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16章
小鬼と小人
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「10分間の間に訪れた客は、15人」
「15人分の情報を僕ら小鬼が今から集めます」
小人に恩が売れるとあって小鬼達はネットワーク内ではしゃいで回る声がする。
きっとギルドにある小鬼達の家では大騒ぎしている事だろう。
小人から客の名前が書いてある書類を受け取ると小鬼は他の小鬼と分担しながら客の名前の一致する人物たちの情報を出していく。
ロックヘルの修復は小人達が石化を解き動き出した事で休む暇なく修繕されて行き、今はエフリの都市の修繕に取り掛かり、岩喰虫に食い荒らされた銀行の中の金貨を戻す作業をしている。
世界中の金貨を扱っているだけあって復旧も素早く対応していくが、統率のとれた動きは何やら小さな部隊の様で無駄な動きが無い。
「やっぱり、小鬼の方が可愛いですねぇ~」
「テンは小人も可愛いと言い出すかと思っていたが、そうでもないんだな」
穏やかに笑ってテンが「人をマニアックな人みたいに言わないで下さいよぅ」と肩を少し上にあげて小鬼の小さなティーカップに紅茶とジャムを入れている。
ルーファスは「やれやれ甘やかしたがりめ」と言いながら【刻狼亭】の借りているロックヘルの部屋を整頓していく。
部屋に収められているのは【刻狼亭】の当主達の思い出ばかりで財貨という財貨では無いが財貨には代えられない物達で、いつか自分の物もここに置かれるのだろうと思うと感慨深いものもある。
踏み荒らされてしまった着物に【清浄】魔法を掛けて元に戻して桐の箱に戻す。
女性用の着物は朱里と同じ丈なので小柄ないつかの時代の女将の着ていた着物なのだろう。整頓して気付くが、収められている女性用の着物は割りと小さめの物が多く、自分の家系は番婚ばかりなので小柄なタイプと番になる運命にでもあるのかと思ってしまう。
次期当主のリュエールの番キリンも背丈が小さいのが何とも言えない。
逆に男物の着物は丈が長く背丈の大きさに、リュエールはこの先背が伸びるか?と少し心配になる。
一応、リュエールも168cmと伸びた方ではあるが、ルーファスやシュトラールに比べると低いのは否めない。
「はい!はいはーい!僕、犯人見付けましたぁー!!」
小鬼がピョンピョンとテーブルの上で飛び跳ね、小人達がザッと音を立てて小鬼に注目する。
小鬼は嬉しそうに今も情報が頭の中に流れているのか、手だけはネットワーク内に流れている情報を紙に書き記している。
「犯人は誰だ!」
「お幾ら出ますか?」
小人にフフーンと小鬼が指で輪っかを作り、小人がギリッと唇を噛む。
ファルヒュームが小鬼のテーブルに古代金貨を20枚積み上げる。
「これで足りるか?」
「毎度ありっ!僕、満足です!」
「ああっ!ファルヒューム様!こいつ等にそんな貴重な金貨を!!」
「よい。ロックヘルの信用と警備に関わる事だからな」
ファルヒュームと小人のやり取りを無視して小鬼は古代金貨を財布に仕舞うと、入れた筈の古代金貨はファルヒュームの前にチャリンチャリンと積み上げられる。
「なっ!」
「安心しろ。お前の古代金貨ではある。ただ、収納場所が私の前なだけだ」
「ぐぬぬ・・・僕、騙された気がすごくするのです・・・」
「流石ファルヒューム様!」
むぎゅぅ・・・と眉間にしわを寄せながら小鬼が渋顔をするとテンが「古代金貨だけ財布に入れるのを止めてカバンに入れておいてはぁ~?」と言うと小鬼がニコッと笑って財布に手を入れて再び古代金貨を自分の手元に出し、カバンに仕舞い込むと、チッとファルヒュームと小人が次は渋い顔をした。
「さて、犯人ですが、最新の情報と照らし合わせても怪しいのは1人なのです!」
「勿体ぶるな!この小鬼め!金貨分早く言え!」
