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15章
美味しいを探して⑦
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街に着いて洋服屋で麻で出来たシャツと赤いフレアスカートと下着と薄手のフード付きマントにブーツを買うと、少女と一緒に宿屋に泊まる。
少女がお風呂に入って着替えている間にシュトラールが持っている食材で簡単に部屋でスープとサンドイッチを作ってテーブルに置く。
少女が着替えて出てくると、シュトラールは少女に笑顔を向ける。
「食べるもの簡単だけど用意したから食べておいて。オレもお風呂入って来るね」
「はい。ありがとうございます」
少女は少し目を伏し目がちにしながらお礼を言って、スープを口に運ぶ。
それを見てシュトラールは微笑んでからお風呂に入りに行く。
「美味しい・・・っ、ふっ・・ぇっ、ぐすっ」
ボロボロと涙を溢れさせて少女はスープの温かさと、醜い化け物と呼ばれて来た自分に優しい言葉をくれるシュトラールにどうして良いかわからなくなる。
このまま『番』という事だけで巻き込んで逃げ回らせてしまって良いのだろうか?
許されるなら、もう少しだけ、この幸せに浸っていたい。
” お前は醜い化け物だ!その目、その髪、ああ、気持ちが悪い! ”
長年投げつけられた言葉は諸刃の剣の様に心に突き刺さって、ジクジクと血を流し続けている。
醜い自分を綺麗で可愛らしいという言葉を貰えたならば、幸せだと何度も思っていた。嘘でも良いから、1人にでもそう言って欲しかった。
今まで生きていて、そんな言葉を掛けてくれたのはたった1人、シュトラールだけ。
だから、彼が連れて逃げてくれるなら、何処にでもついていくのにと思う。
「あの・・・泣いてる?」
おずおずとお風呂場から声がして、また少女は涙を流す。
なんて優しく耳に響く声なんだろうと・・・。
シュトラールがお風呂から上がって心配そうに顔を見つめてくる。
醜い自分が笑っても良いだろうか?そう思いながら、少し口角の端を上げると、パアッとシュトラールが笑顔になる。尻尾がブンブンと揺れて、それはそれは嬉しそうに。
「あっ、君名前は?オレはね、シュトラール・トリニアだよ」
「フィリアニルン・トラザル・セシカです・・・」
「なら、フィリアだね!オレはシューって家族に言われてるからシューって呼んで」
「はい。宜しくお願いします。シュー・・・」
「うん。よろしくね!フィリア」
ベッドに並んで座って、シュトラールがフィリアニルンの髪に髪染めの魔法薬を掛けていく。
深緑色の髪に変わると、フィリアニルンに「次はオレね」と、魔法薬を手渡し、一つ縛りにしていた髪留めを外す。
オパール色になった髪をまた一つ縛りに戻してシュトラールが嬉しそうに笑顔を向ける。
「フィリアは緑だから自然系の魔法が得意なんだね」
「そうなのでしょうか?魔法は使った事がなくて・・・」
「そうなの?!うちの母上と一緒だね。母上も魔法使えなくて、でも凄い能力持ってるんだよ」
「お母様・・・」
「うん。フィリアの母上はどんな人?」
「私の、お母様は・・・わかりません。会った事がないので・・・」
「そうなんだ。それじゃ、うちの母上がフィリアの母上になるね!」
「え・・・?」
目を見開くフィリアニルンにシュトラールが小首をかしげながら「あ」と声を出す。
「でも、一緒に逃げるなら、母上達にももう会えないし、フィリアとオレの2人だけだね」
「あー・・・」
フィリアニルンの顔が悲し気に沈み、涙で頬を濡らす。
「どうしたの?フィリア!」
「ごめん、なさいー・・・私なんて捨て置いてくれて、いいの・・・」
「シュトラールから家族を取り上げる真似は出来ない」とフィリアニルンが涙を流しながら言うと、シュトラールは少し困った顔で笑って、「一緒に何処までも逃げようよ」と手を重ねて来る。
「あのね、オレはずっと『番』を見つけたら自分が今まで大事に力を注いできたものとか全部捨てられるっていう人の気持ちがわかんなかった。でもね、フィリアが連れて逃げてって言ってくれた時に、全部捨てる、要らないって思った。だからね、オレと一緒に行こうよ」
笑っておでこをコツンとフィリアニルンのおでこにくっつけて、シュトラールは理由すらわからないフィリアニルンの「連れて逃げて」という言葉に一緒にいれるなら何処にでも連れて行ってあげて、ずっと一緒に居ると決めてしまった。
だから、何も迷いは無かった。
「あと少ししたら出発しよう。長い時間同じ場所に居るのは危険だから」
「ごめんなさい・・・シュー」
「ごめんじゃなくて、笑って欲しいな」
フィリアニルンが泣きながら笑うと、シュトラールは「いつも笑っていようね」とフィリアニルンにキスをして笑って見せる。
少女がお風呂に入って着替えている間にシュトラールが持っている食材で簡単に部屋でスープとサンドイッチを作ってテーブルに置く。
少女が着替えて出てくると、シュトラールは少女に笑顔を向ける。
「食べるもの簡単だけど用意したから食べておいて。オレもお風呂入って来るね」
「はい。ありがとうございます」
少女は少し目を伏し目がちにしながらお礼を言って、スープを口に運ぶ。
それを見てシュトラールは微笑んでからお風呂に入りに行く。
「美味しい・・・っ、ふっ・・ぇっ、ぐすっ」
ボロボロと涙を溢れさせて少女はスープの温かさと、醜い化け物と呼ばれて来た自分に優しい言葉をくれるシュトラールにどうして良いかわからなくなる。
このまま『番』という事だけで巻き込んで逃げ回らせてしまって良いのだろうか?
