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15章
美味しいを探して⑬ 終
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「ほう・・・坊ちゃん実は何でも出来るんじゃないですかい?」
【刻狼亭】の料理長アーネスがシュトラールが次々と作り上げていく飾り切りを見ながら感心した声を出す。
大根でデビルホエールの形を作り、その周りに波に見せる様な刺身をきれいに並べて、その周りにも海の海獣を飾り切りで作って並べる。
「色々食べて回ったから自然と覚えちゃった」
「これだけできりゃあ、てぇーしたもんですよ」
アーネスに褒めてもらいながら笑顔で卒なく客の対応もしていくシュトラールに他の従業員も「意外な戦力だ」と驚いている。
「シュー、次は旅館の方の手伝いに行って」
「はーい。了解」
「『はい』は伸ばさない!」
「はい!」
リュエールの叱咤も飛びながら、シュトラールは忙しそうに、でも顔は笑顔で元気に働きまわっている。
お客さん受けも良くて中々に働き者。そして何より、素直で優しいので「あれ?シューこんなに頼れる子だったっけ?」と周りからの評価も出てきた。
今までのシュトラールは次男という事もあってフラフラと糸の切れた凧の様にしていて中途半端な部分が目立っていた。回復魔法のエキスパートでは多少有名ではあるが、蘇生魔法などは秘匿されている為に、それ程目立っても居ない。そんな感じだったのだ。
それがフィリアとの逃亡生活で開花したのか、元々持っていた物だったのか、頼れる男になっていた。
なにより、今はフィリアとの2人での生活を目標にしているので働く事が一番大事な事になっている為に頑張りが凄いともいえる。
「シュー!お弁当持って来たよー!」
「フィリアー!わぁーい!」
お弁当を掲げてフィリアが走り回っているシュトラールに声を掛けると、シュトラールは嬉しそうに飛んで来る。
相変わらず、子供の様な所は多いいがそれでも包み隠さない甘えた姿は微笑ましいものがある。
「今日は頑張ってお肉をお団子にした甘酢餡かけのお弁当にしました」
「わぁ、楽しみ!フィリアのお弁当が一日の楽しみ!」
「お義母様みたいにまだ上手じゃないから恥ずかしい・・・」
「そんな事気にしなくていいのに。フィリアが作ったのオレ好きだよ!」
ブンブンと尻尾を振りながらシュトラールがえへへと笑ってフィリアからお弁当を受け取って大事そうに眺める。
フィリアは少しハの字眉になりながらシュトラールを見つめて微笑む。
「シューは美味しい物いっぱい探して歩いてたのに、口が上手いんだから」
「美味しい物は見付けたよ。フィリアの作ってくれるご飯が一番!」
「シューったら、もう」
「本当にフィリアのご飯が一番美味しいよ!うん!」
シュトラールが探して見つけた美味しいもの探しは、こうして最愛の番の手料理が一番美味しいという事で落ち着いた。
色んな人に迷惑を掛けての辿り着いた物だけに、色々と後始末もあるが、それでも自分の隣りでたった一人の番を手に入れて、幸せだなと笑い合える日々は毎日が新鮮で楽しいもので、探し回って良かったと思うのだった。
「フィリア、オレ頑張ってフィリアと一緒に住める家建てるね!」
「うん。でも頑張り過ぎないでね?」
「うん!じゃあオレ、仕事の続き行くね!」
「いってらっしゃい!」
キスを交わした後、手を振ってシュトラールがまた元気に駆け出す。
2人の生活はまだ始まったばかりで、まだまだ色々と足りない2人はスタート地点を一歩踏み出したというところだったりする。
2人の微笑ましいやり取りを見ながら、もう1人のトリニア家の嫁キリンは足取り軽く自分も自分の旦那様にお弁当を持って行く。
お昼前の少し慌ただしい【刻狼亭】の料亭を若女将の白い着物に薄い緑の帯をしてチリンと下駄から小さな鈴の音をさせて歩く。
鈴の音でリュエールがキリンが来た事に気付き、出迎えに行くとキリンが笑顔でお弁当を入れた風呂敷を見せる。
「キリンいつもありがとう。一緒に食べよっか」
「うん。今日のお弁当はおチビちゃん達が手伝ってくれたから可愛いお握りが3個あるよ」
「そうなんだ。でも僕はキリンだけの方が嬉しいな」
「おチビちゃん達のはそれじゃあ私が貰っちゃおうかな」
「それはそれであの子達に悪いから美味しく頂くよ」
「ふふっ、良いお兄さんだね」
料亭の奥にある元はルーファスの部屋だった場所でお弁当を広げてお茶を淹れると2人は「いただきます」と声を合わせて食べ始める。
「そうそう、リュエール。フィリアがおかしな事言ってたの」
「ん?何言ってたの?」
「キスの上手な仕方があるのですか?って・・・」
「へー・・・シュー下手なのかな?」
「そうじゃなくてね、子供の話をしててその話が出て」
「・・・もしかして、子供がキスで出来るとか思ってる・・・?」
「そう。そんな感じがしたの。私も突っ込んで聞けなくて・・・」
リュエールが箸を置いて、額に手を当てると「元王女とシューだからなぁ・・・有り得そう・・・頭痛くなってきた」ボソリと呟いてリュエールがげんなりした顔をすると、キリンが苦笑いして「お兄さんそこら辺シュー君に突っ込んどいてね」と笑う。