「むきぃ!蹴ったの誰です!」
「あー、止めよ。小人達、小鬼に手を出すでない」
ファルヒュームに小人が少し下がる様に手で小鬼から離され、お互いに舌を出して子供の様な喧嘩をしてプリプリしている。
「新聞社の『ソルダック』が【魔果】騒ぎで大損失で廃業寸前なのです。新聞記者の不祥事と、元新聞記者が脅していた有名な人々からの訴えで顧客はほぼ居ません。むしろ新聞すら今は作れない程に大打撃…という感じで、このロックヘルに来た理由も『解約』手続きです。訴えられている金額大白金貨6枚分相当、このお金の値段に聞き覚えが最近ありますよね?旦那さん」
小鬼がルーファスを見上げて「褒めて」と言わんばかりに腰に手を当ててドヤ顔をするとルーファスが小鬼に金貨1枚を手渡し、小鬼が「キャー」と声を上げてピョンピョン飛び跳ねながら金貨にしがみ付く。
「成程、新聞社ならアカリの写真はあるだろうからな。そしてアカリが公の場で慈善活動のパーティーに参加するとなると下調べとして家族構成も調べ上げ、娘達の事も調べられていたのだろう・・・」
「それに、最近の情報ではこの新聞社の編集長が怪しい金貸し達に追われて居たはずなのに、それがピタッと止まって金回りが良くなった様ですから、何か匂いますよね?」
「ロックヘルから持ち出された財貨の一部を売った・・・と、見るのが妥当か?」
「ロックヘルから盗まれた財貨によりますが、さばき切れない物は闇オークションに流れるかもしれませんから、闇オークションの小鬼に連絡を取って見張らせますので、盗まれた財貨が何だったのかの情報を下されば、直ぐにでもお調べいたしますよ?」
小鬼が小人を見ると「もう金貨は払わないからな!」と盗まれた財貨の書いてある書類を小鬼に渡し「なら貸しにしておきます。フフーン」と言われて、キィィと小人が感情を露わにしていた。
「無表情な小人をココまで怒らせる小鬼は流石よのぅ」
「うちの小鬼は可愛いですからぁ~」
ルーファスが、少し呆れながらも魔法通信の腕輪に魔力を通して【刻狼亭】へ連絡を取る。
「15人分の情報を僕ら小鬼が今から集めます」
小人に恩が売れるとあって小鬼達はネットワーク内ではしゃいで回る声がする。
きっとギルドにある小鬼達の家では大騒ぎしている事だろう。
小人から客の名前が書いてある書類を受け取ると小鬼は他の小鬼と分担しながら客の名前の一致する人物たちの情報を出していく。
ロックヘルの修復は小人達が石化を解き動き出した事で休む暇なく修繕されて行き、今はエフリの都市の修繕に取り掛かり、岩喰虫に食い荒らされた銀行の中の金貨を戻す作業をしている。
世界中の金貨を扱っているだけあって復旧も素早く対応していくが、統率のとれた動きは何やら小さな部隊の様で無駄な動きが無い。
「やっぱり、小鬼の方が可愛いですねぇ~」
「テンは小人も可愛いと言い出すかと思っていたが、そうでもないんだな」
穏やかに笑ってテンが「人をマニアックな人みたいに言わないで下さいよぅ」と肩を少し上にあげて小鬼の小さなティーカップに紅茶とジャムを入れている。
ルーファスは「やれやれ甘やかしたがりめ」と言いながら【刻狼亭】の借りているロックヘルの部屋を整頓していく。
部屋に収められているのは【刻狼亭】の当主達の思い出ばかりで財貨という財貨では無いが財貨には代えられない物達で、いつか自分の物もここに置かれるのだろうと思うと感慨深いものもある。
踏み荒らされてしまった着物に【清浄】魔法を掛けて元に戻して桐の箱に戻す。
女性用の着物は朱里と同じ丈なので小柄ないつかの時代の女将の着ていた着物なのだろう。整頓して気付くが、収められている女性用の着物は割りと小さめの物が多く、自分の家系は番婚ばかりなので小柄なタイプと番になる運命にでもあるのかと思ってしまう。
次期当主のリュエールの番キリンも背丈が小さいのが何とも言えない。
