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14章
爆音
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正月休みで久々にのんびりと自宅でくつろいでいたルーファスの耳に爆音が聞こえたのは昼食が終わって、二日酔いの頭を治そうと朱里と一緒にリビングでウトウトと微睡んでいた時だった。
眠気はサッと引っ込み、起き上がると、ルーファスに寄り掛かっていた朱里が支えを無くしてソファに転がる。
「わっぷ!・・・って、何ですか?今の音・・・」
「わからん。この近くだから少し見てくる」
「はい。気を付けて」
ルーファスが飛び出して行くと、朱里はソファから起き上がり、ベビーベッドを覗き込みに行く。
ルーシーはギルがやってきて子供部屋でミルアとナルアと一緒に世話をしている為に、このリビングに居るのはティルナールとエルシオンだけなのだが、ティルナールはベビーベッドで寝ているが、エルシオンの姿が見えなかった。
「あら・・・?シューちゃんかな?」
ウトウトしていたので記憶が曖昧だが、エルシオンは発熱していたりしていたのでシュトラールがまた面倒を見てくれているのかな?と、朱里が首を傾げる。
ぎこちない動きで歩きながらシュトラールの部屋をノックすると返事はなく、ドアを開けると部屋には誰もおらずもぬけの殻だった。
「あれー?リューちゃん、シューちゃん知りませんか?」
コンコンとシュトラールの部屋の続き扉になっているドアをノックしてリュエールの部屋を開けるも、そこももぬけの殻だった。
仕方なくリビングに戻り、ティルナールを腕に抱いてソファの上に座っていると、ほんのり焦げくさい匂いがして、ティルナールが小さな手をバタつかせて顔を叩いて「ぇー、ぅー」と泣き始めると、顔に赤みが差し始め火属性アレルギーが出た事に気付く。
リビングにルーファスとリュエール達が戻り、ギルやミルア達もぞろぞろと入ってくる。
焦げ臭いのは外から帰って来たリュエール達だと気付くと朱里が手でティルナールの顔を覆いながら「近づかないで!」と声を上げる。
「どうしたんだ?アカリ」
「え?何?母上」
「どうかしたの?」
困惑した顔でルーファスやリュエール達が近付くのを朱里がここに居たら危ないと無理やり体を起こして、リビングの奥の応接間へ逃げ込む。
「皆、来ないで!お湯玉で体を洗うなりして!ティルが火属性アレルギー出してる!」
朱里の言葉にルーファスが巨大なお湯玉で全員を包み込むと乾燥魔法を掛ける。
そのあと清浄魔法を部屋全体に掛けて、応接間の奥に逃げ込んだ朱里に近付こうとするが「まだ安全とは言えないので駄目です!」と接近禁止とばかり距離を置かれてしまう。
「それより、何だったんです?あの音は?」
ルーファスが1畳分距離を開けて朱里にひざ掛けとお茶を差し入れる。
「さっきの音はアカリの『眠れる賛華』をエルシオンが放った音らしい」
「え?何で・・・というか、何があったの?」
「またエルシオンが魔力の巡りが悪くて発熱し始めたらしくてな。リュー達がどうするか相談していたら、ギル叔父上が魔法を使わせたら発散させられると、言って・・・アカリの『眠れる賛華』は魔法が使えない魔力を持っている人間には扱えるという事で使えるのでは・・・?と、試しに行ったら、あの爆音というわけだ」
「えー・・・あの杖に火魔法なんてありましたか?雷と氷だけだったと思うんだけど」
「それに関しては、うちの従業員達が入れ込んだ物が発動したのだと思う」
そういえば、従業員が面白がって色々入れていたなぁと朱里が思い出す。
朱里がリュエールとシュトラールを見ると、2人は少し眉を下げて即座に謝る。
「母上ごめん!でも、エルの魔力を発散はさせられたから、当分は熱は出ないと思う」
「母上、勝手に武器持って行ってごめんね。あとティルにもごめん」
「あまり弟に無茶はさせないで?危ないからね」
「はーい。母上」
「はい。母上でもこれでエルにどう対処したらいいか何となく掴めたから次からは安全にやるよ」
リュエールとシュトラールが「やっぱ魔法は海に向けよう」と話し合っている事からエルシオンの魔力の巡りが悪くなるたびにあの爆音なのかもしれないと朱里が少しため息を吐く。
朱里の予想通り、1日1回『女将亭』から魔法を放つ音がする様になり、『眠れる賛華』に従業員が入れた魔法が尽きるまで音がとどろく事となった。
