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15章番外編
箱入り黒狼と箱入り王女4
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どうやって帰って来たのかシュトラールの部屋のベッドの上でフィリアは膝を抱えて泣いていた。
シュトラールの為に自分なりに頑張って夜の夫婦生活について恥ずかしいけれど、頑張って練習してきていたのに、肝心のシュトラールは夜は遅く、帰ってきたらすぐに寝てしまうし、会話すら「おはよう」「行ってきます」くらいの毎日で、寂しかった。
ああ、自分は寂しかったのか・・・と、気付いてまた涙が溢れる。
性知識が朱里やキリンに教えてもらった事で少しついて、自分が今までキスだけで満足してシュトラールに我慢を強いてきた事を知って、次にシュトラールに誘われたら頑張るつもりだったのに、あの妖艶な女の人は何なの?
誰なの?なんで顔を赤くしてたの?
聞きたいことは山ほどあるのに、逃げ帰ってしまった。
コンコン。
ドアがノックされて「フィリアちゃん居る?」と朱里の声がする。
ドアを開けると、朱里が一瞬驚いた顔をするが、直ぐに困った顔で笑って「あらあら」と声を出す。
シーツお化けになっているフィリアに朱里は拗れちゃってるなぁと苦笑いしつつ、「お出掛けするからお留守番少しお願いできるかな?」と言い、フィリアがコクリと頷くのを見て「お願いね」と、出ていく。
「仕方がない。お母さん少しひと肌脱いじゃおうかな」
朱里がそんな事を呟いて、ふんふんと鼻歌を歌いながら出掛けて行く。
出掛けた先は【刻狼亭】で息子の姿を見つけるとシュトラールを呼び寄せる。
しょんぼりとしたシュトラールに朱里はこっちもこっちで何かしたのかな?と小さく首を捻る。
「シューちゃん、フィリアちゃんと何かあったのかな?」
「・・・お弁当持ってきてくれたんだけど、大っ嫌いって言われた・・・」
「あらあら、何したのシューちゃん」
耳をぺしゃんと下げて「キューン」と鳴いて、首を振る。
朱里も「うーん」と悩んでポンっと手を打つ。
「最近、シューちゃん帰りが遅かったから拗ねちゃったんじゃない?」
「それを言われると何も言えない・・・でも、オレ早くフィリアに子供あげたかったし」
「んーっ、待ってシューちゃん。子供ってまさか医療器具を使うやつじゃないよね?」
「あれ?母上に言ったっけ?」
「もぅ!シューちゃんそれはダーメ!」
「でも、フィリアに痛い思いさせたくないし・・・」
「少しの痛さは仕方ないじゃない?フィリアちゃんは私と体格変わらないし、シューちゃんもルーファスと同じ体格なんだし」
「・・・でも、オレ、フィリアと出会った時に、フィリアを1回殺しちゃってるから・・・痛い思いさせたくない」
「ふぁっ!!」
朱里が困惑顔でシュトラールの話を聞いて、足枷を外すのに足を切り落として再びくっつけたというを話して辛そうにするシュトラールに「シューちゃんは優しいね」と笑って抱きつくと背中を撫でる。
「あのね、医療器具使わなくても良い様にフィリアちゃんはシューちゃんとちゃんと子供を作ろうとして私や他の人に作り方聞いてお勉強してるよ?シューちゃんが最近帰って来るのが遅いからお勉強の成果が試せなくて、心も体も寂しいんじゃないかな?って、私は思うの」
「えっ!母上・・・あの、それ・・・」
「ふふーん。母上はちゃんと息子嫁の事も把握しているのですよ?あと、ちゃんと夜遅くまで何で仕事をしていたのかもフィリアちゃんに説明しなさい」
「わかった。オレ、仕事終わったら直ぐに帰る!」
「ダーメ!今帰りなさい!」
「でも仕事が・・・」
「母上がシューちゃんの代わりにお仕事しておきますから」
「・・・じゃあ、母上お願い!」
「任されました!頑張りなさい」
シュトラールが駆けだすと朱里は満足そうに笑って、料亭の陰から顔を覗かせたルーファスに「さて、シューちゃんのお仕事の続きを私に下さい」と手を出す。
「アカリ、甘やかしが過ぎるんじゃないか?」
「ルーファスだって心配でシューちゃんを覗いてたんでしょ?」
「いや、オレはアカリの匂いがしたから様子を見に来ただけだ」
「ふふっ、そういう事にしましょうか。今日はシューちゃん以外を呼んで焼肉でも皆で食べに行きましょうか!」
「たまには外食も良いかもしれないな。腕輪で全員に連絡しておくか」
「やった!焼肉、焼肉」
