486 / 960
16章
氷竜と木竜の防衛線
しおりを挟む
ギルの屋敷に着くと朱里が電車ごっこの紐を三つ子に持たせて「行くよー」と、三人を連れて屋敷の中へ入っていく。
ギルの屋敷は大理石の床をしている為に3人が3人共バラバラに動くとあちらこちらでコケてしまうので電車ごっこの紐は手放せないのである。
ハガネは屋敷の外で乳母車を片付けて、ケイトとエデンは朱里の後をついて飛んでいる。
グリムレインとケルチャは屋敷を一周して飛ぶと温泉大陸が見下ろせる上空まで一気に飛ぶ。
「婿の居ない間は海岸は我が担当だな」
「アタシは森ね。まぁリューの森はキリンが居るからリューの担当だろうけど」
「リューは婿より怖いからな」
「そうなのよねー。見た目は可愛いのに性格が獰猛なのよね」
グリムレインとケルチャは性別が雄というだけでキリンに近付くとリュエールに威嚇されるので、必要以上にはキリンに近づいたりはしない。
グリムレインはリュエールが生まれる前から『祝福』したりしてリュエールを見守って来たのに、酷い仕打ちであると思う。
それだけ番が大事なのは分からなくもないのだが、弟のシュトラールに比べると扱いの違いに「本当に双子か?」とも思ってしまう。
シュトラールの場合は「オレの番のフィリアだよ!見て見て!可愛いでしょ!オレのだからね!」と自慢し回ってお気に入りの玩具を咥えて歩く犬の様で可愛いものだったりする。
フィリアが重い物を持って歩いていたら手伝うとシュトラールは「フィリア良かったね!でもオレを頼ってー!オレ重い物持つよー!皆フィリア助けてくれてありがとー!」と元気に言ってくる。
あまり威嚇という物をしてこないので可愛いのである。
「まぁ、キリンの近くはリュエールに任せれば問題ないだろう?」
「そうよね。それにキリンもリューも移転魔法使えるしね」
キリンと番った為にキリンの能力が半分リュエールにも渡され、リュエールも転移魔法が使える。何かあれば転移魔法で逃げる事が出来るので心配はそれ程しなくてもいい夫婦なのである。
リュエールの【破壊】をキリンも使えるが「怖いから使わない」と使った事は無い。
シュトラール夫婦はフィリアが未知数な為にまだ魔法がどうこうといった話は聞いた事がない。
今の所、フィリアは羽が生えるだけで魔法に関しては勉強中なのである。魔法を使いこなせるようになれば【全回復】を使えるようになるので、色んな意味でお役立ち夫婦になるだろうと言われている。
朱里とルーファスは言わずもがな、朱里は魔法を使えないし、自分の能力は体の中の血肉なのでルーファスには何の能力も受け渡すことは出来ていない。しいて言うならば、朱里のおかげでルーファスは病気知らずの様な感じだろうか?17年も一緒に居るのだから【聖域】漬けの様な状態にはなっていそうではある。
「さて、我はさっさと仕事をして嫁の所へ帰るかの」
「アタシも早くアカリの所に帰りたいからさっさとやりましょ」
「嫁は我のだぞ?」
「やぁーねぇ、アカリはアタシ達全員の物よ」
「我の方が先に嫁と契約したのだ。新参者たちめ」
「・・・アンタも十分、リューと同じで心が狭いわよ?」
「嫁に関しては婿に半分持って行かれている。我は半分で我慢しているのだ」
「・・・あー、もうアンタは面倒くさい性格ね」
「フンッ」
「じゃあ、また後でね」
ケルチャは面倒くさいグリムレインの性格に付き合ってられないと温泉大陸の外側にある木々に自分の能力を使い、隙間なく壁を作っていく。木々が絡まり合い、外側からの侵入が出来ない様に隙間なく巡らせた後、外側の木々に棘を生やしていく。
ルーファスが居ない間は不法侵入者が居ない様にケルチャなりの防衛を手伝っているのである。
いきなり温泉大陸に木々の壁が出来た事で驚く声はあるだろうが、ケルチャの命令1つで元に戻せるのでルーファスが帰って来るまでの間の事である。
屋敷の周りの木々にも不法侵入者対策に食虫植物を仕掛けて行く。
トリニア家と従者以外に襲い掛かる様に改良した可愛い食虫植物にケルチャは満足すると、屋敷に持って行く。
グリムレインは海岸からの不審船などが温泉大陸に侵入しない様に崖には鼠返しを氷で作り崖からの侵入を出来ない様にして、海には決められた航路でなければ出入りできない様に氷を張り巡らせていく。
一見、ただの氷なのだが、氷の上を歩いて侵入しようとすれば10秒と持たずに心臓が凍ってしまう絶対零度の氷なのである。
