黒狼の可愛いおヨメさま

ろいず

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15章

お家の妖精②

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 リュエールがお風呂に入ってる間にわたしはやる事があるからやっちゃわないと。
まずはアカリさんへのお礼状を書く事。お礼は大事。
白い便せんに緑色のインクで文字を書くのは、親愛の印を示す色だから緑のインクでマフラーのお礼と料理のお礼を書いていく。
あとはわたしの作った【エルフの軟膏】を可愛い瓶に入れてお礼に持って行って貰おう。
【エルフの軟膏】は冬場の手荒れやあかぎれ、肌のかゆみ、乾燥肌、冷え性に効く塗り薬で自然の草木やハーブから作った物だから、おチビちゃん達のお手々につけても大丈夫。
紙袋に入れて、よし!っと腰に手を当てているとリュエールがお風呂から出てきた。

「お風呂空いたよ。待たせてごめんね」
「ううん。あのね、これアカリさんにマフラーのお礼入れたから持って帰ってね」
「わかった。渡しておくね」
「お願いします。じゃあ、わたしもお風呂入って来るね」

 着替えを用意してお風呂に入ると、少しドキドキする。
カーテン1枚越しとはいえ裸で同じ空間に居るのはキンチョーする!!
それにしても、リュエールお風呂に入ったのに良い香りだったなぁ・・・。
わたしの石けん使ったのに、同じ香りとは思えない良い香りは反則だよ。

 お風呂から上がるとリュエールが腕輪に話し掛けてた。

「うん、それは大丈夫。僕を信用してくれない?まったく・・・あ、キリンがお風呂から出たから切るよ。えっ?まぁ・・・少しだけだよ?」

 リュエールが手で「おいで」と呼ぶので近付くと、リュエールの腕輪からアカリさんの声がする。

『キリンちゃんうちのリューちゃんと一緒にお風呂とか、あ、でも一緒に入っては無いんだよね?』
「母上・・・お願いだから落ち着いてくれる?」
「えと、コレは・・・?」
「言ってなかったっけ?魔法通信の腕輪。母上と今繋がってるんだよ」

 リュエールが腕輪を指でツンツンと軽く叩いて説明をしてくれて、便利な道具にビックリして目を丸くするとリュエールが笑って頭を撫でてくれる。

『あっ、今度キリンちゃんにも腕輪用意しておきましょう!ねっ、リューちゃん』
「それは遠慮しておくよ」
『なんで?便利だよ?いつでも会話出来るよ?』
「だからだよ。声を聞いたら会いたくなるから駄目。僕が我慢できないからね」
『まぁまぁ、リューちゃん可愛いッ!』
「母上・・・」
『はうっ!リューちゃん声怖ーい』

 アカリさんの不用意な一言でリュエールの声のトーンが怖いものに!!
あわわと思っていると、リュエールと目が合って、小さく笑うと腰を抱かれて腕輪の方の手を近くに差し出してくる。

「キリンも喋って大丈夫だよ。ちゃんと聞こえてるから」
「あの、アカリさん。マフラーありがとうございました」
『いえいえ、どういたしまして。ふふっキリンちゃんには緑系の色が似あうと思って毛糸選ぶの楽しかったよ』
「あと、ご飯も美味しかったです。ごちそうさまでした」
『ふふっ。喜んでもらえて良かった。今度は是非我が家か【刻狼亭】の方へお食事に来てね』
「はい。是非お願いします」

「母上、そろそろ僕達は寝るから、余計な心配してないでさっさと寝て」
『母上はそれが心配なのです!本当に信用してますからね!』
「母上・・・僕も怒るよ?」
『ヒッ!リューちゃん怖い・・・』
「はい、母上おやすみ」
『くすん・・・リューちゃんキリンちゃんお休みなさい』
「アカリさんもおやすみなさい」

 リュエールが「ったく母上は」と何とも言えない顔をしてため息交じり息を吐いて、「それじゃ、寝ようか」と腰に手を回したまま言って唇に唇が重なって、唇が離れたと思ったらまた唇が重なってきて、少し角度を変えたキスに驚いて口が開くと、舌が口の中に入ってきて、頭の中がパニックになった。
こんなキスは知らない、これはどういうキスなんだろう?
舌が舌に絡んできて、息苦しいのに、凄く気持ち良くて甘くて、心臓がドキドキする・・・。

「ん、ん・・・っ」

 腰が、抜けちゃう・・・っ。
カクンと足に力が入らなくなるとリュエールが腰に回した手に助けられて、そのまま抱き上げられてベッドに横にさせられると、リュエールが部屋の電気を消した。

「ごめんね。おやすみキリン」

 リュエールの声に意識が飛びかけて、最後におでこに唇を押し当てられた感触を感じながら眠りに落ちた。
朝、目を覚ましたらリュエールの腕の中で寝ていて、少し気恥ずかしさに硬直していると、クスッと声がして、リュエールが目を開けて笑っていて、狸寝入りだったと知って余計に恥ずかしくなって布団を出ようとしたら、リュエールの腕にガッチリホールドされていて抜け出せなかった。

「おはよ。キリン」
「うう・・・おはよ、リュエール」
「寝顔が可愛かった」
「うーっ、何で見てるの・・・もう」
「だって、キリン可愛いから」
「~っ!!!」

 朝から心臓に悪い。
でも、リュエールと一緒に居ると温かくて安心して大好きだなって胸の奥がふわふわする感じがする。
色々と恥ずかしいのもあるけど、リュエールの事好きだなぁ。

 ブワッと甘くて包み込むような匂いが充満して、え?と、思った時にはお腹の中を突き上げるような物が走って甘い痺れに身動きが取れなくなっていた。

「キリン?どうかしたの?」

 首を傾げるリュエールをまともに見れない・・・っ!!
何、これ・・・リュエールにドキドキし過ぎて顔みれない・・・っ!!
全身が心臓になったみたいに脈打つ感じがする。

「キリン大丈夫?」

 心配そうな声も耳にも心臓にも甘く響く。
もしかして、これが番の匂いが判るって事だろうか?
だとしたら、こんなにドキドキしてたら心臓が持たないよ?!!

「キリン、少しごめんね」

 リュエールに頬を両手で包まれるように上を向かされると、バッチリ目が合って、そうしたらリュエールの目が丸くなった後、直ぐに手を離してくれた。

「えーと、キリンもしかして、自覚、しちゃった?」

 声が出せずにコクリと頷けば、リュエールも顔を赤くして「参ったな」と小さく呟く。
何が参ったんだろう?おずおずとリュエールを見上げると、リュエールが少し困ったような笑顔で「少し早めにキリンを迎えに来れる様に頑張るね」とキスをしてきて、そのキスが今までのキスよりも蕩ける様に甘くて、これがちゃんとした番の味のキスなんだと初めて知った。

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