朱里が小さくガッツポーズをしてルーファスが朱里を抱き上げると唇にキスをしてクスッと笑って「シューの仕事の続きをするんだろ?書類仕事だが出来るか?」と聞かれ、朱里が「え?!お料理とかじゃなかったの?」と驚いた声を出す。
「シューはリュー程では無いが書類仕事も難なくこなしていくぞ?」
「ふぁ・・・シューちゃん意外です」
「うちの子達は優秀だからな」
「では、私も母の意地です!頑張ります!!」
「ああ。頑張ってくれ。山の様な書類があるからな」
「・・・はうっ!」
ルーファスがククッと笑いながら朱里を連れて事務所の方へ戻っていく。
書類の山と朱里が格闘しながら涙目になるのは直ぐの事だった。
シュトラールの為に自分なりに頑張って夜の夫婦生活について恥ずかしいけれど、頑張って練習してきていたのに、肝心のシュトラールは夜は遅く、帰ってきたらすぐに寝てしまうし、会話すら「おはよう」「行ってきます」くらいの毎日で、寂しかった。
ああ、自分は寂しかったのか・・・と、気付いてまた涙が溢れる。
性知識が朱里やキリンに教えてもらった事で少しついて、自分が今までキスだけで満足してシュトラールに我慢を強いてきた事を知って、次にシュトラールに誘われたら頑張るつもりだったのに、あの妖艶な女の人は何なの?
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コンコン。
ドアがノックされて「フィリアちゃん居る?」と朱里の声がする。
ドアを開けると、朱里が一瞬驚いた顔をするが、直ぐに困った顔で笑って「あらあら」と声を出す。
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耳をぺしゃんと下げて「キューン」と鳴いて、首を振る。
朱里も「うーん」と悩んでポンっと手を打つ。
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「それを言われると何も言えない・・・でも、オレ早くフィリアに子供あげたかったし」
「んーっ、待ってシューちゃん。子供ってまさか医療器具を使うやつじゃないよね?」
「あれ?母上に言ったっけ?」
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「・・・でも、オレ、フィリアと出会った時に、フィリアを1回殺しちゃってるから・・・痛い思いさせたくない」
「ふぁっ!!」
朱里が困惑顔でシュトラールの話を聞いて、足枷を外すのに足を切り落として再びくっつけたというを話して辛そうにするシュトラールに「シューちゃんは優しいね」と笑って抱きつくと背中を撫でる。
「あのね、医療器具使わなくても良い様にフィリアちゃんはシューちゃんとちゃんと子供を作ろうとして私や他の人に作り方聞いてお勉強してるよ?シューちゃんが最近帰って来るのが遅いからお勉強の成果が試せなくて、心も体も寂しいんじゃないかな?って、私は思うの」
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「わかった。オレ、仕事終わったら直ぐに帰る!」
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「でも仕事が・・・」
「母上がシューちゃんの代わりにお仕事しておきますから」
「・・・じゃあ、母上お願い!」
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「いや、オレはアカリの匂いがしたから様子を見に来ただけだ」
「ふふっ、そういう事にしましょうか。今日はシューちゃん以外を呼んで焼肉でも皆で食べに行きましょうか!」
「たまには外食も良いかもしれないな。腕輪で全員に連絡しておくか」
「やった!焼肉、焼肉」
朱里が小さくガッツポーズをしてルーファスが朱里を抱き上げると唇にキスをしてクスッと笑って「シューの仕事の続きをするんだろ?書類仕事だが出来るか?」と聞かれ、朱里が「え?!お料理とかじゃなかったの?」と驚いた声を出す。
「シューはリュー程では無いが書類仕事も難なくこなしていくぞ?」
「ふぁ・・・シューちゃん意外です」
「うちの子達は優秀だからな」
「では、私も母の意地です!頑張ります!!」
「ああ。頑張ってくれ。山の様な書類があるからな」
「・・・はうっ!」
ルーファスがククッと笑いながら朱里を連れて事務所の方へ戻っていく。
書類の山と朱里が格闘しながら涙目になるのは直ぐの事だった。
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