自分がミシマリーフ国へ行っている間に温泉大陸が襲撃に遭ってからというもの、海からの侵入に関してはグリムレインは気を配ってきている。
守るべきはたった一人の小さくて死にやすい主の朱里だけ。
朱里を守るうえで朱里の家族はオマケの様な物だが、朱里が笑ってくれるなら喜んで守ってやろうというところなのだ。
「こんなもんかの。さて帰るか」
屋敷に向かって帰ると、すでにケルチャが帰っていて朱里がお茶を淹れている間に三つ子の世話を頼まれたらしく三つ子に襲い掛かられていた。
それを見てバッチリ目はあったが、そのまま朱里を追ってキッチンに行き、朱里が用意している茶菓子を横からつまみ食いしていく。
「あっ、こらぁ。グリムレイン駄目だよ。お茶と一緒に出してあげるから我慢しなさい」
「茶請けなどアイスでいいだろうに」
「あー、アイス良いですね。よし、後で一緒に卵アイスでも作りましょうか!」
「嫁は我をコキ使う気だな?」
「ふふっ、グリムレイン頼りにしてますよー」
「まぁ、嫁が喜ぶなら良いか・・・我は大盛りアイスだからな?」
「はーい。卵いっぱいあるからいっぱい作ろうね!」
茶器をお盆の上に乗せてお茶菓子も乗せると朱里が鼻歌交じりにリビングに戻っていく。
グリムレインもそんな朱里の後ろを嬉しそうに尻尾を緩やかに動かしながら付いていくのだった。
ギルの屋敷は大理石の床をしている為に3人が3人共バラバラに動くとあちらこちらでコケてしまうので電車ごっこの紐は手放せないのである。
ハガネは屋敷の外で乳母車を片付けて、ケイトとエデンは朱里の後をついて飛んでいる。
グリムレインとケルチャは屋敷を一周して飛ぶと温泉大陸が見下ろせる上空まで一気に飛ぶ。
「婿の居ない間は海岸は我が担当だな」
「アタシは森ね。まぁリューの森はキリンが居るからリューの担当だろうけど」
「リューは婿より怖いからな」
「そうなのよねー。見た目は可愛いのに性格が獰猛なのよね」
グリムレインとケルチャは性別が雄というだけでキリンに近付くとリュエールに威嚇されるので、必要以上にはキリンに近づいたりはしない。
グリムレインはリュエールが生まれる前から『祝福』したりしてリュエールを見守って来たのに、酷い仕打ちであると思う。
それだけ番が大事なのは分からなくもないのだが、弟のシュトラールに比べると扱いの違いに「本当に双子か?」とも思ってしまう。
シュトラールの場合は「オレの番のフィリアだよ!見て見て!可愛いでしょ!オレのだからね!」と自慢し回ってお気に入りの玩具を咥えて歩く犬の様で可愛いものだったりする。
フィリアが重い物を持って歩いていたら手伝うとシュトラールは「フィリア良かったね!でもオレを頼ってー!オレ重い物持つよー!皆フィリア助けてくれてありがとー!」と元気に言ってくる。
あまり威嚇という物をしてこないので可愛いのである。
「まぁ、キリンの近くはリュエールに任せれば問題ないだろう?」
「そうよね。それにキリンもリューも移転魔法使えるしね」
キリンと番った為にキリンの能力が半分リュエールにも渡され、リュエールも転移魔法が使える。何かあれば転移魔法で逃げる事が出来るので心配はそれ程しなくてもいい夫婦なのである。
リュエールの【破壊】をキリンも使えるが「怖いから使わない」と使った事は無い。
シュトラール夫婦はフィリアが未知数な為にまだ魔法がどうこうといった話は聞いた事がない。
今の所、フィリアは羽が生えるだけで魔法に関しては勉強中なのである。魔法を使いこなせるようになれば【全回復】を使えるようになるので、色んな意味でお役立ち夫婦になるだろうと言われている。
朱里とルーファスは言わずもがな、朱里は魔法を使えないし、自分の能力は体の中の血肉なのでルーファスには何の能力も受け渡すことは出来ていない。しいて言うならば、朱里のおかげでルーファスは病気知らずの様な感じだろうか?17年も一緒に居るのだから【聖域】漬けの様な状態にはなっていそうではある。
「さて、我はさっさと仕事をして嫁の所へ帰るかの」
「アタシも早くアカリの所に帰りたいからさっさとやりましょ」
「嫁は我のだぞ?」
「やぁーねぇ、アカリはアタシ達全員の物よ」
「我の方が先に嫁と契約したのだ。新参者たちめ」
「・・・アンタも十分、リューと同じで心が狭いわよ?」
「嫁に関しては婿に半分持って行かれている。我は半分で我慢しているのだ」
