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14章
狂った果実7 【魔果の始まり2】
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フィリーアは5年経って村人を持ち前の明るさと優しさでうち溶かしていき、サルにも村人たちは少しずつ冷たい態度をとるのはやめていっていた。
少しずつ良い方向へ変わっていく毎日に戸惑いながらもサルは若木から抜け出し青年になっていた。
そんな時、フィリーアに子供が出来てフィリーアの笑顔も前にも増して増えていった。
ただ笑顔が曇るのはフィリーアの夫だった。フィリーアと村人の青年の仲を疑っては騒いでいた。
「あの男と今日喋っていただろう!」
「そりゃ小さな村だもの挨拶ぐらいはするでしょ?」
「本当に俺の子なのか?浮気しているんじゃないのか?」
「バカバカしい。私が浮気する様な女に見えているの?」
そんな夫婦喧嘩が日常的になって来ていて、フィリーアはこのままではお産に差し支えると言って実家に一度戻ってお産をすると言っていた。
サルはそんなフィリーアを心配していたが、口を出せる立場でもないので気遣い程度にフィリーアの好きなベリーポップの実を持って行ったりするだけだった。
新緑が芽吹くころ、フィリーアがお産の為に実家のある別のドリアードの村へ帰ることになった。
「サルターナ、帰って来た時あなたはお兄さんよ。私の子供のお兄さん。ちゃんと面倒見るのよ?」
「うん。フィリーアの子供なら可愛い若木だろうね」
「きっと可愛い若木よ。サルターナみたいに」
キラキラと光る森の木漏れ日の光が反射して笑顔が眩しいフィリーアと、村から出て森の入り口から出ている馬車乗り場に送り届ける為に2人で歩いていた。
とても綺麗な木漏れ日の光と笑顔だった。笑い合って新しい若木の誕生を話し合っていた。
ドンッ
何かに背を押されて一瞬、何が起きたかわからなかった。
サルが地面に倒れて、自分はコケたのだろうかと顔を上げれば、フィリーアの悲鳴と地面に飛び散る真っ赤な血でサルの頭は混乱した。
ドサリと音がして、目の前にフィリーアの顔が地面に横たわった。
涙で濡れた頬に、血を流す唇、先程までの笑顔は何処にも無くなっていた。
振り返るとフィリーアの夫が手斧を持って血だらけで立っていた。
「サル!お前がフィリーアの浮気相手だったのか!!」
「え・・・?」
「お前に似た可愛い若木だと!ふざけるな!」
「っ!違う!そういう意味じゃ・・・」
先程の会話を屈曲してフィリーアの夫は聞いたのだとサルは理解するが、フィリーアの夫の耳にはサルの訴えは聞き入れてもらえずに、手斧がサルの上に振り下ろされ、サルの悲鳴が森に響き渡った。
サルが意識を取り戻した時、全てが終わっていた。
フィリーアは殺された。
フィリーアの夫はサルがフィリーアを手斧で襲っていたのを助ける為に揉み合いになり手斧をサルから奪い、サルを手斧で襲ったのだと言った。
嘘だ!皆、信じて!!
フィリーアを襲って殺したのも、おれを襲ったのもそいつだ!
サルはフィリーアの夫を糾弾したかった・・・が、大怪我を負い声すら出せず、瀕死のサルは力なくフィリーアの夫を見る事しか出来なかった。
サルの裁判は聖なる樹の下で村人たちに囲まれながら行われた。
村人もフィリーアの夫が嫉妬に狂って居た事は知っていたのに、狂気に狂ったフィリーアの夫に何か言うのが怖かった。何かされてしまうのではないかと不安が過り、サルを庇いはしなった。
犠牲が他所の村から嫁いできたフィリーアと爪弾き者のサルで済むのならば・・・という目がサルを囲んでいた。
ああ、折角フィリーアが村人の心を解きほぐし白い目で見られなくなってきていたのに、結局は自分は爪弾き者でしかなかったのだとサルの心は絶望に染まる。
「お前がこの村に生まれ落ちた日から狂わされたんだ!!」
フィリーアの夫がそう叫びサルに手斧を降ろし、村人たちは顔を背けながらサルが息絶えるのを黙っている事しか出来なかった。
サルの涙が目から流れ、地面に涙が吸い込まれると聖なる樹が風に揺れ、サルの上に雫が落ちた。
朝にしか雫が落ちないはずの聖なる樹の雫が落ちるのを見て、ドリアード達は困惑する。
ざわつくドリアード達の目の前でサルの体から白い枝が伸びる。
逃げまどうドリアード達を白い枝が絡み取り、1人また1人と捕まり村人は全員サルの姿をした白い木に捕らえられていた。
村人がサルに呼びかけてもサルは反応せず、村人たちは枝から逃げる事も出来ず、ただ怯えた。
毎日1回サルの上に聖なる樹から雫が落ちる。
