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14章
狂った果実18
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「これで確実にあの新聞記者の男が【魔果】の犯人で決まりだな」
「後の問題はー・・・」
チラッとルーファスとハガネがベッドの上でミノムシ状態で寝ている朱里を見る。
『睡眠欲』再びという感じで朱里が寝入っている。
犯人の男が朱里の取っている部屋のドアに封筒を差し入れた時、男に染みついた【魔果】が漂ったのか、寝ている間に【魔果】に酔った状態の朱里が出来上がっていた。
「アカリ、そろそろ起きれるか?」
「んぬぅー・・・朱里さんはまだお眠なんですー・・・」
うにうにと動きながら大きなミノムシは布団から脱皮する事を拒んでいる。
「おら、アカリ起きねえと今日のパーティーの支度が出来ねぇぞ?」
「フシャー!!」
ハガネが揺さぶると布団から朱里が手を出して猫の様に威嚇してくるのである。
「お前は猫か!」
「フフーン!朱里さんはまだ寝ますにゃ!」
「だから、その語尾の「にゃ」はなんだっつーの!」
「にゃーん」
ルーファスが肩を震わせながら笑いを堪えると、ハガネが「俺【魔果】にやられなくて助かったぜ」と眉間にしわを寄せる。
「まぁ可愛くもあるが、流石にそろそろ起こさないと不味いな」
「んじゃ、旦那はポーション出しといてくれ。実力行使だ」
ハガネが「うらぁ!」という掛け声と共に、朱里から布団を引っぺがし、ルーファスがベットの上に転がり出た朱里に特殊ポーションを飲ませる。
「アカリ、もう頭はスッキリしたか?」
「・・・はい。ご迷惑を・・・」
【魔果】の嫌な所は頭がスッキリすると自分がした事を思い出してしまう所で、朱里は耳まで赤くして消え入りそうな声で「忘れてください」と言って両手で顔を隠している。
そんな朱里にルーファスもハガネも笑うしかない。
「まぁ、今日は昼間に金の受け渡しを無視したからあちらから何かしらのアクションがあるかもしれん。十分気を付けてくれ」
「一応、俺やネルフィームも近くに待機はしてっけど、アカリは耐性が低いからヤバいと思ったら特殊ポーション飲めよ?」
「はい。わかりました」
パーティー用に用意したドレスに着替え、ハガネに髪の毛をセットしてもらいながら朱里が胸の谷間に特殊ポーションを隠しいれる。
「アカリ、俺も一応男だからな?そういうのは俺が居ない所でやれ」
「ハガネは家族ですから平気です」
「お前なぁ・・・俺が旦那に殺されるっつーの」
「そういえば、ルーファスは?」
「旦那なら別動隊の方に連絡しにいってる」
別動隊の方はどうなっただろう?と、朱里が窓の外を見上げる。
今現在、グリムレイン率いる【魔果】の樹を浄化する水部隊との連携で動いている。
【魔果】の樹が封印されているのは海底奥深くで、その昔そこは大地があり、人々が住んでいたらしいのだが、地殻変動により水没してしまい、水属性の者でなければ近寄る事さえ出来なくなっている。
【魔果】の樹は大きなドーム状の封印で包まれ、そして力を使えない様に花竜のケイトごと封印をしてある。
2重の封印をどう解かれたのか、今もってわかっていない段階なのである。
「グリムレイン達、無事に浄化を終えて帰って来てくれたら良いのですけど」
「グリムレインは心配ねぇけど、他の水部隊は旦那の従者と言えど、多少影響は受けるだろうからな。それが心配だな」
「そうだね。それに水属性の人達はそんなに居ないから人数的にも心配だね」
「まぁ、万が一【魔果】に取り込まれるかもしれないって考えたら少人数の方がいいだろ」
胸に手を当てながら、ふぅー・・・と息を吐き、朱里はまた窓の外を見る。