許されるなら、もう少しだけ、この幸せに浸っていたい。
” お前は醜い化け物だ!その目、その髪、ああ、気持ちが悪い! ”
長年投げつけられた言葉は諸刃の剣の様に心に突き刺さって、ジクジクと血を流し続けている。
醜い自分を綺麗で可愛らしいという言葉を貰えたならば、幸せだと何度も思っていた。嘘でも良いから、1人にでもそう言って欲しかった。
今まで生きていて、そんな言葉を掛けてくれたのはたった1人、シュトラールだけ。
だから、彼が連れて逃げてくれるなら、何処にでもついていくのにと思う。
「あの・・・泣いてる?」
おずおずとお風呂場から声がして、また少女は涙を流す。
なんて優しく耳に響く声なんだろうと・・・。
シュトラールがお風呂から上がって心配そうに顔を見つめてくる。
醜い自分が笑っても良いだろうか?そう思いながら、少し口角の端を上げると、パアッとシュトラールが笑顔になる。尻尾がブンブンと揺れて、それはそれは嬉しそうに。
「あっ、君名前は?オレはね、シュトラール・トリニアだよ」
「フィリアニルン・トラザル・セシカです・・・」
「なら、フィリアだね!オレはシューって家族に言われてるからシューって呼んで」
「はい。宜しくお願いします。シュー・・・」
「うん。よろしくね!フィリア」
ベッドに並んで座って、シュトラールがフィリアニルンの髪に髪染めの魔法薬を掛けていく。
深緑色の髪に変わると、フィリアニルンに「次はオレね」と、魔法薬を手渡し、一つ縛りにしていた髪留めを外す。
オパール色になった髪をまた一つ縛りに戻してシュトラールが嬉しそうに笑顔を向ける。
「フィリアは緑だから自然系の魔法が得意なんだね」
「そうなのでしょうか?魔法は使った事がなくて・・・」
「そうなの?!うちの母上と一緒だね。母上も魔法使えなくて、でも凄い能力持ってるんだよ」
「お母様・・・」
「うん。フィリアの母上はどんな人?」
「私の、お母様は・・・わかりません。会った事がないので・・・」
「そうなんだ。それじゃ、うちの母上がフィリアの母上になるね!」
「え・・・?」
目を見開くフィリアニルンにシュトラールが小首をかしげながら「あ」と声を出す。
「でも、一緒に逃げるなら、母上達にももう会えないし、フィリアとオレの2人だけだね」
「あー・・・」
フィリアニルンの顔が悲し気に沈み、涙で頬を濡らす。
「どうしたの?フィリア!」
「ごめん、なさいー・・・私なんて捨て置いてくれて、いいの・・・」
「シュトラールから家族を取り上げる真似は出来ない」とフィリアニルンが涙を流しながら言うと、シュトラールは少し困った顔で笑って、「一緒に何処までも逃げようよ」と手を重ねて来る。
「あのね、オレはずっと『番』を見つけたら自分が今まで大事に力を注いできたものとか全部捨てられるっていう人の気持ちがわかんなかった。でもね、フィリアが連れて逃げてって言ってくれた時に、全部捨てる、要らないって思った。だからね、オレと一緒に行こうよ」
笑っておでこをコツンとフィリアニルンのおでこにくっつけて、シュトラールは理由すらわからないフィリアニルンの「連れて逃げて」という言葉に一緒にいれるなら何処にでも連れて行ってあげて、ずっと一緒に居ると決めてしまった。
だから、何も迷いは無かった。
「あと少ししたら出発しよう。長い時間同じ場所に居るのは危険だから」
「ごめんなさい・・・シュー」
「ごめんじゃなくて、笑って欲しいな」
フィリアニルンが泣きながら笑うと、シュトラールは「いつも笑っていようね」とフィリアニルンにキスをして笑って見せる。
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