しかし、サルに反応は無いまま日々は過ぎ去り、村人も息絶え、村も森に侵食され元がドリアードの村があったとは思えなくなるほどの月日が過ぎていった。
村の跡地に近付くと人が消える。そんな噂だけが残った。
少しずつ良い方向へ変わっていく毎日に戸惑いながらもサルは若木から抜け出し青年になっていた。
そんな時、フィリーアに子供が出来てフィリーアの笑顔も前にも増して増えていった。
ただ笑顔が曇るのはフィリーアの夫だった。フィリーアと村人の青年の仲を疑っては騒いでいた。
「あの男と今日喋っていただろう!」
「そりゃ小さな村だもの挨拶ぐらいはするでしょ?」
「本当に俺の子なのか?浮気しているんじゃないのか?」
「バカバカしい。私が浮気する様な女に見えているの?」
そんな夫婦喧嘩が日常的になって来ていて、フィリーアはこのままではお産に差し支えると言って実家に一度戻ってお産をすると言っていた。
サルはそんなフィリーアを心配していたが、口を出せる立場でもないので気遣い程度にフィリーアの好きなベリーポップの実を持って行ったりするだけだった。
新緑が芽吹くころ、フィリーアがお産の為に実家のある別のドリアードの村へ帰ることになった。
「サルターナ、帰って来た時あなたはお兄さんよ。私の子供のお兄さん。ちゃんと面倒見るのよ?」
「うん。フィリーアの子供なら可愛い若木だろうね」
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キラキラと光る森の木漏れ日の光が反射して笑顔が眩しいフィリーアと、村から出て森の入り口から出ている馬車乗り場に送り届ける為に2人で歩いていた。
とても綺麗な木漏れ日の光と笑顔だった。笑い合って新しい若木の誕生を話し合っていた。
ドンッ
何かに背を押されて一瞬、何が起きたかわからなかった。
サルが地面に倒れて、自分はコケたのだろうかと顔を上げれば、フィリーアの悲鳴と地面に飛び散る真っ赤な血でサルの頭は混乱した。
ドサリと音がして、目の前にフィリーアの顔が地面に横たわった。
涙で濡れた頬に、血を流す唇、先程までの笑顔は何処にも無くなっていた。
振り返るとフィリーアの夫が手斧を持って血だらけで立っていた。
「サル!お前がフィリーアの浮気相手だったのか!!」
「え・・・?」
「お前に似た可愛い若木だと!ふざけるな!」
「っ!違う!そういう意味じゃ・・・」
先程の会話を屈曲してフィリーアの夫は聞いたのだとサルは理解するが、フィリーアの夫の耳にはサルの訴えは聞き入れてもらえずに、手斧がサルの上に振り下ろされ、サルの悲鳴が森に響き渡った。
サルが意識を取り戻した時、全てが終わっていた。
フィリーアは殺された。
フィリーアの夫はサルがフィリーアを手斧で襲っていたのを助ける為に揉み合いになり手斧をサルから奪い、サルを手斧で襲ったのだと言った。
嘘だ!皆、信じて!!
フィリーアを襲って殺したのも、おれを襲ったのもそいつだ!
サルはフィリーアの夫を糾弾したかった・・・が、大怪我を負い声すら出せず、瀕死のサルは力なくフィリーアの夫を見る事しか出来なかった。
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村人もフィリーアの夫が嫉妬に狂って居た事は知っていたのに、狂気に狂ったフィリーアの夫に何か言うのが怖かった。何かされてしまうのではないかと不安が過り、サルを庇いはしなった。
犠牲が他所の村から嫁いできたフィリーアと爪弾き者のサルで済むのならば・・・という目がサルを囲んでいた。
ああ、折角フィリーアが村人の心を解きほぐし白い目で見られなくなってきていたのに、結局は自分は爪弾き者でしかなかったのだとサルの心は絶望に染まる。
「お前がこの村に生まれ落ちた日から狂わされたんだ!!」
フィリーアの夫がそう叫びサルに手斧を降ろし、村人たちは顔を背けながらサルが息絶えるのを黙っている事しか出来なかった。
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ざわつくドリアード達の目の前でサルの体から白い枝が伸びる。
逃げまどうドリアード達を白い枝が絡み取り、1人また1人と捕まり村人は全員サルの姿をした白い木に捕らえられていた。
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毎日1回サルの上に聖なる樹から雫が落ちる。
しかし、サルに反応は無いまま日々は過ぎ去り、村人も息絶え、村も森に侵食され元がドリアードの村があったとは思えなくなるほどの月日が過ぎていった。
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