ルーファスが部屋に戻ってきて、タキシードに着替えると髪をオールバックにして白い眼鏡を掛ける。
「旦那、グリムレイン達はどうなってるって?」
「それがおかしなことになっている様だ」
「おかしな事ですか?」
首を傾げる朱里の頭をハガネがグイっと戻して髪の後れ毛を櫛で直して小さな真珠の髪飾りを差し込む。
「よし、終わりだ。で?旦那何がおかしいんで?」
「【魔果】は意思のある樹の筈なんだが意思は無く、枝が伸びてくることも無いらしくてな・・・むしろ、ただの樹・・・と、いう感じらしい」
「それは・・・良かった?」
小さく首を振ってルーファスが朱里の耳に真珠のイヤリングを着ける。
「封印を試しに少し解いたらしいんだが、特に【魔果】に影響が出た者も居なくてな。なのにこちらではアカリや慈善家たちが連日【魔果】影響を受けている。【魔果】の果実はどれだけの効力を持っているのかが不安が広がっている所だ」
「そうだよな。犯人の男がどれだけの量の果実を手に入れて事件を広げたのかも気になるよな」
「じゃあ、あっちよりもこっちの方が危険が大きいのかな?」
少し眉を下げる朱里の手を取って手の甲へ唇を落としてフッと笑う。
「アカリを守るのはオレの役目だ。安心しろ」
「ふぁぁ・・・ルーがイケメン過ぎて鼻血でちゃいます・・・っ」
「ほいほい。俺はお邪魔なわけだ・・・まったく勘弁しろよ」
ハガネが朱里用の小物道具を仕舞いながら肩を鳴らして「んじゃ、俺も準備してパーティー会場に行くからな」と部屋を出ていく。
「アカリ、犯人を今日捕らえる。【魔果】の果実の在り処を吐かせて事件を終わらせる」
「はい。頑張りましょう!」
「犯人はアカリを金の生る木だと思っているのかターゲットにされているからな。十分気をつけろ」
「私をしっかり守って下さいね?ルー・アーバンさん」
「アカリを守るのはルーファス・トリニアでいきたいところだ」
くくくっと笑いながらルーファスが笑い、朱里がドレスの裾を指で摘まみ上げて可愛らしく小首をかしげて「行きましょうか」と笑う。
「後の問題はー・・・」
チラッとルーファスとハガネがベッドの上でミノムシ状態で寝ている朱里を見る。
『睡眠欲』再びという感じで朱里が寝入っている。
犯人の男が朱里の取っている部屋のドアに封筒を差し入れた時、男に染みついた【魔果】が漂ったのか、寝ている間に【魔果】に酔った状態の朱里が出来上がっていた。
「アカリ、そろそろ起きれるか?」
「んぬぅー・・・朱里さんはまだお眠なんですー・・・」
うにうにと動きながら大きなミノムシは布団から脱皮する事を拒んでいる。
「おら、アカリ起きねえと今日のパーティーの支度が出来ねぇぞ?」
「フシャー!!」
ハガネが揺さぶると布団から朱里が手を出して猫の様に威嚇してくるのである。
「お前は猫か!」
「フフーン!朱里さんはまだ寝ますにゃ!」
「だから、その語尾の「にゃ」はなんだっつーの!」
「にゃーん」
ルーファスが肩を震わせながら笑いを堪えると、ハガネが「俺【魔果】にやられなくて助かったぜ」と眉間にしわを寄せる。
「まぁ可愛くもあるが、流石にそろそろ起こさないと不味いな」
「んじゃ、旦那はポーション出しといてくれ。実力行使だ」
ハガネが「うらぁ!」という掛け声と共に、朱里から布団を引っぺがし、ルーファスがベットの上に転がり出た朱里に特殊ポーションを飲ませる。
「アカリ、もう頭はスッキリしたか?」
「・・・はい。ご迷惑を・・・」
【魔果】の嫌な所は頭がスッキリすると自分がした事を思い出してしまう所で、朱里は耳まで赤くして消え入りそうな声で「忘れてください」と言って両手で顔を隠している。
そんな朱里にルーファスもハガネも笑うしかない。
「まぁ、今日は昼間に金の受け渡しを無視したからあちらから何かしらのアクションがあるかもしれん。十分気を付けてくれ」