逆に男物の着物は丈が長く背丈の大きさに、リュエールはこの先背が伸びるか?と少し心配になる。
一応、リュエールも168cmと伸びた方ではあるが、ルーファスやシュトラールに比べると低いのは否めない。
「はい!はいはーい!僕、犯人見付けましたぁー!!」
小鬼がピョンピョンとテーブルの上で飛び跳ね、小人達がザッと音を立てて小鬼に注目する。
小鬼は嬉しそうに今も情報が頭の中に流れているのか、手だけはネットワーク内に流れている情報を紙に書き記している。
「犯人は誰だ!」
「お幾ら出ますか?」
小人にフフーンと小鬼が指で輪っかを作り、小人がギリッと唇を噛む。
ファルヒュームが小鬼のテーブルに古代金貨を20枚積み上げる。
「これで足りるか?」
「毎度ありっ!僕、満足です!」
「ああっ!ファルヒューム様!こいつ等にそんな貴重な金貨を!!」
「よい。ロックヘルの信用と警備に関わる事だからな」
ファルヒュームと小人のやり取りを無視して小鬼は古代金貨を財布に仕舞うと、入れた筈の古代金貨はファルヒュームの前にチャリンチャリンと積み上げられる。
「なっ!」
「安心しろ。お前の古代金貨ではある。ただ、収納場所が私の前なだけだ」
「ぐぬぬ・・・僕、騙された気がすごくするのです・・・」
「流石ファルヒューム様!」
むぎゅぅ・・・と眉間にしわを寄せながら小鬼が渋顔をするとテンが「古代金貨だけ財布に入れるのを止めてカバンに入れておいてはぁ~?」と言うと小鬼がニコッと笑って財布に手を入れて再び古代金貨を自分の手元に出し、カバンに仕舞い込むと、チッとファルヒュームと小人が次は渋い顔をした。
「さて、犯人ですが、最新の情報と照らし合わせても怪しいのは1人なのです!」
「勿体ぶるな!この小鬼め!金貨分早く言え!」
「むきぃ!蹴ったの誰です!」
「あー、止めよ。小人達、小鬼に手を出すでない」
ファルヒュームに小人が少し下がる様に手で小鬼から離され、お互いに舌を出して子供の様な喧嘩をしてプリプリしている。
「新聞社の『ソルダック』が【魔果】騒ぎで大損失で廃業寸前なのです。新聞記者の不祥事と、元新聞記者が脅していた有名な人々からの訴えで顧客はほぼ居ません。むしろ新聞すら今は作れない程に大打撃…という感じで、このロックヘルに来た理由も『解約』手続きです。訴えられている金額大白金貨6枚分相当、このお金の値段に聞き覚えが最近ありますよね?旦那さん」
小鬼がルーファスを見上げて「褒めて」と言わんばかりに腰に手を当ててドヤ顔をするとルーファスが小鬼に金貨1枚を手渡し、小鬼が「キャー」と声を上げてピョンピョン飛び跳ねながら金貨にしがみ付く。
「成程、新聞社ならアカリの写真はあるだろうからな。そしてアカリが公の場で慈善活動のパーティーに参加するとなると下調べとして家族構成も調べ上げ、娘達の事も調べられていたのだろう・・・」
「それに、最近の情報ではこの新聞社の編集長が怪しい金貸し達に追われて居たはずなのに、それがピタッと止まって金回りが良くなった様ですから、何か匂いますよね?」
「ロックヘルから持ち出された財貨の一部を売った・・・と、見るのが妥当か?」
「ロックヘルから盗まれた財貨によりますが、さばき切れない物は闇オークションに流れるかもしれませんから、闇オークションの小鬼に連絡を取って見張らせますので、盗まれた財貨が何だったのかの情報を下されば、直ぐにでもお調べいたしますよ?」
小鬼が小人を見ると「もう金貨は払わないからな!」と盗まれた財貨の書いてある書類を小鬼に渡し「なら貸しにしておきます。フフーン」と言われて、キィィと小人が感情を露わにしていた。
「無表情な小人をココまで怒らせる小鬼は流石よのぅ」
「うちの小鬼は可愛いですからぁ~」
ルーファスが、少し呆れながらも魔法通信の腕輪に魔力を通して【刻狼亭】へ連絡を取る。
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