黒狼の可愛いおヨメさま

ろいず

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15章

可愛いおチビさんと妖精

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 わたしが見た事もない白い樹の下でリュエールに「動くな」と言われて、正座のままで居ると、小さな黒い髪の三角耳の子供が3人紐を持って歩いてい来る。

 ころころのぷにぷにの子供達は後ろを振り向いてからわたしを指さすと、子供達3人の後ろから先程の女の人が顔を出す。

「あらら。リューちゃんとさっきの女の子」
「あんんあ」
「あんなん」
「あんあー」

 さっきはあんなにリュエールと似ていると思ったのに、近くでみるとあんまり似ていない。
こちらの女の人の方が柔らかでふわりとした笑顔と雰囲気をまとっている。

「母上・・・」
「ふふっ、どうしたの?それにしても『竜の癒し木』バッキリ折れちゃったね」

 女の人が白い樹を見上げながら「あらあら」と呑気な声を出している。
わたしも上を見えあげれば、白い樹の枝がぶらーんと折れて皮1枚でぶら下がっている。
リュエールがまたハァー・・・とため息を吐く。
うん。嫌味ったらしいため息だ。

 ぺちぺちと膝を小さな手が叩き、3人の子供がわたしを取り囲んで首を傾げて見上げている。
ああ、なんだろう?この可愛いぷにぷに達は・・・っ!!!

「なにかなー?」
「あーん?」
「あんんあー?」
「なんたー?」

「ふふっ、あなたはだーれ?って聞いているのよ」

 女の人が男の子の手を持って「ティルナールだよー」と手を振って、もう一人の男の子の手を持つと「エルシオンだよー」最後に女の子の手を持って「ルーシーですよー」と自己紹介をさせていく。

「わたしは森のエルフ、キリンです。よろしくね。おチビちゃん達」
「ふふっ、皆良かったねー。エルフのお姉ちゃんだよ」

 村では私が一番年若い子供だったから自分より下の子を見るのは初めて。
可愛い。何だろう?この胸がきゅんきゅんする感じは。

「母上、3人を連れて家に戻ってて」
「あら?お茶でも出そうか?」
「母上・・・余計な気を使わなくていいから。それより、上で騒ぎだしそうなのを止めておいて」

 上で騒ぐ?と、上を見上げると家の2階部分から白金のドラゴンが「アーッ!!!!」と折れた枝を見て悲鳴を上げている。

「これ折ったの誰ー!!!」

 ドラゴンが声を上げると「知らん」「しらなーい」と声が2階の窓からしている。一体何人いるんだろう?
それに、家って言っている事はもしかしてここはこの人達の家・・・つまり、当主の家・・・?

 ぺちぺち。
膝をおチビさん達が叩いてスリついてくる。

「ふぁぁあ~!!なにこれ!可愛いッ!!」

 ガバッと3人をまとめて抱きしめると、森の匂いとミルクの香りがふわふわする。
なにこれ?!本当に凄くいい香りだよー!!  

「ちょっと、人の弟達を勝手に触んないで」

 不機嫌なリュエールの声に「ケチ」と小さく文句を言えば「何?」とトゲトゲしい声が返ってくる。

「可愛いでしょー?私の可愛い三つ子ちゃん」
「可愛いです!まとめてセットで欲しいです!」
「ふふっ。だーめ。でもこの可愛さを解るあなたには飴をあげましょう」

 女の人がスカートのポケットから可愛い包装紙に包まれた飴をわたしにくれて、おチビちゃん達にも1つずつ包装紙をむいて口に入れていく。
口に入れた飴はハチミツとリンゴの味がした。

「父上、家の庭に転移したみたいで、うん。そう。あー・・・母上が今、飴あげて手懐けてる、うん」

 何を1人でぶつぶつ言っているんだろう?
腕にむかって喋るリュエールの奇妙さに少し変な人と思いながら、女の人を見れば3人のおチビちゃんを見る目は優しく少し色っぽい。

「キリンちゃん・・・でいいかな?」
「あ、はい。なんでしょう?」
「うちのルーファス達に怒られて大変だったでしょ?」
「ルーファス?」

 首を傾げると、女の人も首を傾げる。

「私の旦那様。さっき【刻狼亭】の方へ向かったんだけど、入れ違いになっちゃったのかな?」
「ああ、もしかしてリュエール達の父親・・・さんですか?」
「そそ。大丈夫だった?」
「えーと、とりあえず、一族郎党、路頭に迷わないようにはしてくれるとか何とか・・・」
「あらら。ルーファスったら、そのまま言っちゃったんだね。ふふっ、私も最初キリンちゃん怖い子なのかと思ったんだけど、3人を見る目が優しいから大丈夫かなって。ルーファスが帰ってきたら事情は分からないけど、とりなしておくね」
「森の女神様ですか?!」

 森の恵みを捧げたい女神かもしれない!!

「母上ー・・・事情も分からないのに、とりなさないで」
「だって、リューちゃんキリンちゃん良い子そうだよ?」
「母上までシューと同じこと言ってる」

 リュエールの何度目かのため息に女の人は手の指を両手で合わせながら笑って「なら大丈夫だね」と言ってリュエールの眉間に益々しわが寄っていた。


 それから数分してリュエールの様に眉間にしわを寄せたルーファスさんが来て、わたしは再び【刻狼亭】と呼ばれる料亭に連れて行かれた。
今日は遅いのでまた明日話し合いする事になり、地下の座敷牢に入れられたけど、ご飯は村では食べた事が無い物ばかりだったし、美味しかった!
 あとお布団もふかふかで、少し居心地が良かったり・・・だって、今まで藁を敷いた上にシーツを被せてベッドにしてたしね・・・都会(?)は良いなぁってしみじみ思ってしまった。
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