「・・・あー、もうアンタは面倒くさい性格ね」
「フンッ」
「じゃあ、また後でね」
ケルチャは面倒くさいグリムレインの性格に付き合ってられないと温泉大陸の外側にある木々に自分の能力を使い、隙間なく壁を作っていく。木々が絡まり合い、外側からの侵入が出来ない様に隙間なく巡らせた後、外側の木々に棘を生やしていく。
ルーファスが居ない間は不法侵入者が居ない様にケルチャなりの防衛を手伝っているのである。
いきなり温泉大陸に木々の壁が出来た事で驚く声はあるだろうが、ケルチャの命令1つで元に戻せるのでルーファスが帰って来るまでの間の事である。
屋敷の周りの木々にも不法侵入者対策に食虫植物を仕掛けて行く。
トリニア家と従者以外に襲い掛かる様に改良した可愛い食虫植物にケルチャは満足すると、屋敷に持って行く。
グリムレインは海岸からの不審船などが温泉大陸に侵入しない様に崖には鼠返しを氷で作り崖からの侵入を出来ない様にして、海には決められた航路でなければ出入りできない様に氷を張り巡らせていく。
一見、ただの氷なのだが、氷の上を歩いて侵入しようとすれば10秒と持たずに心臓が凍ってしまう絶対零度の氷なのである。
自分がミシマリーフ国へ行っている間に温泉大陸が襲撃に遭ってからというもの、海からの侵入に関してはグリムレインは気を配ってきている。
守るべきはたった一人の小さくて死にやすい主の朱里だけ。
朱里を守るうえで朱里の家族はオマケの様な物だが、朱里が笑ってくれるなら喜んで守ってやろうというところなのだ。
「こんなもんかの。さて帰るか」
屋敷に向かって帰ると、すでにケルチャが帰っていて朱里がお茶を淹れている間に三つ子の世話を頼まれたらしく三つ子に襲い掛かられていた。
それを見てバッチリ目はあったが、そのまま朱里を追ってキッチンに行き、朱里が用意している茶菓子を横からつまみ食いしていく。
「あっ、こらぁ。グリムレイン駄目だよ。お茶と一緒に出してあげるから我慢しなさい」
「茶請けなどアイスでいいだろうに」
「あー、アイス良いですね。よし、後で一緒に卵アイスでも作りましょうか!」
「嫁は我をコキ使う気だな?」
「ふふっ、グリムレイン頼りにしてますよー」
「まぁ、嫁が喜ぶなら良いか・・・我は大盛りアイスだからな?」
「はーい。卵いっぱいあるからいっぱい作ろうね!」
茶器をお盆の上に乗せてお茶菓子も乗せると朱里が鼻歌交じりにリビングに戻っていく。
グリムレインもそんな朱里の後ろを嬉しそうに尻尾を緩やかに動かしながら付いていくのだった。
50
お気に入りに追加
4,628
あなたにおすすめの小説

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。
鯖
恋愛
可憐な見た目とは裏腹に、突っ走りがちな令嬢のパトリシア。婚約者のフィリップが、巨乳じゃないと女として見れない、と話しているのを聞いてしまう。
パトリシアは、小さい頃に両親を亡くし、母の弟である伯爵家で、本当の娘の様に育てられた。お世話になった家族の為にも、幸せな結婚生活を送らねばならないと、兄の様に慕っているアレックスに、あるお願いをしに行く。

婚約者である皇帝は今日別の女と結婚する
アオ
恋愛
公爵家の末娘として転生した美少女マリーが2つ上の幼なじみであり皇帝であるフリードリヒからプロポーズされる。
しかしその日のうちにプロポーズを撤回し別の女と結婚すると言う。
理由は周辺の国との和平のための政略結婚でマリーは泣く泣くフリードのことを諦める。しかしその結婚は実は偽装結婚で
政略結婚の相手である姫の想い人を振り向かせるための偽装結婚式だった。
そんなこととはつゆ知らず、マリーは悩む。すれ違うがその後誤解はとけマリーとフリードは幸せに暮らしました。

大きくなったら結婚しようと誓った幼馴染が幸せな家庭を築いていた
黒うさぎ
恋愛
「おおきくなったら、ぼくとけっこんしよう!」
幼い頃にした彼との約束。私は彼に相応しい強く、優しい女性になるために己を鍛え磨きぬいた。そして十六年たったある日。私は約束を果たそうと彼の家を訪れた。だが家の中から姿を現したのは、幼女とその母親らしき女性、そして優しく微笑む彼だった。
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。