人にも早く『恋』がわかるといいねぇ」
2人は耳を下げながら顔を赤くして「もう!母上ったら!」と朱里の体に顔を埋めて恥ずかしがっている。
一応、恋愛には興味があるようでこれならば男性恐怖症にならなくて済むかな?と少し安堵しつつ2人の頭を撫でて、良い人が見つかります様にと心の中で祈る。
大理石の床に長い絨毯を敷いて、小さな子供達がコケても多少は大丈夫なようにする為に朝からドラゴンとハガネが動き回っている。
「ここの床痛いんだよねー・・・」
「経験者は語るだな」
朱里が電車ごっこの紐で子供3人を連れながら廊下に敷かれた絨毯を見て呟くとハガネが過去にココで頭を打ち付けた朱里の頭をポフポフと叩く。
「あの時はマデリーヌさんが押し倒してきて避けようがなかっただけ」
「たんこぶデカかったもんなぁ」
「あれは痛かった!シューちゃんがあの時いれば・・・あんな痛くなかったのにっ!」
「ハハハ。アカリは何だかんだで巻き込まれるよな」
「好きで巻き込まれたわけじゃないもの!」
ハガネに子供扱いを受けながら朱里が10年以上も前の事なのによく覚えている物だと半ば感心してしまう。
まぁそれに関してはあの時は痛かったと思い出せる自分も相当この大理石の床は痛いと頭にインプットされたのだろう。
「嫁よ、こんなもので良いか?」
「うん。バッチリ!これでコケてもぶつかっても痛くない!」
絨毯を敷き終えて、角になりそうな家具などに綿を詰めた小さな座布団のチャイルドガードを付けてもらい、子供達の安全を確保してもらった。
グリムレインが「疲れたぞー」と言いながら朱里の頭に乗り、ハガネが三つ子を抱き上げて「昼飯にすっか」と応接間に戻っていく。
応接間は今現在は食堂として使っていて、テーブルの上には既に用意した昼食に保温魔法が上からかけられ、膜の様な物で覆ってある。
ラップ要らずの便利魔法!しかも保温付き!魔法の使えない朱里の代わりにハガネがつけてくれているが、最近は朱里でもこの魔法が使えるようになったのである。
ドワーフから貰った杖『眠れる賛華』に保温魔法を入れてもらい使用可能にしている。
あまりに便利なのでドワーフに「もう1本!もう1本!」と『目覚めの賛華』という杖も作ってもらい、こちらには乾燥魔法を入れてもらった為に、三つ子の沐浴もルーファスの居ない時の入浴も乾燥魔法を使えるようになった。
「魔法、便利・・・」
「アカリは基礎を教えても直ぐに魔力が暴走するからなぁ」
実はハガネに何度も基礎練習を教えてもらっているのに魔法が良い所まで出来そうになると魔力が膨らみ過ぎて飛び散ってしまう。
精神的に未熟な部分と魔法を使う体力の配分が上手くいかず、練習の後は熱を出すわバテてしまうわで結局、頓挫したまま放置されている。
「母上~今日のお昼ご飯は何ですの?」
「母上~お腹すきましたわ~」
ミルアとナルアが応接間に顔を出すとハガネが「今、他の奴らも呼んで来るから待ってろ」とチャイルドチェアに三つ子を1人1人座らせて応接間を出て行く。
「今日は春らしく菜の花のおひたしを巻き寿司にしたのと、春キャベツを使ったグリル焼きもあるよ」
「母上、ジューシーなのは無いのですか?」
「お肉が欲しいのです~」
「お肉はローストビーフがあるよ。お肉系は夕飯にメンチカツをしようと思ってるの。キャベツを入れてね」
「やっぱりお肉が至高ですわー」
「メンチカツを夜少し残して明日の朝にパンに挟みたいのです!」
「あら、それは良いわね。なら多めに作っておきましょうね」
ミルアとナルアが朱里の腰にしがみ付いて甘える様にスリスリと頬擦りしてくる。
ディトリックスの件で色々とショックだったのか朱里に甘えるのが多くなった2人で、屋敷に引き籠りというワケでは無いが、朱里と一緒に外出する以外は庭で朱里と一緒にハーブの花壇を弄って過ごしている。
最近の2人は奔放でお転婆な所があった分、これはこれで大人しくなって良かったかな?とは思う。
ただし、家族や知り合い以外の男性を見ると脱兎のごとく逃げる様にはなった。
ハガネがドラゴン達を連れて応接間に戻ると同時に、朱里の腕輪が震えて朱里が出るとルーファスの声が耳に届く。
『アカリ、今大丈夫か?』
「ええ。丁度皆でお昼ご飯を食べに集まったところです」
『そうか。なら早めに切り上げないとな。腹をすかせた子供達に文句を言われる』
「ふふっ、そちらはどうですか?進展はありましたか?」
『ああ、丁度犯人の割り出しが終わって【刻狼亭】から人を動かす様に指示を出した。アカリ達は変わりないか?』
「相変わらずでしょうか?今日は絨毯を敷いて、午後からは花壇のお手入れをしてという感じです」
『変わりない様だな。子供達も相変わらずか?』
「ええ。皆変わりないですよ。しいて言うならエルが歯が生えてきてムズムズするせいかブーッて唾飛ばしてくるくらいでしょうか?」
『ああ、そういう時期か。懐かしいな』
「子供達のこの時期は布巾がいくらあっても足りませんね。ふふっ」
『なるべく早くこちらの方は切り上げて戻る。アカリが側に居ないと落ち着かんからな』
「はい。お帰りをお待ちしています」
『アカリ、愛してる』
「はい。私もですよ」
腕輪の通信を終えると、ミルアとナルアが耳をピコピコ動かしながら頬を赤くしている。
「父上は母上を愛しているんですの?」
「母上も父上を愛しているんですの?」
「ふふ。そうじゃなきゃあなた達はここに居ませんよ?」
2人が「愛なのですわ」と言いながらうにうにと口を動かしている。
「2人にも早く『恋』がわかるといいねぇ」
2人は耳を下げながら顔を赤くして「もう!母上ったら!」と朱里の体に顔を埋めて恥ずかしがっている。
一応、恋愛には興味があるようでこれならば男性恐怖症にならなくて済むかな?と少し安堵しつつ2人の頭を撫でて、良い人が見つかります様にと心の中で祈る。
50
お気に入りに追加
4,628
あなたにおすすめの小説