なぜこんなに大きな音なのか・・・?と、従業員に後で聞いたところ『女将が使うんなら相手がビビる様な爆音響かせて威嚇になればいいかな?って思ったんですよ』と、いう事だった。
眠気はサッと引っ込み、起き上がると、ルーファスに寄り掛かっていた朱里が支えを無くしてソファに転がる。
「わっぷ!・・・って、何ですか?今の音・・・」
「わからん。この近くだから少し見てくる」
「はい。気を付けて」
ルーファスが飛び出して行くと、朱里はソファから起き上がり、ベビーベッドを覗き込みに行く。
ルーシーはギルがやってきて子供部屋でミルアとナルアと一緒に世話をしている為に、このリビングに居るのはティルナールとエルシオンだけなのだが、ティルナールはベビーベッドで寝ているが、エルシオンの姿が見えなかった。
「あら・・・?シューちゃんかな?」
ウトウトしていたので記憶が曖昧だが、エルシオンは発熱していたりしていたのでシュトラールがまた面倒を見てくれているのかな?と、朱里が首を傾げる。
ぎこちない動きで歩きながらシュトラールの部屋をノックすると返事はなく、ドアを開けると部屋には誰もおらずもぬけの殻だった。
「あれー?リューちゃん、シューちゃん知りませんか?」
コンコンとシュトラールの部屋の続き扉になっているドアをノックしてリュエールの部屋を開けるも、そこももぬけの殻だった。
仕方なくリビングに戻り、ティルナールを腕に抱いてソファの上に座っていると、ほんのり焦げくさい匂いがして、ティルナールが小さな手をバタつかせて顔を叩いて「ぇー、ぅー」と泣き始めると、顔に赤みが差し始め火属性アレルギーが出た事に気付く。
リビングにルーファスとリュエール達が戻り、ギルやミルア達もぞろぞろと入ってくる。
焦げ臭いのは外から帰って来たリュエール達だと気付くと朱里が手でティルナールの顔を覆いながら「近づかないで!」と声を上げる。
「どうしたんだ?アカリ」
「え?何?母上」
「どうかしたの?」
困惑した顔でルーファスやリュエール達が近付くのを朱里がここに居たら危ないと無理やり体を起こして、リビングの奥の応接間へ逃げ込む。
「皆、来ないで!お湯玉で体を洗うなりして!ティルが火属性アレルギー出してる!」
朱里の言葉にルーファスが巨大なお湯玉で全員を包み込むと乾燥魔法を掛ける。
そのあと清浄魔法を部屋全体に掛けて、応接間の奥に逃げ込んだ朱里に近付こうとするが「まだ安全とは言えないので駄目です!」と接近禁止とばかり距離を置かれてしまう。
「それより、何だったんです?あの音は?」
ルーファスが1畳分距離を開けて朱里にひざ掛けとお茶を差し入れる。
「さっきの音はアカリの『眠れる賛華』をエルシオンが放った音らしい」
「え?何で・・・というか、何があったの?」
「またエルシオンが魔力の巡りが悪くて発熱し始めたらしくてな。リュー達がどうするか相談していたら、ギル叔父上が魔法を使わせたら発散させられると、言って・・・アカリの『眠れる賛華』は魔法が使えない魔力を持っている人間には扱えるという事で使えるのでは・・・?と、試しに行ったら、あの爆音というわけだ」
「えー・・・あの杖に火魔法なんてありましたか?雷と氷だけだったと思うんだけど」
「それに関しては、うちの従業員達が入れ込んだ物が発動したのだと思う」
そういえば、従業員が面白がって色々入れていたなぁと朱里が思い出す。
朱里がリュエールとシュトラールを見ると、2人は少し眉を下げて即座に謝る。
「母上ごめん!でも、エルの魔力を発散はさせられたから、当分は熱は出ないと思う」
「母上、勝手に武器持って行ってごめんね。あとティルにもごめん」
「あまり弟に無茶はさせないで?危ないからね」
「はーい。母上」
「はい。母上でもこれでエルにどう対処したらいいか何となく掴めたから次からは安全にやるよ」
リュエールとシュトラールが「やっぱ魔法は海に向けよう」と話し合っている事からエルシオンの魔力の巡りが悪くなるたびにあの爆音なのかもしれないと朱里が少しため息を吐く。
朱里の予想通り、1日1回『女将亭』から魔法を放つ音がする様になり、『眠れる賛華』に従業員が入れた魔法が尽きるまで音がとどろく事となった。
なぜこんなに大きな音なのか・・・?と、従業員に後で聞いたところ『女将が使うんなら相手がビビる様な爆音響かせて威嚇になればいいかな?って思ったんですよ』と、いう事だった。
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