「あの箱入り弟ぉ!!!!」
吠えるリュエールは何処までも苦い顔をしていた。
【刻狼亭】の料理長アーネスがシュトラールが次々と作り上げていく飾り切りを見ながら感心した声を出す。
大根でデビルホエールの形を作り、その周りに波に見せる様な刺身をきれいに並べて、その周りにも海の海獣を飾り切りで作って並べる。
「色々食べて回ったから自然と覚えちゃった」
「これだけできりゃあ、てぇーしたもんですよ」
アーネスに褒めてもらいながら笑顔で卒なく客の対応もしていくシュトラールに他の従業員も「意外な戦力だ」と驚いている。
「シュー、次は旅館の方の手伝いに行って」
「はーい。了解」
「『はい』は伸ばさない!」
「はい!」
リュエールの叱咤も飛びながら、シュトラールは忙しそうに、でも顔は笑顔で元気に働きまわっている。
お客さん受けも良くて中々に働き者。そして何より、素直で優しいので「あれ?シューこんなに頼れる子だったっけ?」と周りからの評価も出てきた。
今までのシュトラールは次男という事もあってフラフラと糸の切れた凧の様にしていて中途半端な部分が目立っていた。回復魔法のエキスパートでは多少有名ではあるが、蘇生魔法などは秘匿されている為に、それ程目立っても居ない。そんな感じだったのだ。
それがフィリアとの逃亡生活で開花したのか、元々持っていた物だったのか、頼れる男になっていた。
なにより、今はフィリアとの2人での生活を目標にしているので働く事が一番大事な事になっている為に頑張りが凄いともいえる。
「シュー!お弁当持って来たよー!」
「フィリアー!わぁーい!」
お弁当を掲げてフィリアが走り回っているシュトラールに声を掛けると、シュトラールは嬉しそうに飛んで来る。
相変わらず、子供の様な所は多いいがそれでも包み隠さない甘えた姿は微笑ましいものがある。
「今日は頑張ってお肉をお団子にした甘酢餡かけのお弁当にしました」
「わぁ、楽しみ!フィリアのお弁当が一日の楽しみ!」
「お義母様みたいにまだ上手じゃないから恥ずかしい・・・」
「そんな事気にしなくていいのに。フィリアが作ったのオレ好きだよ!」
ブンブンと尻尾を振りながらシュトラールがえへへと笑ってフィリアからお弁当を受け取って大事そうに眺める。
フィリアは少しハの字眉になりながらシュトラールを見つめて微笑む。
「シューは美味しい物いっぱい探して歩いてたのに、口が上手いんだから」
「美味しい物は見付けたよ。フィリアの作ってくれるご飯が一番!」
「シューったら、もう」
「本当にフィリアのご飯が一番美味しいよ!うん!」
シュトラールが探して見つけた美味しいもの探しは、こうして最愛の番の手料理が一番美味しいという事で落ち着いた。
色んな人に迷惑を掛けての辿り着いた物だけに、色々と後始末もあるが、それでも自分の隣りでたった一人の番を手に入れて、幸せだなと笑い合える日々は毎日が新鮮で楽しいもので、探し回って良かったと思うのだった。
「フィリア、オレ頑張ってフィリアと一緒に住める家建てるね!」
「うん。でも頑張り過ぎないでね?」
「うん!じゃあオレ、仕事の続き行くね!」
「いってらっしゃい!」
キスを交わした後、手を振ってシュトラールがまた元気に駆け出す。
2人の生活はまだ始まったばかりで、まだまだ色々と足りない2人はスタート地点を一歩踏み出したというところだったりする。
2人の微笑ましいやり取りを見ながら、もう1人のトリニア家の嫁キリンは足取り軽く自分も自分の旦那様にお弁当を持って行く。
お昼前の少し慌ただしい【刻狼亭】の料亭を若女将の白い着物に薄い緑の帯をしてチリンと下駄から小さな鈴の音をさせて歩く。
鈴の音でリュエールがキリンが来た事に気付き、出迎えに行くとキリンが笑顔でお弁当を入れた風呂敷を見せる。
「キリンいつもありがとう。一緒に食べよっか」
「うん。今日のお弁当はおチビちゃん達が手伝ってくれたから可愛いお握りが3個あるよ」
「そうなんだ。でも僕はキリンだけの方が嬉しいな」
「おチビちゃん達のはそれじゃあ私が貰っちゃおうかな」
「それはそれであの子達に悪いから美味しく頂くよ」
「ふふっ、良いお兄さんだね」
料亭の奥にある元はルーファスの部屋だった場所でお弁当を広げてお茶を淹れると2人は「いただきます」と声を合わせて食べ始める。
「そうそう、リュエール。フィリアがおかしな事言ってたの」
「ん?何言ってたの?」
「キスの上手な仕方があるのですか?って・・・」
「へー・・・シュー下手なのかな?」
「そうじゃなくてね、子供の話をしててその話が出て」
「・・・もしかして、子供がキスで出来るとか思ってる・・・?」
「そう。そんな感じがしたの。私も突っ込んで聞けなくて・・・」
リュエールが箸を置いて、額に手を当てると「元王女とシューだからなぁ・・・有り得そう・・・頭痛くなってきた」ボソリと呟いてリュエールがげんなりした顔をすると、キリンが苦笑いして「お兄さんそこら辺シュー君に突っ込んどいてね」と笑う。
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