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。
鯖
恋愛
可憐な見た目とは裏腹に、突っ走りがちな令嬢のパトリシア。婚約者のフィリップが、巨乳じゃないと女として見れない、と話しているのを聞いてしまう。
パトリシアは、小さい頃に両親を亡くし、母の弟である伯爵家で、本当の娘の様に育てられた。お世話になった家族の為にも、幸せな結婚生活を送らねばならないと、兄の様に慕っているアレックスに、あるお願いをしに行く。

婚約者である皇帝は今日別の女と結婚する
アオ
恋愛
公爵家の末娘として転生した美少女マリーが2つ上の幼なじみであり皇帝であるフリードリヒからプロポーズされる。
しかしその日のうちにプロポーズを撤回し別の女と結婚すると言う。
理由は周辺の国との和平のための政略結婚でマリーは泣く泣くフリードのことを諦める。しかしその結婚は実は偽装結婚で
政略結婚の相手である姫の想い人を振り向かせるための偽装結婚式だった。
そんなこととはつゆ知らず、マリーは悩む。すれ違うがその後誤解はとけマリーとフリードは幸せに暮らしました。

大きくなったら結婚しようと誓った幼馴染が幸せな家庭を築いていた
黒うさぎ
恋愛
「おおきくなったら、ぼくとけっこんしよう!」
幼い頃にした彼との約束。私は彼に相応しい強く、優しい女性になるために己を鍛え磨きぬいた。そして十六年たったある日。私は約束を果たそうと彼の家を訪れた。だが家の中から姿を現したのは、幼女とその母親らしき女性、そして優しく微笑む彼だった。
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。