「一応、俺やネルフィームも近くに待機はしてっけど、アカリは耐性が低いからヤバいと思ったら特殊ポーション飲めよ?」
「はい。わかりました」
パーティー用に用意したドレスに着替え、ハガネに髪の毛をセットしてもらいながら朱里が胸の谷間に特殊ポーションを隠しいれる。
「アカリ、俺も一応男だからな?そういうのは俺が居ない所でやれ」
「ハガネは家族ですから平気です」
「お前なぁ・・・俺が旦那に殺されるっつーの」
「そういえば、ルーファスは?」
「旦那なら別動隊の方に連絡しにいってる」
別動隊の方はどうなっただろう?と、朱里が窓の外を見上げる。
今現在、グリムレイン率いる【魔果】の樹を浄化する水部隊との連携で動いている。
【魔果】の樹が封印されているのは海底奥深くで、その昔そこは大地があり、人々が住んでいたらしいのだが、地殻変動により水没してしまい、水属性の者でなければ近寄る事さえ出来なくなっている。
【魔果】の樹は大きなドーム状の封印で包まれ、そして力を使えない様に花竜のケイトごと封印をしてある。
2重の封印をどう解かれたのか、今もってわかっていない段階なのである。
「グリムレイン達、無事に浄化を終えて帰って来てくれたら良いのですけど」
「グリムレインは心配ねぇけど、他の水部隊は旦那の従者と言えど、多少影響は受けるだろうからな。それが心配だな」
「そうだね。それに水属性の人達はそんなに居ないから人数的にも心配だね」
「まぁ、万が一【魔果】に取り込まれるかもしれないって考えたら少人数の方がいいだろ」
胸に手を当てながら、ふぅー・・・と息を吐き、朱里はまた窓の外を見る。
ルーファスが部屋に戻ってきて、タキシードに着替えると髪をオールバックにして白い眼鏡を掛ける。
「旦那、グリムレイン達はどうなってるって?」
「それがおかしなことになっている様だ」
「おかしな事ですか?」
首を傾げる朱里の頭をハガネがグイっと戻して髪の後れ毛を櫛で直して小さな真珠の髪飾りを差し込む。
「よし、終わりだ。で?旦那何がおかしいんで?」
「【魔果】は意思のある樹の筈なんだが意思は無く、枝が伸びてくることも無いらしくてな・・・むしろ、ただの樹・・・と、いう感じらしい」
「それは・・・良かった?」
小さく首を振ってルーファスが朱里の耳に真珠のイヤリングを着ける。
「封印を試しに少し解いたらしいんだが、特に【魔果】に影響が出た者も居なくてな。なのにこちらではアカリや慈善家たちが連日【魔果】影響を受けている。【魔果】の果実はどれだけの効力を持っているのかが不安が広がっている所だ」
「そうだよな。犯人の男がどれだけの量の果実を手に入れて事件を広げたのかも気になるよな」
「じゃあ、あっちよりもこっちの方が危険が大きいのかな?」
少し眉を下げる朱里の手を取って手の甲へ唇を落としてフッと笑う。
「アカリを守るのはオレの役目だ。安心しろ」
「ふぁぁ・・・ルーがイケメン過ぎて鼻血でちゃいます・・・っ」
「ほいほい。俺はお邪魔なわけだ・・・まったく勘弁しろよ」
ハガネが朱里用の小物道具を仕舞いながら肩を鳴らして「んじゃ、俺も準備してパーティー会場に行くからな」と部屋を出ていく。
「アカリ、犯人を今日捕らえる。【魔果】の果実の在り処を吐かせて事件を終わらせる」
「はい。頑張りましょう!」
「犯人はアカリを金の生る木だと思っているのかターゲットにされているからな。十分気をつけろ」
「私をしっかり守って下さいね?ルー・アーバンさん」
「アカリを守るのはルーファス・トリニアでいきたいところだ」
くくくっと笑いながらルーファスが笑い、朱里がドレスの裾を指で摘まみ上げて可愛らしく小首をかしげて「行きましょうか」と笑う。
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